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【2023年度版】助成金制度のポイント




今回は申請実績数が多い「両立支援等助成金」の概要について紹介します。


◆両立支援等助成金


1 概要

働きながら子育てや介護を行う従業員の雇用の継続を図るために

就業環境の整備を行った企業に支給する助成金です。


職業生活と家庭生活の両立支援の取り組みを促進し、

雇用の安定を図ることを目的としています。


ここでは、男性が短期間の育児休業を取得したときに利用できる

出生時両立支援コース」と

男性・女性問わず長期間の育児休業を取得したときに利用できる

育児休業等支援コース」について記載しています。



2 出生時両立支援コース(中小企業のみ対象

男性従業員でも育児休業を取得しやすい環境の整備や業務体制の整備を行い、

男性従業員が実際に育児休業を取得したら支給される助成金です。


助成金には第1種と第2種があり、第2種の受給は第1種を受給していることが

条件になっています。


※「ポイント」とは%のことをいいます(30ポイント→30%)。



(1)第1種について


第1種を受給するためには、以下の要件を満たさなければなりません。


①育児・介護休業法に定められている雇用環境整備の措置を複数行っている


②就業規則に、育児休業取得者の業務を代替する従業員の

業務見直しに関する規定を設けている

(※従業員が10人以上の場合は就業規則の労働基準監督署への届出が必要です)


③②の規定に基づき業務体制を整備をしている


④子の出生時後8週間以内に男性従業員が育児休業を5日以上連続して取得している

(育児休業をした日のうち、4日以上が所定労働日でなければなりません)



(2)第1種の支給額と加算について


第1種の支給額は20万円です。また、以下の加算が行われます。


①代替要員加算


「代替要員加算」として代替要員を1人または2人確保した場合はさらに20万円の加算が、

3人以上を確保した場合は45万円の加算が行われます。


②育児休業等に関する情報公表加算


2023年度から自社の育児休業の取得状況を

両立支援のひろば」サイトに公表することで

「育児休業等に関する情報公表加算(2万円)」が加算されます。


この加算は出生時両立支援コースだけではなく

後で説明する育児休業等支援コースも対象です。


「両立支援ひろば」は厚生労働省が運営するサイトで、

企業の仕事と家庭の両立支援に関する取組みを紹介しています。



(3)第2種について


①支給要件


第2種が支給されるための条件は次のとおりです。


ア 第1種を受給していること


イ 第1種を受給した年度の対象となる男性労働者の育児休業取得率を

3事業年度以内に30%以上上昇させること、

または第1種を申請時において対象となる男性従業員が

4人以下の場合は取得率が70%以上であり、

かつ翌事業年度以降で、2事業年度以上連続で70%以上であること


ウ 対象となる男性労働者の育児休業取得者が2名以上いること


②支給額

支給額は以下のアまたはイのいずれかです。


ア 対象となる男性従業員の育児休業取得率を30%上昇させることに

1事業年度しかかからなかった場合は、60万円が支給されます。


30%上昇させることに2事業年度かかったときは40万円に、

3事業年度かかったときは20万円に減額されます。


イ 第1種を申請時に対象となる男性従業員が4人以下で

かつ、取得率が70%以上であった場合は

翌年度および翌々年度の取得率も70%以上であれば40万円が支給されます。


翌年度の取得率が70%未満であっても、翌々年度と3事業年度後で

取得率が70%以上であれば20万円が支給されます。



3 育児休業等支援コース(中小企業のみ対象)


(1)概要


従業員のスムーズな育児休業取得と職場復帰のため

「育休復帰支援プラン(以下「プラン)」を作成し、

そのプランに沿って取り組みを行っている企業で

育児休業取得者が生じたときに支給される助成金です。


プランの作成に必要な書式やマニュアルは厚生労働省サイトに掲載されています。


育児休業等支援コースは「育休取得時・職場復帰時」「業務代替支援」「職場復帰後支援」の3つに分かれており、支給額などが異なります。


(2)育休取得時・職場復帰時


育児休業を取得する従業員に対して、育休の取得時および職場復帰時に

以下の措置を講じた場合に助成金が支給されます。


①支給要件

それぞれの要件は以下になります。



②支給額


「育休取得時」と「職場復帰時」で助成金の申請が分かれているため

2回申請を行います。

また「職場復帰時」の申請を行うためには「育休取得時」を受給していることが必要です。


昨年度は育休取得時、職場復帰時の支給額がそれぞれ285,000円でしたが、

今年度から以下のとおり増額されています。


(3)業務代替支援


①概要


育児休業を取得する従業員に代わってその従業員が担当していた業務を引き継ぐ者を、

以下のいずれかにより補充した場合にも助成金が支給されます。


ただし、対象者が原職等に復帰した後においても

雇用保険の対象となる労働条件で6か月以上継続して勤務している必要があります。


ア 新たに従業員を雇用するまたは派遣労働者を受け入れることによって

代替要員を確保した場合には50万円が支給されます。


イ 育児休業を行う者が担当していた業務を他の従業員に引き継がせるにあたり、

その業務を代替する期間について、就業規則等に従い月額1万円以上の手当を

支給した場合には10万円が支給されます。


ウ ア、イともに、育児休業取得者が有期雇用労働者であった場合には

さらに10万円が支給されます。




(4)職場復帰後支援


育児休業から復帰後、仕事と育児を両立することが困難な状況にある

従業員を支援するために、

育児・介護休業法で定める「子の看護休暇制度」超える休暇制度の導入や

法律上、導入の義務が課されていない「保育サービス費用補助制度」を導入し、

実際にその制度が活用された場合にも以下のとおり、助成金が支給されます。





まとめ


両立支援等助成金は、長年にわたって存在する助成金です。

名称や要件、受給額などが変更されてきましたが

助成金自体は10年以上前から続いており、認知度が高く

多くの企業が利用しています。


ただし上記以外にも細かな要件があるため、申請手続にミスなどがあると

不支給になることもあります。


助成金を検討するときは、現状の要件や手順を確認したうえで

専門家の社会保険労務士に相談されることをおすすめします。







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