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令和6年分年末調整の変更点と定額減税の計算方法(年末調整書き方ガイド付)




企業が給与を支払うときに、役員や従業員(以下、従業員)の給与や賞与(以下、給与等)

から所得税を徴収することを源泉徴収といいます。


しかし毎月徴収している所得税の額はあくまで概算の金額のため、年末調整により税額を

確定します。


年末調整とは、年末に本来徴収すべき所得税の一年間の総額を再計算し、既に源泉徴収

している合計額と比較して過不足金額を調整することをいいます。


なお、令和6年6月から実施されている定額減税により、今回の年末調整では例年にはない

対応も必要となります。


今回の記事では、令和6年分の年末調整の変更点や定額減税の対応について解説します。

またマガジンの最後にはダウンロード可能な「年末調整書き方ガイド」もありますので

お役立てください。



年末調整の対象となる人



年末調整の対象者は、年末調整を行う日までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

(以下、扶養控除等(異動)申告書)を提出した人です。


年末調整には、12月に行う年末調整と、年の途中で行う年末調整の2種類があります。





令和6年分年末調整について



令和6年9月、国税庁より「令和6年分年末調整のための各種様式等」が発表されました。


【令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のイメージ】


様式に変更はありません。


 

以下よりダウンロードしてください。


【令和7年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のイメージ】


様式に変更はありません。

なお、こちらの様式に代えて、源泉徴収事務の簡素化等を図るため、新たに創設された

「簡易な申告書」の対応様式を使用することも可能です。

簡易な申告書については、次章「令和6年分年末調整のポイント(昨年からの変更点)」で

解説します。

 

以下よりダウンロードしてください。


【令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書のイメージ】


令和6年分から、以下の続柄にかかる記載欄が削除されました。

・「生命保険料控除」における「保険金等の受取人」欄にあった「あなたとの続柄」欄

・「地震保険料控除」における「保険等の契約者の氏名」欄にあった「あなたとの続柄」欄

・「社会保険料控除」における「保険料を負担することになっている人」欄にあった「あなたとの続柄」欄


 

以下よりダウンロードしてください。


【令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書のイメージ】


定額減税の実施に伴い、定額減税に関する以下の記載欄が追加されました。

・給与所得者の基礎控除申告書:「本人定額減税対象」欄が追加

・給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書

 :「配偶者定額減税対象」欄が追加


令和6年は「配偶者控除等申告書」に「年末調整に係る定額減税のための申告書」を兼ねた

様式となっています。


これにより、令和5年までは「配偶者控除等申告書」への記載が不要とされていた合計所得

金額1,000万円超から1,805万円以下の従業員も、この申告書への記載が必要となります。

(ただし、配偶者の令和6年の合計所得金額が133万円超の場合は記載不要)


合計所得金額が1,000万円超から1,805万円以下の従業員の場合、配偶者控除や配偶者特別

控除の適用を受けることはできませんが、配偶者の令和6年の合計所得金額が48万円以下

であれば、配偶者定額減税の対象となります。


 

以下よりダウンロードしてください。




令和6年分年末調整のポイント(昨年からの変更点)



令和6年分の年末調整に関するポイントは以下の2つです。

・定額減税の対応

・扶養控除等(異動)申告書の簡略化


1 定額減税の対応


令和6年の年末調整における一番のポイントは、定額減税の対応です。

定額減税については、次章の「定額減税に関する事務(年調減税事務)」で詳しく解説します。


2 扶養控除等(異動)申告書の簡略化


源泉徴収事務の簡素化等を図るため、「簡易な申告書」が創設されました。

扶養控除等(異動)申告書の記載事項について、前年の申告内容と同じ場合には、

「前年から異動なし」など異動がない旨を余白に記載するだけで、令和7年分の扶養控除等

(異動)申告書から「簡易な申告書」としての提出が可能となります。


なお、以下の扶養控除等(異動)申告書は簡易な申告書にも対応している様式です。

この様式を使用すると「前年の申告内容からの異動」欄にチェックを入れて提出することが

できます。



簡易な申告書を提出する場合は、次のチェックリストを確認してください。



定額減税に関する事務(年調減税事務)



令和6年の年末調整では、年末調整時点(12月31日時点の見込み)の定額減税額(以下

「年調減税額」)に基づき精算を⾏います。これを年調減税事務といいます。


年調減税事務の流れは以下のとおりです。




1 年調減税の対象従業員の確認


年調減税が適用される従業員を確認します。

原則として、年末調整の対象となる従業員には年調減税が適用されますが、一部対象外と

なる場合があります。

 


詳細については、下記も参考にしてください。


【合計所得金額が1,805万円を超える従業員について】


合計所得金額が1,805万円を超える従業員は、定額減税の対象外のため、年調減税の適用を

受けられません。

しかし、令和6年6月以降に支給された給与等の源泉徴収税額から控除された定額減税

以下、月次減税)を受けているため、年末調整で精算します。

(ただし、主たる給与(※)の収入金額が2,000万円を超える従業員については、年末調整の対象とならないため確定申告で精算を行います。)


※扶養控除等(異動)申告書を提出している従業員(甲欄適用者)に支払う給与等


年末調整では、後述の「年調減税額の計算」「年調減税額の控除」は行わず、通常の

年末調整と同じ流れで処理を行います。

ただし、源泉徴収票の記載は通常と異なります。後述の「源泉徴収票への表示」をご覧ください。


なお、合計所得金額が1,805万円を超えるかどうかの確認は「令和6年分 給与所得者の基礎

控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の左側にある「給与所得者の基礎控除申告書」の記載内容

で判断します。


 


【年末調整の対象とならない従業員について】


年末調整の対象外の従業員のうち、月次減税を受けている人(または途中まで受けていた人)は、確定申告で月次減税額を精算します。



2 年調減税額の計算


年調減税が適用される従業員について、年調減税の計算対象となる同一生計配偶者や扶養

親族がいるかどうかを確認します。


具体的には、令和6年の年末調整時に提出された以下の申告書に基づき、年調減税の計算

対象となるかを判断します。


 


各申告書の確認ポイントは下図のとおりです。確認後、計算対象となる同一生計配偶者や

扶養親族の人数をもとに「計算対象者の人数✕30,000円」を算出します。


(計算対象者数は従業員自身も1人としてカウントします。)この金額を年調減税額

いい、最終的に確定された定額減税額となります。


このように、年調減税事務では、年末調整時点の従業員の所得や扶養状況などを基に

年調減税額を算出して年間の所得税額との精算を⾏うため、月次減税を行った場合でも

年調減税は必要となります。


【各申告書の確認ポイント】

 

 


3 年調減税額の控除

年調減税額の控除は、以下の流れで行います。


①年調所得税額の算出


住宅借入金等特別控除後の所得税額(以下、年調所得税額)の算出までは、通常の年末調整

と同じ手順で計算します。


②年調減税額の控除


①の年調所得税額から、上述「年調減税額の計算」で算出した年調減税額を控除します。

ただし、年調減税額が1の年調所得税額を上回る場合、控除できるのは年調所得税額まで

が限度です。


③年調年税額の算出、過不足の精算


年調減税額控除後(上記①-②)の金額に102.1%を乗じ、復興特別所得税を含めた

年調年税額を算出します。


この年調年税額と、令和6年中に給与等から源泉徴収した所得税との差額を計算し

過不足の精算をします。

 


【年末調整計算シート】


年末調整計算シートとは、給与等の支給額や扶養親族の人数などの各種情報を入力する

ことで、年末調整の税額計算を効率よく行うことができるExcelシートです。


年調減税にも対応した計算シートは、国税庁のサイトからダウンロードできます。



 


4 源泉徴収票への表示


年末調整後に作成する「令和6年分 給与所得の源泉徴収票」(以下、源泉徴収票)の

「摘要」欄に年調減税の内容を表示します。




【年調減税額を控除しきれなかった場合】


年調所得税額から年調減税額を控除しきれなかった場合は、源泉徴収票に「控除外額」

として記載します。

(控除外額を、令和7年1月以降に支給される給与等にかかる源泉徴収税額からは控除することのないよう注意してください。)


控除外額は、住民税を課税する自治体からの調整給付のうち、不足額給付の計算に用いられます。


ただし、扶養に該当する場合やそのほかの状況により、控除外額と不足額給付の額が必ず

しも一致するとは限りません。


【合計所得金額が1,805万円を超える場合】


定額減税の対象外ではありますが、年末調整の対象の場合は、源泉徴収票への定額減税額に

関する記載が必要であるため、「源泉徴収時所得税減税控除済額0円、控除外額0円」と記載

してください。


年末調整の対象ではない場合は、次の【年末調整を行わない場合】をご覧ください。


【年末調整を行わない場合】


年の途中で退職した場合や主たる給与の収入金額が2,000万円超の場合など、年末調整を

行わないときは、源泉徴収票の「摘要」欄に年調減税の内容を記載する必要はありません。



令和6年分年末調整申告書の書き方ガイド



令和6年の年末調整は定額減税への対応が加わるため、例年以上の注意が必要です。

申告書を配布する際に、書き方ガイドを添えることで、書き方についての問い合わせや

誤りが減り、年末調整担当者の負担を減らすことができます。


こちらの書き方ガイドを配布していただき、スムーズな年末調整を進めてください。


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