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2023年1月より新様式となった、協会けんぽの「傷病手当金支給申請書」を徹底解説。(「傷病手当金支給申請書」書き方ガイド付)



2023年1月、協会けんぽは「より分かりやすくすること」「より記入しやすくすること」「より迅速に給付金が支払されること」を目的とし、17の各種申請書(届出書)に関する様式を変更しました。


その中でも大幅に変更があった申請書が「傷病手当金支給申請書」です。

今回の記事では、新様式となった協会けんぽの「傷病手当金支給申請書」の変更点と申請のポイントをお伝えします。



傷病手当金の申請手続の流れ



今回の変更点は申請書の様式のみとなり、傷病手当金の手続自体に変更はありません。

傷病手当金の基本的な申請手続の流れは、以下のとおりです。


1 「健康保険傷病手当金支給申請書」を用意し、従業員に渡す


「傷病手当金支給申請書」は4枚で1セットです。


従業員より傷病手当金の申請依頼を受けたら、「傷病手当金支給申請書」の1枚目(被保険者記入用)、2枚目(被保険者記入用)、4枚目(療養担当者記入用)の計3枚を渡します。


4枚目は、従業員が病院に持参し、療養担当者(医師等)に記入してもらいます。


その際、従業員には申請ごとに医師の証明が必要になること、証明の為に病院でかかる費用は従業員が支払うことを伝えます。


なお、医師の証明にかかる費用は、健康保険の対象です。傷病手当金意見書交付料の診療報酬は100点のため、70歳未満の従業員であれば自己負担額は300円です。


2 申請書を作成する


従業員から1で渡した「傷病手当金支給申請書」3枚を受け取り、3枚目(事業主記入用)を作成し申請書を完成させます。


3 協会けんぽに申請する


「傷病手当金支給申請書」の4枚すべての記入ができたら、以下の方法で申請します。


申請期限: 療養のため働くことができなかった日ごとにその翌日から2年以内

申請先:協会けんぽ

申請方法:郵送


企業控が必要なときは、コピー1部と切手を貼った返信用封筒を同封してください。

窓口でも受付をしていますが、時期によっては混雑することがあるため、郵送での手続をおすすめします。


4 支給開始


申請してから支給決定までは、約1〜2か月かかります。


支給決定がされたら、従業員本人の自宅に通知書が届き、支給決定から1週間以内には、従業員の振込口座に傷病手当金が振り込まれます。


ただし、年末年始などの混み合う時期は遅れる可能性があるため注意が必要です。



様式の変更点



新様式は、マス目化した記入欄へ変更され、記入方法も記述式からチェックボックス形式に見直されました。


2023年1月以降に使用する新様式と、2022年12月以前の旧様式を比較しながら変更点をご確認ください。



【1枚目】被保険者記入用


従業員氏名、住所、生年月日や振込口座といった基本情報を従業員が記入します。


(被保険者情報)

①申請回数(※申請書タイトル横):削除

②氏名(カタカナ):マス目化した欄へ記入


新様式では、氏名(カタカナ)は振込手続のときに使用されます。


(振込先指定口座)

③預金種別:普通預金に指定

④口座名義・区分:削除

⑤受取代理人:削除


新様式では、被保険者本人へ振込する仕様に変更となったため、④口座名義・区分、⑤受取代理人の欄は削除されました。



【2枚目】被保険者記入用


従業員が申請内容や確認事項を記入します。


(申請内容)

⑥傷病名:チェックボックス形式

⑦傷病の原因:新設

⑧初診日:削除

⑨該当の傷病について(病気かケガか):削除


⑥傷病名は、申請書4枚目(療養担当者記入用)に記入されている「傷病名」と合っているかを確認し、同じであればチェックを入れる形式となりました。


相違する場合は、別途その病気やケガに対する療養担当者の証明を受ける必要があります。


(確認事項)

⑩報酬の証明:チェックボックス形式


【3枚目】事業主記入用


企業が、病気やケガで働くことができなかった期間(申請期間)の勤務状況、賃金支給状況を記入します。


新様式で大きく変更のあった箇所が、申請書3枚目(事業主記入用)です。

旧様式では、申請期間に対する勤務状況と賃金内訳をすべて記入していましたが、審査処理のスピードをあげる目的で簡素化されました。


(事業主が証明するところ)

⑪被保険者氏名(カタカナ):マス目化した欄へ記入

⑫申請期間の勤務状況:出勤した日のみ(所定労働時間の一部を働いた日も含む)を記入

⑬申請期間の報酬等(賃金)欄:出勤しなかった日に給与が発生した場合に記入

⑭申請期間の賃金支給の有無/給与の種類/賃金計算:削除


⑫申請期間の勤務状況、⑬申請期間の報酬等(賃金)欄について、大幅に変更されたため補足説明します。


旧様式の⑫申請期間の勤務状況では出勤日「〇」に加え、有給休暇「△」、公休日「公」、欠勤「/」の記号を記入していました。


新様式では、有給休暇、公休日、欠勤の記入が不要となりました。 


所定労働時間の一部を働いた日には、遅刻早退や、午前に出勤し午後に半日有給を取得した日なども含まれます。


⑬申請期間の報酬等(賃金)欄は、申請期間の出勤しなかった日に給与支給があれば記入をしてください。


【出勤しなかった日の給与支給例】

・有給休暇

・出勤せず半日有給のみ取得

・一定期間分を一括して支給した場合の通勤手当

・出勤等の有無にかかわらず支給した扶養手当 など


※⑫申請期間の勤務状況、⑬申請期間の報酬等(賃金)欄の記入方法については、以下「傷病手当金支給申請書の書き方ガイド」の3ページ目に記入例がありますのでご覧ください。


【4枚目】療養担当者(医師等)が記入

傷病名や初診日、治療内容などの療養担当者(医師等)の意見を記入してもらうため、企業や従業員が記入することはありません。

参考として変更点をご確認ください。


⑮被保険者氏名:マス目化した記入欄(カタカナ記入)

⑯傷病名/初診日:記入欄の簡素化

⑰症状や経過、治療内容など:記入スペースの拡大


以下、削除された項目です。

・入院期間

・療養費用の別

・転記

・診療実日数

・診療及び入院していた日

・手術/退院年月日

・医学的所見

・人工透析や人工臓器について



傷病手当金支給申請書の書き方ガイド



傷病手当金支給申請書は、旧様式と比べてさまざまな箇所が変更となっています。

新様式に対応した、こちらの傷病手当金支給申請書の書き方ガイドを活用し、スムーズな手続を行ってください。


なお、旧様式での申請も可能ですが、新様式を使用したときと比べて事務処理等に時間を要することがあるため、新様式での申請をおすすめします。



申請時の注意点



1 申請書の印刷および提出


協会けんぽは、提出された申請書等をスキャナーに読み込むことで、審査業務の効率化を図っています。


特に申請書3枚目(事業主記入用)は、申請期間や賃金支給状況により、用紙が複数枚に渡る場合があります。

印刷および提出時は、以下の内容に注意してください。



2 申請日の日付

傷病手当金の支給は、実際に休んだ期間に対して行うため、未来の日付で申請することはできません。

申請書3枚目(事業主記入用)、および申請書4枚目(療養担当者記入用)の証明日の日付に誤りがないか注意してください。


3 診断書の代用

企業へ提出する診断書を、4枚目の療養担当者(医師等)の証明に代用することはできません。

企業の休職制度のルールとして、休職申請書のほかに休職の根拠となる書類を求めるときは、傷病手当金申請書の書類以外に主治医の診断書などを提出するようにお伝えください。



まとめ



今回の協会けんぽ「傷病手当金支給申請書」の新様式において、申請書3枚目(事業主記入用)が大幅に変更になりました。


一見すると理解しづらい変更にも見えますが、賃金の細かな記入やその他の確認作業が減ることとなり、労務担当者の事務負担が軽減される仕様となっています。


手続でも多くみられる傷病手当金については、こちらの記事や書き方ガイドを活用していただき、日々の業務にお役立てください。

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