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【新法】労働者協同組合法とは?




2022年10月1日、労働者協同組合の設立、運営、管理について定められた

労働者協同組合法」という新しい法律が施行されました。


少子高齢化が進む中、人口の減少地域では介護・障害福祉、地域づくりなどの

幅広い分野で担い手が必要とされています。

しかし今の法人格制度では、出資ができない、営利法人である、

財産が個人名義になるなど、多様な働き方を実現しつつも

地域貢献できる組織運営には向いていません。


そこで組合員が出資し、組合の事業を自ら主体となって行えるよう

新しい法人格として労働者協同組合ができました。


2023年5月10日時点では、19都道府県で計39法人が設立され、

それぞれの生活スタイルに応じてNPOや企業組合などの法人格を利用し

任意団体として活動されています。


地域で求められていることを実現するために

児童デイサービスや就労支援などの活動を通じ、

地域との繋がりを増やしている労働者協同組合もあります。



労働者協同組合とは



労働者協同組合とは、雇われて働くのではなく、同じ志を持った人たちが集まり、組合員として出資をし、それぞれの意見を反映しながら事業を行うことを基本原理とする組織です。組織を通して働く場所を生み出し、地域の需要に応じたさまざまな事業を促進し、活力ある地域社会への実現に向けて役立つことを目的としています。


【基本原理】



通常想定されている雇用関係は「使用者」と「労働者」の2つに分けられますが、

労働者協同組合では「使用者」と「労働者」が明確に分けられていません。

労働者協同組合の組合員として地域の課題に取り組み、

持続可能な活力ある地域社会の実現を目指すため働き、貢献します。





労働者協同組合は法人なのか



労働者協同組合では、出資・経営・労働のすべてを組合員自身で行うため、

事業に自分たちの意見を反映できます。

組合員が主体となり、事業を通して地域の活性化実現に繋げます。



労働者協同組合と株式会社との違い



労働者協同組合と株式会社がどのように違うのか、概要を以下にまとめています。


【労働者協同組合と株式会社の違い】



労働契約はどうなるのか



労働者協同組合の事業に従事する組合員は

労働者協同組合と労働契約を締結する労働者であることから、

労働者保護のための法律(例えば労働基準法や最低賃金法)の適用を受けます。


これにより、週1回の休日の保障や最低賃金以上での賃金額が保障されます。

なお、労働者協同組合の業務執行の職務のみを行う組合員は

労働者としての保護は受けられません。



社会保険等の適用について



労働者協同組合は社会保険(厚生年金・健康保険)、雇用保険、労災保険の

適用事業所になるため、それぞれ手続が必要になります。

労働契約を締結した組合員も、加入要件を満たしているときは加入しなければなりません。


【社会保険等一覧】




労働者協同組合にはルールがある



労働者協同組合を運営していくにあたり、一般企業にはないさまざまなルールがあります。


【主なルール】

・事業の種類

労働者協同組合の基本原理に沿って行われる事業であれば

どんな種類の事業でも原則自由に行えます。

許認可等が必要な事業(介護事業、保育所など)のときは許認可等の取得が必要で、

規制も受けます。


ただし労働者派遣事業は、労働者協同組合にはできません

他人の指揮命令を受けて当該他人のための労働に従事する事業は、

労働者協同組合の基本原理に沿わないためです。


・組合員の出資金

出資一口あたりの金額や出資口数は、それぞれの労働者協同組合で決めます。

組合員1人の出資口数は総口数の25/100以下(3名以下の労働者協同組合のときは適用外)となっており、譲渡できないことが法令で定められています。

仮に労働者協同組合が破産したときの責任は、組合員の出資額までです。


・人数要件

労働者協同組合の事業に従事する組合員の割合などは

法令で以下のように定められており、①②を満たさなければなりません。


①総組合員の4/5以上は組合の事業に従事しなければならない

組合員は労働者協同組合事業に従事しなければなりませんが、

従事する意思はあるものの、家庭の事情(育児、介護)などにより

従事できないケースもでてきます。


そのため1/5の組合員までであれば、事業に従事しないことが認められています。

労働者協同組合業務を行う理事は、事業に従事している組合員に含まれますが

監事は労働者協同組合への関わり方や定款により異なります。

どちらに含まれるかは窓口へご相談ください。


(窓口)

厚生労働省 雇用環境・均等局 勤労者生活課 労働者協同組合業務室

電話番号:03-3595-3189(直通)


②労働者協同組合の事業に従事する者の3/4以上は組合員でなければならない

労働者協同組合の事業に従事するのは「組合員」ですが

1/4は組合員以外も認められています。

組合員になれるのは、出資金の全額の払い込みが完了したときと法令で定められています。


定款上で出資金の分割払いが認められているときは、従事しながら組合員に

なろうとする人や、事業の繁忙期に一時的にアルバイトとして雇用される人などが

想定されます。


・配当金

組合員への配当は、事業に従事した程度に応じて行います。労働者協同組合を健全に運営するため、一定の積立金などを控除した後の剰余金が配当の対象になります。


・議決権、選挙権

組合員は、出資額の多い・少ないにかかわらず、平等に1人1票の議決権と選挙権を

持っています。

労働者協同組合と労働契約を締結した組合員が、過半数の議決権を保有している

状態にしておかなければなりません。


・労働者協同組合への加入、脱退

労働者協同組合への加入・脱退は任意ですが

組合員になれるのは「個人」のみで、団体や法人などの組織は組合員になれません。


また組合員として加入を希望する人を「正当な理由なく」拒否できません。

「仕事の空きがない」「仕事を行うのに必要な資格がない」などのときは

「正当な理由」として拒否できます。



メリット・デメリット


労働者協同組合には、以下のようなメリット・デメリットがあります。




設立の流れなど



労働者協同組合は3人以上の発起人がいれば設立できます。

設立の流れなどは厚生労働省のパンフレットを参考にしてください。

企業組合やNPOから労働者協同組合への変更も可能ですが

組織変更などの手続が必要になります。


【設立の流れ】



※厚生労働省では専門サイト『「はたらく」をつくる。みんなでつくる労働者協同組合法』が開設されており、設立までの流れや事例、Q&Aなどが掲載されています。



まとめ



過疎化や高齢化など、地域によって抱える課題はさまざまです。


労働者協同組合は地域の皆で意見を出し合い、地域の課題解決を進めるために

つくられました。

株主や経営者に左右されず、自分たちで意見を出し合い、事業に取り組むことができます。まだまだ新しい制度のため、リスクも含めて設立を検討されることをおすすめします。








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