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  • 【離職証明書の書き方】パターン別

    従業員の退職時に 離職票の交付 を希望された場合、 企業は離職証明書を作成し、ハローワークへ届け出なければなりません。 今回は自己都合退職した従業員の用紙での申請を例に 離職証明書の書き方や記入に至る背景を解説しながら、 具体的なパターンを説明していきます。 離職票発行の流れと、離職証明書の基本的な書き方は 過去の記事をご確認ください。 過去の記事『 離職票発行の流れと基本の書き方 』 離職証明書について 離職証明書とは、企業が離職票発行のために ハローワーク へ提出する書類です。 離職証明書の用紙 左側 は 従業員の離職日以前の賃金支払い状況を記入し、 用紙 右側 は 離職理由を記入する仕様になっています。 特に用紙左側は従業員の勤務形態や在職時の勤務状況によって 書き方が大きく異なるため、正確な手続のためにも 労務担当者は離職証明書の書き方をおさえておく必要があります。 この記事では、用紙左側に該当する 「 離職日以前の賃金支払い状況 」の欄について紹介しています。 離職証明書では各記入欄に番号が振られています。 記事内でも実際の番号に従って紹介していきますので 以下の内容をご参考ください。 【離職証明書左側の見本】 ⑧欄:被保険者期間算定対象期間 ⑨欄:被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数 ⑩欄:賃金支払対象期間 ⑪欄:賃金支払対象期間の基礎日数 ⑫欄:賃金額 ⑬欄:備考 ⑭欄:賃金に関する特記事項 日給月給制で欠勤があったとき 給与体系にはさまざまな種類があります。 月給制にも 完全月給制や日給月給制 などがあり、 遅刻や欠勤をした場合に給与から控除する方法が異なるため 離職証明書への記入にも注意が必要です。 たとえば、従業員が体調不良などの理由で欠勤した場合、 日給月給制であれば基本給から欠勤分を減額します。 「⑨欄」「⑪欄」には 歴日数から欠勤日数を除いた日数 を記入し、 「⑫欄」には 欠勤による減額後の賃金額 「⑬欄」には 欠勤日数 を記入しなければなりません。 離職証明書の記入例は以下のとおりです。 なお、離職月の賃金が確定していない場合、 「⑬欄」に「 未計算 」と記入することで ハローワークへ提出が可能になります。 離職日の翌日に応答する日が各月にないとき 離職証明書は、離職日や離職日の翌日に応答する日をもとに 雇用保険の被保険者期間が離職日を含む以前の 2年間で12か月以上 (特定理由離職者と特定受給資格者は離職日を含む以前1年間で6か月以上)を 確認するために月日を記入しなければなりません。 従業員が「 1月、3月、5月、7月、8月、10月、12月の30日 」に 退職した場合、 離職日の翌日は各月の31日 となります。 離職証明書の「⑧欄」は、離職日から1か月ずつさかのぼって記入するため、 離職日の翌日に応答する日で31日がない月(2月、4月、6月、9月、11月)は その月の末日 を記入してください。 また、記入する年がうるう年のときは、末日の日付に注意してください。 離職証明書の記入例は以下のとおりです。 残業代のみ翌月に支払うとき 集計作業などの事務負担を減らすため、 固定給は当月に支払い、残業代などの変動給は 翌月に支払う ケースもあります。 離職証明書は支払いベースではなく、 あくまでもその期間の実労働分の賃金を記入しなければなりません。 そのため、残業代などの変動給部分は実際に残業をした期間に 割り戻して賃金額を記入します。 (10月分の給与が確定する前に提出するときは、「⑬欄」に未計算と記入します) 上記のケースにおける離職証明書の記入例は以下のとおりです。 月給制から日給制に変更となったとき 企業の人員配置や業務内容の変更、または従業員からの 雇用形態の変更希望などの理由から、 給与の支払い形態を変更することがあります。 たとえば、月給制から日給制に支払い形態が変更になると 「⑨欄」「⑪欄」の基礎日数も変わるため、記入の際は注意が必要です。 「⑫欄」にはA欄B欄の2つの記入欄がありますが 月給制の期間はA欄に記入し、 日給制に切り替わる月以降は月決め手当をA欄に記入し、 それ以外の日額や残業代はB欄に分けて記入してください。 変更後の支払い形態が分かるように 支払い形態が変更された月の「⑬欄」に 「 日給制へ切替 」と記入してください。 離職証明書の記入例は以下のとおりです。 給与の締切日に変更があったとき 給与の締切日が変更になることは多くはありませんが 事業拡大で従業員が増加したことにより 給与計算や支給の管理が煩雑になるような場合に、 給与の締切日を変更することがあります。 【給与の締切日が変更となるケース】 ・事業拡大で従業員が増加したことにより、給与計算や支給の管理が煩雑になるとき ・企業の再編や合併により、新しい企業の給与締切日にあわせるとき ・締切日から支給日までの日数が少なく、給与担当者の業務負担が大きいとき など この場合、「⑩欄」は 締切日ごと に、 「⑪欄」の日数が 11日以上ある完全月 ※を 6か月分 記入します。 「⑪欄」「⑫欄」も対象期間の基礎日数と賃金額を記入してください。 また、締切日が変更された期間が分かるように「⑬欄」へ「 締切日変更 」と記入します。 離職証明書の記入例は以下のとおりです。 ※完全月とは 給与締切日の翌日から次の給与締切日までの期間が 満1か月 であり、 かつ賃金支払基礎日数が 11日以上 ある月のことです。 以下のときは、完全月に含まれないため、注意してください。 ・給与締切日の途中で入社した場合の入社月 ・給与締切日の途中で離職した場合の離職月 (上記【例】9月21日~離職日10月15日) ・給与締切日の途中で給与の支払い形態の変更があった月 ・給与締切日の変更により、完全な1か月ではない月 (上記【例】8月1日~8月20日) ・欠勤や休職、産休育休の取得により、賃金支払基礎日数が10日以下のとき ケガや病気で給与の支払いが30日以上なかったとき 従業員がケガや病気で仕事を休んだ場合、 労災保険の休業補償や健康保険の傷病手当金などの 生活保障を受けることがありますが、 企業では欠勤扱いとなり、給与の支払いがないことがほとんどです。 離職証明書の手続において、原則離職日を含む以前の2年間までが算定対象期間ですが、 そのあいだにケガや病気、出産などの理由で、 引き続き30日以上給与の支払いを受けられなかったときは その日数を算定対象期間に加算することができます( 最長4年間 )。 長期欠勤の期間があると離職証明書へ記入する期間も多くなりますが、 給与支払いがなかった期間の 事実を証明する書類 を添付できるときは 「⑧〜⑫欄」の記入を省略できます。 この場合、医師の診断書や傷病手当金支給申請書などの写しの添付が必要です。 「⑬欄」には、「 給与支払いがなかった期間 」「 日数 」 および「 その原因 」を記入します。 離職証明書の記入例は以下のとおりです。 賃金支払対象期間について、「⑬欄」への記入と傷病手当金支給申請書などの 写しを添付することで、以下の青枠「⑧〜⑫欄」(2023年2月21日~2023年10月20日)を 省略しています。 なお、「⑧〜⑫欄」1段目の離職日までの最後の期間 (上記2023年10月21日~離職日11月20日)の記入は省略できません。 傷病により長期欠勤のまま退職するケースもあるため、 その場合「⑨欄」「⑪欄」は0日、「⑫欄」は0円と記入してください。 産休育休で給与の支払いが30日以上なかったとき 厚生労働省の実施した令和3年度の雇用均等基本調査によると、 過去1年間に育児休業を終了し、復職した女性の9割以上が 6か月以上の育児休業を取得しています。 キャリア形成の観点から仕事と育児の両立に関する制度の見直しが進み、 多くの従業員が産前産後休業、育児休業を取得しています。 離職日を含む以前の2年間までの算定対象期間に、 産休育休の取得により給与の支払いがなかった場合も ケガや病気で給与の支払いが30日以上なかったときと同様に 離職証明書を作成してください。 離職証明書の記入例は以下のとおりです。 なお、「⑧〜⑫欄」1段目の離職日までの最後の期間 (上記2023年8月1日~離職日8月31日)の記入は省略できません。 「⑨欄」「⑪欄」は0日、「⑫欄」は0円として記入してください。 また、省略期間に育児休業をしていた子どもの育児休業給付金を受給していた場合、 ハローワークで事実確認ができるため添付書類は原則不要です。 ただし、産休育休取得後に雇用保険に加入したため 育児休業給付金を受給していなかったなどの場合は、 母子健康手帳の写しや産前産後休業申請書(任意様式)など、生日と休業期間が証明できる書類を添付してください。 まとめ 今回の記事では、パターン別の離職証明書の書き方と記入例をご紹介しました。 離職証明書は、従業員の失業保険の受給額に直結するだけでなく、 記載内容一つで 助成金の受給資格を失ったり、後の労働トラブルに発展したりするリスク も含んでいます。 「この離職理由で本当に問題ないか?」 「複雑な賃金計算でミスをしていないか?」 と不安を感じる場合は、 一人で抱え込まずに専門家へ相談することをおすすめします。 離職手続き・労務管理でお困りの方へ 社労士法人WORKid(ワーキッド) では、煩雑な社会保険手続きの代行から、 トラブルを未然に防ぐ労務コンサルティングまで幅広くサポートしています。 「書き方が合っているか不安で時間がかかる」 「助成金への影響を考慮してアドバイスが欲しい」 「退職者とのやり取りをスムーズに終わらせたい」 といったお悩みがあれば、 まずは下記よりお氣軽にご相談ください。 貴社の状況に合わせた最適なサポートをご提案します。

  • 【経営者必見】男性育休で活用できる助成金

    最近では、若手社員を中心に「育休が取れる職場かどうか」が就職や定着の大きな判断基準となっており、また、顧問先様でもパパ育休の取得が増えてきています。 今回は、両立支援助成金の中でも男性の育児休業取得が対象となる 「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」についてご紹介いたします! 01| 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは? 会社が男性の育児休業を取得しやすい環境を整備し、実際に育休取得があった場合に支給される助成金です。 中小企業の場合、 第1種:最大20万円 第2種:最大60万円 段階的に取り組むことで、 合計最大80万円 の支給が見込めます。 単に育休を取ればよいという制度ではなく、 ✔ 制度を整える ✔ 業務体制を見直す ✔ 取得を定着させる といった“職場づくり”そのものが評価される仕組みです。 両立支援等助成金(出生時両立支援コース)|東京労働局 02| 第1種:まずは「1人目」の育休取得から! 男性社員が育児休業を取得しやすい環境を整え、実際に 出生後8週間以内に一定期間の育休 を取得させた場合に受給できます。 【主な要件】 ①育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を複数実施 ②育児休業取得者の業務代替者の業務見直しに係る規定等を策定し、 業務体制の整備を実施 ③男性社員が、子の出生後8週間以内に、 5日以上 の育休を取得すること。 03| 第2種:育休取得の「定着」をさらに評価! 第1種を受給した企業が、その後も継続して男性の育休取得を促進し 育休取得率が大幅に向上 した場合に上乗せで受給できるものです。 【主な要件】 ①育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を複数実施 ②育児休業取得者の業務代替者の業務見直しに係る規定等を策定し、 業務体制の整備を実施 ③以下のいずれかの達成 A 申請年度の前事業年度の男性労働者の育休取得率が、  前々事業年度と比較して30%以上UP&育休取得率50%以上 B 申請年度の前々事業年度で子が出生した男性労働者が5人未満かつ  申請前事業年度と前々事業年度の男性労働者の育休取得率が連続70%以上 04|  助成金を“職場づくり”にどう活かすか この制度の本質は、金額だけではありません。 男性が安心して育休を取得できる環境を整えることは、 ・若手人材の採用力向上 ・離職防止 ・従業員満足度の向上 ・組織への信頼感強化 につながります。 助成金は、その取り組みを進めるための原資として活用できます。 助成金の申請には、 「就業規則の改訂」や「事前のプラン作成」が必須となります。 「うちは対象になる?」 「手続きが難しそう」と感じられたら、 まずは一度お氣軽にご相談ください! 貴社の「誰もが働きやすい職場づくり」を、全力でサポートいたします。

  • 2026年から始まる「子ども・子育て支援金制度」について

    〜「こども未来戦略(加速化プラン)」と、企業・従業員が支える新しい仕組み〜   01| なぜ今、新しい制度が必要なのか? 少子化・人口減少に歯止めをかけるため、政府は令和5年12月に 「こども未来戦略(加速化プラン)」を策定しました。 この財源の一部を社会全体(企業、従業員、国民)で分かち合い、支え合う仕組みとして導入されるのが 「子ども・子育て支援金制度」 です。 子ども・子育て支援金制度について|こども家庭庁 02| 【負担と仕組み】会社にどのような影響があるの? これらの支援策を支えるため、医療保険制度を通じて「支援金」の拠出が始まります。 開始時期:   令和8年(2026年)4月 の給与(翌月徴収であれば5月支給分)から 負担率(支援金率):  標準報酬月額の 0.23% です ※労使折半: 事業主と従業員で半分ずつ負担するため、従業員負担分は実質 約0.115% となります 徴収方法:  毎月の健康保険料等の社会保険料とあわせて徴収されます 賞与について:  給与だけでなく、賞与からも同様に徴収されます ※健康保険組合によっては異なる場合があります。  詳細については、加入している保険者にご確認ください。 03| 拡充される支援の内容 確保された財源をもとに、すでに以下のような給付の拡充が始まっています。 児童手当の抜本的拡充(令和6年10月〜)   所得制限撤廃:  全ての子育て世帯が支給対象へ 期間延長:  支給期間が「高校生年代」まで延長 第3子以降の増額:  第3子以降は月額3万円に増額 働きながら子育てしやすい環境へ(令和7年度〜順次) 出生後休業支援給付:  両親ともに14日以上の育休を取得した場合、最大28日間、手取りの10割相当が支給されます 育児時短就業給付:  2歳未満の子を育てながら時短勤務をする場合、賃金の10%が支給されます 妊婦のための支援給付:  妊娠届出時や出産後の面談等を通じ、計10万円相当の支援が行われます 04|  【Q&A】よくある疑問 Q. 独身や子育てを終えた世代も負担するのですか?   A.  はい。社会全体でこどもの育ちを支えることは、独身の方や高齢者の方を含めた全世代にメリットがあるため、全員で支え合う仕組みとなっています。   Q. 育休中も支払う必要がありますか?   A.  いいえ。産休・育休期間中の社会保険料免除と同様に、支援金の拠出も 免除 されます。 05| 次へのアクション 本制度の開始に向けて、それぞれの立場で以下のご対応・ご確認ください。   給与計算システムの改修準備   令和8年4月以降、社会保険料の計算に「子ども・子育て支援金(0.23%)」を追加する必要があります。給与システムの確認をしましょう。   法定福利費の予算修正   支援金は「労使折半」です。 企業負担分として、全従業員の標準報酬月額および標準賞与額の約0.115%相当が、新たなコストとして発生します。 令和8年度の予算策定時に法定福利費の増額を見込んでください。

  • 12月スタート!「賃上げ・職場環境改善支援事業」のポイント

    〜令和8年度改定を待たずに行われる、緊急的な人材確保支援〜 はじめに|「報酬改定まで待てない」現場の声に応える制度です 介護業界では、人材確保・定着がこれまで以上に大きな課題となっています。 そうした中、厚生労働省より 「令和7年度 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」 の実施要綱が公表されました。 この制度は、 → 令和8年度の介護報酬改定を待たずに →人材流出を防ぐため、令和7年12月から緊急的に実施される支援策 です。 「結局、何をすれば対象になるの?」 「うちの事業所は使えるの?」 そんな疑問にお応えできるよう、 今回はこの支援事業の 仕組みと要件をできるだけシンプルに  解説します。 1.いつから始まる?|実施時期と補助額の考え方 まずはスケジュールを確認しましょう。 ● 開始時期 令和7年(2025年) 12月16日  から適用されます。 ● 補助額の計算方法 原則として、 令和7年12月のサービス提供分の報酬額  を基準に 6か月分(令和8年5月まで)  の補助額が算出されます。 → 「12月の実績」がポイントになるため、   今のうちから対象要件を確認しておくことが重要です。 2.補助金を受け取るための「3つのステップ」 この支援事業の特徴は、 事業所の取り組み状況に応じて、段階的に補助が上乗せされる仕組み になっている点です。 ステップ①|ベースとなる賃上げ支援【必須】 まず必ず満たす必要があるのが、このステップです。 ● 要件 基準月(令和7年12月)において、 「介護職員等処遇改善加算」  を算定していること。 ※ 現時点で未算定の場合でも、   申請時に「算定することを誓約」すれば対象  となります。 →多くの事業所が該当しやすい、基本となる要件です。 ステップ②|生産性向上・協働化への取り組み【上乗せ】 ステップ①に加えて、次の取り組みを行っている場合、 補助が上乗せされます。 ● 対象となる取り組み ※例 訪問介護の場合 ケアプランデータ連携システムへの加入 社会福祉連携推進法人へ所属 上記のいずれかに取り組むこと ステップ③|職場環境改善への取り組み【上乗せ】 業務の洗い出し 役割分担の明確化 改善委員会の設置 など 職場環境改善に向けた計画・実施  を行っている場合 このステップの補助対象となります。 → 「すでにやっている取り組みが該当していた」  というケースも少なくありません。 ■ポイント ステップ②を満たしている事業所は、ステップ③も満たしているとみなされます。 令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業による補助金の交付を受けている場合もステップ③を満たしているとみなされます。 ステップ②を選択せず、ステップ①+ステップ③の活用も可能です。 3.補助金は何に使える?|使い道の基本ルール 補助金の使い道は、大きく2つに分かれています。 ① 賃金改善に使う(基本) ステップ①・②に対応する補助額は、 職員の賃金改善  に充てる必要があります。 基本給 各種手当 賞与・一時金 →基本給での改善が望ましいとされていますが  手当や一時金での対応も可能です。 ② 職場環境改善に使う(ステップ③分) ステップ③に該当する部分は、 採用活動費 研修費など、 環境改善に関する経費  に使えます。 また、この部分についても 職員の賃金改善に充てることが認められています。 ※ 注意点 PCや介護ロボットなどの機器購入費(テクノロジー導入)には使えません。 ⚠ 申請にあたっての注意点|自治体からの案内を必ず確認してください まとめ|「うちは対象?」と感じたら、早めの確認を 今回の支援事業は、 ✔ 比較的多くの事業所が対象になりやすく ✔ 取り組み状況によって補助額が変わる 制度です。 一方で、 加算の算定状況 申請時の誓約内容 賃金改善・環境改善の整理 など、 事前確認が欠かせないポイント  も多くあります。 「自社はどこまで対象になるのか知りたい」 「今の加算の取り方で問題ないか少し不安」 そう感じた方は、 まずは現状を整理するところから 始めてみませんか。 下記のアンケート(3問・1分程度)にご回答いただくことで、 貴社の状況に近い選択肢を整理できます。

  • 令和7年度 業務改善助成金

    ― 2026年度(令和8年度)を見据えて、今知っておきたい実務のリアル ― 業務改善助成金は、例年どおりであれば 次年度(2026年度/令和8年度)の詳細は 4月頃に公表 される見込みです。 ただし制度が出てから検討を始めるのでは、 実際の申請・交付決定には間に合わない というのが 今年度の実務を通じての率直な実感です。 本記事は、実際に令和7年度の申請を多数進めている 社労士事務所として、現場で「本当に起きていること」を整理した内容です。 業務改善助成金についてはこちら(厚労省HP) ① システムの「月額利用料」は助成対象外 まず、今年度の申請対応で最も影響が大きかった点です。 システムの月額利用料(サブスクリプション費用)は助成対象外 これは制度解釈の揺れではなく、 実際の審査・差戻しを通じて明確になった運用 です。 ■なぜ対象外になるのか 審査上は一貫して 「通常の事業活動に伴う経費」 と判断されています。 実務ポイント 初期導入費・機器購入費:対象になり得る 月額・年額の利用料:原則対象外 「去年はいけた氣がする」という感覚で進めると、今年度は確実に引っかかります。 ② 工事費の審査は、想像以上に“ピンポイント” 令和7年度は、 工事費に関する確認が明らかに厳格化 しています。 実際の審査では、 「その工事は、その機器を導入するために不可欠か」 この一点を、かなり細かく見られています。 対象として認められる工事 導入機器を設置・稼働させるために必須の工事 差戻し・否認になりやすい工事 ついでに行った内装・改修 将来を見据えた工事 機器と直接の因果関係が説明できない工事一式 ■実務対応として重要なこと 見積書を「機器関連工事」と明確に切り分ける なぜ必要なのかを文章で説明できる状態にしておく 書き方次第ではなく、 中身そのものが問われている 印象です。 ③ 申請集中により、交付決定まで“かなり待つ”のが前提 今年度は申請件数が非常に多く、交付決定までの期間が明らかに長期化しています。 実際の申請対応では、 申請後、長期間動きがない 年内に交付決定が出ないケースも珍しくない という状況が発生しています。 ■改めて重要な点 交付決定前の購入・契約は助成対象外 「早めに動く」では足りず、かなり前倒しで準備する必要あり 設備導入の時期が決まっている場合ほど、 助成金ありきのスケジュールは危険 です。 【実績】令和7年度・交付決定が出た設備例 以下は、 実際に交付決定が出たもの です。 勤怠クラウドシステム・労務クラウドシステム 福祉車両 スチームコンベクションオーブン カーポート 見守り(防犯)カメラ ルンバ 業務用換気扇・天蓋 除雪機 入浴用車いす フォークリフト ナースコール いずれも共通しているのは、 「生産性向上との結びつきが説明できること」です。 まとめ|2026年度を待つ前に、今やっておくべきこと 2026年度(令和8年度)の制度詳細は、 おそらく 4月頃に公表 される見込みです。 ただし、令和7年度の運用を見る限り、 ✔ 審査は年々厳格化 ✔ 申請から決定まで長期化 ✔ 「後から考える」は間に合わない この流れは、次年度も続く可能性が高いと考えています。 「この設備は対象になるのか」 「工事費はどこまで認められるのか」 こうした判断は、制度が公表されてから考えるより 今のうちに整理しておく方が圧倒的にスムーズです。 少しでも氣になる点があれば、 以下よりお問い合わせください。

  • 勤怠管理は「記録」から「経営を守る仕組み」へ

    〜2026年、いま見直したい勤怠管理の考え方〜 ▼ この記事で分かること ・勤怠管理の役割が、ここ数年でどう変わってきているか ・「把握している」だけでは足りない理由 ・人に頼る勤怠管理が抱えるリスク ・これから求められる勤怠管理の考え方   01|勤怠管理の役割は、ここ数年で大きく変わっている これまで勤怠管理は、給与計算のための事務作業として扱われることが一般的でした。 しかし現在は、労働時間を正しく把握し、必要に応じて説明できているかが強く求められています。   単に出退勤を記録するだけでなく、「その管理方法自体が適切か」が問われる時代です。 勤怠管理は、日々の業務を回すための作業から、会社を守るための重要な管理業務へと位置づけが変わっています。 02|「把握している」だけでは足りない時代へ 「残業時間は把握している」 「だいたい合っている」 という感覚的な管理では、十分とは言えなくなっています。   今求められているのは、誰が見ても分かる形で、客観的に記録されていることです。   紙やExcelでの管理では、修正履歴が分かりにくかったり、確認や説明に時間がかかったりすることも少なくありません。   管理の正確さと説明のしやすさが、これまで以上に重要になっています。 03|人に頼る勤怠管理は、限界が見えやすい 勤怠管理が特定の担当者の経験や判断に依存している場合、 業務が属人化しやすくなります。 その人が不在になると分からなくなる、引き継ぎが大変、 といった状況は珍しくありません。   また、月末ごとに確認や修正に追われる状態が続くと 管理する側の負担も大きくなります。   人の頑張りで成り立つ管理には限界があり、仕組みとして整える必要性が高まっています。 04|仕組みを変えると、管理の質が変わる 勤怠管理を仕組み化すると、打刻から集計までが自動で行われ 人が手作業で関わる場面を減らすことができます。   その結果、計算ミスや確認漏れのリスクが下がり、管理の精度が安定します。 操作が分かりやすく、法令対応を前提に設計されたクラウド勤怠管理として KING OF TIME に関心を持つ企業も増えています。   まずは、今の管理方法がこの先も問題なく使えそうかを 確認することから始めてみてください。 ■今の勤怠管理、少しだけ確認してみませんか? 今の状態を1分で整理できる簡単チェックをご用意しました。

  • 厚生労働省から、労働に関する現状や課題についての発表がありました

    2024年9月、厚生労働省による「令和6年版 労働経済の分析」(労働経済白書)が 発表されました。 労働経済の分析(労働経済白書)とは、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題に ついて、統計データを活用して分析をした報告書です。 毎年、テーマを決めて分析しており、75回目の公表となる今年のテーマは「人手不足への 対応」です。 このマガジンでは、「令和6年版 労働経済の分析」(労働経済白書)を基に、人手不足の 現状と課題や、企業が人手不足に対応するためのポイントをまとめています。 人手不足の現状と課題 1 雇用の過不足の状況 雇用の過不足の状況を産業別・企業規模別の雇用人員判断D.I.の推移で確認します。 雇用人員判断D.I.とは、雇用が「過剰である」と回答した企業の割合から、「不足して いる」と回答した企業の割合を引いたものです。 雇用人員判断D.I.が0を下回るということは、雇用が「過剰である」と感じている企業 よりも、 「不足している」と回答した企業の方が多い ことを示しています。 2023年においては、すべての産業で雇用人員判断D.I.が0を下回り、かつ、新型コロナ ウイルス感染症の拡大前の水準よりも低いため、より一層の人手不足感が高まっています。 特に、「宿泊・飲食サービス」や中小企業で、人手不足感がより高い傾向がみられます 背景としては、経済の回復により労働力の需要が増加していること、また、高齢化や人口 減少に伴い労働力の供給に制約があることがあげられます。 【産業別・企業規模別にみた雇用人員判断D.I.の推移】   (出典) 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P37 2 充足率の推移 生じている欠員の求人に対する充足状況を充足率(新規求人に占める就職件数の割合)で 確認します。 求人の充足率は、2010年代以降、長期にわたり低下しています。特にフルタイム労働者に おいて、2023年は10%程度と過去50年の中で最低水準となりました。このことから、 生じている欠員の求人の充足が困難となっていることがうかがえます。 また、フルタイム労働者においては、企業の中核的な役割を担う人材ゆえに採用活動も 長期化しやすい傾向もあり、企業は人手不足を強く実感していると考えられます。 【充足率の推移】 (出典) 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P112 3 労働力需給ギャップの推移 「企業が必要とする総労働力」を労働力需要と、「労働市場に参加している者が供給できる 最大の総労働力」を労働力供給と定義し、それぞれ時間単位で計算した労働力供給から 労働力需要を差し引いたものを労働力需給ギャップといいます。 人材不足の程度を労働力需給ギャップで定量的に確認します。 労働力需給ギャップが マイナスであることは、すべての求職者が就職したとしても、 すべての企業が必要とする労働力需要より不足する ことを意味しています。 全体の労働力需給ギャップの推移をみると、2017年にマイナスとなり、2020年には新型 コロナウイルス感染症の影響により企業が必要とする労働力需要が低かったことなどに よりプラスとなったものの、2022年以降は労働力需要が回復し、再びマイナスとなって います。 また、産業別では、特に「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」で 大きなマイナス幅がみられます。 このことから、「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」を中心に、 広範な産業において人手不足が生じている ことが分かります。 【労働力需給ギャップの推計】 (出典) 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P130 多様な人材の労働参加の現状と課題 労働力需給ギャップでみたように、人手不足は広範な産業で生じており、労働力の供給 増加には、多様な人材の労働参加が欠かせません。この章では、多様な人材の労働参加に 向けて、近年就業者の増加が著しい 女性、高齢者、外国人 についての現状と課題を解説して いきます。 1 女性の就業 日本の女性の就業率は上昇しており、OECD(経済協力開発機構)26か国と比較しても、 就業率からみた労働の「量」は国際的にも遜色ない水準となっています。 一方で、パート比率については、世界的な低下と対照的に、日本は30%を超える水準まで 上昇し、OECD26か国中5番目に高くなっています。 今後は、希望すれば正規雇用として就業できる環境整備など、 「質」の改善 に取り組む 必要があります。 【女性の就業率とパート比率の国際比較】   (出典) 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P153 2 高齢者の就業 日本の高齢者の就業率は、ほかのOECD諸国と比較したとき、韓国・アイスランドに次いで 高い水準にあり、国際的にみても高齢者の就業は進んでいます。 【高齢者の就業率の国際比較】 (出典) 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P158 また、高齢者の年齢ごとの就業率では、就業率の大きな低下が高年齢者雇用安定法の 改正による定年年齢の引上げなどもあり、60歳から65歳へシフトしています。 65歳までの雇用確保を目的とした高齢者の雇用確保措置の義務化や深刻な人手不足を 背景に、高齢者の労働参加が進展したと考えられます。 一方で、60歳での就業率の大きな低下は解消できたものの、新たに65歳での大きな低下が 生じています。男女ともに健康寿命が70歳を超えていることや、65歳を超えた高齢者の 就労希望が他国と比較しても高いこと、中高年層の賃金のフラット化が進んでいること などを踏まえると、今後は、65歳を超えても働く意欲のある高齢者が、能力を十分発揮 して、適切な待遇において生き生きと就労できるよう、必要な支援を講じていく必要が あります。 【高齢者の年齢別就業率の変化】   (出典) 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P160 3 外国人労働者 日本で働く外国人の人数は、2023年10月末時点は約205万人となり、2007年に外国人雇用 状況の届出が義務化されて以降、11年連続で過去最高を更新しました。 一方で、日本への主な送出国の平均賃金と日本の平均賃金の比較においては、賃金水準の 差が縮まっています。 今後は、日本が 外国人労働者から選ばれる国になるために 日本国内での賃上げなどに 引き続き取り組む必要があります。 【外国人労働者数の推移】 (出典) 厚生労働省「【概要】令和6年版 労働経済の分析」P12 【日本と諸外国の賃金差の推移】 (出典) 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P167 企業における人手不足への対応 企業における人手不足への対応として、「令和6年版 労働経済の分析」で提言されている 2つの取り組みをご紹介します。 1 労働生産性の上昇 労働力需給ギャップでも確認したとおり、すべての求職者が就職したとしても労働力需要 より不足していることを踏まえると、人手不足への対応として 労働生産性の上昇 が欠かせ ません。 労働生産性とは、従業員がどれだけ効率的に成果を生み出したかを数値化したもので、 効率性を測る指標とされています。 企業の取り組みとしては、たとえば、人の手で行う作業をロボット・AI・ICTなどの技術を 活用、現場の知見をいかしたデータ分析の活用による高付加価値の商品やサービスの提供が 挙げられます。 また、人口が減少していく中で、これまで以上に一人ひとりの労働者が貴重な存在となる ため、リ・スキリング支援を通じた人材育成なども重要です。 2 多様な人材の受け入れと職場づくり 多様な労働参加の現状と課題の章で記載した、 女性、高齢者、外国人 など多様な人材を 積極的に受け入れることや、 多様で柔軟な働き方の実現、能力や強みを活かせる職場づくり の取り組みも重要です。 たとえば、残業や広範囲の転勤などを含めた働き方の見直しや、能力に応じてやりがいを もって働けるような一人ひとりに寄り添ったマネジメントの実施などがあげられます。 取り組みを通して、より多様な人材が能力や強みを発揮できる機会を確保することが大切 です。 おわりに 2010年代以降、充足率が低下するなど、人手不足が長期的かつ粘着的に生じている可能性が あります。 それに加えて、高齢化は今後も続くことから、人手不足はさらに進むことが考えられます。 「令和6年版 労働経済の分析」(労働経済白書)では、特に人手不足が深刻な介護や小売・ サービス分野での取り組み効果も紹介されています。 介護分野においては、人手不足が深刻な場合には、介護福祉機器の整備による職員の身体的 負担の軽減や、労働環境などの改善が重要である一方、やや不足している場合には比較的 高い賃金水準を確保すること、またICT活用が人手不足対応に資するなど、人手不足の状況 に応じて、必要な対応が異なることが紹介されています。 参考| 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P188〜P199 小売・サービス分野においては、正社員、パート・アルバイトともに、賃上げの実施や時間 外労働を削減すること、加えて、正社員については、有給休暇の取得や研修・労働環境・ 労働条件の整備も重要であることが紹介されています。 参考| 厚生労働省「【本文】令和6年版 労働経済の分析」P199〜P213 こうした取り組み事例を参考に、企業の持続的な成長や発展のためにも、生産性の向上や 多様な人材が活躍できる職場づくりなどを通して、人手不足へ対応していくことがより 一層大切です。

  • 【2024年度版】被扶養者資格の再確認

    毎年度実施されている、全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)の「被扶養者資格の 再確認」が、今年度も行われます。 社会保険の適用拡大により、2024年10月から厚生年金保険の被保険者数51人以上の 企業は特定適用事業所となり、社会保険の適用対象となる短時間労働者の範囲が さらに広がっています。 従業員の家族が短時間労働者として社会保険を取得するケースもあるため、再確認の 際には扶養解除の申出漏れがないように従業員に周知することも大切です。 今回の記事では、協会けんぽに加入している企業の実務担当者が理解しておくべきポイント を解説します。 なお、健康保険組合でも同様に被扶養者資格の再確認が実施されますが、実施時期や 確認方法はご加入の健康保険組合にご確認ください。 被扶養者状況リストの到着 2024年10月上旬から11月上旬にかけて、協会けんぽから企業宛に被扶養者状況リスト などの書類が届いています。 企業はこの被扶養者状況リストをもとに、被扶養者資格の再確認を進めていきます。 再確認ができない状態が続く被扶養者については、法令等により被保険者証が無効となる 可能性もありますので、必ず提出してください。 なお、再確認の対象となる被扶養者がいない事業所には書類は発送されないため、今回の 再確認および提出は不要です。 1 対象となる被扶養者 対象となるのは、 2024年9月14日現在の被扶養者 です。(任意継続被保険者の被扶養者を 除く) ただし、以下の被扶養者は対象外のため再確認は不要です。(被扶養者状況リストの備考 欄に「確認不要」の印字がされています。) ・2024年4月1日時点で18歳未満(2006年4月2日以降生まれ)の被扶養者 ・2024年4月1日以降に被扶養者となった人 2 書類の種類 協会けんぽより書類一式が届いたら、以下の書類が同封されているか確認してください。 ①被扶養者状況リスト(2枚複写) ②被扶養者資格の再確認方法やリストの記入方法等についてのリーフレット ③被扶養者調書兼異動届 ④被扶養者現況申立書 ⑤マイナ保険証利用促進チラシ ⑥返信用封筒 3 提出期限 2024年11月29日(金) 従業員への扶養状況の確認 ここからは、被扶養者資格の再確認の手順について解説します。 まずは、被保険者である従業員に対し、被扶養者ごとの確認区分に応じた認定要件 (今後も継続して被扶養者となるために確認が必要な要件)を満たしているか確認を します。 1 確認区分とは 協会けんぽでは、2024年5月10日〜8月13日に実施したマイナンバー情報の照会で取得した被扶養者情報をもとに、被扶養者を以下の7つの区分に分けています。 この区分を確認区分といい、被扶養者状況リストの「確認区分」欄に記載されています。 (出典) 協会けんぽ『被扶養者資格の再確認とご提出のお願い』P3 確認は文書または口頭で行います。協会けんぽより調査票が紹介されていますので、 参考にしてください。 参考・ダウンロード| 協会けんぽ『被扶養者資格再確認調査票 表(Excel)』 参考・ダウンロード| 協会けんぽ『被扶養者資格再確認調査票 裏(PDF)』 2 確認内容 確認区分によって確認する内容が異なります。 なお、今回の記事において、年収に関して「130万円」とされる部分については、60歳以上 または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は「180万円」に読み替えて対応 してください。 ①同居 【確認内容】 被扶養者の今後の見込み年収額が、「130万円未満」かつ「被保険者の年収の1/2未満」であるか ②別居 【確認内容】 被扶養者の今後の見込み年収額が、「130万円未満」かつ被保険者からの「仕送り額より 少ない」か ③要同居 【確認内容】 被保険者と同居が必要な被扶養者について、以下のいずれも満たしているか ・被保険者と同居(同一の世帯または世帯分離)している ・「①同居」の要件を満たしている 世帯分離など、同居していても別世帯である場合は「要同居」として判定されるため、 同居の確認が必要となります。  被保険者と同居が必要であるかは、以下の図を参考にしてください。 ④海外在住 被扶養者は、原則として国内に居住している(日本国内に住民票がある)ことが必要です。ただし、留学生や海外赴任に同行する家族など、海外特例要件を満たし、必要な届出を 行った場合は被扶養者になることができます。 【確認内容】 以下の図の海外特例要件を満たしているか   ⑤資格重複 【確認内容】 被扶養者自身が被保険者として健康保険に加入していないか 被扶養者自身が被保険者になった場合は扶養解除となります。 国民健康保険の脱退手続を失念していたなど、現在ほかの健康保険への資格取得をして いない場合は、国民健康保険の脱退手続を行うことで今後も継続して被扶養者となれる 可能性があります。 ⑥収入超過 【確認内容】 以下の2点を確認してください。 ・被扶養者の現時点および今後の見込み年収額 ・収入超過の原因が人手不足による労働時間延長等に伴う一時的なものであるか 確認後、その結果に応じた対応をすることとなります。   【人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入超過への対応】 被扶養者の年収が130万円以上であっても、人手不足による労働時間の延長等により一時的 に収入が増加している場合は、「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書を提出すること で被扶養者と認められる場合があります。 以下の証明書を従業員に渡し、被扶養者に勤務先の事業主の証明書を発行してもらうように 伝えてください。 なお、この措置は、あくまで一時的な事情として認定を行うことから、同一の被扶養者に つき原則として連続2回までです。 参考・ダウンロード| 厚生労働省『被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書』 ⑦判定不能 被扶養者の現在の状況(収入額、同居または別居かなど)を確認し、どの確認区分に該当 するかを判断します。 次に、その確認区分に従って認定要件の確認を行ってください。 確認結果を被扶養者状況リストに記入 従業員に扶養状況を確認後、その結果を被扶養者状況リストに記入します。 1 正しい確認区分を記入する(現況と相違がある場合のみ) 被扶養者状況リストに記載されている確認区分が現況と相違する場合は、二重線で抹消し 正しい確認区分を記入します。 2 認定要件を満たすとき 継続して被扶養者となります。「変更なし」の欄にチェックを入れてください。 確認区分が「判定不能」の被扶養者が以下に該当する場合は、該当項目にもチェックを 入れます。 【被扶養者が被保険者と別居の場合】 「被保険者と別居している」にチェック 【被扶養者が海外に在住(国内に住民票なし)の場合】 「海外に在住している」にチェック 3 認定要件を満たさなかったとき 扶養を解除しなければなりません。「解除となる」の欄にチェックを入れ、備考欄に解除 理由の番号(①死亡 ②離婚 ③就職 ④収入増加 ⑤75歳到達 ⑥障害認定 ⑦その他)を記入 してください。 【今回扶養から解除となる場合】 「解除となる」欄にある「被扶養者調書兼異動届を添付」欄にチェックし、備考欄に解除 理由の番号を記入 【すでに被扶養者異動届または資格喪失届を提出済の場合】 「解除となる」欄にある「日本年金機構へ届出済」欄にチェックし、備考欄に解除理由の 番号を記入 提出書類の準備および郵送 提出書類は、認定要件の確認結果(「変更なし」または「解除となる」)や被扶養者の確認区分によって異なります。 以下の図を参考に被扶養者ごとに必要な提出書類を準備のうえ、 2024年11月29日(金) までに同封の返信用封筒で協会けんぽに提出してください。 ここからは、各提出書類について解説します。 1 被扶養者状況リスト ここまで解説した手順にしたがって、リストを作成してください。 なお、このリストは2枚複写です。1枚目を提出し、2枚目は事業主控として保管してくだ さい。 2 被扶養者現況申立書 被扶養者が以下に該当するときに、現在の状況を申し立てる書類です。 ・被保険者と別居 ・海外在住 ・世帯分離をしているとき ・確認区分が「収入超過」と判定されているが、扶養を継続するとき 参考・ダウンロード| 協会けんぽ『被扶養者現況申立書』 3 仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類 送金者名、受取人名および仕送り額が確認できる書類を提出します。(直近1か月分) なお、学生は省略可能です。 振込の場合:預金通帳等の写し、振込明細書など 送金の場合:現金書留の控えなど 4 被保険者と被扶養者の住民票 世帯分離をしているとき、確認区分が「要同居」と判定されることがあります。 その場合、同じ住所に住んでいることを証明するため、住民票を提出します。 5 海外特例の該当が確認できる書類 該当する海外特例要件ごとに定められた書類を提出します。 6 被扶養者調書兼異動届、健康保険証 確認の結果、扶養解除となる被扶養者がいる場合、被扶養者調書兼異動届を記入のうえ 提出します。 このとき、被扶養者の健康保険証も返却となるため添付してください。(高齢受給者証や 特定疾病療養受療証なども交付されている場合、これらも返却となるため添付) 参考・ダウンロード| 協会けんぽ『被扶養者調書兼異動届』 なお、健康保険証を返却できない場合、健康保険被保険者証回収不能届を添付してくだ さい。 参考・ダウンロード| 協会けんぽ『健康保険被保険者証回収不能届』 おわりに 本来、被扶養者が扶養の要件に該当しなくなったときは、その都度、被保険者である従業員 が企業に報告しなければなりません。 しかし、扶養から外す報告は忘れがちな報告のひとつです。 そのためにも、たとえば卒業・就職などライフスタイルが変わる人の多い4月前後には扶養 の外し忘れがないよう社内周知するなど、従業員の扶養に関する認識を高めることをおすすめします。

  • 専門業務型裁量労働制の基礎知識と導入方法

    労働時間に縛られず柔軟に働くことのできる制度のひとつとして 「 専門業務型裁量労働制 」があります。 しかし、2021年に厚生労働省が公表した「裁量労働制実態調査」の結果によると、 通常の働き方よりも労働時間が長時間になる傾向が見受けられたため、 2024年4月から制度を適用するときには従業員個人の同意が必要となるなどの改正が行われました。 この記事では、専門業務型裁量労働制の基礎知識や導入方法について解説します。 なお、今後公開の記事では、専門業務型裁量労働制の実務対応や企業が押さえておきたい ポイントを解説する予定です。 専門業務型裁量労働制とは 専門業務型裁量労働制は、従業員の裁量が大きく、企業が業務遂行の方法や時間配分の 決定等を指示することが難しい20の業務について、労使協定の締結と従業員の同意を 得ることであらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。 働いた時間ではなく、仕事の成果や実績などで評価が決まる制度といえます。 制度を導入している企業における業務別割合をみると、情報処理システムの分析・設計や 新商品・新技術の研究開発、大学における教授研究の業務などが高くなっています。 参考| 厚生労働省『「裁量労働制実態調査」の結果を公表します』P11 専門業務型裁量労働制のメリット・デメリット 専門業務型裁量労働制には、メリット・デメリットがあります。 それぞれを理解したうえで導入を検討することをおすすめします。   デメリットの部分については注意が必要です。 特に、従業員の裁量に任せたことで長時間労働が常態化し、従業員の健康が害された 場合などは、企業は安全配慮義務を問われる可能性があります。 そのため従業員が働いた時間は必ず記録し、長時間勤務の傾向が見受けられるときは、 健康・福祉確保措置を含む適切な対応を行ってください。 専門業務型裁量労働制の導入方法 専門業務型裁量労働制の導入は、以下の流れで行います。   ここからは、それぞれの流れについて詳しく解説します。 1 労使協定の締結 まずは、過半数労働組合または過半数代表者と労使協定を結ぶ必要があります。 労使協定で定めなければならない事項は以下の10項目です。 なお、締結した労使協定は、従業員に対して周知する必要があります。 ①対象となる業務 専門業務型裁量労働制の対象となる業務は、法令等で定められた 20種類の業務 です。 以下の20種類の業務の中から、企業が専門業務型裁量労働制の対象とする業務を定める 必要があります。 参考| 厚生労働省『専門業務型裁量労働制の解説』P6~8 なお、対象業務に従事する従業員がいる場合でも、業務遂行の方法や時間配分の決定等の 裁量が従業員にないときには、専門業務型裁量労働制を適用することはできません。 また、対象業務とそうではない業務を掛け持ちで行っている場合、専門業務型裁量労働制を 適用することができない場合があります。 適用できるか判断に迷う場合は労働基準監督署へご相談ください。 以下の厚生労働省のサイトには、具体的な対象業務が記載されています。 参考にしてください。 参考| 厚生労働省『専門業務型裁量労働制の解説』P6~8 ②1日のみなし労働時間 適用される従業員の、1日のみなし労働時間を具体的に定める必要があります。 このとき、フレックスタイム制のように、1週間や1か月といった単位で時間を定めることは できません。 また、みなし労働時間を定めるにあたっては、労使で協議のうえ設定します。 賃金などの処遇についても業務内容などを十分考慮し、相応のものとなるように設定する 必要があります。 ③業務遂行の方法、時間配分などの具体的指示を従業員にしないこと 対象となる業務の遂行方法や時間配分の決定等について、企業が適用される従業員に 具体的な指示をしないことを定める必要があります。 始業や終業時刻を指示してしまうなど、従業員の裁量が失われることがあると、制度の 適用外となってしまいます。 そのため、特に適用される従業員の直属の上司は制度を熟知していることが大切です。 ④健康・福祉確保措置の具体的内容 専門業務型裁量労働制を導入した場合でも、タイムカードやパソコンの使用時間の記録 などの客観的な方法で労働時間を把握する必要があります。 そのうえで、把握した労働時間をもとに、企業は「どの」健康・福祉確保措置を「どのように」実施するのかについて定める必要があります。 実施が望まれる健康・福祉確保措置は以下のとおりです。なお、2024年4月から、健康・ 福祉確保の強化のために措置が追加されています。   ⑤苦情処理措置の具体的内容 適用される従業員の苦情に対応するための措置を企業が実施することと、その措置の 具体的な内容を定める必要があります。 具体的な内容は、苦情を受け付ける窓口や担当者、対応の手順や方法などです。 また、評価制度や賃金制度などに関する苦情も受け付けることが望ましいとされています。 さらに、労務担当者以外の者を窓口にするなど、従業員が苦情を申出しやすい体制の整備も してください。 ⑥従業員の同意を得ること 制度の適用を受けることについて、従業員本人の同意を得ることを定める必要があります。 この同意は、適用対象の従業員一人ひとりと、労使協定の有効期間ごとに得なければ なりません。 ⑦同意をしなかった従業員に不利益取扱いをしないこと 制度の適用に同意をしなかった従業員に対して、解雇やそのほかの不利益な取扱いをしては ならないことを定める必要があります。 ⑧同意撤回の手続き 同意撤回の申出先や方法などの具体的な内容を含む、従業員の同意撤回の手続きについて 定める必要があります。 ※⑥⑦⑧については、2024年4月の法改正により追加された事項です。 「4 従業員の同意」で詳しく解説します。 ⑨労使協定の有効期間 労使協定の有効期間を定める必要があります。 労使協定は一定期間ごとにその内容を見直すことが大切となり、長くても3年程度の 有効期間がおすすめです。 ⑩労働時間の状況、健康・福祉確保措置の実施状況、苦情処理措置の実施状況、同意および 同意の撤回の従業員ごとの記録を協定の有効期間中およびその期間満了後3年間保存すること 企業は、労使協定の有効期間中および期間満了後の3年間は、従業員ごとの記録を保存する ことを定める必要があります。 2 就業規則の整備 労使協定を締結するだけで専門業務型裁量労働制を導入することはできません。 従業員本人から同意を得る前に、 就業規則に制度の規定を定める 必要があります。 従業員数10人未満で就業規則を作成していない企業は、個別の労働契約で定めることも できますが、トラブル防止等のためにも就業規則の作成をおすすめします。 就業規則に定める場合は、以下の規定例を参考にしてください。 (出典) 厚生労働省『専門業務型裁量労働制の解説』P17 就業規則を作成・変更した後は、従業員に対して周知する必要があります。 3 労働基準監督署への届出 締結した労使協定は、管轄の労働基準監督署へ届出が必要です。 また、従業員数10人以上の企業は、整備した就業規則も管轄の労働基準監督署に届出 しなければなりません。 労使協定の届出の記入例とひな形は以下を参考にしてください。 参考| 厚生労働省『専門業務型裁量労働制に関する協定届』(記入例) 参考・ダウンロード| 厚生労働省『専門業務型裁量労働制に関する協定届』(ひな形) 4 従業員の同意 2021年に厚生労働省が公表した「裁量労働制実態調査」の結果によると、裁量労働制 (専門業務型および企画業務型)を適用している企業は、裁量労働制を適用していない 企業に比べ、1か月平均の労働時間と1日平均の労働時間のいずれもが長いという結果 となりました。 こうした背景のもと、2024年4月から、専門業務型裁量労働制を適用するためには 従業員の個別の同意 が必要となりました。 なお、この同意は適用対象の従業員一人ひとりと、労使協定の有効期間ごとに得なければ なりません。 従業員から同意を得るときには、以下の事項を明示しながら、従業員が正しく理解、 納得できるように説明することが大切です。 ①労使協定の内容など制度の概要 ②同意した場合に適用される賃金・評価制度の内容 ③同意をしなかった場合の配置および処遇 【制度に関する説明書 例】 (出典) 厚生労働省『専門業務型裁量労働制の解説』P20 そのうえで、従業員の疑問にすべて対応して同意を得てください。 同意の取得については、書面や電子メール、イントラネットのような電磁的記録などの 確実な方法で行うことをおすすめします。 なお、従業員ごとの同意に関する記録は労使協定の有効期間およびその後3年間保存 しなければなりません。 【制度適用に関する同意書 例】   (出典) 厚生労働省『専門業務型裁量労働制の解説』P21 また、同意した場合でも後で撤回できます。 同意を撤回するときの申出書は以下を参考にしてください。 参考| 福岡労働局『専門業務型裁量労働制に関する同意の撤回申出書』 【雇用契約書の変更・再締結】 通常の労働時間制などから専門業務型裁量労働制へ変更した場合、労働時間などの 労働条件が変更となります。 賃金の変更を伴うケースも多く、書面により変更内容を伝えることはトラブル防止にも なります。そのため、雇用契約書を変更のうえ再締結してください。 (労働条件通知書による明示も可能) 5 制度の実施 ここまでの流れを経て初めて、実際の労働時間ではなくみなし労働時間で就業させることができます。 労使協定で定めた内容に沿って、制度を運用してください。 なお、専門業務型裁量労働制における割増賃金の考え方や適用除外となる者などについては、今後公開の記事を参考にしてください。 6 協定の期間満了 労使協定の有効期間が満了したら、専門業務型裁量労働制をそのまま継続することは できません。 継続したい場合は再び「1 労使協定の締結」から始める必要があります。 おわりに 専門業務型裁量労働制の導入には、メリットとデメリットの理解が大切です。 労使協定で定めなければならない項目は多くありますが、企業と従業員の双方にとって 良い制度となるように、従業員とコミュニケーションを取りながら自社に適したルール 設定を行ってください。 今後公開の記事では、専門業務型裁量労働制の実務対応について解説します。

  • 同一労働・同一賃金の基礎知識

    2021年4月のパートタイム・有期雇用労働法改正の全面施行から、数年が経過しました。 この改正に伴う同一労働同一賃金は対応が多岐に渡り、一度の見直しで終わらない取り組み といわれています。 そこで今回の記事では、今一度、同一労働同一賃金の対応を行う前に押さえるべき要点を 整理していきます。 なお、今回は直接雇用する短時間・有期契約労働者についての対応を取り上げます。 同一労働同一賃金とは 同一労働同一賃金とは、同じ企業内の正社員やフルタイムの無期契約労働者と短時間・有期 契約労働者を比較して、両者のあいだの不合理な待遇差や差別的取扱いの解消を目指すもの です。 たとえば業績への貢献に応じて支給される賞与について、以下の場合は不合理もしくは差別 的と認識され、問題となる可能性があります。 ・正社員と同程度に貢献した有期契約労働者の賞与額が、正社員の賞与額よりも少ない ・正社員には業績への貢献等にかかわらず全員に対して何らかの賞与を支給しているが、 パート・アルバイトには支給していない など 現在、同一労働同一賃金の対応は、すべての企業の義務となっていますが、パートタイム・ 有期契約労働法には、不合理な待遇差や差別的な取扱いについての罰則規定は定められて いません。 しかし、これらを理由に労働者から損害賠償を求められるケースも少なくありません。 同一労働同一賃金の対応が遅れていたり、再度見直すべき箇所があるなどの場合、企業に とって大きなリスクとなり得るため早急な対応が必要です。 対応前に押さえておきたいポイント 同一労働同一賃金の対応は、まず社内の雇用形態を確認することから始まります。 雇用形態間の待遇差の有無を確認し、待遇差がある場合はそれが不合理ではないかを調べ、 問題がある場合は改善策を検討し取り組みます。問題がない場合は、短時間・有期契約労働 者の求めに応じて「待遇の内容」や「待遇差の理由」を説明できるよう書面等の準備を行い ます。 この一連の流れを実施するにあたり、押さえておきたいポイントは以下の5項目です。 1 対象者となる労働者 同一労働同一賃金の対応では、社内の通常の労働者と、社内の短時間労働者・有期契約労働 者を比較します。 通常の労働者とは、正社員(正規型の労働者)やフルタイムの無期契約労働者のことで、 その中でも、総合職の正社員、一般職の正社員、限定正社員など、複数の区分がある場合は、それぞれの通常の労働者と短時間・有期契約労働者のあいだにおいて不合理な待遇差を 解消する必要があります。 短時間・有期契約労働者については、自社の区分や名称に関わらず「労働契約期間の定め」 と「1週間の所定労働時間」の2つの観点から対象者を確認することがポイントです。     (出典) 厚生労働省『不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル』P26、27 無期転換や定年後の継続雇用を行っているケースでは以下のように考えます。     2 基本となる考え方 通常の労働者と短時間・有期契約労働者のあいだで、個々の待遇ごとに不合理な差を設ける ことは禁止されています。 この対応の基本となる考え方が 均等待遇 と 均衡待遇 です。   3 考慮される要素 「 職務内容 」「 職務内容・配置の変更範囲 」「 その他の事情 」の3要素は、 考慮要素 と 呼ばれています。 これらは主に、各待遇が均等待遇と均衡待遇のどちらの対象になるかを具体的に判断する ときや、待遇差が不合理か否かを判断するときなどに使用します。   4 原則的な取扱いパターン 各待遇の内容を精査したうえで、それをどのように扱うかには、原則的に3つのパターンが あります。       厚生労働省が発行したガイドラインには、上記の原則パターンを軸に、さまざまな待遇の 「問題となる例」「問題とならない例」が記載されています。自社の待遇とまったく同じ 条件はなくとも、対応の方向性を把握するための参考にしてください。 参考| 厚生労働省『同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省告示第430号)』P5~P15 5 待遇差の説明義務 企業は、短時間・有期契約労働者からの求めに応じて、通常の労働者との待遇差や、待遇差 の理由を説明することが義務付けられています。 以下の3点を押さえた説明が必要です。 ①比較する通常の労働者 社員の区分が複数ある場合、すべての区分において不合理な待遇差を解消する必要があり ますが、説明義務においては職務内容等が最も近い通常の労働者を比較対象として 選びます。   ②待遇差の内容と理由 待遇の決定基準、待遇の個別具体的内容、違いが生じている理由などを整理します。 ③説明の方法 就業規則や説明事項をまとめた書面など、資料を用いながら口頭で行うことが一般的です。 おわりに  待遇差が不合理かどうかは、最終的には司法の判断に委ねられます。 しかし、まずは各企業がパートタイム・有期雇用労働法の趣旨に基づき、自社で判断して いくことが必要です。 今回の内容は、いずれも同一労働同一賃金の対応においてカギとなるポイントですので 、しっかりと把握しておくことが求められます。

  • 外国人雇用時に知っておきたい在留資格の基礎知識と創設される育成就労制度

    厚生労働省の外国人雇用状況(2023年10月時点)によると、外国人労働者は約204万人と 初めて200万人を超え、過去最高となっています。国内では依然として深刻な人手不足が 続いており、今後も外国人労働者の受け入れは増加が予測されます。 今回の記事では、外国人が働くことができる在留資格や、企業が外国人を雇用するときの 基本対応、法改正により新たに創設される「育成就労制度」について解説します。 外国人が働ける在留資格 1 在留資格とは 在留資格とは、外国人が日本に滞在するための資格です。 一定の活動を行えること、あるいは、一定の身分や地位があることを示します。 在留資格は29種類あり(2024年10月1日時点)、資格ごとに活動内容が決まっています。 「一定の範囲で就労が認められている在留資格」「就労が認められない在留資格」 「就労に制限のない在留資格」に大きく分けられます。   参考| 出入国在留管理庁『在留資格一覧表』 2 外国人留学生の「資格外活動許可」と労働時間管理 外国人留学生の在留資格である「留学」は、原則就労ができません。 しかし本来の目的である学業を妨げないことを前提として 資格外活動許可 を取得すると、 週28時間以内(※)で就労ができます(風営法の規制対象は除く)。 ※学校が定める長期休暇中に限り、週28時間を超えての労働(1日8時間、週40時間まで)も可能 外国人留学生を雇用するときは、資格外活動にかかわる誓約書を提出してもらうことも ひとつの方法です。以下を参考にしてください。 参考・ダウンロード| 資格外活動にかかわる誓約書(任意書式)   3 「技能実習制度」と「特定技能制度」の違い 在留資格の中でも「技能実習」と「特定技能」は名称が似ているため混同されがちですが、 制度の目的は大きく異なります。 目的が異なれば当然ながら制度内容も異なります。 たとえば、「技能実習制度」では、技能水準や日本語能力が求められないのに対し (介護職種のみ日本語能力が必要)、「特定技能制度」では、相当程度の知識や経験、日本語能力が必要です。 以下の図は、技能実習(団体監理型)と特定技能(1号)の比較表です。   (出典) 出入国在留管理庁『外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』P8 なお、法令等の改正により、2027年頃を目途に「技能実習制度」は廃止され、新たな 在留資格として 「育成就労制度」が創設 される予定です。 「育成就労制度」の創設   1 育成就労制度の導入背景 「技能実習」の目的は、人材育成を通じた技能(技術や知識など)の移転による 国際貢献です。 しかし、実態は企業に労働力として利用されている状況も多いとされています。 このほか、技能実習制度では、以下のような問題点が挙げられています。   国内の生産年齢人口(生産活動を中心となって支える15〜64歳の人口)の減少は、一層 加速すると予想されています。 さらに、総人口の減少や高齢化にはますます拍車がかかり、国内の人手不足もより一層深刻になるとみられています。 そのとき外国人労働者は貴重な労働力となるものの、近隣諸国との人材獲得競争も激化 しており、今後は外国人労働者の確保がより難しくなるとも予想されています。 こうした問題を解消するため、「技能実習制度」を廃止し 「育成就労制度」が創設 される こととなりました。 2 育成就労制度とは 育成就労制度とは、対象となる分野において外国人労働者を原則3年間就労させながら 「特定技能1号」レベルに達するよう育成し、その分野で長期的に活躍してもらえる人材の 育成および確保を目的とする制度です。 対象となる分野は特定技能の受け入れ対象分野(以下、特定産業分野)と合わせる予定で あるため、育成就労の後、特定技能へ移行がスムーズになります。 (育成就労の受け入れ対象分野の設定については「3 技能実習生の受け入れ企業が知って おくべきこと」も参考にしてください。) また、激化する近隣諸国との人材獲得競争において、外国人労働者に日本を選んでもらえる 魅力ある制度への見直しも行われます。 なお、育成就労制度の創設に伴い「技能実習制度」は廃止されます。 在留資格も新たに「育成就労」が加わり、「技能実習」は廃止されます。 【施行時期】 施行日は未定ですが、改正法の公布日(2024年6月21日)から起算して3年以内の施行が 決まりました。 そのため、2027年頃に開始される見通しです。 【在留期間】 育成就労による在留期間は原則として3年です。 その後、一定の技能や日本語能力にかかる試験に合格して「特定技能1号」に移行すると プラス最長5年、さらに「特定技能2号」に移行すると在留期間の通算の上限がなくなり ます。 外国人労働者のキャリア形成を支援することにより、日本での長期的な就労が期待され ます。 【育成就労から特定技能1号、2号への移行イメージ】 (出典) 出入国在留管理庁『育成就労制度の概要』P2 特定技能制度では、外国人労働者には一定の専門性や技能を有していることと、即戦力と なることが求められます。 一方、育成就労制度では、技能に関する要件はありません。 ただし、就労開始までに一定の日本語能力を身に付けておくことが求められます。 3 技能実習生の受け入れ企業が知っておくべきこと ①いつまで技能実習生の受け入れが可能か 改正法の施行日時点で受け入れている技能実習生については、認定を受けた計画 (以下、技能実習計画)に基づき、引き続き技能実習を続けることが可能です。 「技能実習1号」から「技能実習2号」への移行も可能とされていますが、「技能実習3号」 への移行については今後省令で示される予定です。 なお、施行日までに技能実習計画の認定申請を行っている場合、施行日から起算して 3か月以内に技能実習を開始するときは、技能実習生として受け入れできる可能性もあります。 ②受け入れ対象分野の設定 育成就労制度により外国人を受け入れる場合は、あらためて受け入れ対象分野 (以下、育成就労産業分野)を設定します。 育成就労産業分野は、原則として特定産業分野と同じ分野になる予定です。 (ただし、国内での育成になじまない分野は対象外となる見込み)詳細は施行日までに決定されます。 ③手続などの詳細 育成就労制度の手続のほか、制度の詳細については現在検討が進められています。 決まり次第公表される予定です。 外国人を雇用するときの基本対応 1 在留カードで在留資格と在留期間を確認する 在留カードを所持していない外国人は原則就労ができません(一部例外あり)。 外国人を雇用するときは、在留カードを確認してください。 外国人留学生を新規採用するときは、「留学」から卒業後の在留資格へ変更手続が必要です。 在留資格の変更が許可されるまでは2か月程度かかり、手続も煩雑です。 変更手続後、入社日までに新しい在留資格の許可が間に合わないときは働かせることが できないため、内定から入社までのあいだに変更ができているか確認してください。 2 労働条件や社会保険・労働保険制度などを説明する 労働関係法令および社会保険関係法令は、国籍にかかわらず適用されます。 しかし、日本では当然とされているルールが外国人労働者にとっては馴染みがなく十分に 理解できていないことも想定されます。 やさしい日本語を使うなどの工夫をしながら、分かりやすく説明することが大切です。 外国人労働者への説明等の支援ツールが、厚生労働省サイトで紹介されています。 参考にしてください。 参考| 厚生労働省『外国人の方に人事・労務を説明する際にお困りではないですか?』 3 ハローワークに雇用状況を届け出る 外国人(外交、公用、特別永住者を除く)の雇入れと退職があったときは、すべての企業に 対し、外国人雇用状況の届出が法令等で義務付けられています。 正社員だけではなく、パート・アルバイト、契約社員など名称にかかわらず、また雇用保険 加入の有無にもかかわらず、すべての外国人労働者が対象となります。 届出方法は、外国人労働者が雇用保険の被保険者となるか否かで異なります。 詳しくは、以下のパンフレットを参考にしてください。 参考| 厚生労働省『外国人雇用はルールを守って適正に』 なお、これらの手続は電子申請で届出を行うこともできます。 ・雇用保険被保険者資格取得届:「e-Gov」から申請可能 ・雇用保険被保険者資格喪失届(および離職証明書):「e-Gov」から申請可能 ・外国人雇用状況届出書   :「外国人雇用状況届出システム」から申請可能 参考| 厚生労働省『外国人雇用状況届出書(様式第3号)による届出はインターネットで登録できます』 4 外国人労働者を常時10人以上雇用するときは「外国人労働者雇用労務責任者」を選任 外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、外国人労働者が適切な労働条件や安全衛生の もと能力を発揮して働けるよう、雇用管理の改善等に関する責任者を選任する必要があり ます。 ハローワークなどへの届出の必要はありません。 不法就労者を雇用したときの罰則 「在留資格の有効期限切れ」「就労できない在留資格」「認められた職種以外」などの 就労は不法就労となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの両方を 課すと定められています。 罰則は、不法就労をした本人だけでなく、不法就労となる外国人を雇用した企業にも 適用されるおそれがあります。 就労できるかどうかの確認を怠った結果、不法就労があったとされるときは責任を問われる ため注意が必要です。 おわりに 外国人労働者は、人手不足の日本にとって貴重な労働力です。 しかし就労できる職種や働ける時間が異なるなど、在留資格制度は複雑で分かりにくく、 制度を理解せずに雇用を進めた結果、トラブルや早期離職につながるケースも見受けられます。 今回の記事を参考に、法令等違反にならないよう正しく法令等を理解し、外国人労働者の 労務管理にご活用ください。

  • 令和6年分年末調整の変更点と定額減税の計算方法(年末調整書き方ガイド付)

    企業が給与を支払うときに、役員や従業員(以下、従業員)の給与や賞与(以下、給与等) から所得税を徴収することを 源泉徴収 といいます。 しかし毎月徴収している所得税の額はあくまで概算の金額のため、年末調整により税額を 確定します。 年末調整 とは、年末に本来徴収すべき所得税の一年間の総額を再計算し、既に源泉徴収 している合計額と比較して過不足金額を調整することをいいます。 なお、令和6年6月から実施されている定額減税により、今回の年末調整では例年にはない 対応も必要となります。 今回の記事では、令和6年分の年末調整の変更点や定額減税の対応について解説します。 またマガジンの最後にはダウンロード可能な「年末調整書き方ガイド」もありますので お役立てください。 年末調整の対象となる人 年末調整の対象者は、年末調整を行う日までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」 (以下、扶養控除等(異動)申告書)を提出した人です。 年末調整には、12月に行う年末調整と、年の途中で行う年末調整の2種類があります。 令和6年分年末調整について 令和6年9月、国税庁より「令和6年分年末調整のための各種様式等」が発表されました。 【令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のイメージ】 様式に変更はありません。   以下よりダウンロードしてください。 参考・ダウンロード| 国税庁『令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』 【令和7年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のイメージ】 様式に変更はありません。 なお、こちらの様式に代えて、源泉徴収事務の簡素化等を図るため、新たに創設された 「簡易な申告書」の対応様式を使用することも可能です。 簡易な申告書については、次章「令和6年分年末調整のポイント(昨年からの変更点)」で 解説します。   以下よりダウンロードしてください。 参考・ダウンロード| 国税庁『令和7年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』 【令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書のイメージ】 令和6年分から、以下の続柄にかかる記載欄が削除されました。 ・「生命保険料控除」における「保険金等の受取人」欄にあった「あなたとの続柄」欄 ・「地震保険料控除」における「保険等の契約者の氏名」欄にあった「あなたとの続柄」欄 ・「社会保険料控除」における「保険料を負担することになっている人」欄にあった「あなたとの続柄」欄   以下よりダウンロードしてください。 参考・ダウンロード| 国税庁『令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書』 【令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書のイメージ】 定額減税の実施に伴い、定額減税に関する以下の記載欄が追加されました。 ・給与所得者の基礎控除申告書:「本人定額減税対象」欄が追加 ・給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書  :「配偶者定額減税対象」欄が追加 令和6年は「配偶者控除等申告書」に「年末調整に係る定額減税のための申告書」を兼ねた 様式となっています。 これにより、令和5年までは「配偶者控除等申告書」への記載が不要とされていた合計所得 金額1,000万円超から1,805万円以下の従業員も、この申告書への記載が必要となります。 (ただし、配偶者の令和6年の合計所得金額が133万円超の場合は記載不要) 合計所得金額が1,000万円超から1,805万円以下の従業員の場合、配偶者控除や配偶者特別 控除の適用を受けることはできませんが、配偶者の令和6年の合計所得金額が48万円以下 であれば、配偶者定額減税の対象となります。   以下よりダウンロードしてください。 参考・ダウンロード| 国税庁『令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書』 令和6年分年末調整のポイント(昨年からの変更点) 令和6年分の年末調整に関するポイントは以下の2つです。 ・定額減税の対応 ・扶養控除等(異動)申告書の簡略化 1 定額減税の対応 令和6年の年末調整における一番のポイントは、定額減税の対応です。 定額減税については、次章の「定額減税に関する事務(年調減税事務)」で詳しく解説します。 2 扶養控除等(異動)申告書の簡略化 源泉徴収事務の簡素化等を図るため、「 簡易な申告書 」が創設されました。 扶養控除等(異動)申告書の記載事項について、前年の申告内容と同じ場合には、 「前年から異動なし」など異動がない旨を余白に記載するだけで、 令和7年分 の扶養控除等 (異動)申告書から「簡易な申告書」としての提出が可能となります。 なお、以下の扶養控除等(異動)申告書は簡易な申告書にも対応している様式です。 この様式を使用すると「前年の申告内容からの異動」欄にチェックを入れて提出することが できます。 (出典)国税庁 『【簡易対応様式】令和7年分扶養控除等(異動)申告書』 簡易な申告書を提出する場合は、次のチェックリストを確認してください。 参考| 国税庁『扶養控除等申告書の提出について』 定額減税に関する事務(年調減税事務) 令和6年の年末調整では、年末調整時点(12月31日時点の見込み)の定額減税額(以下 「年調減税額」)に基づき精算を⾏います。これを年調減税事務といいます。 年調減税事務の流れは以下のとおりです。 1 年調減税の対象従業員の確認 年調減税が適用される従業員を確認します。 原則として、年末調整の対象となる従業員には年調減税が適用されますが、一部対象外と なる場合があります。   詳細については、下記も参考にしてください。 参考| 国税庁『令和6年分所得税の定額減税Q&A』P8 【合計所得金額が1,805万円を超える従業員について】 合計所得金額が1,805万円を超える従業員は、定額減税の対象外のため、年調減税の適用を 受けられません。 しかし、令和6年6月以降に支給された給与等の源泉徴収税額から控除された定額減税 以下、月次減税)を受けているため、年末調整で精算します。 (ただし、主たる給与(※)の収入金額が2,000万円を超える従業員については、年末調整の対象とならないため確定申告で精算を行います。) ※扶養控除等(異動)申告書を提出している従業員(甲欄適用者)に支払う給与等 年末調整では、後述の「年調減税額の計算」「年調減税額の控除」は行わず、 通常の 年末調整 と同じ流れで処理を行います。 ただし、源泉徴収票の記載は通常と異なります。後述の「源泉徴収票への表示」をご覧ください。 なお、合計所得金額が1,805万円を超えるかどうかの確認は「令和6年分 給与所得者の基礎 控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の左側にある「給与所得者の基礎控除申告書」の記載内容 で判断します。   【年末調整の対象とならない従業員について】 年末調整の対象外の従業員のうち、月次減税を受けている人(または途中まで受けていた人)は、確定申告で月次減税額を精算します。 2 年調減税額の計算 年調減税が適用される従業員について、年調減税の計算対象となる同一生計配偶者や扶養 親族がいるかどうかを確認します。 具体的には、 令和6年 の年末調整時に提出された以下の申告書に基づき、年調減税の計算 対象となるかを判断します。   各申告書の確認ポイントは下図のとおりです。確認後、計算対象となる同一生計配偶者や 扶養親族の人数をもとに「 計算対象者の人数✕30,000円 」を算出します。 (計算対象者数は従業員自身も1人としてカウントします。)この金額を 年調減税額 と いい、最終的に確定された定額減税額となります。 このように、年調減税事務では、年末調整時点の従業員の所得や扶養状況などを基に 年調減税額を算出して年間の所得税額との精算を⾏うため、月次減税を行った場合でも 年調減税は必要となります。 【各申告書の確認ポイント】     3 年調減税額の控除 年調減税額の控除は、以下の流れで行います。 ①年調所得税額の算出 住宅借入金等特別控除後の所得税額(以下、年調所得税額)の算出までは、通常の年末調整 と同じ手順で計算します。 ②年調減税額の控除 ①の年調所得税額から、上述「年調減税額の計算」で算出した 年調減税額 を控除します。 ただし、年調減税額が1の年調所得税額を上回る場合、控除できるのは年調所得税額まで が限度です。 ③年調年税額の算出、過不足の精算 年調減税額控除後(上記①-②)の金額に102.1%を乗じ、復興特別所得税を含めた 年調年税額 を算出します。 この年調年税額と、令和6年中に給与等から源泉徴収した所得税との差額を計算し 過不足の精算をします。   (出典) 国税庁『給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた』P 11 【年末調整計算シート】 年末調整計算シートとは、給与等の支給額や扶養親族の人数などの各種情報を入力する ことで、年末調整の税額計算を効率よく行うことができるExcelシートです。 年調減税にも対応した計算シートは、国税庁のサイトからダウンロードできます。 参考| 国税庁『年末調整計算シート』 参考・ダウンロード| 国税庁『年末調整計算シート(令和6年用)』(Excel)   (出典) 国税庁『給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた』P12 4 源泉徴収票への表示 年末調整後に作成する「令和6年分 給与所得の源泉徴収票」(以下、源泉徴収票)の 「摘要」欄に年調減税の内容を表示します。 【年調減税額を控除しきれなかった場合】 年調所得税額から年調減税額を控除しきれなかった場合は、源泉徴収票に「控除外額」 として記載します。 (控除外額を、令和7年1月以降に支給される給与等にかかる源泉徴収税額からは控除することのないよう注意してください。) 控除外額は、住民税を課税する自治体からの調整給付のうち、不足額給付の計算に用いられます。 ただし、扶養に該当する場合やそのほかの状況により、控除外額と不足額給付の額が必ず しも一致するとは限りません。 【合計所得金額が1,805万円を超える場合】 定額減税の対象外ではありますが、年末調整の対象の場合は、源泉徴収票への定額減税額に 関する記載が必要であるため、「源泉徴収時所得税減税控除済額0円、控除外額0円」と記載 してください。 年末調整の対象ではない場合は、次の【年末調整を行わない場合】をご覧ください。 【年末調整を行わない場合】 年の途中で退職した場合や主たる給与の収入金額が2,000万円超の場合など、年末調整を 行わないときは、源泉徴収票の「摘要」欄に年調減税の内容を記載する必要はありません。 令和6年分年末調整申告書の書き方ガイド 令和6年の年末調整は定額減税への対応が加わるため、例年以上の注意が必要です。 申告書を配布する際に、書き方ガイドを添えることで、書き方についての問い合わせや 誤りが減り、年末調整担当者の負担を減らすことができます。 こちらの書き方ガイドを配布していただき、スムーズな年末調整を進めてください。 参考・ダウンロード| 『令和6年分 年末調整書き方ガイド』 参考・ダウンロード| 『住宅借入金等特別控除申告書書き方ガイド』

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