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2022年10月の改正内容のまとめ。


2022年10月にはさまざまな改正が予定されており、企業に直接影響がある改正では

手続きの流れの見直しなどが必要になります。

この記事では10月改正の概要をまとめています。


1⃣最低賃金法


2022年10月から最低賃金が上がります。

全国加重平均31円の引き上げとなり、過去最高となっています。

前年と比べると引き上げ率は3.3%で、1日8時間、週40時間の企業であれば月額換算すると5,000円以上変わってきます。


最低賃金は、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態に関係なくすべての従業員

適用されるため、企業の負担も増えます。


最低賃金額や改定日は都道府県により異なります(以下の「令和4年度地域最低賃金改定状況」を参照)ので、いつから変更になるか、いくらになるかなどを確認し、最低賃金を下回らないようにしてください。


【令和4年度地域別最低賃金改定状況】


2⃣職業安定法


2022年10月1日から職業安定法が改正され、求人を行うすべての企業・募集情報等提供

事業者(求人情報などを提供する事業者)で求人等にかかわる情報の的確な表示が必要になり、虚偽や誤解を生じさせる表示も禁止されます。


求人にかかわるトラブルは毎年報告されており、「基本給に残業代が含まれていた」

「正社員募集の認識だったが契約社員の募集だった」「求人票より低い賃金を提示された」「就業場所が求人票と違う場所だった」などがあります。


このようなことが起きないよう、的確な労働条件の記載が求められます。

スム-ズに採用を進めるためにも、求人票に記載する労働条件と実際の勤務に相違が

ないよう見直しを進めてください。


この他に求人サイトや、複数の求人をまとめた検索サービスなどを行っている募集情報提供事業者については、届出の義務化と、求職者の個人情報収集にあたり本人に対して収集目的などの明示が義務付けられます。


【職業安定法 改正のポイント】



3⃣育児・介護休業法


2022年10月1日より育児・介護休業法の改正があり、新しく「出生時育児休業(通称、産後パパ育休)」ができます。


産後パパ育休は子どもの出生後8週間以内に4週間(28日間)取得でき、2回まで分割取得が可能です。

育児休業中(産後パパ育休含む)の就業は原則禁止(緊急・突発的な就業は可能)されていますが、産後パパ育休中は労使協定を締結すれば休業中の就業が認められます。


これまで育児休業の取得は原則1回でしたが、10月1日以降は2回まで分割取得ができるようになります。

また1歳以降の休業についても特別な事情(別の子どもの産前・産後休業の終了など)があるときは再取得できるようになり、仕事と育児の両立が進むよう柔軟に育児休業が取得できる制度に変わります。



4⃣雇用保険法


2022年10月1日から、雇用保険の料率の変更、育児・介護休業法の改正に伴う育児休業給付金、出生時育児休業給付金(新設)の改正などが行われます。


【雇用保険料率の変更】

雇用保険料率の変更は給与計算にかかわってくるので、給与システムの設定や従業員への周知などが洩れないようにしてください。


【育児休業給付金、出生時育児休業給付金(新設)】

1歳までの育児休業の分割取得(2回まで)ができるようになったため、分割した育児休業ごとに育児休業給付金が受給できるようになりました。


また、産後パパ育休に対応した「出生時育児休業給付金」ができました。

出生時育児休業給付金も分割取得(2回まで)が可能ですが、手続きはまとめて1回で行います。

育児休業給付金、出生時育児休業給付金の支給額は同じですが、申請期限などが異なります。以下のリーフレットをご覧ください。



5⃣厚生年金保険法、健康保険法



2022年10月1日、厚生年金保険法、健康保険法の改正も行われます。大きくは3つです。


1 育児・介護休業法改正に伴う、育児休業中の社会保険料免除

同月内に育児休業(出生時育児休業含む)を14日以上取得したときは、その月の社会保険料が免除されます。

月をまたいで育児休業を取得したときは、従来とかわらず月末に育児休業を取得している月の社会保険料が免除になります。

また、賞与の社会保険料の免除は1か月を超えて育児休業を取得していないと適用されません。


2 厚生年金、健康保険加入の2か月みなしの適用除外

2か月の期間を定めて雇用される従業員への社会保険(厚生年金、健康保険)適用の取扱いが変わります。

今までは、2か月を超えて雇用継続が「見込まれる」従業員の社会保険の加入は適用除外(加入しなくていい)とされていましたが、今後、雇用継続が見込まれるときは初めから社会保険への加入が必要になります。


雇用契約書に「更新をしない」旨が明確になっているとき以外(「更新する場合がある」など)は、社会保険加入が必要です。


※労働時間、勤務日数が社会保険加入要件を満たしている従業員が対象です。


3 101人以上の企業のパート・アルバイトへの社会保険適用拡大

社会保険加入の適用者(※)が101人以上の企業(法人番号単位)に勤務する一定の要件を満たす短時間労働者(パート・アルバイトなど)に対して、社会保険の加入要件が拡大されます。

社会保険は従業員や企業が加入する・しないを決められないため、対象になる短時間労働者への周知や手続きなどを漏れなく進めてください。

※適用者とは、正社員の所定労働時間および労働日数の3/4以上の短時間労働者です。


【短時間労働者の社会保険の加入要件】




6⃣アルコール機器を使用したアルコールチェックの延期


2022年4月1日から、運転前・後の目視によるアルコールチェックおよびその記録の保存が義務付けされています。


2022年10月1日からアルコール検知器を使ったアルコールチェックの義務付けが予定されていましたが、こちらは延期になりました。

目視によるアルコールチェックは、今後もかわらず実施が必要です。


なお、アルコールチェックの対象は乗車定員11名以上の自動車1台以上または乗車定員にかかわらず、5台以上の自動車を保有する事業所です。


7⃣高年齢者医療確保法

2022年10月1日から、75歳以上で一定以上の所得がある方の医療費の窓口負担が2割になります。2割負担になるかどうかはフローチャートで確認ができます。


2割負担になった方は、外来医療の窓口負担割合の引上げに伴い1か月の負担増加額を3,000円までに抑える措置が2025年(令和7年)9月30日まで実施されます。


【窓口負担割合についてのフローチャート】



8⃣確定拠出年金法


企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方がiDeCoに加入するには、企業との労使の合意が必要でしたが、2022年10月1日より原則加入できるようになります。

マッチング拠出(企業と本人が掛金を拠出)を導入している企業DCのときは、マッチング拠出とiDeCoの両方への掛金の拠出はできません。どちらにするかは本人が選択できます。マッチング拠出は企業の掛金を下回る額でないと本人が拠出できず、企業の掛金と合わせて55,000円以下にしなければなりません。iDeCoの掛金は最大20,000円まで拠出できます。


つまり、企業の掛金が20,000円未満のときはiDeCoの方が本人の掛金を多く拠出でき、

企業の掛金が20,001円以上35,000円未満のときは、マッチング拠出の方が多く拠出できます。



まとめ


改正はまだまだ続きます。

2023年4月1日からは60時間を超える法定時間外労働の割増率が50%(大企業は適用済み)になるなど、企業の負担が増すものもあります。

事前に対策をしておかないと対応が難しい改正もありますので、早めに準備を進められるよう計画を立てることをおすすめします。

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