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【2022年度版】 労働保険の年度更新申告書の受付開始と、変更点について



2022年6月1日より、労働保険の年度更新申告の受付が開始されました。

年度更新とは、毎年6月1日から7月10日までの間に労働保険料を計算し、納付を行う定例の手続きです。

年度更新の申告書および納付書が、同封された緑色(青色)の封筒が厚生労働省から企業宛てに発送されています。

本年の申告・納付期限は、7月11日(月)です。

今回の記事では、年度更新の基本の情報に2022年度の変更点を盛り込みお伝えします。





労働保険の年度更新とは



労働保険は、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。

年度更新は、従業員がいるすべての企業が実施しなければならない手続きです。

前年度に従業員に支払った賃金を月ごとに集計し、業種ごとに定められた保険料を掛けて保険料を計算します。

賃金を集計する期間は、前年度4月1日から3月31日の間の支払われた賃金(支払義務が具体的に確定した賃金を含む)です。

業種によって「一元(一般的な業種)」と「二元(建築や林業など賃金だけでは労災保険料が計算しにくい、労災保険料率が複数適用されているなど)」にわかれます。



2022年度の年度更新手続の変更点



今年の年度更新に関する料率などの変更点をお伝えします。


1 2022年4月1日、2022年10月1日に雇用保険料率が引き上げになります。

※労災保険料率は変更ありません。


雇用保険料率の適用は表を参考にしてください。

【2021年4月1日~2022年3月31日までの雇用保険料率】




【2022年4月1日~2022年9月30日までの雇用保険料率】

雇用保険二事業の保険料率(企業負担のみ)が0.5/1000引き上げられています。




【2022年10月1日~2023年3月31日までの雇用保険料率】

失業給付・育児休業給付の保険料率が4/1000(従業員・企業負担はそれぞれ2/1000)引き上げられます。従業員の雇用保険料率が10月1日から変更になります。




年度途中(10月1日)に雇用保険料率が変更になるため、給与計算のときに料率変更を失念してしまう可能性があります。

カレンダーなどに記載し、料率変更が漏れないよう対策を取られることをおすすめします。


2 申告・納付期限の延長はありません。

2022年は7月10日(日)が日曜日のため、翌日7月11日(月)が期限となっています。


3 年度更新申告書の様式は変わりませんが、申告書に雇用保険料率が記載されてきません。

年度途中に雇用保険料率が変更になるため、送付されてくる申告書の「概算・増加概算保険料算定内訳」は雇用保険料率が空欄になっています。昨年の様式では赤丸の箇所に雇用保険料率の記載がありましたが、今年はありません。




今年の年度更新は、雇用保険料率が適用される期間ごと

(2022年4月1日から9月30日、10月1日から2023年3月31日)

に区切って計算を行い、その合計を年度更新の申告書に記載をします。


送付されてくる封筒の中に

「令和3年度 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表/令和4年度 概算保険料(雇用保険分)算定内訳 」(青色の封用の企業は「確定保険料算定基礎賃金集計表」)が同封されています。

集計表には以下のような雇用保険料を適用期間ごとに区分して計算する表があります。こちらの表を活用しながら計算されることをおすすめします。





4 2022年度に対応した年度更新申告書支援ツールが公開

毎年、年度更新の申告書に合わせた計算支援ツールが厚生労働省から公開されます。Excelで作成されているため使いやすくなっています。ご利用は、こちらからダウンロードしてください。



年度更新申告書を作成するときのチェックポイント



1 労働保険対象労働者

労働保険の対象労働者は、雇用保険と労災保険で異なります。従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計するときに、正しい対象労働者を選定しないと保険料が正しく計算できません。


【雇用保険】

雇用保険被保険者が該当します。1週間の労働時間が20時間以上かつ31日以上引き続いて雇用されることが見込まれる従業員です。


【労災保険】

時間・日数・期間を問わず、労働の対償として賃金を受けるすべての従業員が対象です。役員や事業主と同居している親族は対象外です。派遣従業員については、派遣元事業場での適用になります。


2 労働保険料の計算に含める賃金、含めない賃金

従業員の月ごとに支払う賃金には、労働保険料の計算に含める賃金と含めない賃金があります。働いている従業員に支払う賃金、手当、賞与など名称にかかわらず、労働の対償として支払うすべてのものが対象となります。


【含める賃金】

基本給、各種手当、賞与、通勤費(定期券)、休業手当 など


【含めない賃金】

役員報酬、慶弔見舞金、退職金、解雇予告手当、休業補償費 など


3 年度更新書類に同封されている申告書の確認

年度更新書類に同封されている申告書には、企業の労働保険料に関する重要な情報が記載されています。登録情報を確認してから手続を始めるようにしてください。電子申請や年度更新申告書支援ツールを使用するときは、登録情報を入力して手続を進めてください。

また、企業側で管理している情報と登録情報が異なるときは、年度更新の封筒に記載されている管轄の都道府県労働局にお問合せください。


①労働保険番号

②申告済概算保険料額

③各種区分

④保険料率(今年は「概算・増加概算保険料算定内訳」の雇用保険料率が空欄です)

⑤口座振替 有無(口座振替の申込手続が完了しているときは印字されています)

⑥電子申請対象 有無(電子申請義務化の対象となる企業は印字されています)

⑦メリット制 有無(メリット制の適用となる企業は印字されています)




年度更新を効率よく対応するために



1 登録情報の確認

年度更新は、前年度4月1日から3月31日までの従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計することから始まります。

給与ソフトで年度更新用の賃金を集計作業ができるものもありますが、入社日や退職日、雇用保険の加入有無、労働保険の対象となる賃金設定などに誤りがあると、正しい保険料計算ができません。

毎月の給与計算を確実に行うことで、急な対応にならずにすみます。


2 電子申請による申告書の提出

電子申請の利用には、前年度の情報を取り込めたり、入力チェック機能や自動計算機能を効率よく使えるというメリットがあります。提出先である労働局や労働基準監督署の窓口に出向く必要もなく、申告書記入漏れや記入ミスも防止できます。


3 保険料の口座振替

口座振替に手数料はかかりません。口座振替による納付を行うことで、毎回金融機関の窓口に行く手間や待ち時間が解消されます。

また、納付漏れを防ぐことができ延滞金の心配がありません。納付期限についても、納付書で保険料を納付するよりも、保険料の引き落としに最大2か月のゆとりができます。



まとめ



年度更新は毎年、必ずしなければいけない手続きです。

慌てないように早めに必要な情報を集めるようにしてください。

申告期限の7月11日(月)は、労働保険料の計算だけではなく、納付期限でもあります。

納付が難しいときは管轄の労働局または労働基準監督署に相談をし、分割などの対策を取るようにしてください。

期限までに納付ができず滞納の状態になると、延滞金などが発生することがありますので、計画的に手続きなどを行うことをおすすめします。

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