ストレス症状の理解と、企業のメンタルヘルス対策



ストレスの原因はさまざまです。

ストレスとは外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことをいいます。

嫌なこと、辛いこと、しんどいことなどを連想されるかもしれませんが、楽しいことや嬉しいこともストレスの原因になります。

たとえば、社会的要因(仕事、人間関係など)、環境(天候、騒音など)、身体的要因(疾病、寝不足など)の日常生活で起きること以外にも、結婚、就職、出産、引っ越しなどの外部からの刺激もストレスの原因になり得ます。

ストレスは身近なものだと理解して、上手く付き合っていくことが大切です。



ストレスが原因で起こること


ストレスを感じたとき、人は恒常性のバランスを保っているため、身体に影響がでない仕組みになっています。しかしストレスが継続的であったり、過度で急激なストレスを感じたときは恒常性のバランスが崩れ、心身や行動などに症状がでてきます。


【ストレスの症状】

不眠、腹痛、もの忘れ、集中力低下、胃腸炎、片頭痛、動悸、便秘、下痢、アトピー性皮膚炎、高血圧、めまい、不安、暴飲暴食、拒食、飲酒、ギャンブル、メンタル不調など


ストレスから現れる症状はさまざまです。

症状に気づかず無理を続けると悪化する可能性があります。

周りの人の症状と比較せず、ご自身の状態を確認し、早めのセルフケアをおすすめします。



ストレスの症状への対応(セルフケア)


ストレス症状への対応に必要なのは、

「ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解」

「ストレスチェックなどを活用した気づき」

「ストレスの対処」などです。


厚生労働省のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、働く人がストレス症状に対応できるようにさまざまな対策やツールが掲載されています。

ストレスから現れる症状の説明動画やこころを整えるヨガ動画、ストレスセルフチェック、チェックリストなどです。 企業向け、本人向けに分かれて掲載されていますので、サイトを参考に対応してください。




参考|厚生労働省働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』



ストレスに関係したメンタル不調を未然に防ぐ


ストレスから起こるメンタル不調は、一次予防、二次予防、三次予防の3段階に分けられています。

第一次予防として、常時50人以上の従業員を雇用する事業場にはストレスチェックの実施が義務化されています。ストレスチェックは、企業が従業員のストレスの程度を把握し、従業員自身がストレスに気づけるよう促すとともに、職場環境の改善を行い、従業員がメンタル不調にならないよう未然に防止できることを目的としています。

50人未満の企業は努力義務ですが、メンタル不調を未然に防止するためにもできるだけ実施されることをおすすめします。



(出典)厚生労働省『ストレスチェック制度の効果摘な実施と活用に向けて』P3



テレワークにおけるメンタルヘルス対策


新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークを実施する企業が増えました。

テレワークの導入で

「通勤時間が節約できる」

「通勤による心身の負担が少ない」

「担当している業務に集中できる」など、

ストレス軽減につながる傾向が見られています。


その反面

「長時間労働になりやすい」

「コミュニケーションが取りづらい」など、

テレワークならではの課題もあります。





(出典)厚生労働省『こころの耳サイト テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き』


企業側も、テレワークでは対面の面談より得られる情報量が少ないなどの課題があり、メンタル不調に気づきにくいことがあります。

以下、課題解消の取組例をあげておきます。


・サポート研修の実施

・社内でメンタルヘルス関連の情報発信

・相談窓口の設置

・従業員からの職場についてアンケートやヒアリングの実施

・定期的なオンライン面談の実施

・雑談ができるチャットルームの作成 など

(引用)厚生労働省『こころの耳サイト テレワークでのメンタルヘルス対策について』


社内でのコミュニケーションを活性化し、テレワーク中の従業員が孤立しないような取組をおすすめします。

また、テレワーク中の環境も大切です。

仕事場所の状態を確認するために「こころの耳」のサイトにチェックリストがあります。環境整備は従業員の身心の健康のために必要な要素です。

チェックリストを活用して、テレワークで働く従業員をサポートされることをおすすめします。



(出典)厚生労働省『自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)』



休職したときに支給される傷病手当金


ストレスが原因でメンタル不調になり、休職をすると、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。

傷病手当金は、労災以外の休業で仕事ができず、休業している期間が4日以上あるときに、4日目から支給されます。

最初の3日間は待機期間となり支給されません。支給額は以下になります。


【傷病手当金の支給額】



(出典)全国健康保険協会(協会けんぽ)『傷病手当金』


傷病手当金は、本人が社会保険に加入していないときは支給されません。

また、協会けんぽ以外の健康保険(国民健康保険、国民健康保険組合など)のときは、傷病手当金の制度が異なりますので、加入されている健康保険へお問合せください。



ストレスチェック等の助成金


企業がストレスチェックやメンタルヘルス対策を行うときは、助成金の対象になることがあります。助成金は「独立行政法人 労働者健康安全機構」が窓口となっています。

詳細については手引を参考にしてください。


1 心の健康づくり計画助成金

メンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき「心の健康づくり計画」を作成し、計画に基づきメンタルヘルス対策の全部または一部を実施したときに助成されます。


【対象企業】

以下のすべての要件を満たす必要があります。

・労働者を雇用している法人および個人事業主

・労働保険の適用事業場

・登記上の本店または本社機能がある事業場(個人事業主は、開業届のと届出がされている事業場)


【助成額】

100,000円(1法人または1個人事業主あたり1回限り)

参考|独立行政法人 労働者健康安全機構『令和4年度版「心の健康づくり計画助成金」の手引』


2 ストレスチェック実施促進のための助成金

医師・保健師などによるストレスチェックの実施、またはストレスチェック後に、医師の面談指導などを実施したときに助成されます。


【対象企業】

以下のすべての要件を満たす必要があります。

・中小企業

・事業場の従業員数50名未満

・労働保険の適用事業場


【助成額】

①ストレスチェックの実施費用:従業員1名につき500円(税込)

②ストレスチェックにかかわる医師による活動費:1事業場あたり1回の活動につき21,500円(税込)【上限3回】

参考|独立行政法人 労働者健康安全機構『令和4年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引』



まとめ


身心に変化が現れていても、「ちょっと調子が悪いかな」「いつもの偏頭痛かな」などと捉えてしまい、気づかないうちに状態が悪化するケースもあります。

不調は本人にしかわかりません。

変化があったときは状況などを踏まえ、悪化する前にセルフケアなどを行ってください。


また従業員が安心して働ける環境づくりは、企業の責務です。

「ストレス対応は本人のみの課題」と判断し、正しい対応をしていないと、職場環境の悪化や離職、トラブルが増加する可能性があります。

従業員が安心して健康に働けるよう、ストレスについて理解を深めていただき、対応されることをおすすめします。