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厚生労働省から、2023年の障害者・高年齢者の雇用状況について発表がありました




国は、障害の有無にかかわらず誰もが地域で自立した生活を送り、その能力と適性、年齢にかかわりなく働き続けることができるような社会を目指しています。


その一環として、厚生労働省は毎年6月1日時点での障害者や高年齢者の雇用状況の集計や

公表を行っています。


2023年12月に発表された集計結果では、障害者、高年齢者ともに雇用が推進していることが見受けられ、国が目指す社会の実現に少しずつ近づいています。


障害者の適性や高年齢者のこれまでの経験などを上手に活かすことは、企業にとっても大きなメリットがあります。


この記事では、障害者・高年齢者の雇用状況の集計結果や、雇用による企業への効果などについて紹介します。



障害者雇用状況について



1 集計結果とそこから分かること


2023年の集計結果によると、民間企業で雇用されている障害者の数は前年から4.6%増えて642,178人となり、過去最高を更新しました。


また実雇用率も2.33%で、こちらも過去最高を記録しています。

さらに、法定雇用率を達成している企業の割合も50.1%と前年から増加しています。


これらの結果から、企業が障害者を貴重な戦力と捉え、積極的に雇用していることが分かります。


【民間企業における雇用状況】

 


【実雇用率と雇用されている障害者の数の推移】



法定雇用率未達成企業のうち、不足数が0.5人または1人である企業は66.7%を占め、障害者を1人も雇用していない企業も58.6%にのぼります。


特に従業員数が100人未満の企業ではどちらも90%を超える数字となっており、1人目を雇用するハードルが高いことが分かります。


【障害者不足数階級別の法定雇用率未達成企業数】

 



2 制度の案内と注意点


障害者雇用で企業が注意しなければならないことは、法定雇用率制度です。

この制度は、従業員が一定数以上いる企業に対して、従業員に占める身体・知的・精神障害者の割合が法定雇用率以上となるよう義務付けるものです。


令和6年4月から法定雇用率が2.5%に引き上げられ、従業員が40人以上いる企業では障害者を1人以上雇用しなければなりません。


法定雇用率を達成できない企業にはハローワークから行政指導が行われます。

また、従業員が100人を超える企業の場合には、法定雇用率より不足する障害者数に応じて1人につき月額5万円の納付が必要なため、注意してください。



3 企業として行うべきこと


法定雇用率が未達成の企業は、達成できるように障害者雇用の推進を行ってください。

法定雇用率を達成できている企業でも、従業員が100人を超える場合には、超えて雇用している障害者数に応じて1人につき月額2万9千円が支給されますので、さらなる雇用の推進を図ることをおすすめします。


法定雇用率は、単に達成するだけでなく、障害者それぞれの能力や適性が発揮でき、生きがいを持って働けるような環境づくりが大切です。


そのためには障害者の適性や希望を踏まえた処遇や業務の割り振り、障害の特性に応じた就業環境の整備などを心掛けることが重要です。



4 障害者を雇用することによる企業のメリット


障害者を雇用するメリットは、企業のイメージ向上が期待できることです。

近年、社会的公正への配慮などを謳うCSR(企業の社会的責任)が注目されていますが、障害者が自立して生活できることを目指す障害者雇用は、まさにCSRの観点からも重要です。積極的な障害者雇用は、取引先や株主などからの信頼を高めることにもつながります。


また、障害者が貴重な戦力となることもメリットのひとつです。

障害の種類や程度は人それぞれであり、就労できる業務もさまざまです。


たとえば、肢体不自由の方であればデスクワークは問題なくこなすことができたり、精神疾患の方であれば特定の分野を非常に得意としていることもあります。


このように、障害者それぞれの状況や適性を見極めれば貴重な戦力となり、売上の向上も期待できます。



高年齢者雇用状況について



1 集計結果とそこから分かること


2023年の集計結果によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%となっており、そのうち継続雇用制度の導入を行っている企業が69.2%と大半を占めています。


【雇用確保措置の内訳】



また、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は29.7%となっています。一方、実際に70歳以上まで働ける制度を整備している企業は41.6%となっており、高年齢者を戦力として重要視していることが分かります。すでに70歳以上の従業員を4割程度雇用していることを踏まえると、これから就業確保措置を制度として導入する企業はさらに増えると思われます。


【就業確保措置の内訳】

 


【70歳以上まで働ける制度のある企業の状況】

 


2 制度の案内と注意点

高年齢者雇用の観点で企業が注意しなければならないことは、「高年齢者雇用確保措置」と「高年齢者就業確保措置」です。


高年齢者雇用確保措置とは、定年を65歳未満に定めている企業が実施しなければならないものです。企業は以下のいずれかの措置を講じる必要があります。措置を講じていない場合には、ハローワークから指導が行われる可能性がありますので注意が必要です。

 


また、高年齢者就業確保措置とは、定年を65歳以上70歳未満に定めている企業、または継続雇用制度を導入している企業がいずれかの措置の実施に努める必要があるものです。


努力義務のため、措置の対象者を限定することもできますが、従業員と十分に協議をしたうえで実施してください。



3 企業として行うべきこと

法令では、高年齢者の雇用は65歳までは必須、70歳までは努力義務として定められており、自社の制度がどうなっているか今一度確認することをおすすめします。

そのうえで、法令で定められている措置は必ず実施し、働き続けたいと考えている高年齢者が働きやすい制度や環境の整備が大切です。特に、高年齢者は健康面に不安を抱えている場合もあり、これまでと同様の働き方では安全衛生上問題となる可能性もあります。短時間勤務制度など、健康に配慮した就業環境の整備をおすすめします。


4 高年齢者を雇用することによる企業のメリット

高年齢者の雇用では、これまで培ってきた経験やスキルを引き続き発揮してもらうことが期待できます。少子化などで人手不足が深刻となる中、働く意欲とスキルのある人が定年退職してしまうことは大きな損失です。定年後の継続雇用は、従業員の活躍の場を設けられるだけでなく、企業のパフォーマンスにも直接影響します。

また、高年齢者の従業員がこれまでどおり第一線で活躍できないとしても、経験やノウハウを若手従業員に教えられることは大きなメリットです。若手従業員の成長や高年齢従業員のやりがいにつながるだけでなく、企業そのものの成長にもつながります。



おわりに



障害者や高年齢者の雇用は年々推進されています。法令の定める基準達成のために雇用することも大切ですが、障害者や高年齢者を雇用することのメリットや意義を理解したうえでの雇用は、障害者・高年齢者と企業の双方により大きな意味のあるものとなります。

そのときは従業員の希望に合わせることも大切なため、しっかりとコミュニケーションをとり、進めていくことをおすすめします。

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