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  • 2022年10月、産後パパ育休の申出に対応するために。

    産後パパ育休とは「出生時育児休業」の通称で、男性の育児休業の取得促進を目的として2022年10月1日より新設される制度です。(この記事では、産後パパ育休とします。) 産後パパ育休を取得できるのは法令等上「労働者」に限定されているため 役員は取得できません。 また、産後パパ育休は産後休業を取得した従業員は取得できないため 対象者は主に男性になりますが、養子縁組や里親制度など法律の要件を満たす場合は女性であっても対象となります。 今回の記事では、今後産後パパ育休の申し出があったときにスムーズに対応できるよう 企業内での準備やポイントを解説しています。 産後パパ育休制度に対応するために企業が準備すること 1 産後パパ育休を知る 産後パパ育休と育児休業は、休業の対象期間や取得できる日数、申出期限が異なります。 今回新設される産後パパ育休が、子どもが生まれてから8週間以内に最長4週間(28日間)まで休業を取得できる制度であるのに対し 育児休業は原則として1歳までの子どもを養育するために休業できる制度です。 2022年10月以降、産後パパ育休と育児休業どちらも2回まで分割して取得できます。 産後パパ育休はまとめて、育児休業は取得ごとに申出が必要です。 また、産後パパ育休の特徴として、労使協定を締結している場合に限り休業中に就業できます。 (出典)厚生労働省『育児・介護休業法 改正ポイントのご案内』 2 自社の対応を検討する 産後パパ育休には原則のルールがありますが、「申出期限」「休業中の就業」は労使協定を締結すると企業にあわせたルールにできます。 以下を参考に、自社ルールについて検討ください。 【申出期限】 産後パパ育休の申出期限は原則2週間前までとなっており 通常の育児休業(1か月前までに申出)よりも休業開始日の間際まで申出が可能となっています。 しかし、シフト調整や業務引継ぎなどが必要な企業では 休業開始日の間際の申出となると、人員調整が厳しいこともあるはずです。 そのようなときは、労使協定を締結すると申出期限を1か月前に延長できます。 【休業中の就業】 産後パパ育休は、原則、育児休業と同じく休業中の就業はできません。 ただし、産後パパ育休は主に男性の子育てと仕事の両立を目的とした制度です。 そのため労使協定を締結することで、休業中の就業が可能になります。 詳細は、記事後半の「産後パパ育休中に就業するときの具体的な手続き」でお伝えします。 3 就業規則を改定する 産後パパ育休の規程整備は、産後パパ育休の対象者がいるいないに限らず すべての企業で対応が必要です。 申出対象となる子には、養子縁組や里親制度も含まれており、従業員の年齢にかかわらず 育児休業の申出を行う可能性があります。 規程整備については、厚生労働省サイトのほか兵庫労働局が公開している 解説入り規程がおすすめです。 参考|厚生労働省『育児・介護休業等に関する規則の規定例』 参考|兵庫労働局 改正育児・介護休業法特設ページ『育児・介護休業等に関する規則(解説入り全文)』 4 書式の変更をする 産後パパ育休を取得する項目について、書式の変更や追加が必要になります。 現在使用している書式をもとに、必要箇所の修正をしてください。 参考|厚生労働省『育児・介護休業等に関する規則の規定例 05社内様式例』 5 周知する 2022年4月より、子どもが生まれてくる従業員に対し、育児休業に関する個別周知と意向確認が義務になっています。 2022年10月からは、産後パパ育休も対象になります。 (出典)厚生労働省『育児・介護休業法 改正ポイントのご案内』 【2022年10月以降、個別周知に追加すること】 ・産後パパ育休、育児休業との違い ・産後パパ育休の企業への申出期限や申出方法 ・出生時育児休業給付金の受給要件 ・2022年10月以降、社会保険料の取扱いの変更 など 産後8週間「産後パパ育休」と「育児休業」どちらを取得するのか 「産後パパ育休」と「育児休業」は別制度です。 子どもが生まれてからの8週間については、対象となる従業員はどちらかの制度を 選んで休業を取得します。 8週以降は育児休業のみ取得できます。 産後パパ育休は新たな制度です。 育児休業との違いを従業員も理解できておらず、どちらを取得したらよいか 相談があるかもしれません。 企業は従業員の取得する制度を一方的に決められません。 制度内容や違いを説明し、本人にどちらかを決めて申出するように促してください。 参考までに、子どもが生まれてからの8週間について、産後パパ育休を取得すると「できること」をお伝えします。 【産後パパ育休を取得するとできること】 ・配偶者が休業していても取得できる ・産後パパ育休後に育児休業の取得ができ、最大4回分割して取得できる ・休業中に就業ができる(労使協定必要) ・産後パパ育休は原則2週間前に申出できる(労使協定締結により1か月前) 数週間単位など「産後パパ育休」「育児休業」を細かく分割して取得(最大4回取得)するか、 数か月〜子どもが1歳になるまで「育児休業」で長く取得するかという視点で考えると、 どちらか決めてもらいやすいです。 必要になる産後パパ育休の管理 産後パパ育休と育児休業のそれぞれの制度を正しく取得できるよう 出生時育児休業管理簿や育児休業管理簿の作成をおすすめします。 特に2022年10月以降、いずれの休業も2回までの分割取得が可能になり 育児休業期間中の社会保険料の免除要件が変更になるため、 産後パパ育休や育児休業の取得により要件を満たしているかを確認し、 手続きや給与計算に反映する必要があります。 育児休業期間中の社会保険料の免除要件についてです。 2022年9月30日までは、社会保険の対象月の末日が育児休業期間中であれば、その月の給与と賞与の社会保険料が免除になっていました。 しかし、2022年10月1日以降は、以下のとおり給与と賞与で社会保険料の免除要件が異なります。 【給与の社会保険料の免除要件】 いずれかの要件を満たすとき給与の社会保険料が免除になります。 ① 社会保険料の対象月となる末日が育児休業期間中であるとき ② 同一月内に育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上のとき 【賞与の社会保険料の免除要件】 連続して1か月を超える育児休業を取得したとき、賞与の社会保険料が免除になります。 (出典)日本年金機構『令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます。』 産後パパ育休中に就業するときの具体的な手続き 産後パパ育休を取得する従業員が休業期間中に就業を可能とするには、就業できる従業員の範囲(全員、事務職など)を定め、労使協定を締結します。 労使協定締結後の具体的な手続きの流れは以下のとおりです。 (出典)厚生労働省『育児・介護休業法の改正について』P28 休業中の就業日数に上限があるのでご注意ください。 【休業中の就業日数の上限】 ・休業期間中の所定労働日の半分・所定労働時間の半分まで ・休業開始・終了予定日を就業日とするときは、その日の所定労働時間数未満まで また、産後パパ育休中に就業する従業員には、 出生時育児休業給付金や育児休業期間中の社会保険料の免除について 就業日数次第でその要件を満たさなくなる可能性があることを あわせて説明するよう留意してください。 産後パパ育休中の就業の詳細や労使協定例は、以下を参考にしてください。 参考|厚生労働省『育児・介護休業法 令和3年改正内容の解説』P17~20 まとめ 産後パパ育休は、男性の育児休業取得の促進を目的として作られた制度です。 2021年度では、女性育児休業取得率85.1%に対し、男性育児休業取得率は 13.97%に留まっていますが、今後、男性の育児休業の取得増加も予想されます。 ただ、企業内で男性育児休業の理解が進まないと、上司や同僚から 「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」や「迷惑だ、自分なら取得しない」など 男性従業員へのハラスメントが起こる可能性があります。 産後パパ育休の申出や取得、産後パパ育休中の就業の申出・同意をしないことを理由に 不利益な取扱いは禁止されてます。 産後パパ育休や育児休業に関する研修や相談窓口の設置など実施し、男女とも従業員が安心して育児休業できる職場環境づくりをおすすめします。

  • 定期健康診断の実施と実施後の適正な対応について

    企業は、従業員が健康に働けるように 健康状況を把握し、 健康管理に努める必要があります。 そのため法令等により、 医師による健康診断の実施が労使双方に義務付けされています。 企業に実施が義務付けられている健康診断には、 「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。 一般健康診断は、 一般的な健康の確保を目的としており、 雇入れ時や雇入れ後定期的に行う健康診断と、 深夜業などの特定業務を行う方が対象です。 特殊健康診断は、 法令等で定める、 リスクの高い業務や有害な物質を取り扱う業務を行う方が対象となっています。 今回の記事では、一般健康診断のうち定期健康診断を中心にお伝えします。 定期健康診断とは、1年に1回、企業が義務として行う、従業員の健康診断のことです。 (出典)厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう』 法令等で決まっている健診項目とは 定期健康診断の健診項目は、以下のとおりです。 (出典)厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~』 ※2 自覚症状や既往歴等を勘案し医師が総合的に判断をした結果、 必要でないと認めるときは省略ができます。 健康診断の対象者 定期健康診断の対象者は、 常時使用する労働者で、 正社員、正社員以外(パート、アルバイトなど)にかかわらず、 以下のすべての要件をみたす従業員をいいます。 企業規模に関係なく、1人でも対象となる従業員がいるときは健康診断の実施が必要です。 【健康診断の対象者(常時使用する労働者)】 1 期間の定めのない雇用契約であること (有期契約労働者のときは1年以上の雇用見込みがあること) 2 所定労働時間が正社員の3/4以上であること 【「常時使用する労働者」の判断時期】 「常時使用する労働者」に該当するかどうかは、健康診断実施日において判断します。 企業が定期健康診断を実施する時期に育児休業中や 休職中の従業員がいるときは、 その従業員へは健康診断を受けさせなくても差し支えありません。 ただし、育児休業や休職から復職後、 速やかな健康診断の実施が必要です。 そのため、対象者の復職が近づいてきたら、 健康診断の日程についても検討することをおすすめします。 企業がおさえておくべき3つのポイント 定期健康診断を実施するにあたり、 企業がおさえておくべき3つのポイントをお伝えします。 【労働時間中の受診】 健康診断を受けている時間や、 休日に健康診断を受けたときの賃金を支払うかどうかは企業で決められます。 しかし、厚生労働省の文書によると、 従業員の健康確保は事業の円滑な運営に必要なものであり、 受診時間の賃金は企業が支払うことが望ましいと示されています。 健康診断を受けるように指示しても賃金を支払わないとした場合、 受けてもらえないことがあります。 健康診断は、対象者に該当すれば必ず受けるものです。 そのため、確実に健康診断を受けてもらうために就業時間中の受診を設定し、 賃金を支払っているケースが多いです。 また、企業が義務付けられている健康診断のうち「特殊健康診断」は、 業務遂行との関連が高い健康診断であるため、 所定労働時間内に行うことが原則となっており、 時間外に行われたときは、賃金の支払をする必要があります。 【健康診断の費用負担】 健康診断の費用は、全額、企業で負担しなければいけません。 ただし、健康増進等の目的で法令等で決まっている 健康診断の項目以外(がん検診など)を受けるときは、 その部分については企業は負担しなくてもかまいません。 【健康診断結果の取扱い】 健康診断の結果は、 労働者個人の心身の健康に関する健康情報を含む要配慮個人情報です。 企業は、健康診断の結果を従業員の健康確保に必要な範囲を超えて利用してはならず、 本人に対する不利益な取り扱いや差別に繋がらないように慎重な取扱いが必要です。 法令等で決まっている健康診断の項目以外(がん健診など)の健診結果は、 従業員の同意がないときは健診結果を収集・利用することはできません。 医療機関によっては、 法令等で決まっている健診項目とそれ以外の項目を一覧にして企業に送られてくることがあります。 あらかじめ本人に健診結果の利用目的や取扱方法について説明をし、 同意を得る必要があります。 そのため、健康診断結果の適正な保管など取扱いについての ルールを明確にしておくことをおすすめします。 参考|厚生労働省『事業場における労働者の健康情報等の取扱規定を策定するための手引き』 健康診断を実施しなかったときの企業リスク 健康診断の未実施や、従業員に健康診断の結果を通知しない、 健康診断の結果を保管していないときは、 それぞれ50万円以下の罰金が課される可能性があります。 また、企業の健康診断の未実施や、 実施後の措置を怠った結果で労働災害が発生したり、 従業員の疾病を悪化させたときは、企業は安全配慮義務違反を問われる可能性もあります。 健康診断を拒否する従業員がいたときは 従業員は健康診断の受診を拒否することはできません。 新型コロナウイルス感染症への感染の懸念から、 健康診断の受診を拒否したいと申し出る従業員が出ることも考えられます。 健康診断を実施する機関は換気や消毒などの感染防止対策に務めていること、 従業員自身の健康管理・健康保持などに必要であるなど、 健康診断の趣旨を説明し受診を促してください。 それでも健康診断の受診を拒否するときは、 拒否理由などを書面(任意書式)で提出してもらってください。 就業規則に健康診断の受診がないときは懲戒処分するなどのルールがあれば、 就業規則に沿って処分できます。 健康診断実施後の措置とは 健康診断実施後の企業の対応は以下のとおりです。 1 健康診断結果に基づく健康診断個人票の作成、保存 健康診断個人票とは、健康診断結果を個人ごとに記録した書類です。 法令等では、企業には健康診断個人票の作成義務があり、 5年間の保存が求められています。 医療機関から受け取る企業保管用の健診結果によっては、 健康診断個人票の記載項目を満たしている様式になっており、 個人票とすることができます。 様式については、こちらよりダウンロードください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『労働安全衛生規則関係様式』健康診断個人票 2 医師等の意見聴取と就業上の措置 健康診断の結果、異常の所見のあると診断された従業員については、 医師に就業に関する意見を聞く必要があります。 医師は、「通常勤務・就業制限・要休業」のいずれかの判断を行います。 「就業制限・要休業」とされた従業員に対しては、 実情を考慮し、必要な措置を講じなければなりません。 【健康を保持するために必要な措置の例】 ・就業場所や職務内容の変更 ・労働時間の短縮(時間外・休日労働の制限や禁止、就業時間の制限など) ・深夜業の回数の減少 など 健康診断結果に基づく医師の意見聴取は、 従業員の健康状態と作業内容などを把握している産業医に意見を聞くことが適当です。 産業医の選任義務のない従業員数50人未満の企業では、 労働基準監督署の管轄ごとに設置されている地域産業保健センターで、 無料で医師の意見聴取を受けることができます。 (出典)厚生労働省 愛知労働局『労働安全衛生法の定める健康診断事後措置等のあらまし』 3 健康診断結果の通知 健康診断を受けた従業員に、健康診断の結果を渡します。 異常の所見の有無にかかわらず、必ず従業員へ渡さなければなりません。 健康診断の結果は要配慮個人情報になりますので、 渡し間違いがないよう注意してください。 4 医療機関の受診、保健指導、二次健康診断の勧奨 健康診断の結果、「異常の所見」があると診断されることがあります。 異常の所見とは、 医師から「要医療等」「要再検査、精密検査」などの判定をされることです。 健康診断結果をみて、異常の所見があるときは、 医療機関の受診や保健指導をすすめてください。 また、健康診断の結果、 脳・心臓疾患に関連する次の4項目すべてにおいて異常の所見があるときは、 脳・心臓疾患の状態を把握するために必要な 二次健康診断や保健指導を受けることができます。 4項目のうち、異常なしと診断された場合でも、産業医等の意見により対象となることがあります。 ①血圧検査 ②血中脂質検査 ➂血糖検査 ④腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定 労災保険の「二次健康診断等給付」の提出をすることで、 企業や本人の費用負担は発生しません。 二次健康診断の健診は義務ではありませんが、 脳・心臓疾患の予備軍になっている可能性がありますので、 二次健康診断の対象になっている従業員がいるときは健診をすすめてください。 二次健康診断の詳細については、厚生労働省の以下のパンフレットをご覧ください。 参考|厚生労働省『二次健康診断等給付の請求手続』 健康診断結果に基づく保健指導は、 受診した病院の医師や産業医のほか、 産業医の選任義務のない従業員数50人未満の企業については、 地域産業保健センターを活用できます。 5 管轄の労働基準監督署長への報告(従業員数50人以上の企業のみ) 従業員数50人以上の企業は、定期健康診断を実施したあと、 管轄の労働基準監督署へ定期健康診断結果報告書を届出する必要があります。 届出様式:定期健康診断結果報告書 添付書類:なし 届出先:管轄の労働基準監督署 届出方法:郵送または持参 参考・ダウンロード|厚生労働省『定期健康診断結果報告書』 まとめ 従業員の健康管理や、健康保持増進の取組みは、 従業員の活力向上や生産性向上など、組織の活性化を実現します。 厚生労働省では、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」としています。 新型コロナウイルス感染症の影響等により健康診断実施機関の予約が取れないなど、 法令等で定められている期日までに健康診断実施が困難なこともあります。 健康診断を確実に実施できるよう、実施計画を立てることもおすすめです。

  • 2022年度、最低賃金は過去最高の引き上げとなる予定です。

    最低賃金には、都道府県ごとの物価等に合わせて定められる「地域別最低賃金」と、特定の産業で定められる「特定最低賃金」の2種類があります。 今回の記事は、毎年改定が行われている地域別最低賃金についてです。 先日、2022年度の地域別最低賃金の引上げ額が、地域によって30円~33円になる予定であると発表されました。 正式な公示はまだ先ですが、改定日については10月1日から10月中旬の間に順次発表される予定です。 その他、47都道府県の地域別最低賃金の答申状況は以下をご確認ください。 参考|厚生労働省『令和4年度 地域別最低賃金 答申状況 』 2022年度の全国加重平均額は31円で、過去最高の引き上げ額となり、大変注目が集まっています。 全国加重平均額とは、都道府県ごとの労働者数×地域最低賃金で計算した、全国の合計を総労働者数で割った額です。 ◆最低賃金とは 最低賃金とは、法令で定められている、労働に対して支払わなければならない1時間あたりの最低限度の賃金をいいます。 企業は、正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、すべての従業員に最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。 最低賃金を下回る賃金を支払っていたときは、50万円以下の罰金が課せられることもあります。 ◆最低賃金に含まれる賃金とは 月給制や月額手当があるときは、1時間あたりの賃金を計算し、最低賃金を上回っているかを確認する必要があります。 最低賃金の計算に含まれる賃金は、従業員に毎月決まって支払われる基本給や各種手当です。 ただし、以下の賃金は最低賃金の計算から除外されます。最低賃金と残業代とでは含める賃金が異なりますのでご注意ください。 【最低賃金から除外される賃金】 ①慶弔手当など臨時的に支払われるもの②賞与 ➂残業手当(固定残業代)、休日手当、深夜手当 ④精皆勤手当 ⑤通勤手当 ⑥家族手当 1時間あたりの賃金計算は、残業代の計算にも使用しますが、残業代の賃金計算のときは、④を含めます。 また、④~⑥の賃金について、従業員に一律で支給しているときは最低賃金と残業代いずれの賃金にも含めます。 (例) ・遅刻、早退、欠勤などがあっても精皆勤手当を満額支給(減額なし)している ・扶養家族がいる、いないにかかわらず家族手当を支給している など ◆最低賃金で企業がおさえておく3つのポイント 1 最低賃金の発行(改定)年月日をまたぐ勤務について 3交代勤務制などでは、夜勤シフトの従業員が最低賃金の改定日をまたいで勤務することがあります。 最低賃金は、都道府県ごとの発行(改定)年月日以降に勤務する給与から適用します。 そのため、最低賃金の改定日をまたいで勤務をしたときは、0時より新しい最低賃金の適用となるように給与を計算してください。 (例)勤務日:9月30日 勤務時間:21:00 ~ 翌朝5:00 最低賃金改定日:10月1日 改定前の最低賃金を適用する時間:21:00 ~ 0:00 改定後の最低賃金を適用する時間:0:00 ~ 5:00 2 遠方で自宅テレワークする従業員の最低賃金について インターネットの普及や新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の所在地から離れた自宅でテレワーク勤務している従業員もいます。 最低賃金の適用は事業場の場所によって決まりますが、事業を行う独立性を有する一つの事業場と認められないときは、所属する事業場の所在地を対象と考えます。 そのため、自宅でテレワーク勤務を行う従業員に適用する最低賃金は、テレワークを行う場所がどこかにかかわらず、テレワーク勤務を行う従業員の所属する事業場の所在地がある都道府県になります。 (例)企業の所在地:大阪府 テレワーク勤務者の自宅:沖縄県 最低賃金の適用:大阪府の最低賃金 3 毎月、所定労働時間が変動する場合の月給者の最低賃金の計算方法について 暦日数の関係やシフト制、変形労働時間制を適用している場合など、1か月の所定労働時間が変動することがあります。 月給者の最低賃金は、1年間における1か月の平均所定労働時間を使い計算してください。 また、1か月の平均所定労働時間に少数点以下の端数がでたときは、端数の切り上げ・切り捨てを行わず、計算の結果算出された時間を使って最低賃金を計算します。 ◆最低賃金の減額の特例許可制度とは 最低賃金には、特定の従業員について最低賃金を下回る賃金を支払うことができる減額の特例許可制度が定められています。 申請先は、管轄の労働基準監督署です。 減額できる対象者は以下になります。 ・精神または身体の障害により著しく労働能力が低い者 ・試の使用期間中の者 ・基礎的な技能および知識を習得させるための職業訓練を受ける者 ・軽易な業務に従事する者 ・断続的労働に従事する者 いずれも一定の条件を満たす必要があります。また、許可は、対象となる従業員の労働条件を特定してから行いますが、最低賃金をどこまで減額ができるかは、それぞれ異なります。以下のサイトに対象ごとのリーフレットがありますので参考にしてください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領』 減額を検討するときは、事前に管轄の労働基準監督署へご相談ください。 ◆業務改善助成金(通常コース)の活用 事業場内の賃金の引き上げに伴い、生産性の向上の効果が認められる設備などを導入したときに経費の一部が助成されます。 賃金の引き上げによって助成率が異なり、30万円〜最大600万円支給されます。 (出典)厚生労働省『令和4年度 業務改善助成金(通常コース)のご案内』 ◆業務改善助成金(通常コース)の対象と流れ 業務改正助成金は事業場ごとに申請をします。 事業場とは企業全体ではなく、本社、支社、店舗など一定の範囲で業務を独立して行っている場所です。 業務改善助成金の対象や申請の流れは以下の通りです。 【対象事業場】 対象となる事業場は以下のすべてを満たす必要があります。 ・地域別最低賃金と事業場内最低賃金の差が30円以下 ・申請時点での事業場規模が100人以下 ・以下の表のいずれかに該当する中小企業 (出典)厚生労働省『申請マニュアル』P3 【対象となる経費】 生産性や労働能率向上の効果が認められる以下の設備などです。 (出典)厚生労働省『申請マニュアル』P6 【賃金引上げの対象労働者】 入社から3か月経過している従業員 【申請期限など】 業務改善助成金は、交付申請(計画書)以外にも報告などが必要です。 (出典)厚生労働省『令和4年度 業務改善助成金(通常コース)のご案内』 1 交付申請(計画書の提出) 2023年1月31日 どのような設備を導入するのか、どの従業員にいくら賃金を引き上げるかなど、期間を決めて計画書を提出します。 ※申請期限内に予算がなくなったときは、申請を早めに打ち切られることがあります。 ※設備などを導入する1か月前までには提出をしてください。 2 事業実施報告(計画書の報告) 以下のいずれか早い方です。 a. 計画完了後1か月以内 b. 2023年4月10日 ※1の交付申請時に届出した計画の完了後1か月以内になります。 3 支払請求書 事業実施報告書を提出後、労働局で審査を行い助成額を確定します。 その後、企業へ交付額確定通知書が届きます。 受け取り後は速やかに支払請求書を労働局へ提出します。 提出後、労働局より助成金が支給されます。 【業務改善助成金の届出・相談先】 業務改善助成金は、就業規則の変更も必要になります。 導入する設備などが対象になるかどうかも含め、申請を検討されるときや助成金に関する不明点があるときは、業務改善助成金コールセンターへお問合せください。 (出典)厚生労働省『令和4年度 業務改善助成金(通常コース)のご案内』 業務改善助成金の申請先は、各都道府県労働局の雇用環境・均等室です。 (出典)厚生労働省『申請マニュアル』P9 ◆まとめ 最低賃金の引き上げにより賃金が上がると、労働保険料(労災保険、雇用保険)、社会保険料(健康保険、厚生年金保険)の負担も増えます。 どのくらい負担が増えるのか早めに確認をして、対策を検討してください。 また毎年、労働基準関係法令違反での送検や、企業名の公表が行われています。 公表されている中には「賃金が最低賃金以上の金額で支払われておらず行政指導に応じない」などの事案もあります。 今回の記事を参考に、最低賃金が適正に支払われるようにご対応ください。

  • 障がい者雇用が増えている今、企業が対応すべきこと。

    厚生労働省では、毎年「障害者雇用状況」の集計を行っています。 障害者雇用はすべての企業規模で増加しています。法令等では従業員数に応じて一定数の障害者雇用を義務づけしていますが、2021年6月1日時点で企業の達成割合は47%です。 障害者雇用の増加により、2021年度にハローワークに寄せられた合理的配慮の提供に関する相談件数は増加(前年度比:6.8%増)していますが、障害者差別に関する相談は減少(前年度比:20.3%減)しています。 ◆企業を取り巻く障害者雇用の環境 従業員が一定数以上いる企業は、法令等で定められた従業員数に占める障害者の割合(法定雇用率)以上の雇用義務があります。 障害者を募集・採用するときや雇用時にはルールを守り、障害を理由に他の従業員との「差別」が行われないようにしなければなりません。 【募集・採用について】 募集・採用時には、障害を理由に求人への応募を認めない、業務上必要でない条件をつけて障害者に応募機会を与えないなどの差別的な行為は禁止されています。 障害がある、ないにかかわらず、募集・採用では均等な機会を与えなければいけません。 障害を理由に応募を断ったり、採用基準を満たしている中から障害がない人を優先的に採用を行うことなども、均等な機会を与えているとはいえず、障害について差別的な取り扱いをしていることになります。 【採用後について】 障害を理由に、業務上必要な能力を適正に判断せず、賃金、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などの待遇で他の従業員と異なる差別的取扱いをすることは禁止されています。 採用後に差別と考えられる事例は以下になります。 ・障害を理由に賞与を支給しない ・障害を理由に昇格をさせない ・業務遂行能力等に沿って判断せず、障害を理由に障害者のみ配置転換を実施 ・業務遂行能力等にかかわらず障害を理由に雇用形態の変更(正社員から契約社員など) ・障害を理由に労働契約の更新をしない ・昇給にあたり障害者のみ試験を実施 など 業務を行う上での必要な能力や知識、技術などを適切に判断しなければいけません。 【法定雇用率】 2021年3月1日以降、民間企業の法定雇用率は2.3%です。従業員数43.5人以上雇用している企業は障害者を1人以上雇用しなければなりません。 法令等で定められた法定雇用率に含まれる障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者です。他の障害者については法定雇用率に含められません。 業種によっては障害者雇用が難しいケースもあるため、一定の業種(建設、運送業、医療業など)には法令等で除外率が定められています。 従業員数が100人を超える企業が法定雇用率を満たさないときは納付金(障害者雇用納付金)の支払いが発生します。 逆に法定雇用率を超えているときは超えている人数に応じて給付金(障害者雇用調整金)が支給されます。給付金は申請が必要です。 詳細については以下を参考にしてください。 参考|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構『事業主の皆様へ 令和4年度版ご案内』 ◆障害の特性は様々 【法定雇用率】 障害の特性は様々で、先天性だけではなく後天的に障害者になることもあります。 脳梗塞などが原因の運動障害や高次脳機能障害や、腎臓、膀胱、直腸などの内臓器官の機能が通常のように働かない内部障害、緑内障による視覚障害などがあります。 どのような障害があるのかは、見た目ではわからないこともあります。 また障害の特性や等級などが同じでも、個人ごとの状況は異なります。 そのため企業は、採用や募集、採用後に必要な措置(合理的配慮)を講じなければなりません。 【合理的配慮とは】 募集や採用時に、障害者とそうでない人との均等な機会を保つための措置です。採用後、業務を行う上で支障になっている事情を確認し、支障を取り除いて能力を発揮してもらえる措置が必要です。措置は特性に応じて話合いで決めますが、企業に過重な負担(費用面や、施設の状況上設置が難しい設備など)がない範囲で実施をします。 (募集・採用時の措置例) ・労働条件を読み上げる ・質疑応答時間を長くする ・入社試験の時間を長くする ・面接試験の場所がわかるよう入口に目立つ物を置く など (採用後の措置例) ・時差出勤を認める ・社内レイアウトの変更 ・危険箇所が目立つようにシールを貼る ・柔軟な休憩・休暇の取得 など 障害者の雇用や、設備の購入などは、助成金の対象になることがあります。 雇入れや継続雇用を目的とする助成金の窓口は、都道府県労働局やハローワークです。設備や障害者支援を目的とする助成金の窓口は、独立行政法人 高齢・障害・求職者支援機構となり、異なるので注意が必要です。 ◆障害者雇用を進める上で行うこと 障害者雇用を進めるためには、準備が必要です。 障害者雇用についての相談や課題の分析などは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の地域障害者センター(各都道府県にあります)で行われています。 (相談例) ・障害の特性の理解 ・個人情報の保護 ・社内研修 ・担当者の選定 ・相談窓口の設置 ・就業規則の整備(賃金体系含む) など 相談先は、以下になります。 参考|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構『地域障害者職業センタ―』 ◆合理的配慮に必要な設備など助成金があります 障害者の雇用や、設備の購入などは、助成金の対象になることがあります。 雇入れや継続雇用を目的とする助成金の窓口は、都道府県労働局やハローワークです。 設備や障害者支援を目的とする助成金の窓口は、独立行政法人 高齢・障害・求職者支援機構となり、異なるので注意が必要です。 障害者雇用でよく使われているのは以下の助成金です。 【特定求職困難者雇用開発助成金】 原則ハローワーク経由で障害者を雇用したときに対象になる助成金です。6か月ごとに申請を行います。申請書類はハローワークから企業へ郵送で届きます。 受給額は80万円(30万円)〜240万円(100万円)※です。 ※( )は中小企業以外の企業に対する受給額です。 合理的配慮やバリアフリーのための設備の導入などに使える助成金は以下になります。内容に応じて細かく分かれており、表記以外の助成金もありますので、検討されるときは助成金窓口へご相談ください。 参考|厚生労働省サイト『事業主の方のための雇用関係助成金』 助成金は細かな要件がありますので、進めるときは助成金窓口へご相談ください。 (雇用に関する助成金窓口) 参考|雇用関係各種給付金申請等受付窓口一覧 (設備等に関する助成金窓口) 参考|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 都道府県支部 ◆最低賃金の減額申請ができます 最低賃金は原則雇用形態(正社員、パートなど)にかかわらず事業場で働くすべての従業員に適用されますが、障害が業務遂行に直接支障を与えるときなどは、最低賃金の減額申請(特例許可申請)が認められることがあります。ただし支障が軽度のときなどは認められません。 手続きは所定様式(精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者の最低賃金の減額の特例許可申請書(様式第1号))に必要事項を記載の上、管轄の労働基準監督署へ提出をしてください。 詳細については、管轄の労働基準監督署または社会保険労務士へご相談ください。 参考|厚生労働省『最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領』 ◆まとめ 合理的配慮は障害者の方が能力を発揮するための対策に見えますが、他の従業員の働きやすさにつながったり、負担が軽減されるなど、副次的なメリットが生まれるケースもあります。 障害をひとつの個性とみなせば、少しの配慮やサポートで能力を発揮してもらえ、継続勤務も可能になります。少しの配慮やサポートは、お互いを助け合える職場環境づくりにおいても大切なことです。 採用を検討されるときは、ハローワークに専門の窓口がありますのでご相談ください。

  • 新型コロナウイルス感染症の欠勤、休業の取扱い

    新型コロナウイルス感染症に感染して仕事ができないときは、傷病手当金の支給対象になります。 傷病手当金とは、業務外の理由による病気やケガで仕事ができず、企業から給与の支払いがないときに、健康保険から生活保障として支給される手当です。 支給を受けられるのは、休業している期間が4日以上あるときです。 欠勤した日から最初の3日間(待期期間)は支給されず、4日目から支給されます。 支給額は以下の計算式で算出した額になります。 【傷病手当金の支給額の計算】 この記事では、協会けんぽの傷病手当金について記載しています。 協会けんぽ以外の健康保険に加入されているときは、加入されている健康保険の窓口へお問合せをお願いします。 また、国民健康保険には傷病手当金の制度はありませんが、給与の支払いを受けている方(事業主、無職などの方は対象外)を対象に、新型コロナウイルス感染症に限り傷病手当金を期限つきで支給している市区町村があります。 該当するときはお住まいの市区町村へお問合せください。 傷病手当金の申請には「医師の証明」は必要なのか 傷病手当金を申請するときは、仕事ができない状態であったことを医師に証明してもらわなければなりません。 しかし、新型コロナウイルス感染症に感染しているときや発熱などの自覚症状があるときに、ホテル療養や自宅待機等で医療機関を受診できないときは、医師の証明の代わりに保健所が発行する待機期間の証明書や事業主の証明などで申請できるようになっています。 協会けんぽの支部によって、証明書のひな形や対応が異なることがあります。 医師の証明を発行してもらえない状況のときは、事前に協会けんぽへ相談されることをおすすめします。 参考|全国健康保険協会サイト『都道府県支部』 濃厚接触者で陰性のとき、傷病手当金は支給されるのか 濃厚接触者で陰性のときは、傷病手当金は支給されません。 傷病手当金は業務外での疾病により仕事ができないときに支給される制度のためです。 支給の対象になるかどうかは以下の図を参考にしてください。 【新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金について】 (出典)全国健康保険協会 神奈川支部『新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金について』 新型コロナウイルス感染症関係の傷病手当金支給について、厚生労働省からQ&Aが発表されています。具体的なケースの記載がありますので、状況にあわせて内容をご確認ください。 参考|「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」 の改訂について 待機期間が変更 新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者は、感染者と最終接触した日から7日間(8日目解除)ですが、4日目及び5日目に薬事承認された抗原定性検査キットを用いた検査で陰性を確認した場合は、社会機能維持者であるか否かに関わらず、5日目から解除が可能です。 新型コロナウイルス感染症感染症の支援 新型コロナウイルス感染症に関する国からの支援が、多岐にわたり準備されています。内閣官房サイトでは、支援内容や問い合わせ先の情報が随時更新されているので、最新の情報をご確認ください。 参考|内閣官房サイト『新型コロナウイルス感染症に伴う各種支援のご案内参考』 会社の休業手当の支払いについて 新型コロナウイルス感染症の「感染の疑い」「濃厚接触者の疑い」となる役員や従業員が出たとき、会社が自宅待機や休業を命じるケースがあります。 職場の安全確保や感染予防のために取った措置だとしても、従業員に対して休業手当の支払が発生します。 【休業をしたときの休業手当の支払い】 会社が行う対応 誰もが新型コロナウイルス感染症に感染する可能性、濃厚接触者になる可能性があります。感染者や濃厚接触者になると待期期間は出社できなくなるケースが出てくるので、待機期間中の対応を事前に検討しておくことをおすすめします。 【対応例】 ・テレワークの導入 ・定期的にPCR検査を実施 ・休業中の連絡方法 ・業務の引継ぎ方法 など まとめ 新型コロナウイルス感染症に感染する方は増加傾向にあり、それに伴い濃厚接触者も増えています。新型コロナウイルス感染症に感染していても無症状な方もいます。 会社の対応として、定期的に従業員にPCR検査を実施することは無症状者の早期発見につながり、新たな感染を防ぐことにもつながります。 従業員が出社できなくなることを想定して、早めに業務の見直しや感染者が出たときの対応を決めておくことをおすすめします。

  • 新卒採用と、採用内定後に求められる企業対応。

    新卒採用のメリットは若手労働力の確保だけではありません。 地域特性を活かし、企業の魅力を伝える採用活動を行えば、企業文化の継承や組織活性化をはかることも可能です。 専門性を重視する業種では、高等専門学校生や専門学校生など、実践的分野に特化した学生を率先して採用する企業もあります。 今回は、新卒採用の募集・採用・内定後の対応を行ううえで、企業が求められる措置やポイントについてお伝えします。 ◆新規採用時の募集から入社までの流れ 新卒採用では、求める人物像や採用人数などの新卒採用計画から始まります。 その後、求人票での募集、学生の応募、採用選考、内定者を決定、入社手続き、というステップが一般的です。 おおまかな流れを整理しました。 【検討する】新卒採用計画をもとに求人票を作成 【募集する】ハローワークや採用サイトでの求人票公開、企業説明会の実施 【選考する】面接などの採用選考 【内定する】応募者の中から内定者の確定、通知、承諾 【準備する】入社までの手続きのやりとり、入社前研修などの実施 【入社する】入社 【募集する】について、大学等(大学、短大、高等専門学校、専修学校等)では3月頃から採用サイト運用や企業説明会の実施が始まり、高校生については6月からハローワークでの求人票受付が開始されます。 新卒採用を検討される場合は、2月頃から次年度の採用計画を立てることをおすすめします 。 また、高校生の採用には独自のルールがあります。 たとえば求人票はハローワークでの受付が必要で、選考開始から一定期間は、1人1社制の応募・推薦となっています。求人票は、通常の様式と異なり「求人申込書(高卒)」を使います。 参考・ダウンロード|厚生労働省 高卒就職情報WEB提供サービス『求人申込書(高卒)』 参考・ダウンロード|厚生労働省 高卒就職情報WEB提供サービス『求人申込書(高卒)の書き方のポイント』 ◆募集・選考で企業に求められる措置 1 募集時の労働条件明示と取得する個人情報の取扱い 企業は、学生が適切に職業選択を行い、安定的に働くことができるように、労働条件などを文書で明示しなければなりません。 業務内容などは平易な言葉で的確に表示するほか、虚偽や誇大な内容になっていないか注意が必要です。 また、法令等では、応募者からの個人情報の収集・保管・使用については、募集業務等の目的達成に必要な範囲内で行わなければならないと決まっています。 (出典)厚生労働省『公正採用選考啓発リーフレット』 最近は、応募はエントリーシートで入力するなど応募書類のデジタル化も進んでいます。 いずれにしても、多くの個人情報が記載されているため、個人情報保護法も適用されます。採用者だけでなく、不採用者や応募辞退者から取得した個人情報についても、適正な取扱いを行ってください。 2 求められる公正な採用選考 公正な採用選考を行うことは、新卒採用にかぎったことではありません。ポイントは、応募について広く門戸を開き、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。 (出典)厚生労働省『公正採用選考啓発リーフレット』 面接時に場を和ませるつもりで聞いた質問も、応募者の基本的人権を侵害する行為や職業差別となることもあるのでご注意ください。 3 採用活動前のインターンシップ 学生と社会での経験を結びつけるキャリア形成支援のひとつに、職場体験ができるインターンシップがあります。 採用活動前に職業への理解を深め、優秀な人材の発掘が行えることや、仕事内容や職場の雰囲気を感じてもらうというメリットから、積極的に実施している企業もあります。 (出典)厚生労働省『『働くこと』と『労働法』~大学・短大・高専・専門学校生等に教えるための手引き~』P82 直接生産活動に従事するなど、インターンシップ中の活動が企業の利益に繋がり、企業と学生との間に使用従事者関係が認められるときは、労働基準法などの法令が適用されます。 活動内容が労働に該当するかなど不明な点がある場合は、社会保険労務士やハローワークにご相談ください。 参考|厚生労働省『『働くこと』と『労働法』~大学・短大・高専・専門学校生等に教えるための手引き~』P91 4 採用活動やインターンシップ中のハラスメント行為 国は、採用活動やインターンシップ中の言動でハラスメントになる可能性のある行為について、企業や学生に注意を促しています。SNSへの書き込みによる炎上などが企業経営を脅かすこともありますので、採用活動中の学生への言動は気を付けてください。 参考|厚生労働省『就職活動やインターンシップ中のハラスメントに関するお悩みは都道府県労働局にぜひご相談ください!』 ◆内定とは 募集があれば、採用選考を進めて採否を行い、内定者を決定します。内定者が決定したら、応募者に対し内定を通知し承諾を得ます。 新卒採用においての内定とは、企業の採用に応募した労働者と企業が、卒業後に入社を約束する契約をすることです。これを解約権留保付きの労働契約といいます。 解約権留保付きの労働契約は、卒業できなかったり、内定以前に採用に関わる情報を知ることができなかったときなど、通常の解雇のように「合理的な理由かつ社会通念上相当」な事由がなければ解約できません。 解約権留保付きの労働契約を成立するために、企業は応募者に対し内定決定後、書面で労働条件を明示します 。また、応募時の労働条件に変更や削除があるときは、本人に説明し合意が必要です。応募者の内定承諾は口頭でも構いませんが、承諾の意思を明確にするために内定承諾書を書面で提出してもらいます。 以下のようなとき、内定から入社日までの期間、解約権留保付きの労働契約が成立していないとみなされることがあるため、ご注意ください。 【解約権留保付きの労働契約が成立していないとみなされる例】 ・入社後の労働条件を明示していない ・内定通知に対し、内定承諾の意思表示が明確に行われていない ・企業が入社に向けた手続きを行わず、応募者も入社の誓約をしていない など 参考|厚生労働省『採用内定時に労働契約が成立する場合の労働条件明示について』 学生にとっては、はじめての内定から入社までの手続きです。入社に対して不安を抱かせないためにも、企業がコミュニケーションを取りながら先導し必要書類を確実に回収してください。 【内定決定後に内定者へ通知・回収する書類】 (入社前に労働契約を成立するための書類) ・内定通知書 ・労働条件通知書 ・内定承諾書 など (内定承諾後に、入社準備として提出してもらう書類) ・雇用契約書 ・入社承諾書 ・身元保証書 ・住民票記載事項証明書 ・銀行口座申請書 ・マイナンバー ・健康診断書 ・卒業証明書(卒業見込証明書) ・必要に応じて免許や資格の証明書 など ◆採用内定後に取り消しはできるのか 採用内定者が入社日までに卒業できなかったり、内定を取り消すべき事由が判明したときは入社日前に労働契約を解消せざるを得ないケースがあります。 ただし、前述のように解約権留保付きの労働契約は「合理的な理由かつ社会通念上相当」な事由がなければ解約できません。 内定者が内定取り消しの無効を裁判で訴えたり、損害賠償請求などに発展すれば、企業のリスクにもなります。内定取り消しを検討するときは、以下を参考にしてください。 【内定取り消しするときは】 1 内定取り消しができるか、取り消し事由と内定通知書にて判断する 2 採用予定部署の変更や内定者研修の実施など、取り消しを回避できないか検討する 3 内定取り消しは、文書だけでなく極力直接伝え、納得してもらうように努力する 4 今後の内定取り消しを回避するために、採用試験や採用計画、解約事由を見直す また、内定承諾時点で、内定取り消し事由についても承諾を得ておきましょう。内定通知書や内定承諾書に、内定を取り消すべき事由について記載することをおすすめします。 【内定通知書・内定承諾書に記載する内定取消し事由の例】 ・採用の前提となる条件(卒業、免許の取得等)が達成されなかったとき ・入社日までに健康状態が採用内定時より低下し、職務に堪えられないと会社が判断したとき ・暴力団員や暴力団関係者その他の反社会的勢力と関わりがあることが判明したとき ・採用選考時の提出書類に偽りの記載、または面接時において事実と異なる経歴などを告知していたことが判明したとき ・採用内定後に犯罪や反社会的行為など信用を失う行為を行ったとき ・採用内定時には予想できなかった会社の経営環境の悪化、事業運営の見直しなどが行われたとき など ◆内定後、入社までに研修などへの参加はできるのか 内定後、スムーズに職場や業務に慣れてもらうために入社までの準備行為として、企業は内定者に対して、以下のような機会を設けることがあります。 ・施設見学 ・内定者前研修 ・入社前の食事会 など 入社までの準備行為のうち、会社の指揮命令・参加が強制される場合などは労働時間となり、賃金が発生するためご注意ください。業務に慣れてもらうために入社前にアルバイトとして働いてもらうときは、アルバイトとしての労働契約を締結する必要があります。 まとめ 今回は、新卒採用の募集から内定後の対応についてお伝えしました。 昨今、複数の内定をもらう学生が増えており、内定辞退をする学生もいます。内定辞退を防ぐために、企業は正しい募集・採用・内定後の対応を労働法に沿って行う必要があります。 また、内定を得てから入社までの学生期間に卒業旅行をする学生も多く見られます。 新型コロナウイルス感染症の影響を案じて、入社前の海外等への卒業旅行の自粛を求める企業もありますが、要請に応じないからといって内定取り消しや不利益な取扱いはできません。 自粛を要請するときは、感染に十分に注意してほしい旨を理解いただいた上で、卒業旅行の時期や場所を検討してもらうことをおすすめします。 新卒採用は、優秀な人材確保や企業のイメージアップだけでなく、社内の教育体制の見直しや働く環境の整備など、すべての従業員にメリットをもたらします。 現在、新卒採用をしていない企業も、今後の採用計画時には今回の記事を参考にして検討を進めてください。

  • 台風や豪雨など自然災害時の企業対応とは

    近年、全国各地で台風や豪雨などの自然災害が増えています。 被災地以外に事業場がある企業であっても、 自然災害で鉄道や道路等が途絶することなどにより、 原材料や製品等の流通に支障が生じ、業務に影響が出ることもあります。 また企業は、従業員が安全かつ健康に働くことができる 職場環境への配慮や対策をおこなう「安全配慮義務」を負っていますが、 台風や豪雨などの災害発生時についても同様です。 そのため、自然災害が起きたときに、 従業員の安全を第一に考え休業を指示するケースもあります。 そして災害直後に業務量が急増したり、 従業員本人が被災し給与面で相談を受けるケースなども想定しておくべきです。 今回の記事では、自然災害が起きたときに考えられる企業対応についてお伝えします。 ■自然災害が起きたときの出勤判断について 自然災害が起きたときの出勤では、 企業の判断で自宅待機や休業を命じるケースと、 本人の判断で出勤しないケースがあります。 地震など発生タイミングが予測できない自然災害もありますが、 台風や豪雨などはニュースなどの情報から 事前に自然災害の可能性を把握できることもあります。 そのため、事前もしくは災害直後に従業員へ企業方針を迅速に伝えるためにも、 災害時の出勤について決めておくことをおすすめします。 以下を参考にしてください。 1 企業の判断で休業をするとき 自然災害が起き、事業活動が行える状態で企業都合による休業を命じるときは、 従業員の安全確保のために取った措置だとしても、 従業員に対して平均賃金60%以上の休業手当の支払が必要です。 ただし、台風や豪雨により事業場の建物倒壊や器物破損など 施設や設備が直接的な被害を受け、 出社しても事業活動を行える状態でないときなどは、 天災事変等の不可抗力による休業となり、 企業都合の休業とは判断されず、休業手当の支払の必要はありません。 2 本人の判断で出勤しないとき 以下の例のように本人の判断で出勤しないときや 自然災害の影響により出勤できなかったときは、 休業手当の支払の必要はなく、欠勤扱いとなります。 このようなとき、本人に負担なく休む判断をしてもらうためにも、 有給休暇の取得を推奨する企業も多いです。 (例) ・通信回線の障害などにより、職場と連絡がとれず自主的に自宅にいることにした ・台風や大雨による浸水のため、職場まで行ける状態ではなかった など 自然災害は必ずしも、事業が行えないほどの影響があるとは限りません。 企業都合の休業や有給休暇取得の推奨以外の対応例についてもご紹介します。 【企業対応例】 ・災害休暇などの特別休暇を設ける ・振替休日として対応する(就業規則への記載が必要) ・時差出勤を活用をする ・テレワーク勤務を推奨する など ■従業員の安全確保や事業継続のため企業が検討しておくこと 自然災害が発生すると、通常業務が困難になります。 そのため、事前に自然災害の発生被害を想定して、 従業員の安全確保と、 速やかに事業を復旧させるための対応を検討しておくことをおすすめします。 【従業員の安全確保】 ・災害時の連絡方法(メール・SNS等)の従業員への周知 ・避難場所の把握と周知 ・事業場内の避難経路の確保 ・建物・社内設備の安全確認 ・非難訓練や必要品備蓄の見直し など 【企業の事業継続のための取組】 ・テレワークの導入 ・災害時の優先業務の選定 ・災害時の出勤者の選定 ・出勤が不可能になる可能性のある従業員の業務引継ぎ方法 ・電気、ガス、水道、通信など障害が起きた時の緊急対応 など ■自然災害後の業務量増加のときの時間外・休日労働 法令で定められている労働時間の限度時間は、 原則1日8時間、週40時間です。 企業が原則の限度時間を超えての労働や休日労働を従業員に命じるときには、 事前に届け出ている36協定で定めた 時間外・休日労働の範囲内で労働させることができます。 自然災害直後も、過重労働による健康障害を防止するため、36協定で定めた時間外・休日労働を遵守します。 しかし、例外として、企業や被災地域の被災による早期復旧のための対応や、 事業運営を不可能とさせるような施設・設備故障の修理やシステム障害復旧など、 緊急かつ臨時の必要があるときなどは、 労働基準監督署の許可を得て、時間外・休日労働の上限規制に関わらず、 必要な限度においての時間外・休日労働が認められるケースがあります。 緊急事態のため許可を受ける時間がないときには、事後の届出でもよいとされています。 例外の認定は、緊急性や必要性について個別かつ具体的に判断されます。 単なる業務の繁忙などは認められません。 災害その他避けることのできない事由に当たるかの判断については、 以下リーフレットを参考のうえ、管轄の労働基準監督署へ相談ください。 参考|厚生労働省『災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等について』 ■給与の非常時払いとは 従業員本人や従業員の家族が被災し、 住居の変更を余儀なくされる場合など、災害による急な出費が必要になることがあります。 給与は毎月一回以上、一定の期日を定めて支払いをします。 しかし、例外として、従業員が非常時の出費を必要とするときは、 給与の支払日前であってもすでに労働した分の給与を払うように法令等で定められています。 非常時のケースには、出産、疾病、結婚、長期帰郷、 そして「災害をうけたとき」があり、災害には、大雨や台風による自然災害も含まれます。 この給与の非常時払いは、 すでに行った労働に対しての給与の支払であって、 これから行う予定の労働分に対しての給与(前借り)に応じることを求めるものではありません。 ■まとめ 例年、台風は7月から10月にかけて最も多くなります。 自然災害の影響は、 全国各地、いつ、どこで起こるか分かりません。 災害時は誰しもが心理的な不安や焦りを感じます。 災害発生時に、企業の落ち着いた対応があれば、従業員も安心できるはずです。 今回の記事を参考に、災害時の企業対応について検討されることをおすすめします。

  • 労働基準監督署の調査対応について

    労働基準監督署は、労働基準法だけではなく、労働安全衛生法や最低賃金法、労災保険法など雇用にかかわる法律を担当し、調査や指導を行っています。 残業の未払いはないか、法律で定められた帳票類は正しく作成されているのか、健康診断は実施されているかなどを調査し、違反が発覚したときは企業に対して改善を行うよう是正勧告を行います。 今回は労働基準監督署の調査の1つ、定期監督について紹介します。 労働基準監督署の調査の種類 労働基準監督署の調査は4種類あり、実施後、必要に応じて企業へ改善等の是正勧告を行います。 改善等に応じず、重大・悪質な事案と判断されると司法処分(以下、送検)が行われます。 ①定期監督 年度ごとに重点課題や項目などを定めて行う調査です。 直接、企業に出向く立入調査や、資料を労働基準監督署に持参するよう求められる呼び出し調査などがあります。 ②申告監督 従業員から労働基準監督署へ、賃金の未払いや不当解雇などの申告があったときに行う調査です。 ③災害時監督 一定規模(死亡、身体障害者等級第7級以上など)の労働災害が起きたときに行う調査です。労働災害の原因や再発防止の指導を行います。 ④再監督 過去に是正勧告を受けたが労働基準監督署へ報告書を提出していない、是正勧告に従わないなど、企業の対応が悪質と判断されたときに行う調査です。 【2020年1月1日~12月31日までの各調査の実施件数】 (引用)厚生労働省『2020年労働基準監督年報』P9 調査の内容はどのように決められるのか 調査方針は年度ごとに厚生労働省が発表している「地方労働行政運営方針(以下、運営方針)」がもとになっています。 運営方針には、労働関係の重点課題や対策が記載されており、各都道府県労働局はそれらを元に雇用・失業の状況変化や多様な人材活用の促進、労災事故などを考慮し、調査の計画方針を定めます。 各労働基準監督署は、労働局の計画方針に基づき、管轄内の状況などを考慮し調査の計画を決めていきます。 2022年度に調査が入りやすい業界はどこか 運営方針では、全国的に取り組むべき重点課題のひとつである長時間労働の抑制の観点から「自動車運送業」「建設業」「情報サービス業」を勤務環境の改善対象にしています。 支援なども含め、重大な問題があると考えられるところから調査や指導が行われる可能性があります。 また、業種を問わず以下については重点課題とされています。 1 長時間労働の抑制および過重労働による健康障害防止 2 中小企業を中心とする法改正の周知および支援等 3 労働災害発生状況等に応じた労働災害の防止 労働基準監督署の是正勧告とは 労働基準監督署の調査後、法令違反があれば改善を行う「是正勧告」が書面で渡されます。 企業が是正勧告を受けたときは、改善内容を「是正報告書(任意書式)」にまとめ、労働基準監督署へ報告を行います。 是正勧告は行政指導にあたるため強制力はなく、労働基準監督署の指導に従うかどうかは企業が決められますが、従わないということは法令違反を放置している状態ということです。改善を促すための再調査の実施や、重大・悪質な事案については送検されることもあります。 司法処分(送検)されると企業名などが公表される 各都道府県労働局が、労働基準関係法令違反で公表した企業名や法令違反の内容などをまとめています。 また、送検を行った企業名、違反内容などはサイトで公表されることがあります。 公表されている中には、「36協定の延長時間を超える違法な残業」や「賃金が最低賃金以上の金額で支払われておらず行政指導に応じない」などの事案もあります。 企業名が公表されると今後の事業継続に影響が出る可能性もありますので、是正勧告を受けたときは速やかな改善をおすすめします。 (出典)厚生労働省『労働基準関係法令違反に係る公表事案』 労働基準監督署の調査時に準備するもの 労働基準監督署の定期調査は、事前に書面で企業に知らされます。 日時と当日の準備資料が指定されるので、それに沿って準備を行います。 まれに、書面の前に電話連絡があるケースや連絡なしで調査に来るケースもあります。 準備に時間がかかる、指定日時に予定があり対応ができないときは、早めに労働基準監督署に調査日時変更の相談をしてください。 当日の主な準備資料は以下になります。 ・労働者名簿 ・雇用契約書 ・出勤簿(タイムカード) ・賃金台帳 ・就業規則、諸規定 ・労使協定書(36協定など) ・年次有給休暇管理簿 ・健康診断の結果(健康診断個人票) など 「調査を拒みたい」という企業もありますが、拒めません。 調査を拒む、虚偽の陳述をする、虚偽の帳簿書類を提出するなどの行為は法令違反となり、30万円以下の罰金が科せられることもあります。 法令違反のままだと採用にも影響があります 求人者が安心して仕事を探せるよう、ハローワークは法令違反がある企業の求人を受理しないことができると法律で定められています。 これを求人不受理といいます。 ハローワークは求人の申し込みに対し、不受理の対象となる求人かどうかを確認するため、求人者に対して自己申告書を求めています。 申告の書式は決まっているので、管轄のハローワークにご確認ください。 (出典)厚生労働省サイト『改正職業安定法(求人不受理)について』 まとめ 労働基準監督署の調査や是正勧告は、法令違反などの改善を促すためです。 罰則を科すことが目的ではありませんので、是正勧告を受けた項目は改善に向けた対策を検討してください。 調査時に是正勧告の改善期日を指定されますが、期日までに改善が難しいときは事前に労働基準監督署へご相談されることをおすすめします。 是正勧告の内容の改善を行わなかったり、労働基準監督署へ是正報告(改善内容の提出など)を行わないときは、再監督(再調査)や送検されるケースもあるためです。 調査があるないに関わらず、法令違反があると採用や職場環境などにも影響がでてきます。 従業員が安心して働ける環境づくりは企業の責務です。 できるところから少しずつ対応を進めることをおすすめします。

  • 【2022年度版】7月11日までに社会保険の定時決定の届出が必要です。

    定時決定は、毎月の社会保険料の基準となる標準報酬月額を見直す1年に1回の機会です。 毎年7月1日から7月10日の間に、社会保険に加入している役員・従業員(以下、社会保険被保険者といいます)の4、5、6月に支給された役員報酬・賃金(以下、賃金といいます)を届出する定例の手続きです。 定時決定の届出には、算定基礎届という書類を使います。算定基礎届が同封された茶色の封筒が、6月初旬から中旬にかけて日本年金機構から企業宛に発送されています。 2022年の届出期限は、7月11日(月)です。 提出方法や届出様式に変更はありません。 今回の記事では、毎年1度の算定の基礎知識として、対象者や標準報酬の決定方法を改めてお伝えします。 なぜ、定時決定が必要なのか 社会保険料は、賃金に見合うよう計算されています。 しかし賃金に変動があると、実際の賃金と社会保険料の基準となる標準報酬月額に大きな差がでてくることがあります。 そのため、1年に1回見直しを行い、賃金にあった標準報酬月額を決める必要があります。 標準報酬月額は、年金額や傷病手当金などの保険給付の計算にも使われるため、正しく届出をしなければなりません。 定時決定の対象者 【定時決定の対象者】 ・7月1日に在籍している社会保険被保険者 以下の社会保険被保険者も定時決定の対象になります。 届出が漏れやすいので注意してください。 ・育児休業中の人 ・介護休業中の人 ・私傷病で休職中の人 ・70歳以上の人 ・二事業勤務者 ・出向者(賃金の支払いがあるとき) 【定時決定の対象外となる人】 ・6月に社会保険に加入した人 ・7月に随時改定(※1)する人 ・8、9月に随時改定をする予定の人(※2) ・6月30日以前に退職する人 ※1 随時改定とは、固定的賃金(基本給、諸手当など)が変更になり、標準報酬月額に2等級以上差がでたときに行う手続きです。 ※2 8、9月に随時改定をする予定の人は、算定基礎届の提出対象となりますが、届出時において随時改定が予定されているときは、算定基礎届の届出を省略できます。 参考|日本年金機構サイト『8月、9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について』 標準報酬月額の決定方法 毎年4、5、6月に支給する3か月間の賃金を報酬総額とし、報酬月額を決定します。 報酬総額に含める賃金は、支払基礎日数(※1)が1か月に17日以上ある月の賃金です。 短時間労働者で17日以上の支払基礎日数が1月もないときは、支払基礎日数が15、16日の月のみ報酬総額とします。 ただし特例適用事業所(※2)の短時間労働者は11日以上です。 届出された報酬月額は、健康保険・厚生年金保険の保険料額表に沿って標準報酬月額が確定します。確定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで適用されます。 その後、標準報酬月額に都道府県ごとの保険料率をかけることで毎月の社会保険料が決まります。 ※1 支払基礎日数とは、賃金支払が発生する労働日、有給休暇、休業日などを合計した日数です。 ※2 特例適用事業所とは、従業員数501名以上の企業です。週20時間以上から社会保険の加入が必要になります。 (出典)日本年金機構サイト 『定時決定(算定基礎届)』 【例】北海道 (出典)全国健康保険協会サイト『健康保険・厚生年金保険の保険料額表』 定時決定に含まれる賃金とは 労働に対して支払われているすべての賃金が含まれます。出張費など、実費として支給されるものは含まれません。 また、年4回以上の賞与があるときは、前年6月から7月の間に支給された賞与の総合計を12か月で割り、各月の賃金に足して定時決定を行います。 (出典)日本年金機構サイト『算定基礎届の記入・提出ガイドブック』P3,4 4、5、6月に一時帰休(休業)があるときの定時決定 新型コロナウィルス感染症の影響で、一時帰休(休業)をしている企業が未だ多くあります。休業をし、休業手当を支給しているときは、支払基礎日数および賃金に含めて定時決定を行います。 一時帰休(休業)を含めて定時決定を行ったときは、一時帰休(休業)が解消したあとに随時改定を行います。一時帰休(休業)が解消されているかどうかの判断は定時決定と随時改定で以下のように異なります。 【定時決定】 7月1日時点で休業手当の支払いが行われていない、または今後も行う予定がないとき 【随時改定】 3か月を超える間に休業がないとき なお、7、8、9月のいずれかに一時帰休(休業)による随時改定を行うときは、定時決定の対象とはなりません。詳しくは、以下の表を参考にしてください。一時帰休(休業)がある企業で書類を作成するとき、どの期間で届出を行うか判断が難しいときは、管轄の年金事務所へお問合せください。 (出典)日本年金機構サイト 『定時決定(算定基礎届)〈一時帰休による休業手当等が支給された場合の定時決定等の例〉』 定時決定の届出 定時決定の届出は以下の通りです。 届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 添付書類:なし 届出期限:2022年7月1日(金)~2022年7月11日(月) 届出先:事務センターまたは管轄の年金事務所 届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)、持参 算定基礎届に係る総括表は、2021年度から廃止されたため届出の必要はありません。 郵送のときは、日本年金機構から送付されてくる茶色の封筒に同封された返信用封筒を使って届出してください。また、電子媒体(CD・DVD)で届出をするときは、電子媒体届出書総括票の添付が必要です。 参考・ダウンロード|健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 企業で準備を行うこと 定時決定は、毎年決まった時期に必ず行う手続です。 年間の業務スケジュールに入れておくことをおすすめします。 また、届出期間が、7月1日から7月11日と短いので、6月支給の賃金が確定したら手続き準備を進めてください。 日本年金機構では、定時決定の流れについての動画も提供しています。ぜひ参考にしてください。 参考|日本年金機構サイト『令和4年度 算定基礎届事務説明動画』

  • 【2022年度版】高年齢者、障害者雇用状況報告書の提出は、7月15日が期限です。

    一定数以上の従業員を雇用している企業には、毎年6月1日時点の高年齢者、障害者の雇用状況の提出が法令等で義務づけられています。報告書の結果は厚生労働省が集計し、毎年、高年齢者、障害者の雇用状況を公表しています。 対象となる企業には、5月下旬〜6月初旬、厚生労働省(ハローワーク)より「高年齢者雇用状況等報告書」と「障害者雇用状況報告書」が郵送されています。 2022年の提出期限は、7月15日(金)です。 高年齢者、障害者雇用状況報告書の概要は以下のとおりです。 今回の記事では、各報告書について詳細を交えながら解説していきます。 【高年齢者、障害者雇用状況報告書の概要】 高年齢者、障害者雇用状況報告書はなぜ必要なのか 毎年報告される情報は、今後の高年齢者、障害者雇用のための施策検討に用いられます。 必要に応じて、ハローワークなどが企業へ助言・指導・調査を行うための基本情報として使われることもあります。 そのほか、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構へ報告書を提供し、高年齢者、障害者の雇用の安定と就業機会の確保など、働く高年齢者、障害者の総合的な支援の委託も行っています。 高年齢者雇用状況等報告書の対象企業と報告内容 届出は、常時雇用労働者(※1)が20人以上の企業が対象です。 事業所(本社、支店など)が複数あっても本社で一括して届出ができます。 【報告内容】 ・定年年齢 ・継続雇用の有無 ・継続雇用制度の状況 ・創業支援等措置(※2)の有無 ・創業支援等措置(※2)の状況 ・年齢別の常用雇用の人数 ・過去1年間の定年年齢到達者 など ※1 「高年齢者雇用状況等報告書」の常時雇用労働者とは、以下のすべてを満たしている従業員をいいます。 ①1年以上継続して雇用されている者(1年以上雇用が見込まれる者含む) ②週の所定労働時間が20時間以上の者 ※2 創業支援等措置とは、65歳以上の高年齢者について雇用継続以外で就業を確保することです。2021年4月1日より、法令等で70歳までの就業の確保が努力義務になっています。昨年の報告以降に、高年齢者の就業確保に向け新たに制度導入をされた企業は、今年の報告内容へ記載をお願いします。 【措置の内容】 ①70歳までの継続雇用制度を導入する(再雇用制度、勤務延長制度) ・ グループ会社(特殊関係事業主)や他の事業主に雇用されるものを含む ②70歳まで業務委託契約を継続的に締結する制度を導入する ③70歳まで継続的に以下のいずれかの仕事に携わることができる制度を導入する a.企業が実施する社会貢献事業 b.企業が委託、出資などをしている団体が行う社会貢献事業 報告書の様式に変更はありません。 障害者雇用状況報告書の対象企業と報告内容 届出は、常時雇用労働者(※3)が43.5人以上の企業が対象です。報告書は、事業所(本社、支店など)が複数あっても本社で一括して届出ができますが、報告書には事業所ごとの状況を記載します。 雇用している障害者が0人のときでも報告が必要です。 報告をしない、または虚偽の報告をしたときは「30万円以下の罰金」になることがあります。 【報告内容】 ・常用雇用労働者の人数 ・短時間労働者の人数 ・障害者の人数 ・障害者の法定雇用率(※4) など ※3 「障害者雇用状況報告書」の常時雇用労働者とは、週の所定労働時間が20時間以上あり、以下のいずれかに該当する従業員をいいます。 ①雇用期間の定めがない者 ②1年を超えて雇用されている者(雇用が見込まれる者含む) ③日々雇用される従業員で、雇用契約が日々更新されて過去1年を超えて雇用されている者(1年を超えて雇用が見込まれる者含む) ※4 障害者の法定雇用率とは、企業が常用雇用労働者数に対して、障害者を雇用しなければならない割合です。2021年3月1日以降の法定雇用率は2.3%となっており、常用雇用労働者43.5人以上の企業は、従業員43.5人に障害者を1人以上の割合で雇用をしなければなりません。 障害者雇用状況報告書の様式の変更点 2022年の障害者雇用状況報告書の様式が変更になっています。以下3つの項目が追加されていますのでご確認ください。 (出典)厚生労働省『令和4年から障害者雇用状況報告書の様式が変わります』 電子申請による提出がおすすめです 高年齢者、障害者雇用状況報告書は、電子申請による提出も可能です。 電子申請は、提出先であるハローワークへの郵送手続きや窓口に出向く手間がなく、入力項目の自動チェック機能もあるため報告書の記入漏れも防止できます。ぜひご活用ください。 参考|厚生労働省『高年齢者雇用状況報告の電子申請による提出』 参考|厚生労働省『障害者雇用状況報告の電子申請による提出』 報告は、助成金の制定に役立てられています 2021年4月1日から、70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務、2021年3月1日からは障害者の法定雇用率がアップされています。年齢や障害にかかわらず、能力があれば誰でも働ける職場づくりや雇用の維持拡大が企業に求められています。 企業の取り組みに応じて助成金が準備されています。 【65歳超雇用推進助成金】 定年の引き上げなどを行ったときに対象になります。 参考|厚生労働省サイト『令和4年度65歳超雇用推進助成金のご案内 』 【特定求職者雇用開発助成金】 ハローワークなどから高齢者・障害者を採用したときに対象になります。 参考|厚生労働省サイト『特定求職者雇⽤開発助成⾦ (特定就職困難者コース)』 【キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)】 有期雇用契約の障害者を正社員へ転換したときに対象になります。 参考|厚生労働省サイト『キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)』 助成金には、細かな要件があります。助成金を検討するときは事前にご相談ください。 まとめ 提出期限は7月15日(金)です。 時間があるように感じますが、すべての事業所ごとの高齢者や障害者の状況を確認し、まとめなければならないため時間がかかります。 早めの集計や電子申請の活用で、スムーズな報告ができるように準備をすすめてください。

  • 【2022年度版】 労働保険の年度更新申告書の受付開始と、変更点について

    2022年6月1日より、労働保険の年度更新申告の受付が開始されました。 年度更新とは、毎年6月1日から7月10日までの間に労働保険料を計算し、納付を行う定例の手続きです。 年度更新の申告書および納付書が、同封された緑色(青色)の封筒が厚生労働省から企業宛てに発送されています。 本年の申告・納付期限は、7月11日(月)です。 今回の記事では、年度更新の基本の情報に2022年度の変更点を盛り込みお伝えします。 労働保険の年度更新とは 労働保険は、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。 年度更新は、従業員がいるすべての企業が実施しなければならない手続きです。 前年度に従業員に支払った賃金を月ごとに集計し、業種ごとに定められた保険料を掛けて保険料を計算します。 賃金を集計する期間は、前年度4月1日から3月31日の間の支払われた賃金(支払義務が具体的に確定した賃金を含む)です。 業種によって「一元(一般的な業種)」と「二元(建築や林業など賃金だけでは労災保険料が計算しにくい、労災保険料率が複数適用されているなど)」にわかれます。 2022年度の年度更新手続の変更点 今年の年度更新に関する料率などの変更点をお伝えします。 1 2022年4月1日、2022年10月1日に雇用保険料率が引き上げになります。 ※労災保険料率は変更ありません。 雇用保険料率の適用は表を参考にしてください。 【2021年4月1日~2022年3月31日までの雇用保険料率】 【2022年4月1日~2022年9月30日までの雇用保険料率】 雇用保険二事業の保険料率(企業負担のみ)が0.5/1000引き上げられています。 【2022年10月1日~2023年3月31日までの雇用保険料率】 失業給付・育児休業給付の保険料率が4/1000(従業員・企業負担はそれぞれ2/1000)引き上げられます。従業員の雇用保険料率が10月1日から変更になります。 年度途中(10月1日)に雇用保険料率が変更になるため、給与計算のときに料率変更を失念してしまう可能性があります。 カレンダーなどに記載し、料率変更が漏れないよう対策を取られることをおすすめします。 2 申告・納付期限の延長はありません。 2022年は7月10日(日)が日曜日のため、翌日7月11日(月)が期限となっています。 3 年度更新申告書の様式は変わりませんが、申告書に雇用保険料率が記載されてきません。 年度途中に雇用保険料率が変更になるため、送付されてくる申告書の「概算・増加概算保険料算定内訳」は雇用保険料率が空欄になっています。昨年の様式では赤丸の箇所に雇用保険料率の記載がありましたが、今年はありません。 今年の年度更新は、雇用保険料率が適用される期間ごと (2022年4月1日から9月30日、10月1日から2023年3月31日) に区切って計算を行い、その合計を年度更新の申告書に記載をします。 送付されてくる封筒の中に 「令和3年度 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表/令和4年度 概算保険料(雇用保険分)算定内訳 」(青色の封用の企業は「確定保険料算定基礎賃金集計表」)が同封されています。 集計表には以下のような雇用保険料を適用期間ごとに区分して計算する表があります。こちらの表を活用しながら計算されることをおすすめします。 4 2022年度に対応した年度更新申告書支援ツールが公開 毎年、年度更新の申告書に合わせた計算支援ツールが厚生労働省から公開されます。Excelで作成されているため使いやすくなっています。ご利用は、こちらからダウンロードしてください。 参考・ダウンロード|年度更新申告書支援ツール(継続事業用) 年度更新申告書支援ツール(雇用保険用) 年度更新申告書支援ツール(建設事業用) 年度更新申告書を作成するときのチェックポイント 1 労働保険対象労働者 労働保険の対象労働者は、雇用保険と労災保険で異なります。従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計するときに、正しい対象労働者を選定しないと保険料が正しく計算できません。 【雇用保険】 雇用保険被保険者が該当します。1週間の労働時間が20時間以上かつ31日以上引き続いて雇用されることが見込まれる従業員です。 【労災保険】 時間・日数・期間を問わず、労働の対償として賃金を受けるすべての従業員が対象です。役員や事業主と同居している親族は対象外です。派遣従業員については、派遣元事業場での適用になります。 2 労働保険料の計算に含める賃金、含めない賃金 従業員の月ごとに支払う賃金には、労働保険料の計算に含める賃金と含めない賃金があります。働いている従業員に支払う賃金、手当、賞与など名称にかかわらず、労働の対償として支払うすべてのものが対象となります。 【含める賃金】 基本給、各種手当、賞与、通勤費(定期券)、休業手当 など 【含めない賃金】 役員報酬、慶弔見舞金、退職金、解雇予告手当、休業補償費 など 3 年度更新書類に同封されている申告書の確認 年度更新書類に同封されている申告書には、企業の労働保険料に関する重要な情報が記載されています。登録情報を確認してから手続を始めるようにしてください。電子申請や年度更新申告書支援ツールを使用するときは、登録情報を入力して手続を進めてください。 また、企業側で管理している情報と登録情報が異なるときは、年度更新の封筒に記載されている管轄の都道府県労働局にお問合せください。 ①労働保険番号 ②申告済概算保険料額 ③各種区分 ④保険料率(今年は「概算・増加概算保険料算定内訳」の雇用保険料率が空欄です) ⑤口座振替 有無(口座振替の申込手続が完了しているときは印字されています) ⑥電子申請対象 有無(電子申請義務化の対象となる企業は印字されています) ⑦メリット制 有無(メリット制の適用となる企業は印字されています) 年度更新を効率よく対応するために 1 登録情報の確認 年度更新は、前年度4月1日から3月31日までの従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計することから始まります。 給与ソフトで年度更新用の賃金を集計作業ができるものもありますが、入社日や退職日、雇用保険の加入有無、労働保険の対象となる賃金設定などに誤りがあると、正しい保険料計算ができません。 毎月の給与計算を確実に行うことで、急な対応にならずにすみます。 2 電子申請による申告書の提出 電子申請の利用には、前年度の情報を取り込めたり、入力チェック機能や自動計算機能を効率よく使えるというメリットがあります。提出先である労働局や労働基準監督署の窓口に出向く必要もなく、申告書記入漏れや記入ミスも防止できます。 参考・ダウンロード|厚生労働省『総務の業務改善に10万馬力の右腕を。労働保険の電子申請』 3 保険料の口座振替 口座振替に手数料はかかりません。口座振替による納付を行うことで、毎回金融機関の窓口に行く手間や待ち時間が解消されます。 また、納付漏れを防ぐことができ延滞金の心配がありません。納付期限についても、納付書で保険料を納付するよりも、保険料の引き落としに最大2か月のゆとりができます。 参考・ダウンロード|厚生労働省『労働保険料は口座振替が便利です』 まとめ 年度更新は毎年、必ずしなければいけない手続きです。 慌てないように早めに必要な情報を集めるようにしてください。 申告期限の7月11日(月)は、労働保険料の計算だけではなく、納付期限でもあります。 納付が難しいときは管轄の労働局または労働基準監督署に相談をし、分割などの対策を取るようにしてください。 期限までに納付ができず滞納の状態になると、延滞金などが発生することがありますので、計画的に手続きなどを行うことをおすすめします。

  • ストレス症状の理解と、企業のメンタルヘルス対策

    ストレスの原因はさまざまです。 ストレスとは外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことをいいます。 嫌なこと、辛いこと、しんどいことなどを連想されるかもしれませんが、楽しいことや嬉しいこともストレスの原因になります。 たとえば、社会的要因(仕事、人間関係など)、環境(天候、騒音など)、身体的要因(疾病、寝不足など)の日常生活で起きること以外にも、結婚、就職、出産、引っ越しなどの外部からの刺激もストレスの原因になり得ます。 ストレスは身近なものだと理解して、上手く付き合っていくことが大切です。 ストレスが原因で起こること ストレスを感じたとき、人は恒常性のバランスを保っているため、身体に影響がでない仕組みになっています。しかしストレスが継続的であったり、過度で急激なストレスを感じたときは恒常性のバランスが崩れ、心身や行動などに症状がでてきます。 【ストレスの症状】 不眠、腹痛、もの忘れ、集中力低下、胃腸炎、片頭痛、動悸、便秘、下痢、アトピー性皮膚炎、高血圧、めまい、不安、暴飲暴食、拒食、飲酒、ギャンブル、メンタル不調など ストレスから現れる症状はさまざまです。 症状に気づかず無理を続けると悪化する可能性があります。 周りの人の症状と比較せず、ご自身の状態を確認し、早めのセルフケアをおすすめします。 ストレスの症状への対応(セルフケア) ストレス症状への対応に必要なのは、 「ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解」 「ストレスチェックなどを活用した気づき」 「ストレスの対処」などです。 厚生労働省のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、働く人がストレス症状に対応できるようにさまざまな対策やツールが掲載されています。 ストレスから現れる症状の説明動画やこころを整えるヨガ動画、ストレスセルフチェック、チェックリストなどです。 企業向け、本人向けに分かれて掲載されていますので、サイトを参考に対応してください。 参考|厚生労働省働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』 ストレスに関係したメンタル不調を未然に防ぐ ストレスから起こるメンタル不調は、一次予防、二次予防、三次予防の3段階に分けられています。 第一次予防として、常時50人以上の従業員を雇用する事業場にはストレスチェックの実施が義務化されています。ストレスチェックは、企業が従業員のストレスの程度を把握し、従業員自身がストレスに気づけるよう促すとともに、職場環境の改善を行い、従業員がメンタル不調にならないよう未然に防止できることを目的としています。 50人未満の企業は努力義務ですが、メンタル不調を未然に防止するためにもできるだけ実施されることをおすすめします。 (出典)厚生労働省『ストレスチェック制度の効果摘な実施と活用に向けて』P3 テレワークにおけるメンタルヘルス対策 新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークを実施する企業が増えました。 テレワークの導入で 「通勤時間が節約できる」 「通勤による心身の負担が少ない」 「担当している業務に集中できる」など、 ストレス軽減につながる傾向が見られています。 その反面 「長時間労働になりやすい」 「コミュニケーションが取りづらい」など、 テレワークならではの課題もあります。 (出典)厚生労働省『こころの耳サイト テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き』 企業側も、テレワークでは対面の面談より得られる情報量が少ないなどの課題があり、メンタル不調に気づきにくいことがあります。 以下、課題解消の取組例をあげておきます。 ・サポート研修の実施 ・社内でメンタルヘルス関連の情報発信 ・相談窓口の設置 ・従業員からの職場についてアンケートやヒアリングの実施 ・定期的なオンライン面談の実施 ・雑談ができるチャットルームの作成 など (引用)厚生労働省『こころの耳サイト テレワークでのメンタルヘルス対策について』 社内でのコミュニケーションを活性化し、テレワーク中の従業員が孤立しないような取組をおすすめします。 また、テレワーク中の環境も大切です。 仕事場所の状態を確認するために「こころの耳」のサイトにチェックリストがあります。環境整備は従業員の身心の健康のために必要な要素です。 チェックリストを活用して、テレワークで働く従業員をサポートされることをおすすめします。 (出典)厚生労働省『自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)』 休職したときに支給される傷病手当金 ストレスが原因でメンタル不調になり、休職をすると、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。 傷病手当金は、労災以外の休業で仕事ができず、休業している期間が4日以上あるときに、4日目から支給されます。 最初の3日間は待機期間となり支給されません。支給額は以下になります。 【傷病手当金の支給額】 (出典)全国健康保険協会(協会けんぽ)『傷病手当金』 傷病手当金は、本人が社会保険に加入していないときは支給されません。 また、協会けんぽ以外の健康保険(国民健康保険、国民健康保険組合など)のときは、傷病手当金の制度が異なりますので、加入されている健康保険へお問合せください。 ストレスチェック等の助成金 企業がストレスチェックやメンタルヘルス対策を行うときは、助成金の対象になることがあります。助成金は「独立行政法人 労働者健康安全機構」が窓口となっています。 詳細については手引を参考にしてください。 1 心の健康づくり計画助成金 メンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき「心の健康づくり計画」を作成し、計画に基づきメンタルヘルス対策の全部または一部を実施したときに助成されます。 【対象企業】 以下のすべての要件を満たす必要があります。 ・労働者を雇用している法人および個人事業主 ・労働保険の適用事業場 ・登記上の本店または本社機能がある事業場(個人事業主は、開業届のと届出がされている事業場) 【助成額】 100,000円(1法人または1個人事業主あたり1回限り) 参考|独立行政法人 労働者健康安全機構『令和4年度版「心の健康づくり計画助成金」の手引』 2 ストレスチェック実施促進のための助成金 医師・保健師などによるストレスチェックの実施、またはストレスチェック後に、医師の面談指導などを実施したときに助成されます。 【対象企業】 以下のすべての要件を満たす必要があります。 ・中小企業 ・事業場の従業員数50名未満 ・労働保険の適用事業場 【助成額】 ①ストレスチェックの実施費用:従業員1名につき500円(税込) ②ストレスチェックにかかわる医師による活動費:1事業場あたり1回の活動につき21,500円(税込)【上限3回】 参考|独立行政法人 労働者健康安全機構『令和4年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引』 まとめ 身心に変化が現れていても、「ちょっと調子が悪いかな」「いつもの偏頭痛かな」などと捉えてしまい、気づかないうちに状態が悪化するケースもあります。 不調は本人にしかわかりません。 変化があったときは状況などを踏まえ、悪化する前にセルフケアなどを行ってください。 また従業員が安心して働ける環境づくりは、企業の責務です。 「ストレス対応は本人のみの課題」と判断し、正しい対応をしていないと、職場環境の悪化や離職、トラブルが増加する可能性があります。 従業員が安心して健康に働けるよう、ストレスについて理解を深めていただき、対応されることをおすすめします。

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