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賃金を支払うときに気をつけるポイントについて。



企業は、毎月従業員に賃金の支払いを行いますが、賃金を支払う際には法律等で定められたルールがあります。入社の手続きが多く発生するこの時期に改めて、対応に誤りがないかを確認してください。


賃金とは


労働基準法では賃金は「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義されています。

従業員が働いたことに対する対価として、企業から従業員に支払うものは賃金とされ保護されなければなりませんし、賃金を支払うときには、労働基準法で定められた賃金支払の原則を守らなければなりません。


賃金支払いの原則


1 通貨払いの原則

賃金は現金で支払わなければなりません。ただし、従業員の同意を得た場合は、銀行振込み等の方法によることができます。


2 直接払いの原則

賃金は労働者本人に払わなければなりません。未成年者だからといって、親などに代わりに支払うことはできません。


3 全額払いの原則

賃金は全額残らず支払われなければなりません。賃金の一部を控除(天引き)して支払うことは原則禁止されています。


ただし、以下の場合は認められています。

・所得税や社会保険料など、法令で定められているものの控除

・裁判所からの仮差押え、差押え等の法的手続きがなされた場合

・労使によって「賃金控除に関する協定」が結ばれた場合


4 毎月1回以上払いの原則

賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。「毎月」とは、歴月をいうため、毎月1日から月末までの間に少なくとも1回は賃金を支払わなければなりません。ただし、臨時の賃金や賞与は例外です。


5 一定期日払いの原則

賃金は毎月一定の期日を定めて支払わなければなりません。「一定の期日」とは、期日が特定される必要があります。ただし、臨時の賃金や賞与(ボーナス)は例外です。


企業が特に注意すべきこと


1 銀行口座による賃金の支払を行う場合、同意書が必要

賃金は、原則として現金払いとなりますが、従業員の同意を得た場合は、指定する銀行その他の金融機関に振込を行うことができます。従業員による振込先の指定があれば、特段の事情のない限り従業員の同意が得られているものとなります。従業員の同意を取り、振込先の指定をしてもらうため、入社時等に口座を指定する書類を従業員から提出してもらうことをおすすめします。

参考・ダウンロード|銀行口座申請書


2 振込期限に注意

振込みとは、振り込まれた賃金の全額が所定の賃金支払日に払い出せるよう行わなければなりません。賃金支払い日の朝10時までに引き出せるようにしなければならないとされています。


3 賃金から控除を行う場合、労使協定を締結

原則としては、法定で定められているもの以外を賃金の一部から控除(天引き)をして支払うことは禁止されていますが、賃金控除に関する協定書を労使間で締結することにより、社宅料、駐車場代、購買代金等の控除を行っても労働基準法の罰則は適用されません。賃金控除に関する協定書については届出の義務はありません。


4 口座振込手数料は、企業負担

給与を銀行振込みをするときは、振込手数料は企業が負担しなければなりません。振込手数料を従業員が負担したときは、賃金を全額支払っていないとみなされ、法令等違反になります。


5 賃金の支払日は、毎月1回以上一定期日

賃金の支払いは毎月1回以上支払う必要があり、一定の期日を定めて支払わなければなりません。


【一定の期日となる例】

・月給の場合「月の末日」

・週給の場合「金曜日」


【一定の期日とならない例】

・毎月15日から20日の間

・毎月第4金曜日


支払日が休日にあたる場合は払出しができないため、前日または休日明けに支払うことは違法にはなりません。ただし、就業規則などで支払日が休日の場合の定めを設け、前日に支払うのか翌日に支払うのかを明確にしておく必要があります。


まとめ


賃金の支払いのルールは従業員が安心して生活ができるよう定められています。企業と従業員との信頼関係にも影響する、大切な取り決めです。また、賃金支払いの原則については労働基準法第24条で定められており、違反した場合は、企業には30万円以下の罰金刑が課されます。口座振込に同意書が必要ということを知らず口座振込をされている、給料日の10時までに引き出せるようにする必要を知らない企業もあり、当日の夕方などに振り込みをされているケースも見受けられます。

ルールが守られているか、就業規則に適切に記載されているかなどを確認し、給与処理をスムーズにされることをおすすめします。


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