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【2024年度版】賞与支払届と社会保険料計算



賞与とは、毎月の定期的な給与とは別に支払われる特別な賃金のことです。  

賞与支払届は、賃金、給与、手当、賞与など、名称にかかわらず賞与(年3回まで)を

支給したときに必要な手続です。

今回の記事では、賞与にかかる手続や社会保険料の計算についてお伝えします。



・届出の対象者は


賞与支払届は、賞与を支給した人のうち、社会保険に加入しているすべての役員・従業員で

届出が必要です。


賞与支払月に社会保険料が免除されている育児休業中の従業員や、社会保険の資格を喪失

した従業員も届出が必要です。



・届出が不要な賞与とは


賞与支払届の届出が不要な賞与もあります。


7月1日前の1年間で4回以上支給する賞与は、毎月の社会保険料を決める基準となる標準報酬

月額の対象になるため、賞与支払届は必要ありません。


ただし、年の途中で、賞与の支給回数を4回以上とすることの賞与規定を新設した場合は、

次の定時決定(7月、8月または9月の随時改定を含む)までは賞与として取り扱うことに

なっています。


また、労働とは関係なく支給される慶弔見舞金(結婚祝い、出産祝いなど)などは、

賞与の対象外となるため届出の必要はありません。



・賞与支払届の手続


賞与支払届出書の用紙は、日本年金機構に登録されている賞与支払予定月の1か月前に

企業へ送付されます。


届出用紙の基礎情報は、賞与支払月の前々月の19日までの情報を元に年金事務所が作成

します。


そのため、社会保険に加入している役員・従業員の氏名の記載が賞与支払届にないときは、

追記をしてください。


賞与支払届の枚数が不足するときは、届出様式をダウンロードして作成します。



【賞与を支給したとき】

賞与を支給したときは、以下の届出をします。


賞与支払届に記載されている被保険者のうち支給がない被保険者がいるときは、賞与支払届

の該当者欄に斜線を引いて届出をしてください。


届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者

     賞与支払届

添付書類:原則なし

届出期限:賞与を支払った日から5日以内

届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所

届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)、持参



【賞与不支給のとき】

賞与支払月に事業所全体のすべての役員・従業員の賞与が不支給のときは、以下の届出を

します。


届出様式は、賞与支払届と一緒に送付される書類もしくは以下をダウンロードして使用して

ください 。 




・賞与支払月が変更になるときの手続


賞与支払月は日本年金機構に登録されている情報のひとつです。

賞与支払月を変更したときは、5日以内に年金事務所へ健康保険・厚生年金保険 事業所関係

変更(訂正)届の届出が必要です。


届出様式:健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届

添付書類:なし

届出期限:変更の事実が発生してから5日以内

届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所

届出方法:郵送、電子申請、持参




・賞与支払時の社会保険料の計算方法


賞与を支給するときは、社会保険料を控除しなければなりません。

雇用保険料は給与支給時と同じ計算方法ですが、社会保険料は計算方法が異なります。

社会保険料の計算は以下のとおりです。


①健康保険料




②介護保険料


介護保険料は40歳以上65歳未満の従業員から徴収が必要です。

賞与の支払月に40歳または65歳に到達する従業員は注意してください。




健康保険料率・介護保険料率は、加入している健康保険の種類や都道府県ごとに

異なります。

協会けんぽの企業は都道府県ごとの保険料率を確認し、保険料額表から計算してください。




③厚生年金保険料


厚生年金保険料(現在は一律18.3%)の計算式は以下のとおりです。


 


標準賞与額は、総支給額(社会保険・税金などを控除する前)から1,000円未満を

切り捨てた額です。


従業員の社会保険料に1円未満の端数がでたときは、50銭未満は切り捨て、50銭以上は

切り上げになります。


社会保険料の計算方法で、年齢到達や産前産後休業・育児休業、退職などにより注意す

べきことを4つ解説します。



【賞与の支払月に40歳・65歳になる従業員の介護保険料】

介護保険料は、介護が必要な高齢者を支える保険制度です。

賞与の介護保険料は、40歳に到達した日の属する月から保険料の徴収が必要となり、

65歳に到達した日の属する月から保険料の徴収が不要です。


「到達した日」とは、誕生日の前日を指します。


 


1日生まれの従業員は、特に間違いやすいため注意が必要です。

 



【70歳以上の従業員の厚生年金保険料】


70歳以上の被保険者は厚生年金保険に加入する資格を失うため、厚生年金保険料の徴収は

不要です。


【賞与支払月に退職予定の従業員がいる場合】

賞与の支払月に退職予定(退職日が末日以外)のときは、社会保険料を徴収しません。


【賞与支払月に産前休業に入る従業員がいる場合】


産前産後休業・育児休業中のときは社会保険料を徴収しません。

また、産前休業などに入る場合同じ月の支給であっても、以下の例のように給与と賞与の

社会保険料の徴収月が異なるケースもあるため特に慎重に確認してください。





・社会保険料計算時の賞与額の上限


社会保険料がかかる賞与額の上限は、法令等で、健康保険(介護保険含む)、厚生年金保険

ごとに定められています。


【健康保険】4月1日から翌年3月31日までの賞与の累計額573万円まで


年間(4月1日から翌年3月31日)の賞与額が累計573万円を超えるときは、健康保険 標準

賞与額累計申出書を作成し添付してください。




年度途中の転勤・転職などで被保険者資格の取得・喪失があった場合の標準賞与額の

累計は、保険者単位(協会けんぽ、健康保険組合など)で行います。


したがって、同一の年度内で複数の被保険者期間がある場合は、同一の保険者である期間に

決定された標準賞与額を累計することとなります。


育児休業等による保険料免除期間に支払われた賞与や、資格喪失月に支払われた賞与に

ついては保険料の徴収は行われませんが、決定された標準賞与額も年度の累計額に含まれ

ます。


【厚生年金保険】支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)の賞与額150万円まで


同じ月に同じ被保険者に賞与が2回支払われる場合は、2回の賞与の合計額が150万円に

達するまで厚生年金保険料がかかります。



おわりに


6月から8月にかけ、夏季賞与が支給される企業が多くあります。

労務担当者にとっては、年度更新や定時決定、高齢・障害者雇用状況等報告など1年に1度の

手続や報告が密集する期間でもあります。

賞与支払届の提出期限は5日以内と短くなっています。

ミスなく速やかに手続を終了させるため、賞与計算、賞与振込、手続終了までの計画や

対応期限の目安を立て、賞与の支給額が決まり次第、計画に基づいた対応をお願いします。

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