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【2023年度版】助成金制度 ポイント③



人材開発支援助成金



1 概論


人材開発支援助成金とは、企業が従業員の職務に

関連した技能や知識を習得させるため、

職業訓練などを計画に沿って実施したときに

訓練にかかる経費や訓練期間中の賃金の一部が

支給される助成金です。


対象者(正社員、有期契約労働者など)や訓練内容によって

細かく訓練コースが分かれています。


【訓練コース一覧】

① 人材育成支援コース

② 教育訓練休暇等付与コース

③ 建設労働者認定訓練コース

④ 建設労働者技能実習コース

⑤ 障害者職業能力開発コース

⑥ 人への投資促進コース

⑦ 事業展開等リスキリング支援コース


ひとつのコースの中に複数の異なる訓練が

含まれているコースもあります。


どのコースに該当するのか、訓練カリキュラムが該当するのかなど、

選択をするにも迷いやすい助成金です。


そのため助成金の申請を検討するときは

事前に助成金の申請窓口(労働局またはハローワーク)

または社会保険労務士へ相談されることをおすすめします。



2 人材育成支援コースへの統合について


① 統合に伴う要件の変更について


2023年4月1日から複数のコースが

「人材育成支援コース」に統合され利用しやすくなりました。


特に、従来は訓練コースによって

OFF-JTの訓練時間数要件が異なりましたが、

今後はOFF-JTの訓練時間数要件が10時間以上で統一されたので

活用しやすくなりました。


② 助成額および助成率について


人材育成支援コースでは、経費助成、賃金助成、OJT実施助成が行われます。

経費助成とは、講習や教材などにかかった費用に対して行われる助成です。

賃金助成、OJT実施助成とは、従業員に業務として講習を受けさせている時間に

支給する賃金や、OJT期間中の賃金に対して行われる助成です。


それぞれの助成額と助成率は以下のとおりです。


なおOJT実施助成については、従来はOJTの実施時間に応じて

助成額が決まっていましたが、

今年度からは 認定実習併用職業訓練の場合は一律して20万円、

有期実習型訓練の場合は一律して10万円となりました。



【助成額および助成率】

※()内は大企業の助成額・助成率


③ 経費助成の上限について

経費助成には、下記の表のとおり助成額の上限額が定められています。

なお、「人材育成訓練」「認定実習併用職業訓練」「有期実習型訓練」は

人材育成支援コースに含まれるため、

下記表では総合して「人材育成支援コ―ス」という表記になっています。



3 賃金要件、資格等手当要件の適用


人材開発支援助成金の一部のコース(訓練)には

「賃金要件、資格等手当要件」が適用され、

助成額・助成率が上がる場合があります(加算部分は別途の申請が必要です)

加算されるための要件は、以下のいずれかを満たすことです。


① 賃金要件

毎月決まって支払われる賃金(基本給および諸手当)について

訓練終了日の翌日から起算して1年以内に、5%以上増額していること。


なお賃金が5%以上増加したかどうかは、賃金改定後3か月間の賃金総額と改定前3か月間の賃金総額を比較して判断をします。


② 資格等手当要件

訓練終了後の翌日から起算して1年以内に

実際に資格等手当を支払い、賃金を3%以上増加させること。


資格等手当(毎月決まって支払われる手当)とは、

就業規則、労働協約または労働契約等で規定した手当です。


なお資格等手当の支払いにより賃金が3%以上増加したかどうかは

資格等手当支払い後3か月間と資格等手当支払い前3か月間の賃金総額を比較して

判断をします。


③ 要件を満たしたときの支給申請期限

助成額・助成率が上がることによって支給される加算部分については

別途の申請が必要です。

その場合の申請期限は、全ての対象者に対して

要件を満たす賃金または資格等手当を支払い始めて

3か月が経った日の翌日から起算して5か月以内になります。



<助成金制度①-③まとめ>


助成金は細かな要件も多く、スムーズに受給するためには

適正な労務管理も必要になります。


助成金は労働関係、社会保険関係の法令違反がないことが前提になります。

そのため、法令に沿った残業代の支給、始業・終業時刻の管理、

帳票類の整備(出勤簿、賃金台帳など)などができていないと

対象者がいたとしても助成金の申請はできません。


助成金は企業にとって雇用継続や育成費用の軽減などメリットが多い制度です。

対象者がでたときに、申請が行えるよう

日頃から労務管理を適切に行うことをおすすめします。

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