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「」に対する検索結果が140件見つかりました

  • 新型コロナウイルス感染症の欠勤、休業の取扱い

    新型コロナウイルス感染症に感染して仕事ができないときは、傷病手当金の支給対象になります。 傷病手当金とは、業務外の理由による病気やケガで仕事ができず、企業から給与の支払いがないときに、健康保険から生活保障として支給される手当です。 支給を受けられるのは、休業している期間が4日以上あるときです。 欠勤した日から最初の3日間(待期期間)は支給されず、4日目から支給されます。 支給額は以下の計算式で算出した額になります。 【傷病手当金の支給額の計算】 この記事では、協会けんぽの傷病手当金について記載しています。 協会けんぽ以外の健康保険に加入されているときは、加入されている健康保険の窓口へお問合せをお願いします。 また、国民健康保険には傷病手当金の制度はありませんが、給与の支払いを受けている方(事業主、無職などの方は対象外)を対象に、新型コロナウイルス感染症に限り傷病手当金を期限つきで支給している市区町村があります。 該当するときはお住まいの市区町村へお問合せください。 傷病手当金の申請には「医師の証明」は必要なのか 傷病手当金を申請するときは、仕事ができない状態であったことを医師に証明してもらわなければなりません。 しかし、新型コロナウイルス感染症に感染しているときや発熱などの自覚症状があるときに、ホテル療養や自宅待機等で医療機関を受診できないときは、医師の証明の代わりに保健所が発行する待機期間の証明書や事業主の証明などで申請できるようになっています。 協会けんぽの支部によって、証明書のひな形や対応が異なることがあります。 医師の証明を発行してもらえない状況のときは、事前に協会けんぽへ相談されることをおすすめします。 参考|全国健康保険協会サイト『都道府県支部』 濃厚接触者で陰性のとき、傷病手当金は支給されるのか 濃厚接触者で陰性のときは、傷病手当金は支給されません。 傷病手当金は業務外での疾病により仕事ができないときに支給される制度のためです。 支給の対象になるかどうかは以下の図を参考にしてください。 【新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金について】 (出典)全国健康保険協会 神奈川支部『新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金について』 新型コロナウイルス感染症関係の傷病手当金支給について、厚生労働省からQ&Aが発表されています。具体的なケースの記載がありますので、状況にあわせて内容をご確認ください。 参考|「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」 の改訂について 待機期間が変更 新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者は、感染者と最終接触した日から7日間(8日目解除)ですが、4日目及び5日目に薬事承認された抗原定性検査キットを用いた検査で陰性を確認した場合は、社会機能維持者であるか否かに関わらず、5日目から解除が可能です。 新型コロナウイルス感染症感染症の支援 新型コロナウイルス感染症に関する国からの支援が、多岐にわたり準備されています。内閣官房サイトでは、支援内容や問い合わせ先の情報が随時更新されているので、最新の情報をご確認ください。 参考|内閣官房サイト『新型コロナウイルス感染症に伴う各種支援のご案内参考』 会社の休業手当の支払いについて 新型コロナウイルス感染症の「感染の疑い」「濃厚接触者の疑い」となる役員や従業員が出たとき、会社が自宅待機や休業を命じるケースがあります。 職場の安全確保や感染予防のために取った措置だとしても、従業員に対して休業手当の支払が発生します。 【休業をしたときの休業手当の支払い】 会社が行う対応 誰もが新型コロナウイルス感染症に感染する可能性、濃厚接触者になる可能性があります。感染者や濃厚接触者になると待期期間は出社できなくなるケースが出てくるので、待機期間中の対応を事前に検討しておくことをおすすめします。 【対応例】 ・テレワークの導入 ・定期的にPCR検査を実施 ・休業中の連絡方法 ・業務の引継ぎ方法 など まとめ 新型コロナウイルス感染症に感染する方は増加傾向にあり、それに伴い濃厚接触者も増えています。新型コロナウイルス感染症に感染していても無症状な方もいます。 会社の対応として、定期的に従業員にPCR検査を実施することは無症状者の早期発見につながり、新たな感染を防ぐことにもつながります。 従業員が出社できなくなることを想定して、早めに業務の見直しや感染者が出たときの対応を決めておくことをおすすめします。

  • 新卒採用と、採用内定後に求められる企業対応。

    新卒採用のメリットは若手労働力の確保だけではありません。 地域特性を活かし、企業の魅力を伝える採用活動を行えば、企業文化の継承や組織活性化をはかることも可能です。 専門性を重視する業種では、高等専門学校生や専門学校生など、実践的分野に特化した学生を率先して採用する企業もあります。 今回は、新卒採用の募集・採用・内定後の対応を行ううえで、企業が求められる措置やポイントについてお伝えします。 ◆新規採用時の募集から入社までの流れ 新卒採用では、求める人物像や採用人数などの新卒採用計画から始まります。 その後、求人票での募集、学生の応募、採用選考、内定者を決定、入社手続き、というステップが一般的です。 おおまかな流れを整理しました。 【検討する】新卒採用計画をもとに求人票を作成 【募集する】ハローワークや採用サイトでの求人票公開、企業説明会の実施 【選考する】面接などの採用選考 【内定する】応募者の中から内定者の確定、通知、承諾 【準備する】入社までの手続きのやりとり、入社前研修などの実施 【入社する】入社 【募集する】について、大学等(大学、短大、高等専門学校、専修学校等)では3月頃から採用サイト運用や企業説明会の実施が始まり、高校生については6月からハローワークでの求人票受付が開始されます。 新卒採用を検討される場合は、2月頃から次年度の採用計画を立てることをおすすめします 。 また、高校生の採用には独自のルールがあります。 たとえば求人票はハローワークでの受付が必要で、選考開始から一定期間は、1人1社制の応募・推薦となっています。求人票は、通常の様式と異なり「求人申込書(高卒)」を使います。 参考・ダウンロード|厚生労働省 高卒就職情報WEB提供サービス『求人申込書(高卒)』 参考・ダウンロード|厚生労働省 高卒就職情報WEB提供サービス『求人申込書(高卒)の書き方のポイント』 ◆募集・選考で企業に求められる措置 1 募集時の労働条件明示と取得する個人情報の取扱い 企業は、学生が適切に職業選択を行い、安定的に働くことができるように、労働条件などを文書で明示しなければなりません。 業務内容などは平易な言葉で的確に表示するほか、虚偽や誇大な内容になっていないか注意が必要です。 また、法令等では、応募者からの個人情報の収集・保管・使用については、募集業務等の目的達成に必要な範囲内で行わなければならないと決まっています。 (出典)厚生労働省『公正採用選考啓発リーフレット』 最近は、応募はエントリーシートで入力するなど応募書類のデジタル化も進んでいます。 いずれにしても、多くの個人情報が記載されているため、個人情報保護法も適用されます。採用者だけでなく、不採用者や応募辞退者から取得した個人情報についても、適正な取扱いを行ってください。 2 求められる公正な採用選考 公正な採用選考を行うことは、新卒採用にかぎったことではありません。ポイントは、応募について広く門戸を開き、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。 (出典)厚生労働省『公正採用選考啓発リーフレット』 面接時に場を和ませるつもりで聞いた質問も、応募者の基本的人権を侵害する行為や職業差別となることもあるのでご注意ください。 3 採用活動前のインターンシップ 学生と社会での経験を結びつけるキャリア形成支援のひとつに、職場体験ができるインターンシップがあります。 採用活動前に職業への理解を深め、優秀な人材の発掘が行えることや、仕事内容や職場の雰囲気を感じてもらうというメリットから、積極的に実施している企業もあります。 (出典)厚生労働省『『働くこと』と『労働法』~大学・短大・高専・専門学校生等に教えるための手引き~』P82 直接生産活動に従事するなど、インターンシップ中の活動が企業の利益に繋がり、企業と学生との間に使用従事者関係が認められるときは、労働基準法などの法令が適用されます。 活動内容が労働に該当するかなど不明な点がある場合は、社会保険労務士やハローワークにご相談ください。 参考|厚生労働省『『働くこと』と『労働法』~大学・短大・高専・専門学校生等に教えるための手引き~』P91 4 採用活動やインターンシップ中のハラスメント行為 国は、採用活動やインターンシップ中の言動でハラスメントになる可能性のある行為について、企業や学生に注意を促しています。SNSへの書き込みによる炎上などが企業経営を脅かすこともありますので、採用活動中の学生への言動は気を付けてください。 参考|厚生労働省『就職活動やインターンシップ中のハラスメントに関するお悩みは都道府県労働局にぜひご相談ください!』 ◆内定とは 募集があれば、採用選考を進めて採否を行い、内定者を決定します。内定者が決定したら、応募者に対し内定を通知し承諾を得ます。 新卒採用においての内定とは、企業の採用に応募した労働者と企業が、卒業後に入社を約束する契約をすることです。これを解約権留保付きの労働契約といいます。 解約権留保付きの労働契約は、卒業できなかったり、内定以前に採用に関わる情報を知ることができなかったときなど、通常の解雇のように「合理的な理由かつ社会通念上相当」な事由がなければ解約できません。 解約権留保付きの労働契約を成立するために、企業は応募者に対し内定決定後、書面で労働条件を明示します 。また、応募時の労働条件に変更や削除があるときは、本人に説明し合意が必要です。応募者の内定承諾は口頭でも構いませんが、承諾の意思を明確にするために内定承諾書を書面で提出してもらいます。 以下のようなとき、内定から入社日までの期間、解約権留保付きの労働契約が成立していないとみなされることがあるため、ご注意ください。 【解約権留保付きの労働契約が成立していないとみなされる例】 ・入社後の労働条件を明示していない ・内定通知に対し、内定承諾の意思表示が明確に行われていない ・企業が入社に向けた手続きを行わず、応募者も入社の誓約をしていない など 参考|厚生労働省『採用内定時に労働契約が成立する場合の労働条件明示について』 学生にとっては、はじめての内定から入社までの手続きです。入社に対して不安を抱かせないためにも、企業がコミュニケーションを取りながら先導し必要書類を確実に回収してください。 【内定決定後に内定者へ通知・回収する書類】 (入社前に労働契約を成立するための書類) ・内定通知書 ・労働条件通知書 ・内定承諾書 など (内定承諾後に、入社準備として提出してもらう書類) ・雇用契約書 ・入社承諾書 ・身元保証書 ・住民票記載事項証明書 ・銀行口座申請書 ・マイナンバー ・健康診断書 ・卒業証明書(卒業見込証明書) ・必要に応じて免許や資格の証明書 など ◆採用内定後に取り消しはできるのか 採用内定者が入社日までに卒業できなかったり、内定を取り消すべき事由が判明したときは入社日前に労働契約を解消せざるを得ないケースがあります。 ただし、前述のように解約権留保付きの労働契約は「合理的な理由かつ社会通念上相当」な事由がなければ解約できません。 内定者が内定取り消しの無効を裁判で訴えたり、損害賠償請求などに発展すれば、企業のリスクにもなります。内定取り消しを検討するときは、以下を参考にしてください。 【内定取り消しするときは】 1 内定取り消しができるか、取り消し事由と内定通知書にて判断する 2 採用予定部署の変更や内定者研修の実施など、取り消しを回避できないか検討する 3 内定取り消しは、文書だけでなく極力直接伝え、納得してもらうように努力する 4 今後の内定取り消しを回避するために、採用試験や採用計画、解約事由を見直す また、内定承諾時点で、内定取り消し事由についても承諾を得ておきましょう。内定通知書や内定承諾書に、内定を取り消すべき事由について記載することをおすすめします。 【内定通知書・内定承諾書に記載する内定取消し事由の例】 ・採用の前提となる条件(卒業、免許の取得等)が達成されなかったとき ・入社日までに健康状態が採用内定時より低下し、職務に堪えられないと会社が判断したとき ・暴力団員や暴力団関係者その他の反社会的勢力と関わりがあることが判明したとき ・採用選考時の提出書類に偽りの記載、または面接時において事実と異なる経歴などを告知していたことが判明したとき ・採用内定後に犯罪や反社会的行為など信用を失う行為を行ったとき ・採用内定時には予想できなかった会社の経営環境の悪化、事業運営の見直しなどが行われたとき など ◆内定後、入社までに研修などへの参加はできるのか 内定後、スムーズに職場や業務に慣れてもらうために入社までの準備行為として、企業は内定者に対して、以下のような機会を設けることがあります。 ・施設見学 ・内定者前研修 ・入社前の食事会 など 入社までの準備行為のうち、会社の指揮命令・参加が強制される場合などは労働時間となり、賃金が発生するためご注意ください。業務に慣れてもらうために入社前にアルバイトとして働いてもらうときは、アルバイトとしての労働契約を締結する必要があります。 まとめ 今回は、新卒採用の募集から内定後の対応についてお伝えしました。 昨今、複数の内定をもらう学生が増えており、内定辞退をする学生もいます。内定辞退を防ぐために、企業は正しい募集・採用・内定後の対応を労働法に沿って行う必要があります。 また、内定を得てから入社までの学生期間に卒業旅行をする学生も多く見られます。 新型コロナウイルス感染症の影響を案じて、入社前の海外等への卒業旅行の自粛を求める企業もありますが、要請に応じないからといって内定取り消しや不利益な取扱いはできません。 自粛を要請するときは、感染に十分に注意してほしい旨を理解いただいた上で、卒業旅行の時期や場所を検討してもらうことをおすすめします。 新卒採用は、優秀な人材確保や企業のイメージアップだけでなく、社内の教育体制の見直しや働く環境の整備など、すべての従業員にメリットをもたらします。 現在、新卒採用をしていない企業も、今後の採用計画時には今回の記事を参考にして検討を進めてください。

  • 台風や豪雨など自然災害時の企業対応とは

    近年、全国各地で台風や豪雨などの自然災害が増えています。 被災地以外に事業場がある企業であっても、 自然災害で鉄道や道路等が途絶することなどにより、 原材料や製品等の流通に支障が生じ、業務に影響が出ることもあります。 また企業は、従業員が安全かつ健康に働くことができる 職場環境への配慮や対策をおこなう「安全配慮義務」を負っていますが、 台風や豪雨などの災害発生時についても同様です。 そのため、自然災害が起きたときに、 従業員の安全を第一に考え休業を指示するケースもあります。 そして災害直後に業務量が急増したり、 従業員本人が被災し給与面で相談を受けるケースなども想定しておくべきです。 今回の記事では、自然災害が起きたときに考えられる企業対応についてお伝えします。 ■自然災害が起きたときの出勤判断について 自然災害が起きたときの出勤では、 企業の判断で自宅待機や休業を命じるケースと、 本人の判断で出勤しないケースがあります。 地震など発生タイミングが予測できない自然災害もありますが、 台風や豪雨などはニュースなどの情報から 事前に自然災害の可能性を把握できることもあります。 そのため、事前もしくは災害直後に従業員へ企業方針を迅速に伝えるためにも、 災害時の出勤について決めておくことをおすすめします。 以下を参考にしてください。 1 企業の判断で休業をするとき 自然災害が起き、事業活動が行える状態で企業都合による休業を命じるときは、 従業員の安全確保のために取った措置だとしても、 従業員に対して平均賃金60%以上の休業手当の支払が必要です。 ただし、台風や豪雨により事業場の建物倒壊や器物破損など 施設や設備が直接的な被害を受け、 出社しても事業活動を行える状態でないときなどは、 天災事変等の不可抗力による休業となり、 企業都合の休業とは判断されず、休業手当の支払の必要はありません。 2 本人の判断で出勤しないとき 以下の例のように本人の判断で出勤しないときや 自然災害の影響により出勤できなかったときは、 休業手当の支払の必要はなく、欠勤扱いとなります。 このようなとき、本人に負担なく休む判断をしてもらうためにも、 有給休暇の取得を推奨する企業も多いです。 (例) ・通信回線の障害などにより、職場と連絡がとれず自主的に自宅にいることにした ・台風や大雨による浸水のため、職場まで行ける状態ではなかった など 自然災害は必ずしも、事業が行えないほどの影響があるとは限りません。 企業都合の休業や有給休暇取得の推奨以外の対応例についてもご紹介します。 【企業対応例】 ・災害休暇などの特別休暇を設ける ・振替休日として対応する(就業規則への記載が必要) ・時差出勤を活用をする ・テレワーク勤務を推奨する など ■従業員の安全確保や事業継続のため企業が検討しておくこと 自然災害が発生すると、通常業務が困難になります。 そのため、事前に自然災害の発生被害を想定して、 従業員の安全確保と、 速やかに事業を復旧させるための対応を検討しておくことをおすすめします。 【従業員の安全確保】 ・災害時の連絡方法(メール・SNS等)の従業員への周知 ・避難場所の把握と周知 ・事業場内の避難経路の確保 ・建物・社内設備の安全確認 ・非難訓練や必要品備蓄の見直し など 【企業の事業継続のための取組】 ・テレワークの導入 ・災害時の優先業務の選定 ・災害時の出勤者の選定 ・出勤が不可能になる可能性のある従業員の業務引継ぎ方法 ・電気、ガス、水道、通信など障害が起きた時の緊急対応 など ■自然災害後の業務量増加のときの時間外・休日労働 法令で定められている労働時間の限度時間は、 原則1日8時間、週40時間です。 企業が原則の限度時間を超えての労働や休日労働を従業員に命じるときには、 事前に届け出ている36協定で定めた 時間外・休日労働の範囲内で労働させることができます。 自然災害直後も、過重労働による健康障害を防止するため、36協定で定めた時間外・休日労働を遵守します。 しかし、例外として、企業や被災地域の被災による早期復旧のための対応や、 事業運営を不可能とさせるような施設・設備故障の修理やシステム障害復旧など、 緊急かつ臨時の必要があるときなどは、 労働基準監督署の許可を得て、時間外・休日労働の上限規制に関わらず、 必要な限度においての時間外・休日労働が認められるケースがあります。 緊急事態のため許可を受ける時間がないときには、事後の届出でもよいとされています。 例外の認定は、緊急性や必要性について個別かつ具体的に判断されます。 単なる業務の繁忙などは認められません。 災害その他避けることのできない事由に当たるかの判断については、 以下リーフレットを参考のうえ、管轄の労働基準監督署へ相談ください。 参考|厚生労働省『災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等について』 ■給与の非常時払いとは 従業員本人や従業員の家族が被災し、 住居の変更を余儀なくされる場合など、災害による急な出費が必要になることがあります。 給与は毎月一回以上、一定の期日を定めて支払いをします。 しかし、例外として、従業員が非常時の出費を必要とするときは、 給与の支払日前であってもすでに労働した分の給与を払うように法令等で定められています。 非常時のケースには、出産、疾病、結婚、長期帰郷、 そして「災害をうけたとき」があり、災害には、大雨や台風による自然災害も含まれます。 この給与の非常時払いは、 すでに行った労働に対しての給与の支払であって、 これから行う予定の労働分に対しての給与(前借り)に応じることを求めるものではありません。 ■まとめ 例年、台風は7月から10月にかけて最も多くなります。 自然災害の影響は、 全国各地、いつ、どこで起こるか分かりません。 災害時は誰しもが心理的な不安や焦りを感じます。 災害発生時に、企業の落ち着いた対応があれば、従業員も安心できるはずです。 今回の記事を参考に、災害時の企業対応について検討されることをおすすめします。

  • 労働基準監督署の調査対応について

    労働基準監督署は、労働基準法だけではなく、労働安全衛生法や最低賃金法、労災保険法など雇用にかかわる法律を担当し、調査や指導を行っています。 残業の未払いはないか、法律で定められた帳票類は正しく作成されているのか、健康診断は実施されているかなどを調査し、違反が発覚したときは企業に対して改善を行うよう是正勧告を行います。 今回は労働基準監督署の調査の1つ、定期監督について紹介します。 労働基準監督署の調査の種類 労働基準監督署の調査は4種類あり、実施後、必要に応じて企業へ改善等の是正勧告を行います。 改善等に応じず、重大・悪質な事案と判断されると司法処分(以下、送検)が行われます。 ①定期監督 年度ごとに重点課題や項目などを定めて行う調査です。 直接、企業に出向く立入調査や、資料を労働基準監督署に持参するよう求められる呼び出し調査などがあります。 ②申告監督 従業員から労働基準監督署へ、賃金の未払いや不当解雇などの申告があったときに行う調査です。 ③災害時監督 一定規模(死亡、身体障害者等級第7級以上など)の労働災害が起きたときに行う調査です。労働災害の原因や再発防止の指導を行います。 ④再監督 過去に是正勧告を受けたが労働基準監督署へ報告書を提出していない、是正勧告に従わないなど、企業の対応が悪質と判断されたときに行う調査です。 【2020年1月1日~12月31日までの各調査の実施件数】 (引用)厚生労働省『2020年労働基準監督年報』P9 調査の内容はどのように決められるのか 調査方針は年度ごとに厚生労働省が発表している「地方労働行政運営方針(以下、運営方針)」がもとになっています。 運営方針には、労働関係の重点課題や対策が記載されており、各都道府県労働局はそれらを元に雇用・失業の状況変化や多様な人材活用の促進、労災事故などを考慮し、調査の計画方針を定めます。 各労働基準監督署は、労働局の計画方針に基づき、管轄内の状況などを考慮し調査の計画を決めていきます。 2022年度に調査が入りやすい業界はどこか 運営方針では、全国的に取り組むべき重点課題のひとつである長時間労働の抑制の観点から「自動車運送業」「建設業」「情報サービス業」を勤務環境の改善対象にしています。 支援なども含め、重大な問題があると考えられるところから調査や指導が行われる可能性があります。 また、業種を問わず以下については重点課題とされています。 1 長時間労働の抑制および過重労働による健康障害防止 2 中小企業を中心とする法改正の周知および支援等 3 労働災害発生状況等に応じた労働災害の防止 労働基準監督署の是正勧告とは 労働基準監督署の調査後、法令違反があれば改善を行う「是正勧告」が書面で渡されます。 企業が是正勧告を受けたときは、改善内容を「是正報告書(任意書式)」にまとめ、労働基準監督署へ報告を行います。 是正勧告は行政指導にあたるため強制力はなく、労働基準監督署の指導に従うかどうかは企業が決められますが、従わないということは法令違反を放置している状態ということです。改善を促すための再調査の実施や、重大・悪質な事案については送検されることもあります。 司法処分(送検)されると企業名などが公表される 各都道府県労働局が、労働基準関係法令違反で公表した企業名や法令違反の内容などをまとめています。 また、送検を行った企業名、違反内容などはサイトで公表されることがあります。 公表されている中には、「36協定の延長時間を超える違法な残業」や「賃金が最低賃金以上の金額で支払われておらず行政指導に応じない」などの事案もあります。 企業名が公表されると今後の事業継続に影響が出る可能性もありますので、是正勧告を受けたときは速やかな改善をおすすめします。 (出典)厚生労働省『労働基準関係法令違反に係る公表事案』 労働基準監督署の調査時に準備するもの 労働基準監督署の定期調査は、事前に書面で企業に知らされます。 日時と当日の準備資料が指定されるので、それに沿って準備を行います。 まれに、書面の前に電話連絡があるケースや連絡なしで調査に来るケースもあります。 準備に時間がかかる、指定日時に予定があり対応ができないときは、早めに労働基準監督署に調査日時変更の相談をしてください。 当日の主な準備資料は以下になります。 ・労働者名簿 ・雇用契約書 ・出勤簿(タイムカード) ・賃金台帳 ・就業規則、諸規定 ・労使協定書(36協定など) ・年次有給休暇管理簿 ・健康診断の結果(健康診断個人票) など 「調査を拒みたい」という企業もありますが、拒めません。 調査を拒む、虚偽の陳述をする、虚偽の帳簿書類を提出するなどの行為は法令違反となり、30万円以下の罰金が科せられることもあります。 法令違反のままだと採用にも影響があります 求人者が安心して仕事を探せるよう、ハローワークは法令違反がある企業の求人を受理しないことができると法律で定められています。 これを求人不受理といいます。 ハローワークは求人の申し込みに対し、不受理の対象となる求人かどうかを確認するため、求人者に対して自己申告書を求めています。 申告の書式は決まっているので、管轄のハローワークにご確認ください。 (出典)厚生労働省サイト『改正職業安定法(求人不受理)について』 まとめ 労働基準監督署の調査や是正勧告は、法令違反などの改善を促すためです。 罰則を科すことが目的ではありませんので、是正勧告を受けた項目は改善に向けた対策を検討してください。 調査時に是正勧告の改善期日を指定されますが、期日までに改善が難しいときは事前に労働基準監督署へご相談されることをおすすめします。 是正勧告の内容の改善を行わなかったり、労働基準監督署へ是正報告(改善内容の提出など)を行わないときは、再監督(再調査)や送検されるケースもあるためです。 調査があるないに関わらず、法令違反があると採用や職場環境などにも影響がでてきます。 従業員が安心して働ける環境づくりは企業の責務です。 できるところから少しずつ対応を進めることをおすすめします。

  • 【2022年度版】7月11日までに社会保険の定時決定の届出が必要です。

    定時決定は、毎月の社会保険料の基準となる標準報酬月額を見直す1年に1回の機会です。 毎年7月1日から7月10日の間に、社会保険に加入している役員・従業員(以下、社会保険被保険者といいます)の4、5、6月に支給された役員報酬・賃金(以下、賃金といいます)を届出する定例の手続きです。 定時決定の届出には、算定基礎届という書類を使います。算定基礎届が同封された茶色の封筒が、6月初旬から中旬にかけて日本年金機構から企業宛に発送されています。 2022年の届出期限は、7月11日(月)です。 提出方法や届出様式に変更はありません。 今回の記事では、毎年1度の算定の基礎知識として、対象者や標準報酬の決定方法を改めてお伝えします。 なぜ、定時決定が必要なのか 社会保険料は、賃金に見合うよう計算されています。 しかし賃金に変動があると、実際の賃金と社会保険料の基準となる標準報酬月額に大きな差がでてくることがあります。 そのため、1年に1回見直しを行い、賃金にあった標準報酬月額を決める必要があります。 標準報酬月額は、年金額や傷病手当金などの保険給付の計算にも使われるため、正しく届出をしなければなりません。 定時決定の対象者 【定時決定の対象者】 ・7月1日に在籍している社会保険被保険者 以下の社会保険被保険者も定時決定の対象になります。 届出が漏れやすいので注意してください。 ・育児休業中の人 ・介護休業中の人 ・私傷病で休職中の人 ・70歳以上の人 ・二事業勤務者 ・出向者(賃金の支払いがあるとき) 【定時決定の対象外となる人】 ・6月に社会保険に加入した人 ・7月に随時改定(※1)する人 ・8、9月に随時改定をする予定の人(※2) ・6月30日以前に退職する人 ※1 随時改定とは、固定的賃金(基本給、諸手当など)が変更になり、標準報酬月額に2等級以上差がでたときに行う手続きです。 ※2 8、9月に随時改定をする予定の人は、算定基礎届の提出対象となりますが、届出時において随時改定が予定されているときは、算定基礎届の届出を省略できます。 参考|日本年金機構サイト『8月、9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について』 標準報酬月額の決定方法 毎年4、5、6月に支給する3か月間の賃金を報酬総額とし、報酬月額を決定します。 報酬総額に含める賃金は、支払基礎日数(※1)が1か月に17日以上ある月の賃金です。 短時間労働者で17日以上の支払基礎日数が1月もないときは、支払基礎日数が15、16日の月のみ報酬総額とします。 ただし特例適用事業所(※2)の短時間労働者は11日以上です。 届出された報酬月額は、健康保険・厚生年金保険の保険料額表に沿って標準報酬月額が確定します。確定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで適用されます。 その後、標準報酬月額に都道府県ごとの保険料率をかけることで毎月の社会保険料が決まります。 ※1 支払基礎日数とは、賃金支払が発生する労働日、有給休暇、休業日などを合計した日数です。 ※2 特例適用事業所とは、従業員数501名以上の企業です。週20時間以上から社会保険の加入が必要になります。 (出典)日本年金機構サイト 『定時決定(算定基礎届)』 【例】北海道 (出典)全国健康保険協会サイト『健康保険・厚生年金保険の保険料額表』 定時決定に含まれる賃金とは 労働に対して支払われているすべての賃金が含まれます。出張費など、実費として支給されるものは含まれません。 また、年4回以上の賞与があるときは、前年6月から7月の間に支給された賞与の総合計を12か月で割り、各月の賃金に足して定時決定を行います。 (出典)日本年金機構サイト『算定基礎届の記入・提出ガイドブック』P3,4 4、5、6月に一時帰休(休業)があるときの定時決定 新型コロナウィルス感染症の影響で、一時帰休(休業)をしている企業が未だ多くあります。休業をし、休業手当を支給しているときは、支払基礎日数および賃金に含めて定時決定を行います。 一時帰休(休業)を含めて定時決定を行ったときは、一時帰休(休業)が解消したあとに随時改定を行います。一時帰休(休業)が解消されているかどうかの判断は定時決定と随時改定で以下のように異なります。 【定時決定】 7月1日時点で休業手当の支払いが行われていない、または今後も行う予定がないとき 【随時改定】 3か月を超える間に休業がないとき なお、7、8、9月のいずれかに一時帰休(休業)による随時改定を行うときは、定時決定の対象とはなりません。詳しくは、以下の表を参考にしてください。一時帰休(休業)がある企業で書類を作成するとき、どの期間で届出を行うか判断が難しいときは、管轄の年金事務所へお問合せください。 (出典)日本年金機構サイト 『定時決定(算定基礎届)〈一時帰休による休業手当等が支給された場合の定時決定等の例〉』 定時決定の届出 定時決定の届出は以下の通りです。 届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 添付書類:なし 届出期限:2022年7月1日(金)~2022年7月11日(月) 届出先:事務センターまたは管轄の年金事務所 届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)、持参 算定基礎届に係る総括表は、2021年度から廃止されたため届出の必要はありません。 郵送のときは、日本年金機構から送付されてくる茶色の封筒に同封された返信用封筒を使って届出してください。また、電子媒体(CD・DVD)で届出をするときは、電子媒体届出書総括票の添付が必要です。 参考・ダウンロード|健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 企業で準備を行うこと 定時決定は、毎年決まった時期に必ず行う手続です。 年間の業務スケジュールに入れておくことをおすすめします。 また、届出期間が、7月1日から7月11日と短いので、6月支給の賃金が確定したら手続き準備を進めてください。 日本年金機構では、定時決定の流れについての動画も提供しています。ぜひ参考にしてください。 参考|日本年金機構サイト『令和4年度 算定基礎届事務説明動画』

  • 【2022年度版】高年齢者、障害者雇用状況報告書の提出は、7月15日が期限です。

    一定数以上の従業員を雇用している企業には、毎年6月1日時点の高年齢者、障害者の雇用状況の提出が法令等で義務づけられています。報告書の結果は厚生労働省が集計し、毎年、高年齢者、障害者の雇用状況を公表しています。 対象となる企業には、5月下旬〜6月初旬、厚生労働省(ハローワーク)より「高年齢者雇用状況等報告書」と「障害者雇用状況報告書」が郵送されています。 2022年の提出期限は、7月15日(金)です。 高年齢者、障害者雇用状況報告書の概要は以下のとおりです。 今回の記事では、各報告書について詳細を交えながら解説していきます。 【高年齢者、障害者雇用状況報告書の概要】 高年齢者、障害者雇用状況報告書はなぜ必要なのか 毎年報告される情報は、今後の高年齢者、障害者雇用のための施策検討に用いられます。 必要に応じて、ハローワークなどが企業へ助言・指導・調査を行うための基本情報として使われることもあります。 そのほか、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構へ報告書を提供し、高年齢者、障害者の雇用の安定と就業機会の確保など、働く高年齢者、障害者の総合的な支援の委託も行っています。 高年齢者雇用状況等報告書の対象企業と報告内容 届出は、常時雇用労働者(※1)が20人以上の企業が対象です。 事業所(本社、支店など)が複数あっても本社で一括して届出ができます。 【報告内容】 ・定年年齢 ・継続雇用の有無 ・継続雇用制度の状況 ・創業支援等措置(※2)の有無 ・創業支援等措置(※2)の状況 ・年齢別の常用雇用の人数 ・過去1年間の定年年齢到達者 など ※1 「高年齢者雇用状況等報告書」の常時雇用労働者とは、以下のすべてを満たしている従業員をいいます。 ①1年以上継続して雇用されている者(1年以上雇用が見込まれる者含む) ②週の所定労働時間が20時間以上の者 ※2 創業支援等措置とは、65歳以上の高年齢者について雇用継続以外で就業を確保することです。2021年4月1日より、法令等で70歳までの就業の確保が努力義務になっています。昨年の報告以降に、高年齢者の就業確保に向け新たに制度導入をされた企業は、今年の報告内容へ記載をお願いします。 【措置の内容】 ①70歳までの継続雇用制度を導入する(再雇用制度、勤務延長制度) ・ グループ会社(特殊関係事業主)や他の事業主に雇用されるものを含む ②70歳まで業務委託契約を継続的に締結する制度を導入する ③70歳まで継続的に以下のいずれかの仕事に携わることができる制度を導入する a.企業が実施する社会貢献事業 b.企業が委託、出資などをしている団体が行う社会貢献事業 報告書の様式に変更はありません。 障害者雇用状況報告書の対象企業と報告内容 届出は、常時雇用労働者(※3)が43.5人以上の企業が対象です。報告書は、事業所(本社、支店など)が複数あっても本社で一括して届出ができますが、報告書には事業所ごとの状況を記載します。 雇用している障害者が0人のときでも報告が必要です。 報告をしない、または虚偽の報告をしたときは「30万円以下の罰金」になることがあります。 【報告内容】 ・常用雇用労働者の人数 ・短時間労働者の人数 ・障害者の人数 ・障害者の法定雇用率(※4) など ※3 「障害者雇用状況報告書」の常時雇用労働者とは、週の所定労働時間が20時間以上あり、以下のいずれかに該当する従業員をいいます。 ①雇用期間の定めがない者 ②1年を超えて雇用されている者(雇用が見込まれる者含む) ③日々雇用される従業員で、雇用契約が日々更新されて過去1年を超えて雇用されている者(1年を超えて雇用が見込まれる者含む) ※4 障害者の法定雇用率とは、企業が常用雇用労働者数に対して、障害者を雇用しなければならない割合です。2021年3月1日以降の法定雇用率は2.3%となっており、常用雇用労働者43.5人以上の企業は、従業員43.5人に障害者を1人以上の割合で雇用をしなければなりません。 障害者雇用状況報告書の様式の変更点 2022年の障害者雇用状況報告書の様式が変更になっています。以下3つの項目が追加されていますのでご確認ください。 (出典)厚生労働省『令和4年から障害者雇用状況報告書の様式が変わります』 電子申請による提出がおすすめです 高年齢者、障害者雇用状況報告書は、電子申請による提出も可能です。 電子申請は、提出先であるハローワークへの郵送手続きや窓口に出向く手間がなく、入力項目の自動チェック機能もあるため報告書の記入漏れも防止できます。ぜひご活用ください。 参考|厚生労働省『高年齢者雇用状況報告の電子申請による提出』 参考|厚生労働省『障害者雇用状況報告の電子申請による提出』 報告は、助成金の制定に役立てられています 2021年4月1日から、70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務、2021年3月1日からは障害者の法定雇用率がアップされています。年齢や障害にかかわらず、能力があれば誰でも働ける職場づくりや雇用の維持拡大が企業に求められています。 企業の取り組みに応じて助成金が準備されています。 【65歳超雇用推進助成金】 定年の引き上げなどを行ったときに対象になります。 参考|厚生労働省サイト『令和4年度65歳超雇用推進助成金のご案内 』 【特定求職者雇用開発助成金】 ハローワークなどから高齢者・障害者を採用したときに対象になります。 参考|厚生労働省サイト『特定求職者雇⽤開発助成⾦ (特定就職困難者コース)』 【キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)】 有期雇用契約の障害者を正社員へ転換したときに対象になります。 参考|厚生労働省サイト『キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)』 助成金には、細かな要件があります。助成金を検討するときは事前にご相談ください。 まとめ 提出期限は7月15日(金)です。 時間があるように感じますが、すべての事業所ごとの高齢者や障害者の状況を確認し、まとめなければならないため時間がかかります。 早めの集計や電子申請の活用で、スムーズな報告ができるように準備をすすめてください。

  • 【2022年度版】 労働保険の年度更新申告書の受付開始と、変更点について

    2022年6月1日より、労働保険の年度更新申告の受付が開始されました。 年度更新とは、毎年6月1日から7月10日までの間に労働保険料を計算し、納付を行う定例の手続きです。 年度更新の申告書および納付書が、同封された緑色(青色)の封筒が厚生労働省から企業宛てに発送されています。 本年の申告・納付期限は、7月11日(月)です。 今回の記事では、年度更新の基本の情報に2022年度の変更点を盛り込みお伝えします。 労働保険の年度更新とは 労働保険は、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。 年度更新は、従業員がいるすべての企業が実施しなければならない手続きです。 前年度に従業員に支払った賃金を月ごとに集計し、業種ごとに定められた保険料を掛けて保険料を計算します。 賃金を集計する期間は、前年度4月1日から3月31日の間の支払われた賃金(支払義務が具体的に確定した賃金を含む)です。 業種によって「一元(一般的な業種)」と「二元(建築や林業など賃金だけでは労災保険料が計算しにくい、労災保険料率が複数適用されているなど)」にわかれます。 2022年度の年度更新手続の変更点 今年の年度更新に関する料率などの変更点をお伝えします。 1 2022年4月1日、2022年10月1日に雇用保険料率が引き上げになります。 ※労災保険料率は変更ありません。 雇用保険料率の適用は表を参考にしてください。 【2021年4月1日~2022年3月31日までの雇用保険料率】 【2022年4月1日~2022年9月30日までの雇用保険料率】 雇用保険二事業の保険料率(企業負担のみ)が0.5/1000引き上げられています。 【2022年10月1日~2023年3月31日までの雇用保険料率】 失業給付・育児休業給付の保険料率が4/1000(従業員・企業負担はそれぞれ2/1000)引き上げられます。従業員の雇用保険料率が10月1日から変更になります。 年度途中(10月1日)に雇用保険料率が変更になるため、給与計算のときに料率変更を失念してしまう可能性があります。 カレンダーなどに記載し、料率変更が漏れないよう対策を取られることをおすすめします。 2 申告・納付期限の延長はありません。 2022年は7月10日(日)が日曜日のため、翌日7月11日(月)が期限となっています。 3 年度更新申告書の様式は変わりませんが、申告書に雇用保険料率が記載されてきません。 年度途中に雇用保険料率が変更になるため、送付されてくる申告書の「概算・増加概算保険料算定内訳」は雇用保険料率が空欄になっています。昨年の様式では赤丸の箇所に雇用保険料率の記載がありましたが、今年はありません。 今年の年度更新は、雇用保険料率が適用される期間ごと (2022年4月1日から9月30日、10月1日から2023年3月31日) に区切って計算を行い、その合計を年度更新の申告書に記載をします。 送付されてくる封筒の中に 「令和3年度 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表/令和4年度 概算保険料(雇用保険分)算定内訳 」(青色の封用の企業は「確定保険料算定基礎賃金集計表」)が同封されています。 集計表には以下のような雇用保険料を適用期間ごとに区分して計算する表があります。こちらの表を活用しながら計算されることをおすすめします。 4 2022年度に対応した年度更新申告書支援ツールが公開 毎年、年度更新の申告書に合わせた計算支援ツールが厚生労働省から公開されます。Excelで作成されているため使いやすくなっています。ご利用は、こちらからダウンロードしてください。 参考・ダウンロード|年度更新申告書支援ツール(継続事業用) 年度更新申告書支援ツール(雇用保険用) 年度更新申告書支援ツール(建設事業用) 年度更新申告書を作成するときのチェックポイント 1 労働保険対象労働者 労働保険の対象労働者は、雇用保険と労災保険で異なります。従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計するときに、正しい対象労働者を選定しないと保険料が正しく計算できません。 【雇用保険】 雇用保険被保険者が該当します。1週間の労働時間が20時間以上かつ31日以上引き続いて雇用されることが見込まれる従業員です。 【労災保険】 時間・日数・期間を問わず、労働の対償として賃金を受けるすべての従業員が対象です。役員や事業主と同居している親族は対象外です。派遣従業員については、派遣元事業場での適用になります。 2 労働保険料の計算に含める賃金、含めない賃金 従業員の月ごとに支払う賃金には、労働保険料の計算に含める賃金と含めない賃金があります。働いている従業員に支払う賃金、手当、賞与など名称にかかわらず、労働の対償として支払うすべてのものが対象となります。 【含める賃金】 基本給、各種手当、賞与、通勤費(定期券)、休業手当 など 【含めない賃金】 役員報酬、慶弔見舞金、退職金、解雇予告手当、休業補償費 など 3 年度更新書類に同封されている申告書の確認 年度更新書類に同封されている申告書には、企業の労働保険料に関する重要な情報が記載されています。登録情報を確認してから手続を始めるようにしてください。電子申請や年度更新申告書支援ツールを使用するときは、登録情報を入力して手続を進めてください。 また、企業側で管理している情報と登録情報が異なるときは、年度更新の封筒に記載されている管轄の都道府県労働局にお問合せください。 ①労働保険番号 ②申告済概算保険料額 ③各種区分 ④保険料率(今年は「概算・増加概算保険料算定内訳」の雇用保険料率が空欄です) ⑤口座振替 有無(口座振替の申込手続が完了しているときは印字されています) ⑥電子申請対象 有無(電子申請義務化の対象となる企業は印字されています) ⑦メリット制 有無(メリット制の適用となる企業は印字されています) 年度更新を効率よく対応するために 1 登録情報の確認 年度更新は、前年度4月1日から3月31日までの従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計することから始まります。 給与ソフトで年度更新用の賃金を集計作業ができるものもありますが、入社日や退職日、雇用保険の加入有無、労働保険の対象となる賃金設定などに誤りがあると、正しい保険料計算ができません。 毎月の給与計算を確実に行うことで、急な対応にならずにすみます。 2 電子申請による申告書の提出 電子申請の利用には、前年度の情報を取り込めたり、入力チェック機能や自動計算機能を効率よく使えるというメリットがあります。提出先である労働局や労働基準監督署の窓口に出向く必要もなく、申告書記入漏れや記入ミスも防止できます。 参考・ダウンロード|厚生労働省『総務の業務改善に10万馬力の右腕を。労働保険の電子申請』 3 保険料の口座振替 口座振替に手数料はかかりません。口座振替による納付を行うことで、毎回金融機関の窓口に行く手間や待ち時間が解消されます。 また、納付漏れを防ぐことができ延滞金の心配がありません。納付期限についても、納付書で保険料を納付するよりも、保険料の引き落としに最大2か月のゆとりができます。 参考・ダウンロード|厚生労働省『労働保険料は口座振替が便利です』 まとめ 年度更新は毎年、必ずしなければいけない手続きです。 慌てないように早めに必要な情報を集めるようにしてください。 申告期限の7月11日(月)は、労働保険料の計算だけではなく、納付期限でもあります。 納付が難しいときは管轄の労働局または労働基準監督署に相談をし、分割などの対策を取るようにしてください。 期限までに納付ができず滞納の状態になると、延滞金などが発生することがありますので、計画的に手続きなどを行うことをおすすめします。

  • ストレス症状の理解と、企業のメンタルヘルス対策

    ストレスの原因はさまざまです。 ストレスとは外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことをいいます。 嫌なこと、辛いこと、しんどいことなどを連想されるかもしれませんが、楽しいことや嬉しいこともストレスの原因になります。 たとえば、社会的要因(仕事、人間関係など)、環境(天候、騒音など)、身体的要因(疾病、寝不足など)の日常生活で起きること以外にも、結婚、就職、出産、引っ越しなどの外部からの刺激もストレスの原因になり得ます。 ストレスは身近なものだと理解して、上手く付き合っていくことが大切です。 ストレスが原因で起こること ストレスを感じたとき、人は恒常性のバランスを保っているため、身体に影響がでない仕組みになっています。しかしストレスが継続的であったり、過度で急激なストレスを感じたときは恒常性のバランスが崩れ、心身や行動などに症状がでてきます。 【ストレスの症状】 不眠、腹痛、もの忘れ、集中力低下、胃腸炎、片頭痛、動悸、便秘、下痢、アトピー性皮膚炎、高血圧、めまい、不安、暴飲暴食、拒食、飲酒、ギャンブル、メンタル不調など ストレスから現れる症状はさまざまです。 症状に気づかず無理を続けると悪化する可能性があります。 周りの人の症状と比較せず、ご自身の状態を確認し、早めのセルフケアをおすすめします。 ストレスの症状への対応(セルフケア) ストレス症状への対応に必要なのは、 「ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解」 「ストレスチェックなどを活用した気づき」 「ストレスの対処」などです。 厚生労働省のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、働く人がストレス症状に対応できるようにさまざまな対策やツールが掲載されています。 ストレスから現れる症状の説明動画やこころを整えるヨガ動画、ストレスセルフチェック、チェックリストなどです。 企業向け、本人向けに分かれて掲載されていますので、サイトを参考に対応してください。 参考|厚生労働省働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』 ストレスに関係したメンタル不調を未然に防ぐ ストレスから起こるメンタル不調は、一次予防、二次予防、三次予防の3段階に分けられています。 第一次予防として、常時50人以上の従業員を雇用する事業場にはストレスチェックの実施が義務化されています。ストレスチェックは、企業が従業員のストレスの程度を把握し、従業員自身がストレスに気づけるよう促すとともに、職場環境の改善を行い、従業員がメンタル不調にならないよう未然に防止できることを目的としています。 50人未満の企業は努力義務ですが、メンタル不調を未然に防止するためにもできるだけ実施されることをおすすめします。 (出典)厚生労働省『ストレスチェック制度の効果摘な実施と活用に向けて』P3 テレワークにおけるメンタルヘルス対策 新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークを実施する企業が増えました。 テレワークの導入で 「通勤時間が節約できる」 「通勤による心身の負担が少ない」 「担当している業務に集中できる」など、 ストレス軽減につながる傾向が見られています。 その反面 「長時間労働になりやすい」 「コミュニケーションが取りづらい」など、 テレワークならではの課題もあります。 (出典)厚生労働省『こころの耳サイト テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き』 企業側も、テレワークでは対面の面談より得られる情報量が少ないなどの課題があり、メンタル不調に気づきにくいことがあります。 以下、課題解消の取組例をあげておきます。 ・サポート研修の実施 ・社内でメンタルヘルス関連の情報発信 ・相談窓口の設置 ・従業員からの職場についてアンケートやヒアリングの実施 ・定期的なオンライン面談の実施 ・雑談ができるチャットルームの作成 など (引用)厚生労働省『こころの耳サイト テレワークでのメンタルヘルス対策について』 社内でのコミュニケーションを活性化し、テレワーク中の従業員が孤立しないような取組をおすすめします。 また、テレワーク中の環境も大切です。 仕事場所の状態を確認するために「こころの耳」のサイトにチェックリストがあります。環境整備は従業員の身心の健康のために必要な要素です。 チェックリストを活用して、テレワークで働く従業員をサポートされることをおすすめします。 (出典)厚生労働省『自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)』 休職したときに支給される傷病手当金 ストレスが原因でメンタル不調になり、休職をすると、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。 傷病手当金は、労災以外の休業で仕事ができず、休業している期間が4日以上あるときに、4日目から支給されます。 最初の3日間は待機期間となり支給されません。支給額は以下になります。 【傷病手当金の支給額】 (出典)全国健康保険協会(協会けんぽ)『傷病手当金』 傷病手当金は、本人が社会保険に加入していないときは支給されません。 また、協会けんぽ以外の健康保険(国民健康保険、国民健康保険組合など)のときは、傷病手当金の制度が異なりますので、加入されている健康保険へお問合せください。 ストレスチェック等の助成金 企業がストレスチェックやメンタルヘルス対策を行うときは、助成金の対象になることがあります。助成金は「独立行政法人 労働者健康安全機構」が窓口となっています。 詳細については手引を参考にしてください。 1 心の健康づくり計画助成金 メンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき「心の健康づくり計画」を作成し、計画に基づきメンタルヘルス対策の全部または一部を実施したときに助成されます。 【対象企業】 以下のすべての要件を満たす必要があります。 ・労働者を雇用している法人および個人事業主 ・労働保険の適用事業場 ・登記上の本店または本社機能がある事業場(個人事業主は、開業届のと届出がされている事業場) 【助成額】 100,000円(1法人または1個人事業主あたり1回限り) 参考|独立行政法人 労働者健康安全機構『令和4年度版「心の健康づくり計画助成金」の手引』 2 ストレスチェック実施促進のための助成金 医師・保健師などによるストレスチェックの実施、またはストレスチェック後に、医師の面談指導などを実施したときに助成されます。 【対象企業】 以下のすべての要件を満たす必要があります。 ・中小企業 ・事業場の従業員数50名未満 ・労働保険の適用事業場 【助成額】 ①ストレスチェックの実施費用:従業員1名につき500円(税込) ②ストレスチェックにかかわる医師による活動費:1事業場あたり1回の活動につき21,500円(税込)【上限3回】 参考|独立行政法人 労働者健康安全機構『令和4年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引』 まとめ 身心に変化が現れていても、「ちょっと調子が悪いかな」「いつもの偏頭痛かな」などと捉えてしまい、気づかないうちに状態が悪化するケースもあります。 不調は本人にしかわかりません。 変化があったときは状況などを踏まえ、悪化する前にセルフケアなどを行ってください。 また従業員が安心して働ける環境づくりは、企業の責務です。 「ストレス対応は本人のみの課題」と判断し、正しい対応をしていないと、職場環境の悪化や離職、トラブルが増加する可能性があります。 従業員が安心して健康に働けるよう、ストレスについて理解を深めていただき、対応されることをおすすめします。

  • 改正育児・介護休業法の規定も追加された「求人不受理」とは

    法令等ではすべての求人を受理しなければならないとなっています。 しかし、法令等に違反している求人は心身の健康や定着、円滑なキャリア形成の面などで、求職者の職業生活に長期的な影響を及ぼす恐れがあります。 そこでハローワークや職業紹介事業者等(以下、ハローワーク等という)では、悪影響を未然に防ぐため、不受理の対象となる求人は受理しないことができると法律で定められています。 2022年4月、育児・介護休業法が改正されました。 この育児・介護休業法の改正に未対応のときも、求人不受理の対象になる可能性があります。 今回の記事では、どのようなときに求人が不受理の対象となるかをお伝えしていきます。 求人不受理とは 求人不受理とは、ハローワーク等が一定の労働関係法令違反のある求人者からの求人申し込みなどを受理しないことができる仕組みです。 2016年、新卒者向けの求人について、一定の労働関係法令違反の求人者の求人をハローワーク限定で受理しないことができる仕組みがスタートしました。 求人の不受理は、法令等上「できる」規定となっています。 そのため実際不受理とするか否かについてはハローワークの判断となりますが、厚生労働省の集計では、2019年までのハローワークにおける求人不受理の取扱件数は544事業所あったと報告されています。 その後、2020年、新卒者向け求人からすべての求人へと範囲拡大し、ハローワーク限定から民間の職業紹介事業所等も加えられました。 不受理の対象となる求人 以下のいずれかに該当するとき、求人の申し込みが受理されない可能性があります。 ①②③は、求人票に対しての項目です。 ④⑤⑥は、求人者である企業に対しての項目です。 (出典)厚生労働省『改正職業安定法(求人不受理)について』2020年2月版 上記のうち、①②③では以下のようなケースが見受けられます。 【不受理の対象となる求人例】 ・定年年齢が60歳を下回っている ・実際の待遇に比べて過大な基本給を明示しているが、実際は固定残業代が含まれている ・雇用期間や就業場所、労働時間、賃金など働く上で必要な条件が明示されていない など 不適当な求人には、誤解を生じる内容や虚偽の表示なども含まれます。 求人票には事実を記載し、最新の内容となるよう見直しをされることをおすすめします。 また、④一定の労働関係法令違反のある求人者とは、対象となっている労働関係法令に違反し、かつ、各法令により「同一の違反に対し是正指導を複数回受けた場合」や「是正を求める勧告に従わず公表された場合」などに該当したケースをいいます。 求人が不受理になると、ハローワーク等で一定期間求人を受け付けてもらえません。 (出典)厚生労働省『改正職業安定法(求人不受理)について』2020年2月版 不受理の対象となる規定 求人不受理の対象となる規定は、法令等(労働基準法、育児・介護休業法、職業安定法など)により定められています。 たとえば労働基準法の中には、過重労働の制限などに対する規定があります。 長時間労働や賃金不払い残業などに関する法違反は、求職者の職業生活のキャリア形成に支障をきたす恐れがあるため、対象とされました。 その他、求人の募集段階から労働条件に変更が生じやすいことから、就業前の労働条件確認が重要であるとし、募集・求人の申し込みと労働契約締結時の労働条件の明示などの規定も対象となっています。 【労働基準法の不受理の対象となる規定】 その他の法律の対象規定は、以下のパンフレットをご覧ください。 参考 | 厚生労働省『改正職業安定法(求人不受理)について』2020年2月版 新たに追加された育児・介護休業法の対象となる規定とは 求人不受理の対象となる規定は、法改正などにより規制が増えると対象規定も増え、今回の育児・介護休業法の改正も一部対象となっています。 今まで、仕事と育児などの両立を理由とした不適切な取扱いがあれば、求職者の継続就業が困難になるため、仕事と育児などの両立などに関する規定も対象となっていました。 2022年4月施行により、雇用環境の整備、個別の周知・意向確認等の規定が新設されました。それに伴い、求人不受理の対象となる以下の規定が追加されています。 【2022年4月に追加された規定】 ・妊娠や出産等についての申出を理由とした不利益取扱いの禁止(法第21条第2項) この規定に違反し、是正を求める勧告に従わず公表されたとき、ハローワーク等では求人の申し込みを不受理とすることができる条項が追加されています。 また、2022年10月の育児・介護休業法施行により以下の規定も追加される予定です。 【2022年10月追加予定の規定】 ・出生時育児休業申出に関する企業の雇用管理上の義務(改正法第9条の3第1項) ・出生時育児休業申出をしたことなどを理由とした不利益取扱いの禁止(改正法第10条) 法改正の対応をしていないと求人がすぐに受け付けてもらえないというわけではありませんが、違反の指摘がされてからでは求人不受理のリスクが高まるため、早めに改正育児・介護休業法の対応をされることをおすすめします。 ハローワーク等から求められる自己申告とは ハローワーク等は求人の申し込みに対し、不受理の対象となる求人かどうかを確認するために、求人者に対して自己申告書を求めます。 求人者は、ハローワーク等から自己申告の求めがあったときは、正当な理由がない限り応じなければならないとされています。 正当な理由なく自己申告を行わないときは求人の申込が受理されないことがあり、また、事実に相違する報告をしたときは、都道府県労働局による勧告や公表などの対象となる可能性があるため、正しい内容の自己申告をお願いします。 (出典)厚生労働省『改正職業安定法(求人不受理)について』2020年2月版 まとめ 法改正により新たに加わる求人不受理の対象規定は、ハローワーク等でも対応確認をされる可能性もありますので、採用の面でも注目が必要です。 必要なときに求人の申し込みをスムーズに行うためにも、求人票が事実と正しく最新の内容となっているか随時見直しを行うほか、労働関係法令が守られているか改めて確認されることをおすすめします。

  • 10月からの社会保険の適用拡大に向け、事務取扱いの通達や50のQ&Aが公開されました

    厚生労働省より、2022年10月からの社会保険の適用拡大に関する事務の取扱い通達や 50のQ&Aが公開されました。 今回は、通達やQ&Aより、社会保険の適用拡大に関するポイントをご説明いたします。 社会保険の適用拡大とは 社会保険の加入者は法令で定められています。 フルタイムの従業員(正社員など)と、フルタイムの従業員とを比べて週の所定労働時間および1か月の所定労働日数が3/4以上のパート・アルバイトなどです。 一般被保険者といいます。 社会保険の適用拡大とは、社会保険に加入する対象範囲が企業の従業員数によって段階的に拡大することです。 対象となる企業は「特定適用事業所」といいます。 現在、特定適用事業所は、従業員数500人を超える企業が対象となっています。 また、特定適用事業所の従業員のうち、一般被保険者にならない短時間労働者で 以下の4つの要件を満たす方が社会保険に加入することになります。 【短時間労働者の社会保険の加入要件】 1 週の所定労働時間が20時間以上 2 月額賃金が88,000円以上 3 雇用契約期間が継続して1年以上見込みがある 4 学生ではない(休学中または夜学生は除く) なぜ社会保険の適用拡大を進める必要があるのか これまでも法律改正により、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大の取組が進められてきました。その意義については、以下の点があるとされています。 (出典)厚生労働省『被用者保険の適用拡大を進めるにあたっての基本的な考え方』 2022年10月以降、社会保険の適用拡大が次のように変わります。 2022年10月1日以降、特定適用事業所の企業の人数要件と短時間労働者の4つの加入要件のうち、雇用契約期間の要件が変わります。 【特定適用事業所の企業の人数要件】 現 在:従業員数500人を超える企業 改正後:従業員数100人を超える企業 2022年10月1日以降は、従業員数100人を超える企業が「特定適用事業所」となります。 【雇用契約期間の要件】 現 在:雇用契約期間が継続して1年以上見込みがあること 改正後:「雇用契約期間が継続して1年以上見込みがあること」が廃止、 2か月を超える雇用の見込みがあること 以下の特定適用事業所の企業の人数要件に該当し、短時間労働者の加入要件に該当するときは、社会保険に加入することになります。 【加入要件】 従業員数100人を超える企業とは 従業員数100人を超える企業とは、厚生年金の被保険者の総数が100人を超えることが見込まれる状態をいいます。 2022年10月からの社会保険の適用拡大に関するQ&Aでは、以下のように回答されています。 ~Q&A 問8より~ Q: 「被保険者の総数が常時100人を超える」とは、どのような状態を指すのか。 どの時点で常時100人を超えると判断することになるのか。 A:「被保険者の総数が常時100人を超える」とは、 ①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上100人を超えることが見込まれる場合を指します。 ②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上100人を超えることが見込まれる場合を指します。 従業員数100人超えに該当する企業と該当する可能性のある企業は、 2022年8月頃、日本年金機構からお知らせが届きます。 以下を参考に送付されるタイミングと必要な手続をご確認ください。 【2022年10月より前に届くお知らせ】 【2022年10月以降に届くお知らせ】 (出典)厚生労働省『短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和4年10月施行分)』 パート・アルバイトの所定労働時間が変更になったときの取扱い 特定適用事業所におけるパート・アルバイトの所定労働時間が変更になったときは、その状況に応じて社会保険資格取得届の届出または被保険者区分変更届の届出を日本年金機構に行う必要があります。 (例)所定労働時間が20時間未満の従業員が20時間以上(短時間労働者)になった場合 →社会保険資格取得届の届出 (例)所定労働時間が20時間の従業員が30時間(一般被保険者)になった場合 →被保険者区分変更届の届出:「短時間」→「一般」に区分を変更 (例)所定労働時間が30時間の従業員が20時間(短時間労働者)になった場合 →被保険者区分変更届の届出:「一般」→「短時間」に区分を変更 参考・ダウンロード|健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届 参考・ダウンロード|被保険者区分変更届・70歳以上被用者区分変更届 その他、2022年10月からの社会保険の適用拡大に関するQ&Aでは、以下のような取扱いについても回答をしています。 ~Q&A 問32より~ Q: 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週20時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週20時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。 A:実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。 引用|厚生労働省『短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和4年10月施行分)』 従業員数に関係なく、2か月を超える見込みのある従業員も社会保険の加入が必要 2022年10月、社会保険の適用拡大とともに、厚生年金保険の適用除外要件が見直しになります。法令等では、日々雇用される者と以下の従業員は社会保険の適用の対象とはなっていません。 改正前(2022年9月30日まで):2か月を超えて雇用されない者 改正後(2022年10月1日以降):2か月を超えて雇用される見込みがない者 つまり、有期契約労働者の雇用契約書に「更新する場合がある」などの明示があるときは、2か月を超えて雇用が見込まれると判断され、最初の2か月の雇用契約期間を含めて社会保険に加入しなければならなくなります。 (出典)厚生労働省年金局『その他の制度改正事項及び業務運営改善事項について』 企業がすべきこと まずは自社が2022年10月以降の「特定適用事業所」に該当するかをご確認ください。 社会保険の適用拡大に向けては、今から準備が必要です。 パート・アルバイトで対象になる方を確認のうえ、対象者には今後社会保険に加入しなければならないことを早めに説明し、働き方や勤務時間などの労働条件について話合いを進めることをおすすめします。必要に応じて雇用契約書の変更などの準備をすすめます。 社会保険の適用拡大に伴い、企業の社会保険料も増えます。 どのくらい増えるかを早い段階で確認し、必要であれば、採用計画などの見直しも検討してください。 2022年10月、従業員100人を超える企業に適用拡大されたあと、 2024年10月からは従業員50人を超える企業が対象となります。 現時点で30名程度の企業では、2年後には現在よりも従業員数が増えていることが想定されます。 社会保険の適用拡大を意識した上でパート・アルバイトの働き方管理や採用を進めていくよう、現時点から制度について理解されることをおすすめいたします。

  • 2022年4月 育児・介護、定年引上げ等にかかわる助成金の改正点について

    厚生労働省の助成金は、毎年4月に改正・廃止などの発表がされます。今回は2022年に改正があった助成金のうち、育児・介護にかかわる「両立支援等助成金」、高齢者の雇用改善、定年の引上げ等にかかわる「65歳超雇用推進助成金」について記載しています。 両立支援等助成金 両立支援等助成金は、育児休業取得・復職や介護のときなどの体制の整備が必要な中小企業を対象にした助成金です。要件の改正は毎年行われています。今回は、よく利用されている「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」「育児休業等支援コース」の改正点についてお伝えします。 【両立支援等助成金 コース一覧】 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金) 男性従業員が、子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得したときに支給される助成金です。2022年度から要件や助成額が見直しになり、廃止された内容もあります。 【廃止された内容】 男性従業員が育児目的休暇を取得した場合の助成(助成額:28.5万円) 子の出生前6週間、出生後8週間以内に配偶者の出産支援、養育などのため休暇を取得し企業が賃金を支払ったときの助成金 【改正の内容】 男性従業員の助成金の対象が「大企業、中小企業」から「中小企業のみ」になりました。また、育児休業を取得したときの「第1種」と男性従業員の育児休業取得率がアップしたときの「第2種(新設)」になりました。 第1種の助成金を受給するためには、育児休業取得者の業務を代替する従業員の業務見直しにかかわる規定の作成、規定にそった業務体制の整備が必要です。 また、対象の男性従業員に対し育児休業の取得支援等を行ったときに支給されていた「個別支援加算」は、「代替要員加算」へ変更になっています。 第2種は新設された助成金です。第1種の助成金を受給した企業が、男性従業員の育児休業取得率を3年以内に30%以上アップさせ、第1種申請にかかる男性従業員以外に育児休業を取得した男性従業員が2名以上いることが必要です。 (出典)厚生労働省『両立支援等助成金』(出生時両立支援コース、育児休業等支援コース)が令和4年度から変わります』 また、第1種、第2種ともに以下の雇用環境整備を2つ以上実施する必要があります。ただし、従業員から企業へ行う育児・介護休業法の出生時育児休業の申請期限が2週間前を超えるときは、3つ以上の実施が必要になります。 【雇用環境整備とは】 1 雇用する従業員に対する育児休業にかかわる研修の実施 2 育児休業に関する相談体制の整備 3 雇用する従業員の育児休業の取得に関する事例の収集および当該事例の提供 4 雇用する従業員に対する育児休業に関する制度および育児休業の取得の促進に関する方針の周知 育児休業等支援コース 育児休業の取得、復職、育児休業中の従業員の代替要員を確保などに対して支給される助成金です。 【改正の内容】 「代替要員確保時」と「職場復帰時(職場支援加算)」に実施していた代替要員確保に対する支援が「業務代替支援」になりました。業務代替支援は「新規雇用」「手当支給等」の2つに分かれています。 新規雇用は、育児休業を取得する従業員の業務を代替する従業員を新規に雇用(派遣労働者含む)する必要があります。手当支給等は、業務の見直し・効率化のため以下のすべての取組を実施しなければなりません。 【手当支給等の必要な取組とは】 1 業務の一部の休止・廃止 2 手順・工程の見直し等による効率化、業務量の減少 3 マニュアル等の作成による業務、作業手順の標準化 4 対象の育児休業を取得している従業員の育児休業中の業務分担を明確にし、業務代替者の上司、または人事労務担当者が業務代替者に代替業務の内容、賃金について、面談により説明 (出典)厚生労働省『両立支援等助成金(出生時両立支援コース、育児休業等支援コース)が令和4年度から変わります』 65歳超雇用推進助成金 65歳超雇用推進助成金は、定年の引上げ、高年齢者の無期雇用転換などに対して支給される助成金です。要件の改正や助成金の名称など変更になっています。今回は、よく利用されている「65歳超継続雇用促進コース」の改正点について記載しています。 65歳超継続雇用促進コース 65歳以上への定年の引上げ、定年の廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用の導入に関して、助成額が被保険者数によって細分化されました。また「70歳以上の定年の引上げ」「定年の定めの廃止」「70歳以上の継続雇用」は導入前の定年年齢が70歳未満に限定されています。 【2021年度の助成額】 (出典)独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『65歳超雇用推進助成金 65歳超継続雇用促進コース)支給申請の手引き(令和3年4月1日)』P8 【2022年度の助成額】 (出典)独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)支給申請の手引き(令和4年4月1日)』P9 【就業規則に定める内容】 定年引上げなどの実施日の6か月前の日から支給申請日の前日までの間に以下の内容を就業規則に定めておかなければならず、定めていないときは支給申請ができません。 1 定年が60歳以上であること 2 65歳までの高年齢者雇用確保措置が導入されていること (例) ・定年65歳 ・希望者全員を65歳まで継続雇用する制度 ・定年の廃止 など 【申請期間】 2021年度:定年引上げなど実施日の翌日から2か月以内 2022年度:実施日が属する月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から5開庁日(休日除く) 定年の引上げなどの実施後に支給申請を行いますが、申請期間が大きく変更になっています。助成金の窓口サイト(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)に受付カレンダーがありますので、申請期間を確認し期限が過ぎないようにしてください。 (出典)独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『受付カレンダーはこちら』 まとめ 育児休業関連、定年引上げ関連の助成金はよく知られています。毎年度、要件が変更になっており、細かな要件が多い助成金のため、申請を進めるときは事前に要件の確認や助成金の窓口、社会保険労務士へ相談をおすすめします。 また、定年の引上げ関係の助成金は、昨年度は予算に達したため年度途中(9月)で申請の受付が終了しました。(一部、今年度に申請の受付がされています。)助成金は予算が確保されており、年度途中での受付終了は珍しく、企業の関心の高さが見受けられます。 制度導入を検討している場合は、申請時期などを踏まえて早めに進められることをおすすめします。

  • シフト制で働く従業員の雇用管理を行うときの留意点について

    労働契約を締結するときは、1日8時間、週40時間を超えない範囲で、労働日ごとの始業・終業時刻を決めて働くことが基本です。しかし、繁閑期の人員調整や、労働者側の柔軟な働き方ニーズの拡大を背景として、労働日や始業・終業時刻を特定せず、一定期間ごとに労働時間を確定する労働契約も存在します。 シフト制と変形労働時間制です。今回の記事では、おもにシフト制で働く従業員の雇用管理のポイントをお伝えします。 シフト制と変形労働時間制の違い シフト制と変形労働時間制の違いは下記のとおりです。 【シフト制】 職場でいくつかの労働時間パターンを決めて、1週間や1か月の一定期間ごとに複数の従業員を配置する働き方です。シフト制従業員は、働く曜日や時間が常に一定ではありません。法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超える勤務時間の設定はできませんが、現場の都合を考慮しながらの人員配置など、直前にシフトを組むことができます。 【変形労働時間制】 繁閑期の業務量の変動にあわせて、年や月など一定期間ごとに労働時間を配分し調整する働き方です。繁忙期は所定労働時間を長くし、閑散期は所定労働時間を短くするなど、時期によって業務量の調整ができるため、残業代をおさえることもできます。ただし、就業規則への記載、労使協定などで労働時間を設定するなどの導入までの手続や出勤日と労働時間を特定した企業カレンダーを作成するなどの事前対応が必要です。 シフト制で企業が気をつけるポイント シフト制での働き方は、労使ともに事情にあわせて柔軟に労働日や労働時間を設定できるというメリットがある一方、企業の都合を優先しすぎるとトラブルに発展するケースがあります。トラブルを防ぐため、下記の5つのポイントに留意してください。 1 労働契約するときに始業・終業時刻、休日の基本的な考え方を明確にする 【始業・終業時刻】 シフト制で労働契約をするときは「シフトによる」と記載するだけでは不足しています。職場で決定している労働時間の始業・終業時刻のパターンやシフト期間など基本となる考え方を記載する対応が必要です。 【休日】 一定期間ごとに労働日を決定するため、毎週土曜日・日曜日を休日とするなど具体的な休日の特定をしていない場合でも、休日の設定について基本となる考え方を記載する必要があります。例えば、毎週1日以上もしくは4週4日以上の休みをシフトで指定するなどです。 2 シフト作成時の基本的ルールを事前にきめる 基本となる始業・終業時刻や休日を定めたうえで、シフト作成時の基本的ルールを事前に定めておく必要があります。下記の基本的ルールについて検討し、労働契約時に従業員に伝えるなどの対応が必要です。 ・シフト表作成にあたり従業員の意見も聴取すること ・確定したシフト表などの通知する期限や方法について ・シフト変更、キャンセルを申し出る期限や方法について 3 一定期間の働く可能性のある最大値・最小値をきめる トラブルになる要素として、企業と従業員がどのくらい働くかの共通認識がなされていないことがあります。そこで、一定期間の働く可能性がある最大値や最小値の日数・時間数・時間帯を雇用契約書などで明示し、納得して働いてもらうことでトラブル発展を防止します。 【一定期間に働く最大の日数、時間数、時間帯を設定】 例:毎週月、水、金曜日から勤務する日、勤務する時間をシフトで指定する 【一定期間中の目安となる労働日数、労働時間数を設定】 例:1か月〇日程度勤務/1週間あたり平均〇時間勤務 【一定期間に最低限働く日数、時間数などを設定】 例:1か月〇日以上勤務/少なくとも毎週月曜日は勤務するシフトを入れる 4 シフト制従業員の安全と健康確保について適切な対応をする シフト制従業員であっても、職場での安全や健康を確保するための安全衛生教育や労働災害対応、健康診断等による健康を確保する措置などの対応は必要です。 また、社会保険や雇用保険についても要件を満たすときは加入が必要です。社会保険や雇用保険の加入を判断するためにも、雇用契約書などで一定期間の働く日数や時間数などを明確にすることをおすすめします。社会保険と雇用保険の加入要件は下記のとおりです。 【社会保険】 1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が 企業のフルタイム従業員の3/4以上である 【雇用保険】 下記のいずれも満たすとき ・1週間の所定労働時間が20時間以上である ・31日以上の雇用見込みがある 5 シフト制従業員の有給休暇や会社都合休業の対応方法を周知する 【有給休暇の付与日数と取得】 有給休暇の付与日数について、シフト制従業員で1週間の所定労働日数が決まっていないときは、「週所定労働日数」ではなく「1年間の所定労働日数」の欄をご覧ください。原則、有給休暇の付与時点で予定されている今後1年間の所定労働日数に応じた日数で判断します。しかし、毎週の勤務シフトがまちまちで、予定されている所定労働日数を算出しがたいときは、有給休暇の付与直前の実績を考慮して算出することとして差し支えありません。 また、有給休暇は労働日に労働を免除する制度です。シフト表が確定する前に有給休暇を申請する従業員もいますが、本来は決定したシフト表の労働日に対して有給休暇を使うことになります。シフト制従業員が有給休暇の申請をしたあとに、シフトの調整をして有給休暇を与えないといった取扱いは認められません。 【会社都合の休業】 シフト制従業員であっても企業都合による休業のときは、休業手当の支払が必要です。シフト表が確定したあとに企業都合により休業させるときはわかりやすいのですが、コロナ感染関連による休業など、シフト表を組む前にシフト制従業員に休業をさせるときもあります。 そのようなときは、休業までの勤務実績や労働契約時の一定期間に働く勤務日数や時間を基準にみなしの休業日数を決定すると、シフト制従業員の休業に対しての納得性も高まるためおすすめです。 シフト制労働契約簡易チェックリストの活用 厚生労働省では、シフト制で働く従業員とのトラブル予防のため、下記のような簡易チェックリストが掲載されたリーフレットを公開しています。シフト制従業員をすでに雇用されている企業も、これからシフト制を導入する企業も一度チェックされることをおすすめします。 (引用)厚生労働省『「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項』 まとめ 「シフトが以前より少なくなった」「シフトを一方的に減らされた」など、労働契約時の契約をあいまいにすすめたことによるトラブルの発生が見受けられます。 企業と従業員がともに気持ちよく働けるように、今回の記事や厚生労働省の簡易チェックリストをご活用いただき、適切な雇用管理にお役立てください。

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