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高校生等を使用するときは独自のルールがあります



高校生等を雇用するときにも、法令(労働基準法など)の適用があります。

また同じ高校生でも、18歳未満(以下「未成年者」という)と18歳以上では、

働けない時間帯や就けない業務などが異なります。

制限を受ける基準は「年齢」であり、高校生であるかどうかは関係ありません。


この記事では高校生を雇用するときの注意点や、雇用保険・社会保険の扱いについて

解説します。



未成年者の労働時間



未成年者が働ける労働時間は1日8時間、週40時間までです。


1か月または1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、

36協定に基づく時間外および休日労働、週44時間まで勤務が可能な

特例措置対象事業場(従業員数10名未満)の特例の規定を適用させて

働かせることはできません。


ただし、15歳以上の未成年者については、以下のとおり例外的に働かせることが可能です。


【15歳以上の未成年者に関する労働時間の例外】





未成年者が働けない時間帯



未成年者を22時〜翌日5時までの深夜時間帯に勤務させることは

法令上禁止されています。


ただし交代制(夜間勤務・昼間勤務の交代制など)の勤務は

16歳以上の男性であれば可能です。

(ただし、高校生であっても、現に就労している時点での年齢が15歳の場合は不可)


また、労働基準法上の規制だけではなく、都道府県の青少年健全育成条例による

規制もあります。


条例では、保護者の許可なく未成年の者を深夜に呼び出す、連れ出すなども

禁止しているため、業務内容を確認するための呼び出しなどはできません。



未成年者が就けない業務 



未成年者は肉体的・精神的にも未熟なため、健康を守るために危険

または有害な業務に就くことが禁止されています。

重量物を取り扱う業務や、運転中の機械などの掃除、検査、修理などの

業務のように、身体に大きな負担がかかる業務や、事故発生の可能性が

高い危険な業務に就かせることはできません。


法改正により未成年者が20歳未満の者から18歳未満の者になりましたが、

健康保持の観点から引き続き20歳未満の者の飲酒や喫煙は禁じられており

お酒を提供して接待をする業務や、喫煙可能な場所での勤務をさせることはできません。



最低賃金の適用



年齢にかかわらず、最低賃金以上の賃金の支払いが必要です。

最低賃金法は、都道府県ごとに決められた最低賃金以上の支払いを

労働者にしなければならないと定めています。

「高校生のアルバイトだから」「深夜勤務ができないから」などを

理由に最低賃金を下回る賃金で雇用することはできません。



年次有給休暇の適用



未成年者であっても年次有給休暇は付与されます。

付与される日数も、未成年者であるからといって成人と異なる

取扱いをされるわけではありません。

以下の表のとおり、年次有給休暇が付与されます。


【週5日以上または週30時間以上の勤務のとき】



【週4日以下かつ週30時間未満の勤務のとき】




未成年者を雇用するにあたっての注意点



未成年者を雇用する場合は、以下の点に注意が必要です。



①について

未成年者が契約を締結するときは、親などの親権者の同意が必要です。

18歳に満たない高校生を雇用する場合には、必ず親権者の同意があることを

確認してください。


なお、同意なしに労働契約を締結した場合、親権者はその契約を

取り消すことができるのはもちろん、同意があったとしても、

その労働契約が未成年者の労働者にとって不利である場合には

親権者はその契約を解除することができます。


②について

法令により、未成年者を雇用する企業は、年齢を証明する戸籍証明書を

事業場に備え付けなければなりません。

高校生を雇用する場合には必ず年齢を確認し、18歳に到達していない場合には

必ず戸籍証明書を提出してもらってください。



労災保険、雇用保険および社会保険の適用



1 労災保険

未成年者であったとしても、労災保険の適用はあります。

したがって、業務中や通勤中の事故に起因した傷病については

労災保険法による給付が行われます。


2 雇用保険

雇用保険については、未成年者であることをもって雇用保険の適用が

なくなることはありません。

そのため、通常の従業員と同じ基準で雇用保険に加入するかどうかが決まります。

ただし、日中に学校に通う学生は雇用保険には加入できないため、

未成年者であるかどうかを問わず、「高校生」は雇用保険に加入できません。


3 社会保険

社会保険についても、雇用保険同様に未成年者であることをもって

健康保険法や厚生年金保険法の適用がなくなることはありません。

ただし、特定適用事業所(週に20時間以上働くアルバイトでも社会保険に

入らなければならない企業)においては、未成年者であるかどうかを問わず、

日中に学校に通う学生は社会保険に加入できません。


高校生等は一般的に親の扶養に入っています。

扶養に入れる要件は原則として、年収130万円未満までとなっており、

それ以上の年収になると親の扶養から外れなければなりません。


一般的には勤務調整を行って収入をコントロールしますが、

最低賃金の上昇や人手不足などに伴い時給が上がり、結果的に年収が

扶養に入れる基準を超えてしまい、労使でトラブルになるというケースもあります。

そのようなことにならないためにも、高校生を雇い入れる前には

しっかりと説明し、勤務時間を調整してください。



おわりに



法改正によって、未成年者は20歳未満の者から18歳未満の者へと変わりました。

しかし、雇用保険法のように年齢ではなく高校生であるかどうかが重要な場面もあります。また、高校生といっても18歳以上かどうかで対応が異なる場面も多々あります。


必要な事務手続きも数多くあるため、高校生を雇う場合は社会保険労務士に

相談することをおすすめします。

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