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【2023年版】台風や豪雨など、自然災害時の企業対応とは。



近年、全国各地で台風や豪雨などの自然災害が増えています。

企業は、従業員が安全かつ健康に働ける職場環境への配慮や

対策のための「安全配慮義務」を負っていますが、

これは台風や豪雨などの災害発生時にも同様に適用されます。


自然災害では従業員の安全を第一に考え、企業側が休業を指示する

ケースも増えてきました。

今回の記事では、自然災害が起きたときの企業対応と、事前の備えについてお伝えします。



自然災害が起きたときの出勤判断と休業手当



自然災害時の出勤では、企業の判断で自宅待機や休業を命じるケースと、

本人の判断で出勤しないケースがあります。

状況に応じて休業手当の支払が必要になります。


1 企業の判断で休業をするとき

自然災害が起き、事業活動が行える状態にもかかわらず

会社都合による休業を命じるときは、それが従業員の安全確保のための

措置だとしても、従業員に対して平均賃金の60%以上の休業手当の支払が必要です。


ただし、台風や豪雨による事業場の建物倒壊や器物破損など

施設や設備が直接的な被害を受けて出社しても事業活動を行える状態でないときなどは、

天災事変等の不可抗力による休業となり、会社都合の休業とは判断されず

休業手当の支払の必要はありません。


2 本人の判断で出勤しないとき

以下の例のように本人の判断で出勤しないときや、自然災害の影響により

出勤できなかったときは、休業手当の支払の必要はなく欠勤扱いとなります。


(例)

・通信回線の障害などにより、職場と連絡がとれず自主的に自宅にいることにした

・台風や大雨による浸水のため、職場まで行ける状態ではなかった など


このようなときに本人に負担なく休んでもらうためにも、

有給休暇の取得を推奨したり、振替休日や災害休暇などの特別休暇を

就業規則に設けている企業も多くあります。



自然災害時の事業継続にむけて事前検討



自然災害が必ずしも、事業が行えないほどの影響を引き起こすとは限りません。

従業員が休業すると事業がストップするため、従業員に出勤を強要するケースも

見受けられますが、無理な出勤は強風や大雨による災害に巻き込まれたり、

帰宅困難者となるリスクがあります。


気象予測の正確性が増し、ニュースなどで事前に台風経路や豪雨情報などを

把握できるケースも増えてきました。

自然災害が起きても、少ない人数で事業を継続できるよう以下のような

対応の検討をおすすめします。


【企業の事業継続のための検討 例】

・災害時の緊急性の高い業務の整理

・出勤しなくても業務ができる体制づくり(テレワーク、振替休日 など)

・出勤せざるを得ない場合の出勤者の選定

・出勤者の災害リスク回避(宿泊場所の確保)

・出勤できない可能性のある従業員の業務引継ぎ方法

・緊急連絡網の作成と更新

・電気、ガス、水道、通信など障害が起きた時の緊急対応(二次災害防止) など


以下のサイトでは、台風情報や大雨危険度などが地域ごとに確認できます。



テレワーク活用企業の自然災害時の備え



新型コロナ対策により導入の進んだテレワークは、自然災害時の事業継続にも

有効な手段となっています。


しかし、テレワークであっても最悪の事態は起こります。

たとえば台風や大雨、落雷などによる停電、過電流、インターネット接続不良などです。


具体的なケースとして、給与計算業務であれば停電やインターネット接続不良が

起きると業務がストップしてしまい、振込期日に間に合わない事態が想定されます。


そのため、非常時にもパソコンが稼働できるようにモバイルバッテリーを貸出したり、

インターネットの接続が途切れた場合のために自宅の主回線以外にも

別のモバイル回線(ポケットWi-Fiや会社スマートフォンでのテザリングなど)を

用意しておくなど、テレワーク環境でも業務をスムーズに続けるための備えが必要です。


【テレワーク活用企業の備え 例】

・非常時のPCバッテリーの確保

・インターネットのバックアップ回線の確保

・通信状況の急変に対する優先業務の整理

・データのクラウドバックアップ

・コミュニケーション手段の多様化(チャットツールの導入など)

・会議などの調整 など



防災の日と企業の対策



9月1日は、防災の日です。

日本は自然災害が多く発生する国であり、地震などの予測困難な災害も少なくありません。いざという時の従業員の安全確保のため、企業それぞれの防災対策を検討してみてはいかがでしょうか。


【企業の防災対策 例】

・防災マニュアルの作成

・災害時の防災対策メンバーの選定

・災害時の連絡方法(メール・SNSなど)の従業員への周知

・避難場所の把握と周知

・公共交通機関の運航停止による帰宅困難者対策

・事業場内の避難経路の確保

・建物・社内設備の安全確認

・非常時持ち出し品のリスト整理と責任者選定

・毎年一回の避難訓練

・定期的な必要品備蓄の見直し など


以下のサイトでは、防災マニュアル作成の留意点が紹介されています。



自然災害後の業務量増加のときの時間外・休日労働



法令で定められている労働時間の限度時間は、原則1日8時間、週40時間です。

この時間を超える労働を命じる場合は、事前に届け出ている36協定で定めた

時間外・休日労働の範囲内で労働してもらうことができます。


自然災害直後も、過重労働による健康障害を防止するため、36協定で定めた

時間外・休日労働を遵守します。


しかし例外として、企業や被災地域の早期復旧や、施設・設備故障の修理、

システム障害復旧など緊急かつ臨時の必要がある場合は、労働基準監督署の許可を得て

時間外・休日労働の上限規制を超えて働くことが認められるケースがあります。

緊急事態のときは、事後届出も可能です。


例外の認定は、個別かつ具体的に判断され、単なる業務の繁忙などは認められません。

以下のリーフレットを参考のうえ、管轄の労働基準監督署へご相談ください。




おわりに



例年、台風は7月から10月にかけて最も多くなります。

自然災害は、全国各地、いつ、どこで起こるか分かりません。

災害時は誰しもが心理的な不安や焦りを感じます。

災害発生時に企業の落ち着いた対応があれば、従業員も安心できるはずです。

今回の記事を参考に、災害時の企業対応について検討されることをおすすめします。

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