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【2023年度版】賞与支払届と社会保険料計算

更新日:2023年7月14日



賞与とは、毎月の定期的な給与とは別に支払われる特別な賃金のことです。


賞与支払届は、賃金、給与、手当、賞与など名称にかかわらず、

賞与(年3回まで)を支給したときの手続です。


今回の記事では、賞与にかかる手続や社会保険料の計算についてお伝えします。



届出の対象者は



賞与支払届は、賞与を支給した人のうち、社会保険に加入している

すべての役員・従業員について届出しなければなりません。


賞与支払月に社会保険料が免除されている育児休業中の従業員や、

社会保険の資格喪失した従業員も届出が必要です。



届出が不要な賞与とは



賞与支払届の届出が不要な賞与もあります。


7月1日以前の1年間で4回以上支給する賞与は

毎月の社会保険料を決める基準となる標準報酬月額の対象になるため

賞与支払届は必要ありません。


ただし、年の途中で、賞与の支給回数を4回以上とすることの賞与規定を

新設した場合は、次の定時決定(7月、8月または9月の随時改定を含む)

までは賞与として取り扱うことになっています。


また労働とは関係なく支給される慶弔見舞金(結婚祝い、出産祝いなど)などは

賞与の対象外となるため届出の必要はありません。



賞与支払届の手続



賞与支払届出書の用紙は、日本年金機構に登録されてい

る賞与支払予定月の1か月前に企業へ送付されます。


届出用紙の基礎情報は、賞与支払月の前々月の19日までの

情報を元に年金事務所が作成します。


そのため、社会保険に加入している役員・従業員の氏名の記載が

賞与支払届にないときは、追記をしてください。

賞与支払届の枚数が不足するときは、届出様式をダウンロードして作成します。



【賞与を支給したとき】

賞与を支給したときは、以下の届出をします。


賞与支払届に記載されている被保険者のうち支給がない被保険者がいるときは

賞与支払届の該当者欄に斜線を引いて届出をしてください。


届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届

添付書類:原則なし

届出期限:賞与を支払った日から5日以内

届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所

届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)、持参



【賞与不支給のとき】

賞与支払月に事業所全体のすべての役員・従業員の賞与が不支給のときは

以下の届出をします。


届出様式は、賞与支払届と一緒に送付される書類もしくは以下を

ダウンロードして使用してください 。




賞与支払月が変更になるときの手続



賞与支払月は日本年金機構に登録されている情報のひとつです。

賞与支払月を変更したときは、5日以内に年金事務所へ

健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届の届出が必要です。


届出様式:健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届

添付書類:なし

届出期限:変更の事実が発生してから5日以内

届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所

届出方法:郵送、電子申請、持参




賞与支払時の社会保険料の計算方法



賞与を支給するときは、社会保険料を控除しなければなりません。

雇用保険料は給与支給時と同じ計算方法ですが、社会保険料は計算方法が異なります。

社会保険料の計算は以下のとおりです。


【計算式(従業員負担分)】

①標準賞与額 ×(厚生年金保険料率 ÷ 2)

②標準賞与額 ×(健康保険料率(介護保険料率含む)÷ 2)


標準賞与額は、総支給額(社会保険・税金などの控除する前)から

1,000円未満を切り捨てた額です。


従業員の社会保険料に1円未満の端数がでたときは、

50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げになります。


【標準賞与額の例】

賞与の総支給額:235,600円

標準賞与額  :235,000円


【保険料率】

厚生年金保険料:18.3%

健康保険料  :都道府県によって異なります

介護保険料  :毎年変動します


都道府県ごとの保険料率、介護保険料率は、以下サイトの保険料額表よりご確認ください。



介護保険料は、介護が必要な高齢者を支える保険制度です。

賞与の介護保険料は、40歳に到達した日の属する月から保険料の徴収が必要となり、

65歳に到達した日の属する月から保険料の徴収が不要です。

「到達した日」とは、誕生日の前日を指します。


(例)8月15日に40歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:8月31日

40歳に到達する日は、誕生日の前日の8月14日であるため、介護保険料を徴収します。


(例)12月17日に65歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:12月20日

65歳に到達する日は、誕生日の前日の12月16日であるため、介護保険料は徴収しません。


1日生まれの従業員は、特に間違いやすいため注意が必要です。


(例)8月1日に40歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:8月31日

40歳に到達する日は、誕生日の前日の7月31日であるため、介護保険料を徴収します。


(例)9月1日に40歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:8月31日

40歳に到達する日は、誕生日の前日の8月31日であるため、介護保険料を徴収します。


(例)12月1日に65歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:12月20日

65歳に到達する日は、誕生日の前日の11月30日であるため、介護保険料は徴収しません。


(例)1月1日に65歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:12月20日

65歳に到達する日は、誕生日の前日の12月31日であるため、介護保険料は徴収しません。


70歳以上の被保険者は厚生年金保険に加入する資格を失うため

厚生年金保険料の徴収は不要です。


そのほか、賞与の支払月に退職予定(退職日が末日以外のとき)であったり、

産前産後休業・育児休業中のときは社会保険料を徴収しません。

同じ月の支給であっても、以下の例のように給与と賞与の社会保険料の徴収月が

異なるケースもあるため特に慎重に確認してください。


(例)7月15日に産前休業に入る従業員に支払われる給与と賞与の社会保険料/給与:末日締め翌月25日払い、賞与:7月20日支給の場合

産休による社会保険料の免除が始まるのは、産前休業開始となる7月からです。

同じ7月に支払われる給与と賞与であっても、以下のように社会保険料の徴収が異なります。

・7月25日払い給与 → 6月末締め給与であり、6月分の社会保険料を徴収する

・7月20日払い賞与 → 賞与の社会保険料は徴収なし

(産休開始による社会保険料免除の適用)



社会保険料計算時の賞与額の上限



社会保険料がかかる賞与額の上限は、健康保険(介護保険含む)、

厚生年金保険ごとに法令等で定められています。


【健康保険】4月1日から翌年3月31日までの賞与の累計額573万まで

年間(4月1日から翌年3月31日)の賞与額が累計573万円を超えるときは

健康保険 標準賞与額累計申出書を作成し添付してください。



年度の途中で転勤・転職などにより、被保険者資格の取得・喪失があった場合の

標準賞与額の累計は、保険者単位(協会けんぽ、健康保険組合など)で行います。

したがって、同一の年度内で複数の被保険者期間がある場合は

同一の保険者である期間に決定された標準賞与額を累計することとなります。


育児休業等による保険料免除期間に支払われた賞与や

資格喪失月に支払われた賞与については保険料の徴収は行われませんが、

決定された標準賞与額も年度の累計額に含まれます。


【厚生年金保険】1回の賞与額150万円まで

同じ月に同じ被保険者に賞与が2回支払われる場合は、2回の賞与の合計額が

150万円に達するまで厚生年金保険料がかかります。



おわりに



6月から8月にかけて、夏季賞与が支給される企業が多くあります。

労務担当者にとっては、年度更新や定時決定、高齢・障害者雇用状況等報告など

1年に1度の手続や報告が密集する期間でもあります。


賞与支払届の提出期限は5日以内と短くなっています。

ミスなく速やかに手続を終了させるため、賞与計算、賞与振込、手続終了までの

計画や対応期限の目安を立て、賞与の支給額が決まり次第、

計画に基づいた対応をお願いします。


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