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【2025年4月】継続雇用制度の経過措置終了と高年齢雇用継続給付の縮小

  • jinzai10
  • 2024年10月11日
  • 読了時間: 6分

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少子高齢化の急速な進展に伴い日本の総人口は減少傾向となり、総人口に占める

65歳以上の割合は上昇しています。


労働力不足が課題となっている中、働く意欲があり豊かな経験やスキルを持つ

高年齢者の労働力は、企業にとって必要性が増していきます。


今回の記事では60歳以降の就業意欲の動向や、2025年4月の「継続雇用制度の

経過措置の終了」と「高年齢雇用継続給付の縮小」について解説していきます。



60歳以降の就業意欲



内閣府が2024年2月に実施した調査によると、60歳未満の現役世代では、生涯を通じた

就業意向について全体の7割が60歳以降も働き続けたいと回答しています。


【現役世代の生涯を通じた就業意向(60歳未満)】


 

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次に、60歳以上の就業意向については、年齢を重ねる程に就労を希望する割合が

低くなるものの、性別に限らず7割以上が60歳〜64歳まで、半数近くが65歳〜69歳までの

就業を希望すると回答しています。


【男女別の就業意向(60歳以上)】


 

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以上から、いずれの世代においても多くの人々が60歳以降も働き続ける意向を持っている

ことが分かります。



高年齢者を雇用するときの3つのルール



働く意欲がある誰もが、年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が

活躍できる環境整備を図る法律に、「高年齢者雇用安定法(正式名称:高年齢者等の雇用の

安定等に関する法律)」があります。


この法律では「高年齢者」を55歳以上と定義されており、雇用する労働者が充実した

高齢期における職業生活を選択し、実現できるように労働者の多様な特性やニーズを

踏まえ、改正が進められてきました。


高年齢者雇用安定法のうち、企業が押さえておきたい3つのルールをご紹介します。


【60歳未満の定年禁止(義務)】

定年制とは、従業員が就業規則に定められた一定の年齢に達したことを理由に、自動的に

労働契約が終了する制度です。


法令等により、企業には60歳未満の定年年齢を設けることが禁止されています。

就業規則で定年を定める場合は、定年年齢を60歳以上としなければなりません。


【65歳までの高年齢者雇用確保措置(義務)】

高年齢者雇用確保措置は、従業員が希望すれば65歳までの雇用が確保されることを

目的としています。


具体的には、定年を65歳未満に定めている企業に対して、次のいずれかの措置を講じる

ことが義務付けられています。



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当面のあいだ、60歳以上の従業員が発生しない企業であっても、高年齢者雇用確保措置に

よるいずれかの措置を講じなければなりません。


なお2023年の高年齢者雇用状況等報告の集計結果によれば、65歳までの高年齢者雇用確保

措置の実施済みの割合は、21人以上規模の企業のうち99.9%となっており、そのうち7割

近くの企業が継続雇用制度を導入しています。


【70歳までの高年齢者就業確保措置(努力義務)】

高年齢者就業確保措置は、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業

機会を確保することを目的としています。


具体的には、定年を65歳以上70歳未満に定めている企業および65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している企業は、次のいずれかの

措置を講じることが努力義務とされています。


 

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なお、2023年の高年齢者雇用状況等報告の集計結果によれば、70歳までの高年齢者就業

確保措置の実施済み割合は21人以上規模の企業のうち、3割程度となっています。



継続雇用制度の経過措置の終了



継続雇用制度とは、従業員本人の希望があれば、会社が定める期間は定年後も引き続き

雇用する制度です。おもに再雇用制度と勤務延長制度があります。



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今までは、65歳までの高年齢雇用確保措置で「65歳までの継続雇用制度の導入」を講じて

いる企業には、経過措置として労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を

定めることが認められていました。


しかし、2025年3月31日をもって、この経過措置は終了します。


経過措置の終了により65歳までの定年の引上げが義務になるわけではありませんが、

2025年4月1日以降は継続雇用制度の対象者を限定するような基準を設けることはできず、

希望するすべての従業員の65歳までの雇用を確保するための措置を講じる必要があります。



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現在、経過措置を講じており、経過措置終了前の就業規則において「経過措置終了後には

希望者全員を65歳まで継続雇用する」旨が定められていない場合は、2025年4月1日以降は

別の措置で高年齢者雇用確保措置を講じなければならず、就業規則の変更が必要となり

ます。



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高年齢雇用継続給付の縮小



高年齢雇用継続給付は、高齢者が働く意欲の維持と、65歳までの雇用継続を支援・促進する

ことを目的として、一定の要件を満たす対象者に対して賃金の補助として支給されるもの

です。


高年齢雇用継続給付には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の

2種類があります。


いずれの給付金も、被保険者期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満であるなど、それぞれ

の給付金に関する受給資格の要件を満たした労働者が、各月の賃金が60歳時点の賃金額に

比べて75%未満の支給要件を満たした場合、賃金の低下率に応じて支給されます。


今までの高年齢雇用継続給付は、60歳時点の賃金額を基準に各月の賃金の低下率に応じて

最大15%が給付されていました。


しかし、2025年4月1日から新たに60歳を迎える労働者(受給資格要件を満たす方)は、

賃金の低下率に応じて給付率が最大10%へ縮小されます。


【対象者】

2025年4月1日から新たに60歳を迎える労働者(受給資格要件を満たす方)


【給付率】


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なお、2025年3月31日までは、賃金の低下率が61%以下の場合に最大の給付率が適用

されますが、2025年4月1日からは賃金の低下率が64%以下の場合に最大の給付率が

適用されます。


高年齢雇用継続給付の縮小に伴い、高年齢者のモチベーションの低下が懸念されます。

高年齢者の就業意欲を高めるためにも、高年齢者の能力、知識、経験などが十分に活かせる

職域の拡大や、高年齢者の職業能力を評価する仕組みや制度の整備を進めることが重要

です。



おわりに



高年齢者が活躍できる職場は、幅広い世代が活躍できる職場の提供にもなり、多様な人材の

活用の促進にもつながります。


また、高年齢者がこれまでのキャリアで蓄積してきた技能や知識などを若い世代に継承し、

教育や指導を行うことは、企業にとっても大きなメリットといえます。


あわせて、働く高年齢者の年齢上昇と身体面や体力面の衰えを踏まえ、職場の安全衛生対策

の強化も求められていきます。


具体的な対策については、以下のガイドラインも参考にしてください。


65歳以上の人口の増加に伴い、就業を希望する高年齢者の増加が想定されるため、労務担当

者として高年齢者の環境整備に取り組むことが大切です。

 
 
 

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