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SNSへの書き込みによる「炎上」と経営上のリスク



すべての世代でインターネットが身近になり、Facebook、twitter、 Instagram、LINEなど

コミュニケーションツールとしてのSNSが多様化しました。

企業内でもデジタルツールを用いた労使コミュニケーションが活用されていますが、

メリットもある一方で、SNSへの書き込みによる「炎上」などが企業経営を脅かすことも

増えてきました。



技術革新の進展がなぜ企業経営を脅かすのか



SNSの使い方や情報の扱い方には、世代間や個人によって差があります。

ものごころついた頃からスマホやパソコンなど、さまざまなメディア機器に囲まれて

生活してきた世代の従業員は、デジタルネイティブ世代とも呼ばれ、

日頃からSNSに身近に接しています。


しかしSNS投稿は不特定多数の人たちが見るものです。

不適切な投稿は、社会的制裁による営業停止や多額の損失に繋がり、廃業に追い込まれる

ケースもあるため、企業内でもネットリテラシーが問題視されるようになってきました。



SNSへの書き込みによる「炎上」



総務省「情報通信白書」では、炎上の定義を

ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し収まりがつかなさそうな状態や、

特定の話題に関する議論の盛り上がり方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などで

バッシングが行われる状態としています。


SNSへの書き込みによる炎上は携帯電話やSNSが普及し始めた2011年を境に急激に

増加しており、個人だけでなく企業も炎上の対象となっています。



「炎上」の具体的な事例



【ケース1】

職場の不本意な処遇への不満をSNS上に投稿

ある従業員は、日常の情報交換の場としてSNSを使用していましたが、

ある日職場で受けた不本意な処遇の愚痴をSNS上に投稿しました。


その後、アカウントや投稿写真などから、投稿者の企業名が特定されます。

そして同じ問題意識を持つ多くの一般ユーザーからの共感が集まり、その企業に対して

社会的な批判が巻き起こります。


従業員は厳重注意として処分を受け、SNS投稿を削除しますが、ネット上に刻まれた情報は

デジタルタトゥーと称されるように半永久的に残ることになりました。


【ケース2】

飲食店のアルバイト店員が厨房の冷蔵庫やシンクに入って、悪ふざけ写真を投稿 

アルバイト店員が厨房のシンクや冷蔵庫に身体をいれたり、寝そべったりなど、

不適切で不衛生な悪ふざけ写真をネットにアップしたことで騒動になりました。


その企業は、営業停止、保存食材の廃棄、冷蔵庫などの清掃を行いましたが、

信用は回復せず事業停止に追い込まれています。


これはアルバイト先での不適切な動画をアップする若者の行為、バイトテロのケースの

一つです。

バイトテロによる炎上は、ニュースでも数多く取り上げられ、企業名も公表されます。

不衛生な状態での食品販売・提供が認められたときは、食品衛生法違反にもなり、

飲食店として社会的信頼の回復が困難となります。


【ケース3】 

空港内の土産店で、俳優のクレジット伝票を女性店員がtwitterへ投稿 

某俳優を接客した女性店員がクレジット伝票を撮影し、LINEで別の店員数名に

送信したところ、受信したアルバイト女性が俳優を名指しした上で、

カード番号の一部や署名が写った画像をtwitterへ投稿したケースです。

土産店を営む企業は、俳優や所属事務所に謝罪しました。


飲食店や宿泊施設などには、著名人・芸能人が来店することもあるでしょう。

それを従業員が不用意に投稿すれば、顧客情報の漏えいとなり、企業全体の信頼が

失墜します。

特にこのようなケースのtwitterでの炎上は、バカッターとも呼ばれ、

過去、ネット流行語大賞にもランクインしています。


【ケース4】 

紳士服販売店が「透けハラ」対策をテーマにキャンペーンとしたところ、意図せぬ批判

某紳士服販売店が「透けハラ」を解決するための透けないシャツのマーケティングとして、

自身が体験したシャツの透け体験をtwitterで募集したところ、ハラスメントをあおっている

表現ではないかと炎上しました。

その後、「透けハラ」キャンペーンは一時中止されました。


企業が発信した内容が、企業意図と異なる表現として一般ユーザーに受け取られ批判が

広まったことによる炎上です。


企業がマーケティングとして狙った発信であっても、不適切な内容であるときは、企業の評価が下がったり信頼を失うリスクもあります。



企業ができるリスク対策とは



1 就業規則の見直し

就業規則には、会社として守らなければならないルールを記載する服務規律という部分が

あります。

労働基準法では、記載の有無や範囲が定められていませんので、定期的に現代の働き方に

あった服務規律の見直しを行う必要があります。


勤務中のSNS等の閲覧や不用意な投稿の禁止、職務で知り得た個人情報の取扱について

などを、服務規律に記載されることをおすすめします。

対象の範囲については、在籍中だけでなく退職後においても同様とすることも重要です。

職場内に、デジタルデバイスを持ち込むことを禁止することも有効です。


規定例の一つをご紹介します。


【規定例】 

労働時間中に、職務に関係のないWEBサイトやSNSを閲覧し、または投稿を行わないこと。また、SNSその他の場所において職務上必要のない社内情報の発信を行わないこと。

より詳細にルールを定めたいときは、秘密情報保護規程やSNS利用管理規程など、

就業規則とは別の規程を定めます。


2 ITリテラシーを高める研修など

ITリテラシーとは、ITに関連する情報技術の理解力、使いこなすスキルのことです。

研修等によるITリテラシーの向上は、生産性向上、適切なコミュニケーション、

セキュリティの強化に繋がります。


また、コンプライアンス研修などで企業を取り巻く法令等に関する具体例を材料として、

従業員ひとり一人にコンプライアンスの意識づけをすることもおすすめです。


3 労使コミュニケーションの強化

コミュニケーションの不足が不適切な投稿を招くこともあります。

特にデジタルネイティブ世代の従業員にとって、愚痴や疑問は社内ではなくSNSに

聞くことは当たり前になっています。


労働環境に関する考え方が多様化している今だからこそ、1on1などの定期面談などで

労使コミュニケーションの強化をはかり、企業と従業員の認識の違いを埋める必要が

あります。



タイムラインを通じた個人の価値観の強化



SNSのタイムラインでは、自分の関心のあるものや共感できる人をフォローする

ことにより、自分の求める情報を自動的に受信できます。

自身の価値観や労働環境に関する個人的な考え方などを発信すれば、同様の問題意識を

持つ人の共感を即時に得られることから、個人の考え方が強められ、職場への不満が

悪化しがちです。


SNS投稿で日頃のストレスや苛立ちを吐き出し、気持ちのコントロールをしようとする

人も少なくありません。


技術革新の進展は、企業経営にポジティブにもネガティブにも影響を及ぼします。

企業が目指す姿や企業ルールについて従業員と認識を共有した上で、新技術を円滑かつ

効果的に活用できるよう社内整備やITリテラシー研修を進めてください。








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