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【2024年度版】7月10日までに社会保険の定時決定の届出が必要です!



社会保険料は、賃金に見合うよう計算されています。

しかし賃金に変動があると、実際の賃金と社会保険料の基準となる標準報酬月額に

大きな差が出ることがあります。

そのため、1年に1回見直しを行い、賃金にあった標準報酬月額を決める必要があります。


定時決定は、毎年7月1日から7月10日のあいだに、社会保険に加入している役員・従業員

(以下、被保険者といいます)の4、5、6月に支給された役員報酬・賃金(以下、賃金と

いいます)を届出する定例の手続です。


2024年の届出期限は、7月10日(水)です。

提出方法や届出様式に変更はありません。

今回の記事では、定時決定の基礎知識である対象者や標準報酬月額の決定方法について、

改めてお伝えします。



定時決定の対象者



7月1日時点で在籍している社会保険の被保険者および70歳以上被用者が対象になりますが、

随時改定対象者など対象外となる方もいます。


定時決定の対象者は以下の表でご確認ください。

 

※1 70歳以上被用者とは、社会保険の加入要件を満たす働き方をしている従業員で、

継続雇用をして70歳を過ぎた方や新たに雇用した70歳以上75歳未満の方をいいます。


※2 一時帰休とは、企業の経済的理由や事業の縮小などにより、一時的に雇用が停止

される状態です。


※3 随時改定とは、固定的賃金(基本給、諸手当など)が変更になり、標準報酬月額に

2等級以上の差がでたときに行う手続です。

 産前産後休業終了時報酬月額変更、育児休業等終了時報酬月額変更を含みます。


※4 8月、9月に随時改定をする予定の人は、届出時において随時改定が予定されている

旨を申出するときは、算定基礎届の届出を省略できます。




標準報酬月額の決定方法



定時決定は、支給月をベースに届出するため、実際に4、5、6月に賃金が支払われた月の

賃金台帳や出勤簿を準備します。



(例)20日締め/当月末日払い


賃金台帳:4月20日締4月30日支払分/5月20日締5月31日支払分/6月20日締6月30日支払分

出勤簿:3月21日~4月20日分/4月21日~5月20日分/5月21日~6月20日分



(例)末日締め/翌月15日払い


賃金台帳:3月末日締4月15日支払分/4月末日締5月15日支払分/5月末日締6月15日支払分

出勤簿:3月1日~3月31日分/4月1日~4月30日分/5月1日~5月31日分


そして、毎年4、5、6月に支給する3か月間の賃金総額を合計した額(以下、報酬総額と

いいます)に対し、対象とした月数「3(2または1)」で除した額を報酬月額として

日本年金機構へ届出します。


届出された報酬月額をもとに、健康保険・厚生年金保険の保険料額表に沿って標準報酬月額

が決定されます。



なお、算出した報酬月額に小数点以下の端数が出た場合は、1円未満は切り捨てます。

報酬月額を一定の範囲ごとに区分して標準報酬月額が決まるため、端数処理の誤りがあると標準報酬月額に影響が出る可能性もあるため、注意が必要です。



報酬月額の対象となる月とは


報酬月額の対象となるのは、4、5、6月に支給された賃金の支払対象となる日数(以下、

支払基礎日数といいます)が1か月に17日以上ある月です。


支払基礎日数は、給与形態によってカウント方法が異なります。



<月給制、週給制>


支払基礎日数は、公休日を含めて「暦日数」をカウントします。

休日に出勤した日、年次有給休暇、会社都合の休業日も含みます。

なお、欠勤控除するときは、所定労働日数から欠勤控除した日数を除いた日数です。



<時給制、日給制>


支払基礎日数は、「実際の出勤日数」をカウントします。

休日に出勤した日、年次有給休暇、会社都合の休業日も含みます。


パートタイマーなどの短時間就労者は、17日以上の支払基礎日数が1か月もないときは、

支払基礎日数が15、16日の月のみ報酬総額とします。


特定適用事業所(厚生年金保険の被保険者数が101人以上)の短時間労働者は、支払基礎

日数が11日以上の月を報酬総額とします。



報酬の対象となる賃金とは


報酬の対象となる賃金は、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、労働の対償として

受けるすべてのものを含みます。


また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に

含まれます。

ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与などは、報酬に含みません。


 



ケースごとの標準報酬月額の算出方法



定時決定には、雇用形態や勤務状況に応じたさまざまな標準報酬月額の決定方法があり

ます。

多くの企業で発生する基本的な決定方法をご紹介します。


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1 一般的な被保険者のとき

2 短時間就労者(パート・アルバイトなど)のとき

3 賃金計算期間の途中から資格取得したとき

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1 一般的な被保険者のとき

報酬総額に含める賃金は、支払基礎日数が1か月に17日以上ある月の賃金です。

月給制であれば支払基礎日数は「暦日数」としますが、月給者で欠勤控除するときは、

所定労働日数から欠勤控除した日数を除いた日数となります。


【すべてが17日以上ある】

対象となる賃金計算期間中の支払基礎日数が3か月すべて17日以上の場合は、4月、5月、6

月の3か月が報酬総額の対象になります。




【17日未満の月がある】

対象となる賃金計算期間中に欠勤控除となる日が多く、支払基礎日数に17日未満の月がある

場合は、支払基礎日数が17日以上の月を報酬総額の対象とします。



【すべてが17日未満である】

4、5、6月のいずれも支払基礎日数が17日未満の場合や、病気等による欠勤、育児休業や

介護休業等により賃金の支払いがまったくない場合は、従前の標準報酬月額で決定され

ます。



従前の標準報酬月額で決定される場合、算定基礎届の「備考」の欄に一般的な方法では

算定できない理由を記載してください。

 


2 短時間就労者(パート・アルバイトなど)のとき

短時間就労者とは、正社員に比べて短い時間で働く人のことです。

パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員など名称を問わず、週の所定労働時間および

月の所定労働日数が、正社員と比べて4分の3以上の被保険者です。

短時間就労者のときは算定基礎届の備考欄「7.パート」を〇で囲みます。




短時間就労者の支払基礎日数が3か月すべて17日以上の場合のときは、一般的な被保険者の

ケースと同じく3か月が報酬総額の対象となります。


また、4月、5月、6月の3か月のうち17日未満の月があるときは、算定方法が3パターンある

ため以下を確認してください。


【17日以上の月が1か月以上ある】

短時間就労者で支払基礎日数が17日以上の月が1か月以上あるときは、支払基礎日数が

17日以上の月を報酬総額の対象とします。




【すべてが17日未満である】

短時間就労者で、4月、5月、6月すべての支払基礎日数が17日未満のときは、支払基礎日数が15日、16日の月を報酬総額の対象とします。



【すべてが15日未満である】

短時間就労者で、4月、5月、6月すべての支払基礎日数が15日未満のときは、4月、5月、

6月の報酬総額で算定せず、従前の標準報酬月額で決定されます。


従前の標準報酬月額で決定される場合、一般的な被保険者の【すべてが17日未満である】

ケースと同じく算定基礎届の「備考」の欄に一般的な方法では算定できない理由を記載

してください。


3 賃金計算期間の途中から資格取得したとき

4月1日に入社するなど企業の給与締め日・支払日によっては、賃金計算期間の途中から

資格取得することにより対象となる月の1か月分の賃金が支給されないことがあります。


その場合、1か月分の賃金が支給されない月を除いた月を対象とし報酬総額を算出します。報酬総額は、1か月分の賃金が確保された月から対象となります。


 

5月分の賃金は日割計算になり、1か月の賃金が支給されないため、4月、5月を除いた6月の

みの賃金総額で報酬月額を算出し修正平均として使用します。


修正平均とは、4月から6月のあいだに支払われた賃金で計算すると高い標準報酬月額に

なったり、反対に、低い標準報酬月額で計算されてしまったりということが起こるため、

それらを調整することをいいます。


この修正平均を使用した場合、算定基礎届の「備考」の欄に、必ず修正平均の内容を

記載しなければなりません。




今回ご紹介したケース以外にも、特定適用事業所の短時間労働者や社会保険適用促進手当を

支給している場合など、さまざまな標準報酬月額の決定方法があります。

必要に応じて、下記を参照してください。




定時決定の届出方法



定時決定の届出には、算定基礎届という書類を使います。

6月中旬より順次、算定基礎届が同封された茶色の封筒が、日本年金機構から企業宛に

発送されています。


届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者算定基礎届

添付書類:なし

届出期限:2024年7月1日(月)~2024年7月10日(水)

届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所

届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)持参、窓口持参


郵送のときは、日本年金機構からの送付物に同封された返信用封筒を使って届出して

ください。

また、電子媒体(CD・DVD)で届出をするときは、電子媒体届出書総括票の添付が

必要です。





まとめ


定時決定は、毎年決まった時期に必ず行う手続です。

届出期間は7月1日から7月10日と短いため、6月支給の賃金が確定したら手続準備を

進めてください。

日本年金機構では、定時決定の流れについての動画も提供しています。

ぜひ参考にしてください。












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