2022年4月 育児・介護、定年引上げ等にかかわる助成金の改正点について


厚生労働省の助成金は、毎年4月に改正・廃止などの発表がされます。今回は2022年に改正があった助成金のうち、育児・介護にかかわる「両立支援等助成金」、高齢者の雇用改善、定年の引上げ等にかかわる「65歳超雇用推進助成金」について記載しています。



両立支援等助成金



両立支援等助成金は、育児休業取得・復職や介護のときなどの体制の整備が必要な中小企業を対象にした助成金です。要件の改正は毎年行われています。今回は、よく利用されている「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」「育児休業等支援コース」の改正点についてお伝えします。


【両立支援等助成金 コース一覧】




出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)


男性従業員が、子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得したときに支給される助成金です。2022年度から要件や助成額が見直しになり、廃止された内容もあります。


【廃止された内容】

男性従業員が育児目的休暇を取得した場合の助成(助成額:28.5万円)

子の出生前6週間、出生後8週間以内に配偶者の出産支援、養育などのため休暇を取得し企業が賃金を支払ったときの助成金


【改正の内容】

男性従業員の助成金の対象が「大企業、中小企業」から「中小企業のみ」になりました。また、育児休業を取得したときの「第1種」と男性従業員の育児休業取得率がアップしたときの「第2種(新設)」になりました。

第1種の助成金を受給するためには、育児休業取得者の業務を代替する従業員の業務見直しにかかわる規定の作成、規定にそった業務体制の整備が必要です。 また、対象の男性従業員に対し育児休業の取得支援等を行ったときに支給されていた「個別支援加算」は、「代替要員加算」へ変更になっています。





第2種は新設された助成金です。第1種の助成金を受給した企業が、男性従業員の育児休業取得率を3年以内に30%以上アップさせ、第1種申請にかかる男性従業員以外に育児休業を取得した男性従業員が2名以上いることが必要です。



(出典)厚生労働省『両立支援等助成金』(出生時両立支援コース、育児休業等支援コース)が令和4年度から変わります』


また、第1種、第2種ともに以下の雇用環境整備を2つ以上実施する必要があります。ただし、従業員から企業へ行う育児・介護休業法の出生時育児休業の申請期限が2週間前を超えるときは、3つ以上の実施が必要になります。


【雇用環境整備とは】

1 雇用する従業員に対する育児休業にかかわる研修の実施

2 育児休業に関する相談体制の整備

3 雇用する従業員の育児休業の取得に関する事例の収集および当該事例の提供

4 雇用する従業員に対する育児休業に関する制度および育児休業の取得の促進に関する方針の周知



育児休業等支援コース



育児休業の取得、復職、育児休業中の従業員の代替要員を確保などに対して支給される助成金です。


【改正の内容】

「代替要員確保時」と「職場復帰時(職場支援加算)」に実施していた代替要員確保に対する支援が「業務代替支援」になりました。業務代替支援は「新規雇用」「手当支給等」の2つに分かれています。


新規雇用は、育児休業を取得する従業員の業務を代替する従業員を新規に雇用(派遣労働者含む)する必要があります。手当支給等は、業務の見直し・効率化のため以下のすべての取組を実施しなければなりません。


【手当支給等の必要な取組とは】

1 業務の一部の休止・廃止

2 手順・工程の見直し等による効率化、業務量の減少

3 マニュアル等の作成による業務、作業手順の標準化

4 対象の育児休業を取得している従業員の育児休業中の業務分担を明確にし、業務代替者の上司、または人事労務担当者が業務代替者に代替業務の内容、賃金について、面談により説明




(出典)厚生労働省『両立支援等助成金(出生時両立支援コース、育児休業等支援コース)が令和4年度から変わります』



65歳超雇用推進助成金


65歳超雇用推進助成金は、定年の引上げ、高年齢者の無期雇用転換などに対して支給される助成金です。要件の改正や助成金の名称など変更になっています。今回は、よく利用されている「65歳超継続雇用促進コース」の改正点について記載しています。


65歳超継続雇用促進コース


65歳以上への定年の引上げ、定年の廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用の導入に関して、助成額が被保険者数によって細分化されました。また「70歳以上の定年の引上げ」「定年の定めの廃止」「70歳以上の継続雇用」は導入前の定年年齢が70歳未満に限定されています。



【2021年度の助成額】



(出典)独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『65歳超雇用推進助成金 65歳超継続雇用促進コース)支給申請の手引き(令和3年4月1日)』P8


【2022年度の助成額】



(出典)独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)支給申請の手引き(令和4年4月1日)』P9


【就業規則に定める内容】

定年引上げなどの実施日の6か月前の日から支給申請日の前日までの間に以下の内容を就業規則に定めておかなければならず、定めていないときは支給申請ができません。


1 定年が60歳以上であること

2 65歳までの高年齢者雇用確保措置が導入されていること


(例)

・定年65歳

・希望者全員を65歳まで継続雇用する制度

・定年の廃止 など


【申請期間】

2021年度:定年引上げなど実施日の翌日から2か月以内

2022年度:実施日が属する月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から5開庁日(休日除く)


定年の引上げなどの実施後に支給申請を行いますが、申請期間が大きく変更になっています。助成金の窓口サイト(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)に受付カレンダーがありますので、申請期間を確認し期限が過ぎないようにしてください。



(出典)独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『受付カレンダーはこちら』



まとめ


育児休業関連、定年引上げ関連の助成金はよく知られています。毎年度、要件が変更になっており、細かな要件が多い助成金のため、申請を進めるときは事前に要件の確認や助成金の窓口、社会保険労務士へ相談をおすすめします。

また、定年の引上げ関係の助成金は、昨年度は予算に達したため年度途中(9月)で申請の受付が終了しました。(一部、今年度に申請の受付がされています。)助成金は予算が確保されており、年度途中での受付終了は珍しく、企業の関心の高さが見受けられます。

制度導入を検討している場合は、申請時期などを踏まえて早めに進められることをおすすめします。