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「」に対する検索結果が102件見つかりました

  • 【2023年度版】7月10日までに社会保険の定時決定の届出が必要です!

    定時決定は、毎月の社会保険料の基準となる標準報酬月額を 見直す1年に1回の機会です。 毎年7月1日から7月10日のあいだに、社会保険に加入している 役員・従業員(以下、社会保険被保険者といいます)の 4、5、6月に支給された役員報酬・賃金(以下、賃金といいます)を 届出する定例の手続です。 定時決定の届出には、算定基礎届という書類を使います。 算定基礎届が同封された茶色の封筒が、6月初旬から中旬にかけて 日本年金機構から企業宛に発送されています。 2023年の届出期限は、7月10日(月)です。 提出方法や届出様式に変更はありません。 今回の記事では、毎年一度の算定の基礎知識として 対象者や標準報酬の決定方法を改めてお伝えします。 なぜ、定時決定が必要なのか 社会保険料は、賃金に見合うよう計算されています。 しかし賃金に変動があると、実際の賃金と社会保険料の基準となる 標準報酬月額に大きな差がでてくることがあります。 そのため、1年に1回見直しを行い、賃金にあった 標準報酬月額を決める必要があります。 標準報酬月額は、年金額や傷病手当金などの保険給付の計算にも 使われるため、正しく届出をしなければなりません。 定時決定の対象者 【対象となる人】 ・ 5月31日以前に資格取得した社会保険加入者で、 7月1日現在、在籍中の被保険者および70歳以上被用者 ※1 ・7月1日以降に退職する人 ・産前産後休業・育児休業等の休職者 ・介護休業中の休職者 ・私傷病休職者 ・海外勤務の人 ・一時帰休者 ※2 ・二以上勤務者 ※1 70歳以上被用者とは、社会保険の加入要件に満たす働き方をしている従業員で、 継続雇用して70歳を過ぎた方や新たに雇用した70歳以上75歳未満の方をいいます。 ※2 一時帰休とは、企業の経済的理由や事業の縮小などにより、一時的に雇用が停止される状態です。 【対象とならない人】 ・6月1日以降に入社(資格取得)する人 ・6月30日以前に退職(7月1日以前に資格喪失)する人 ・7月随時改定対象 ・8月、9月随時改定対象者 ※ 随時改定とは、固定的賃金(基本給、諸手当など)が変更になり、 標準報酬月額に2等級以上の差がでたときに行う手続です。 産前産後休業終了時報酬月額変更、育児休業等終了時報酬月額変更を含みます。 ※8月、9月に随時改定をする予定の人は、算定基礎届の届出対象となりますが、 届出時において随時改定が予定されているときは、算定基礎届の届出を省略できます。 参考|日本年金機構『8月、9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について』 標準報酬月額の決定方法 毎年4、5、6月に支給する3か月間の賃金を報酬総額とし、 報酬月額を決定します。 報酬総額に含める賃金は、支払基礎日数が1か月に17日以上ある月の賃金です。 短時間労働者で17日以上の支払基礎日数が1か月もないときは、 支払基礎日数が15、16日の月のみ報酬総額とします。 ただし特例適用事業所(※)の短時間労働者は11日以上です。 支払基礎日数とは、賃金支払が発生する労働日、有給休暇、休業日などを 合計した日数です。 ※特例適用事業所とは、従業員数101名以上の企業です。 週20時間以上から社会保険の加入が必要になります。 【報酬月額算出方法】 各月の給与総額を合計した報酬総額に対し、対象とした月数「3」で 除した額が報酬月額です。 (例)月給制/毎月20日締切/当月25日支払の場合 【標準報酬月額決定方法】 届出された報酬月額は、健康保険・厚生年金保険の保険料額表に沿って 標準報酬月額が確定します。 確定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで適用されます。 その後、標準報酬月額に都道府県ごとの保険料率を掛けることで 毎月の社会保険料が決まります。 定時決定の対象となる賃金とは 報酬総額の対象となる賃金とは、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、 労働の対償として受けるすべてのものを含みます。 また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など 現物で支給されるものも報酬に含まれます。 ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与などは、報酬に含みません。 さまざまな標準報酬月額の算出方法 定時決定には、雇用形態や勤務状況に応じたさまざまな標準報酬月額の 決定方法があります。 多くの企業で発生する可能性のある決定方法をご紹介します。 【4、5、6月の支払対象期間の途中から入社したとき】 4、5月の給与の支払対象となる期間の途中から資格取得したことにより、 1か月分の給与が支給されない場合、1か月分の給与が支給されない月(途中入社月)を 除いた月を対象とし報酬総額を算出します。 (例) 4月1日入社/月給制・毎月20日締切、翌月10日支払の場合 4月分(給与計算期間:2月21日〜3月20日)の給与は入社前のため支払われておらず、 5月分(給与計算期間:3月21日〜4月20日)から給与が発生します。 5月分の給与は、日割計算になり1か月の給与が支給されないため、 4月、5月を除いた6月のみの給与総額で報酬月額を算出し修正平均として使用します。 修正平均とは、4月から6月のあいだに支払われた給与で計算すると 高い標準報酬になったり、反対に低い標準報酬で計算されてしまったり ということが起こってしまうため、それらを調整することをいいます。 この修正平均を使用した場合、算定基礎届の「備考」の欄に修正平均の内容を 必ず記載しなくてはいけません。 【4、5、6月の支払基礎日数がいずれも17日未満の場合】 4、5、6月のいずれも支払基礎日数が17日未満の場合や、 病気等による欠勤、育児休業や介護休業等により給与の支払いが 全くない場合は、従前の標準報酬月額で決定します。 (例)2月26日より産前休業/月給制・毎月20日締切、翌月10日支払の場合 4月分(給与計算期間:2月21日〜3月20日)は産前休業前の勤務分5日分の給与が発生し、 5月分、6月分は休業中のため給与が発生しません。 従前の標準報酬月額で決定をする場合、算定基礎届の「備考」の欄に 修正平均の内容を記載する必要があります。 今回ご紹介したケース以外にも、標準報酬月額の決定方法があります。 必要に応じて、下記を参照してください。 参考|日本年金機構『算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和5年度』 定時決定の届出方法 定時決定の届出は以下のとおりです。 届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 添付書類:なし 届出期限:2023年7月1日(土)~2023年7月10日(月) 届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所 届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)持参 郵送のときは、日本年金機構から送付されてくる茶色の封筒に同封された返信用封筒を使って届出してください。また、電子媒体(CD・DVD)で届出をするときは、電子媒体届出書総括票の添付が必要です。 参考・ダウンロード|健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 まとめ 定時決定は、毎年決まった時期に必ず行う手続です。 年間の業務スケジュールに入れておくことをおすすめします。 届出期間は7月1日から7月10日と短いため、6月支給の賃金が確定したら 手続準備を進めてください。 日本年金機構では、定時決定の流れについての動画も提供しています。 ぜひ参考にしてください。 参考|日本年金機構『令和5年度 算定基礎届事務説明動画』

  • 【2類から5類へ】新型コロナ・労務管理上のポイント

    2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症(以降「新型コロナ」という)が 感染症法上の「5類」となりました。 感染症法上の「2類相当」から「5類」に移行した5月8日以降の 新型コロナの取扱いと、日常生活を過ごすうえでの変更点などについては 前回の記事で確認ください。 前回の記事 『2類相当から5類へ。新型コロナが特別な感染症ではなくなります。』 今回の記事では、新型コロナの感染拡大で臨時的な対応がされていた 傷病手当金や失業保険、労災保険など、5月8日以降の労務管理上で 企業が知っておくべき内容をお伝えします。 新型コロナに従業員が感染したとき 2023年5月8日以降は、新型コロナに感染しても 法律に基づく外出自粛はありません。 ただし、新型コロナ発症2日前から発症後7~10日間は ウイルス排出期間といわれており、他の感染症と同様、 感染の広がりを抑えるため、発熱などの症状がある場合は外出を控え 自宅で療養することが望ましいとされています。 (出典)厚生労働省『新型コロナウイルス 療養に関するQ&A』 学校保健安全法により、子どもには出席停止期間が定められていますが、 大人の場合は5類へ移行後も出勤停止期間を定めるような法律はありません。 そのため、新型コロナに感染したり、発熱などの症状がある従業員が 自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱うことになります。 企業としては、社内の感染対策のためにも、学校保健安全法を参考に 出勤停止期間を検討しておくことをおすすめします。 一方、新型コロナ感染による法律の外出自粛や行動制限が求められなくなるため、 感染したことや発熱などの症状があることを理由に企業の判断で休業させる場合は 休業手当の支払が必要になります。 また、出勤停止期間の早い段階で熱が下がり、症状が快復することもあります。 働ける健康状態であっても、感染防止のため出社を控えてもらうときは 休業手当の支払が必要になります。 新型コロナ感染による傷病手当金申請は「医師の証明」が必要 新型コロナに感染して仕事ができないときは、傷病手当金の支給対象になります。 傷病手当金とは、業務外の理由による病気やケガで仕事ができず、 企業から給与の支払いがないときに、健康保険から生活保障として支給される手当です。 休業期間が4日以上あるとき、4日目以降に傷病手当金の支給を受けることができます。 2023年5月8日まで: 臨時的な取扱いとして、新型コロナにより傷病手当金を申請する場合は 医師の証明は不要とされていました。 また、これまで新型コロナにかかる傷病手当金は、医療機関の受診の有無や 自覚症状の有無にかかわらず、PCR検査の結果「陽性」である方や、 医療機関で受診をしていなくても、濃厚接触者で発熱などの自覚症状があり 仕事を休んでいる方も支給対象となっていました。 2023年5月8日以降: 5類へ移行後(申請期間の初日が5月8日以降)は 新型コロナの検査の結果「陽性」と判定され、 医師により労務不能と証明された場合が対象となります。 家族が感染し濃厚接触者の状態で発熱などの自覚症状があっても、 医師により労務不能と認められない限り、傷病手当金の対象とはなりません。 また企業ルールで「治癒後であっても〇日間は自宅待機を命じる」など、 仕事ができない理由が疾病による労務不能と認められない期間については 傷病手当金の対象とはなりません。 新型コロナに伴う離職理由の特例が終了 2023年5月7日までは、新型コロナの感染拡大防止の観点から離職した場合に 特定受給資格者となる特例や、新型コロナの影響で事業所の休業やシフトが 減少したことなどによって離職した場合に特定理由離職者となる特例がありました。 2023年5月7日をもって、新型コロナに伴う離職理由の特例は終了しました。 (出典)厚生労働省『新型コロナウイルス感染症に伴う離職理由の特例が終了します』 引き続き、業務による新型コロナ感染の場合は労災の対象 これまでと同様、業務によって新型コロナに感染したときは 療養補償給付や休業補償給付など労災保険給付の対象となります。 【対象になる人】 ・感染経路が業務によることが明らかな場合 ・感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務 (複数の感染者が確認された労働環境下での業務や 顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務など)に就き、 それにより感染した可能性が高い場合 ・医療従事者や介護従事者は原則として対象(業務外での感染が明らかな場合を除く) ・症状が持続し(罹患後症状があり)療養等が必要と認められる場合 など 新型コロナに感染し労災請求が認定された事例が 業種や職種ごとに記載されているため、参考にしてください。 参考|厚生労働省『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例』 新型コロナ感染による労災はメリット制の算定対象に メリット制の適用となる企業は注意が必要です。 労災保険制度では、一定の要件に該当する場合は、 労災事故の発生率の高低等に応じて一定の範囲内で 労災保険率を増減させるメリット制が設けられています。 これまで、新型コロナの感染によって労災認定された事案は 労災事故の発生率の算定対象外としていました。 5類へ移行となる5月8日以降に新型コロナの感染が労災認定された事案は 労災事故の発生率の算定対象になるため、メリット制による労災保険料への 影響がありえます。 テレワークをオフィス勤務に戻すときは同意が必要 新型コロナの流行で外出自粛などの行動規制が実施され 企業のテレワーク導入が急速に進みました。 テレワークは 「部署間・社員同士のコミュニュケーションが不足する」「セキュリティが不安」 「仕事とプライベートの切り分けが曖昧になる」などのデメリットもあり、 5類へ移行後、テレワークを実施していた企業がオフィス勤務に戻すなどの 事案の発生も考えられます。 しかし、就業規則や雇用契約書などで、労働条件としてテレワークを実施できる旨が 規定されている場合は、使用者が一方的にテレワークを廃止することはできません。 労使双方のテレワークのメリットとデメリットを洗い出し、 労使話し合いのもと検討し、変更する場合は同意を得てください。 参考|厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けの変更等に伴うテレワークの取扱いについて』 まとめ 企業への新型コロナの影響を緩和するために 国からさまざまな支援策が提供されてきました。 しかし、新型コロナが5類に移行した今、これらの支援策や 一時的な対応は終了しています。 コロナ禍の3年間、多くの企業が創意工夫を凝らし、 新型コロナに負けない経営体質への改革と柔軟な対応策を追求し続けてきました。 オンライン会議やテレワーク導入、ペーパーレス化などデジタル化が行われ、 労働者の働き方や生活様式などの多様化も加速しました。 企業はこれからも、変わりゆく労務環境に対応するために 従業員の健康と安全を確保しながら、生産性向上と法的義務遵守の バランスを維持しなければなりません。 今後も引き続き新型コロナでの体調不良者が発生する可能性があります。 一読いただき、企業の労務管理にお役立てください。

  • 【2類から5類へ】新型コロナが特別な感染症ではなくなります!

    日本で新型コロナウイルス感染症が確認されてから 3年余りが経過しました。 2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症(以降「新型コロナ」という)が 感染症法上の「2類相当」から「5類」に移行され、 5月8日を境に新型コロナは特別な感染症ではなくなりました。 5類への移行に伴い、新型コロナの基本的対処方針や 政府の対策本部が廃止されました。 一足先に2023年3月よりマスクの着用が個人の判断となっていますが、 その他の新型コロナの基本的感染対策(換気、手洗い、3密回避など)や 企業の感染対策(入場時の検温、消毒やパーテーションの設置など)についても 国が一律に基準を求めることはなくなり、個人や企業の自主的な判断に委ねられます。 感染症法上の5類への移行について、2回に分けて解説します。 1回目のこの記事では、5月8日以降の新型コロナの取扱いと、 日常生活を過ごすうえでの変更点などについて記載しています。 5月8日以降の新型コロナの取扱い 日本では、感染症は「感染症法(正式名称:感染症の予防及び 感染症の患者に対する医療に関する法律)」により、 感染症の症状の重さや感染力などに応じて5つの類型に分類されています。 感染症の予防や対策、規制の範囲、医療費の公費負担などが定められています。 これまで新型コロナウイルス感染症は、発生当初から不明な点も多く 重症化リスクや感染力が高い「2類相当」として行動制限や就労制限、 入院勧告などの規制がされてきました。 その後、変異株のひとつであるオミクロン株が主流になって以降、 発生当初と比較して重症化率や死亡率が低下していることを受け 新型コロナの感染症法上の位置付けに見直しが行われました。 その結果、2023年5月8日以降、季節性インフルエンザと同じ分類の 「5類」への移行が決定したということです。 感染症法の5類に移行したことで変更されること 5月8日以降、感染症法上の5類に移行された後の生活上の変更点をお伝えします。 1 行動制限がなくなる ◆2023年5月8日まで: 感染者は、原則7日間の外出自粛等の行動制限や就業制限が求められていました。 ◆2023年5月8日以降: 隔離措置が終了し、行動制限等がなくなります。 ただし他の感染症と同様、感染の広がりを抑えるため、発熱などの症状が ある場合は外出を控え、自宅で療養することが望ましいとされています。 外出を控えることが推奨される期間等については以下のように示されています。 (出典)厚生労働省『新型コロナウイルス 療養に関するQ&A』 季節性インフルエンザと同じく、子どもは法令等により出席停止期間が 定められていますが、大人の場合は5類へ移行後、仕事の出勤停止期間を 定めるような法律はありません。 2 法律に基づく「濃厚接触者」がなくなる ◆2023年5月8日まで: 保健所は、新型コロナ感染者と近距離または長時間接触し、感染の可能性が相対的に高くなっている方を「濃厚接触者」として特定し、5日間の外出自粛を求めていました。 ◆2023年5月8日以降: 法律に基づく「濃厚接触者」がなくなるため、同居している家族が新型コロナに 感染して長時間接触している場合でも「濃厚接触者」として特定されることはありません。外出自粛も求められません。 3 発生者届、陽性者登録、健康観察等がなくなる ◆2023年5月8日まで: 発生届や陽性者登録によって新型コロナの感染者の把握を行い、 健康観察や入院勧告等の措置を行ってきました。 ◆2023年5月8日以降: 発生届や陽性者登録がなくなり、健康観察等がなくなるため 自身で体調管理を行うことになります。 4 幅広い医療機関による対応へ移行 ◆2023年5月8日まで: 感染拡大により一部の医療機関に患者が集中することを防ぎ 確実に受診できるよう、各自治体が発熱患者の診療や検査が 可能な医療機関を指定し公表をしていました。 かかりつけ医を持たない方でも、公表状況を確認することで 地域の医療機関を受診できました。 ◆2023年5月8日以降: 設備整備が間に合っておらず、新型コロナの感染リスクを理由に 診療を行わない医療機関もありましたが、5類へ移行後は、発熱など 新型コロナに感染していることのみを理由とする診療の拒否が 「正当な事由」に該当しなくなります。 新型コロナに対応する医療機関が十分に確保できるように、国の支援が行われます。 5 医療費の自己負担が発生する ◆2023年5月8日まで: 外来・入院でかかる医療費の自己負担分や検査費用は、全額公費負担とされてきました。 2023年5月8日以降: 医療費は通常の疾病と同じく健康保険が適用されて、3割(1割)を自己負担します。 急激な医療費負担の増加を避けるため、9月末まで新型コロナの治療薬は無料、 入院患者の医療費には補助が受けられます。 10月以降の医療費補助は感染状況をもとに検討されます。 6 ワクチン接種は引き続き自己負担なく接種できる 「予防接種法」により、感染病の発生や流行予防のためにワクチン接種対象となる 疾病などが定められています。 これまでと同様、新型コロナの予防接種は日本で初回接種(1回目、2回目)が 完了しているすべての方を対象に、年1回自己負担なしで追加接種を受けられます。 2023年については9月を目途に接種が開始される予定です。 また、高齢者等重症化リスクの高い方(65歳以上の高齢者や、基礎疾患をお持ちの方等)は 年2回自己負担なしで接種が受けられ、2023年については5月8日より追加接種が 始まっています。 参考|厚生労働省『〔追加接種〕令和5年春開始接種についてのお知らせ』 5類へ移行後の企業対応で検討すべきこと 5類へ移行後は、季節性インフルエンザと同じ取扱いになります。 季節性インフルエンザは毎年冬季に流行します。 一方、新型コロナの感染は、特性や変異の影響など不確定要素が多く 予測が困難な状況です。 5類へ移行後も、企業内の感染予防や新型コロナによる欠勤者対応など 今のうちに企業方針を定めておくとよいでしょう。 1 5類へ移行後の感染対策についての企業方針の決定 今まで国が感染対策として一律求めてきたことが、5類へ移行後、 個人や企業の自主的な判断に委ねられます。 今までの感染対策は引き続き有効であるとしつつ、対策の効果、維持経費など 実施の手間やコストを踏まえ、実施の要否を判断することになります。 【企業の感染対策 例】 ・マスクの着用、咳エチケット ・手洗い等の手指衛生 ・出勤時の検温等の体調管理 ・入口での消毒液の設置 ・換気、3密回避 ・アクリル板などパーテーションの設置 ・適度な運動・食事などの生活習慣の提案 など マスクの着用については、着用は個人の判断に委ねるとしつつも マスク着用を従業員に推奨することまでは制限されていません。 また、6月は気温が上昇し熱中症にかかりやすい季節です。 マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり、 気づかないうちに脱水になるなど、体温調整が難しくなります。 マスク着用は室内であっても熱中症リスクを高めるため その点も考慮して従業員へマスク着用についてお伝えください。 【マスク着用を推奨する場面 例】 ・訪問先でマスク着用を求められたとき (訪問先が医療機関や高齢者施設 など) ・重症化リスクの高い方と面談するとき (基礎疾患を持つ者、高齢者、妊婦 など) ・通勤時など、混雑した電車やバスに乗車するとき など 2 本人が新型コロナに感染したときの欠勤者対応 新型コロナによる欠勤連絡を受ける度に異なる対応になったり 対応の遅れで業務への支障が出ないよう、以下を参考にして あらかじめ欠勤者対応を決定してください。 季節性インフルエンザと同様の取扱いとして、検討されることをおすすめします。 【新型コロナによる欠勤者対応で決めておきたい項目】 ・出勤停止期間 ・従業員やその家族が新型コロナに感染したときの企業への申告方法 ・有給休暇の当日・事後取得の可否 ・発熱した従業員への新型コロナ検査の命令基準 ・受診命令した時の賃金支払いや受診料の負担 ・休業時の連絡方法 ・業務の引継ぎ方法 など 3 家族が新型コロナに感染したときの対応 本人ではなく同居している家族が新型コロナに感染するケースがあります。 5類へ移行後は「濃厚接触者」に特定されることはなくなりますが 感染の可能性はあります。 対応例については以下のとおりです。 こちらも季節性インフルエンザと同様の取扱いとして検討されることをおすすめします。 【対応例】 ・一定期間、休業をさせる(業務命令の休業になるため休業手当の支払が必要) ・テレワークが対応可能か検討する ・特別休暇を取得させる ・本人の希望があれば有給休暇を取得させる ・小学校就学前の子どもが感染したときは「子の看護休暇」の利用を推奨する など まとめ 新型コロナの感染症法の類型が「5類」になり、ウィズコロナに向けた 取り組みが段階的に進み始めました。 2023年5月8日を境にさまざまな対応が変更されています。 これからも、新型コロナは流行する可能性があります。 従業員から相談を受けることも考えられますので、記事を参考にしてください。 従業員の急な欠勤は企業にとって大きなリスクですが、 まずは企業内の感染予防や感染者が発生したとき、業務への支障が出ないような 事前の対策をご検討ください。 次回の記事では、新型コロナの感染拡大で臨時的な対応がされていた傷病手当金や 失業保険、労災保険など、5月8日以降の労務管理上で企業が知っておくべき内容を お伝えします。

  • 【2023年度版】年度更新の申告が始まります

    2023年6月1日より 労働保険の年度更新申告の受付が開始されます。 年度更新とは 毎年6月1日から7月10日までのあいだに 労働保険料を計算し、納付を行う毎年定例の手続です。 厚生労働省から企業宛てに 年度更新の申告書および納付書が同封された 緑色(青色)の封筒が発送されています。 本年の申告・納付期限は、7月10日(月)です。 今回の記事では、年度更新の基本情報に 2023年度の変更点を盛り込んでお伝えします。 労働保険の年度更新とは 労働保険は、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。 年度更新は、従業員がいるすべての企業が 実施しなければならない手続で、 前年度に従業員に支払った賃金を月ごとに集計し 業種ごとに定められた保険料率を掛けて保険料を計算します。 賃金を集計する期間は 前年度4月1日から3月31日のあいだに働き、 支払いが確定した分の賃金です。 労働保険はすべての従業員に適用しますが 事業の種類や雇用の仕方によって適用方法が異なり、 「一元(一般的な業種)」と「二元(建設業や林業など賃金だけでは 労災保険料が計算しにくい、労災保険料率が複数適用されているなど)」 に分かれます。 2023年度の年度更新手続の変更点 今年の年度更新に関する料率などの変更点をお伝えします。 1 2022年4月と10月、雇用保険料率の引上げにより算定方法が例年と異なります 雇用保険料率が2022年4月、10月の2段階で引き上げられたことに伴い、 2022年度(令和4年度)確定保険料の算定方法は例年と異なります。 具体的には、保険料算定基礎額と保険料額を 労災保険分と雇用保険分ごとに 前期(4月~9月)・後期(10月~3月)に分けて算出します。 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表の様式が変更されています。 雇用保険料率の適用は表を参考にしてください。 【2022年4月1日~2022年9月30日までの雇用保険料率】 【2022年10月1日~2023年3月31日までの雇用保険料率】 2018年4月1日以降、労災保険料率に変更はありません。 参考|厚生労働省『労災保険料率表』 2 年度更新申告書の様式が変更になっています 年度更新申告書の下段に 新たに「㉜期間別確定保険料算定内訳」欄が設けられました。 確定保険料・一般拠出金算定賃金集計表の 「2022年度(令和4年度)確定保険料算定内訳」で算出した額を転記します。 なお、2022年度は雇用保険率が年度途中で変更されているため、 確定保険料算定内訳の「⑨保険料・一般拠出金率」欄には 「32欄参照」と印字されています。 「 ㉜期間別確定保険料算定内訳」欄に適用される雇用保険率が 印字されているため、注意してください。 3 2023年度に対応した年度更新申告書支援ツールが公開 毎年、年度更新の申告書に合わせた 計算支援ツールが厚生労働省から公開されます。 Excelで作成されているため使いやすくなっています。 ご利用は、こちらからダウンロードしてください。 参考・ダウンロード|年度更新申告書支援ツール(継続事業用) 年度更新申告書支援ツール(雇用保険用) 年度更新申告書支援ツール(建設事業用) 年度更新申告書を作成するときのチェックポイント 1 労働保険対象労働者 ・労働保険の対象労働者は、労災保険と雇用保険で異なります。 ・従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計するときに 正しい対象労働者を選定しないと保険料が正しく計算できません。 【労災保険】 ・時間・日数・期間を問わず、労働の対償として 賃金を受けるすべての従業員が対象です。 ・役員や事業主と同居している親族は対象外です。 ・派遣従業員については、派遣元事業場での適用になります。 【雇用保険】 ・正社員、契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態にかかわらず、 すべての雇用保険の被保険者が該当します。 ・役員で雇用保険に加入している兼務役員も含まれます。 ・雇用保険の被保険者とは、1週間の労働時間が20時間以上かつ 31日以上引き続いて雇用されることが見込まれる従業員です。 ・また、雇用保険マルチジョブホルダー制度により 雇用保険に加入している65歳以上の従業員も対象です。 2 労働保険料の計算に含める賃金、含めない賃金 ・従業員の月ごとに支払う賃金には 労働保険料の計算に含める賃金と含めない賃金があります。 ・働いている従業員に支払う賃金、手当、賞与など名称にかかわらず、 労働の対償として支払うすべてのものが対象となります。 【含める賃金】 基本給、各種手当、賞与、通勤費(定期券)、休業手当 など 【含めない賃金】 役員報酬、慶弔見舞金、退職金、解雇予告手当、休業補償費 、実費弁償的な費用 など 3 年度更新書類に同封されている申告書の確認 年度更新書類に同封されている申告書には 企業の労働保険料に関する重要な情報が記載されています。 登録情報を確認してから手続を始めるようにしてください。 電子申請や年度更新申告書支援ツールを使用するときは 登録情報を入力して手続を進めてください。 また、企業側で管理している情報と登録情報が異なるときは 年度更新の封筒に記載されている管轄の 都道府県労働局にお問い合わせください。 ①労働保険番号 ②申告済概算保険料額 ③各種区分 ④保険料率(今年は「32欄参照」と印字されています) ⑤口座振替 有無(口座振替の申込手続が完了しているときは印字されています) ⑥電子申請対象 有無(電子申請義務化の対象となる企業は印字されています) ⑦メリット制 有無(メリット制の適用となる企業は印字されています) ⑧雇用保険率 年度更新を効率よく対応するために 1 登録情報の確認 年度更新は、前年度4月1日から3月31日までの 従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計することから始まります。 給与ソフトで年度更新用の賃金を集計作業ができるものもありますが、 入社日や退職日、雇用保険の加入有無、労働保険の対象となる 賃金設定などに誤りがあると、正しい保険料計算ができません。 毎月の給与計算を確実に行っていれば、急な対応を避けることができます。 2 電子申請による申告書の提出 電子申請には、前年度の情報を取り込めたり、 入力チェック機能や自動計算機能を効率よく使えるというメリットがあります。 提出先である労働局や労働基準監督署の窓口に出向く必要もなく、 申告書記入漏れや記入ミスも防止できます。 参考|厚生労働省『労働保険は電子申請』 3 保険料の口座振替 口座振替に手数料はかかりません。 口座振替による納付で、毎回金融機関の窓口に行く手間や待ち時間が解消されます。 納付漏れも防止でき、延滞金の心配がありません。 納付期限についても、納付書で保険料を納付するよりも 保険料の引き落としに最大2か月のゆとりができます。 参考・ダウンロード|厚生労働省『労働保険料は口座振替が便利です!』 まとめ 年度更新は毎年、必ずしなければいけない手続です。 慌てないように、早めに必要な情報を集めるようにしてください。 申告期限の7月10日(月)は、 労働保険料の計算だけではなく納付期限でもあります。 納付が難しいときは管轄の労働局または労働基準監督署に相談し、 分割などの対策を取るようにしてください。 期限までに納付ができず滞納の状態になると 延滞金などが発生することがありますので、計画的な手続をおすすめします。

  • 労働時間等設定改善委員会とは?

    厚生労働省の人口動態統計によれば、2022年中の出生率は 79.9万人で7年連続減少しており、統計開始以来はじめて80万人を下回りました。 日本の少子化が加速しています。 少子化の進行と人口減少が進む中、多様な人材が長期にわたって 活躍できる環境が求められています。 そのためには長時間労働の改善や、年次有給休暇が取得しやすい 環境整備などについて企業と従業員が深く話し合うこと、 また働きやすい職場環境の実現のため労使が協力し共に取り組む姿勢が必要です。 企業の労使協議の場には「衛生委員会」「労使委員会」などがありますが、 企業内で労働時間や休日、休憩、年次有給休暇など労働環境の改善を 中心に話し合うための専門チームとして、 「労働時間等設定改善委員会」の設置をおすすめします。 労働時間などの改善についての法律 企業が自ら労働時間などの改善に取り組み、働く人たちがスキルや能力を 最大限に発揮でき、健康で充実した生活の実現を目指す法律に 「労働時間等設定改善法(正式名称:労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)」 があります。 労働時間等設定改善法は2006年4月1日に施行された法律で 1992年に制定された「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」が 基盤となって誕生しました。 この法律では、企業における労働時間や休日、休憩、年次有給休暇など (以降「労働時間等」という)の問題を、 企業の自主的な取り組みで改善することを努力義務として定めています。 勤務間インターバル制度の導入や、取引先に対する短納期発注や 発注内容の頻繁な変更の回避などもこの法律がもとになっています。 労働時間等設定改善委員会とは 企業の労働時間等の問題を改善するためには、企業経営の実情や 従業員の抱える事情を考慮に入れた検討が必要です。 企業と従業員が十分に意見を出しあうことができる体制を整えることも 労働時間等設定改善法における企業の努力義務の一部とされています。 その体制のひとつとして、労働時間等設定改善委員会があげられます。 この委員会は、事業場ごとに設置します。 労働時間等設定改善委員会の設置をおすすめする理由は2つです。 ➀労働時間等の問題を労使で熟慮し 解決策を見つけるための専門チームを発足できる ➁一定の要件を満たす労働時間等設定改善委員会の設置で 労働基準法の適用の特例がある 2019年3月31日まで、衛生委員会や安全衛生委員会を 労働時間等設定改善委員会とみなす規定がありましたが、 現在は廃止されています。 労働基準法の適用の特例 一定の要件を満たす労働時間等設定改善委員会を設置した場合、 委員の5分の4以上の多数による決議により 労働基準法の各労使協定の締結に代替することができます。 また、行政官庁への労使協定の届出義務がある制度での届出免除など、 労働基準法の適用の特例があります。 要件を満たさないまま労働基準法の各制度を適用するときは 労使協定の締結および届出義務が発生し、 各種制度の労働基準法違反となる可能性があります。 正しく委員会を設置し決議をするようにしてください。 (※)36協定については届出義務の免除はありません。 委員会の決議により労使協定の代替をしたときは、届出様式が「時間外・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届」になるためご注意ください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『時間外労働・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届(様式第9号の7)』 一定の要件を満たす労働時間等設定改善委員会とは 労働基準法の適用の特例を受けるためには 一定の要件を満たした委員会を設置する必要があります。 一定の要件は、次の3つです。 1 委員の半数は従業員側のメンバーで構成する 委員は、事業主側(使用者)と従業員側のメンバーで構成しますが 委員の半数は従業員側のメンバーである必要があります。 また従業員側のメンバーは、事業場の過半数で組織する労働組合、 または、従業員の過半数を代表する者の推薦に基づいて 指名されていることが要件です。 この委員会は、労働時間等に関して企業と従業員の十分な話し合いや 問題の改善を行うことが目的のため、 従業員側のメンバーを選出するポイントとしては、企業で働く従業員が抱える 多様な事情が反映されるよう、性別、年齢、家族構成、育児・介護、自発的な 職業能力開発等の経験や知見に配慮することをおすすめします。 2 委員会の議事録を作成し5年間保存する 委員会開催の都度、議事録を作成します。 いずれかを起算日として5年間(当分の間3年)保存しなければなりません。 ・委員会の開催の日 ・決議にかかる内容の完結の日 3 委員会の運営規程を定める 委員会の運営に必要な事項に関する規程を定める必要があります。 規程の作成や、変更については、委員会の同意を得なければなりません。 【労働時間等設定改善委員会の運営規程 内容例】 ・委員会の目的 ・委員会で調査審議する内容 ・構成員の選出方法、人数 ・構成員の任務、任期 ・委員会の開催頻度 ・委員会の定足数 ・議事録の作成方法 ・その他、委員会の運営に必要なこと など 労働時間等設定改善委員会の役割の整理 労働時間等設定改善委員会では、事業所で働く従業員の勤怠データなどの 情報をもとに労働環境を把握し、解決すべき問題点について 中長期的な措置の計画を立てていきます。 1 現状を把握する 事業場で働く従業員の、労働時間等の実態について適正に把握します。 【把握する内容】 ・時間外・休日労働の時間数 ・始業時刻・終業時刻、終業から始業までの時間 ・年次有給休暇の取得率 ・深夜労働の回数および時間数 ・時間当たりの業務負担の度合 など 特に労働時間等の配慮を必要とする従業員がいるかも把握します。 【特に労働時間等の配慮を必要とする従業員】 ・健康診断の結果や医師等の意見を踏まえた、健康面に気を付けなければならない人 ・育児・介護を行っている人 ・公民権の行使または、公の職務の執行をする人 ・自発的な職業能力開発を図る人 ・地域活動やボランティア活動をする人 など 2 労働時間等の設定の改善にかかる措置の検討 労働時間等の設定の改善にかかる措置を委員会で検討します。 把握した現状の内容をもとに、時間外・休日労働の削減率や年次有給休暇の取得率の目標づくりなど、具体的な数値目標、措置の内容、実施スケジュールなども踏まえて計画を立てて取り組むことが大切です。 【措置 例】 ・業務の特性に応じた柔軟な労働時間の導入:変形労働時間制、フレックスタイム制など ・年次有給休暇を取得しやすい環境の整備:時間単位有給、計画的付与など ・時間外・休日労働の削減:ノー残業デーの導入、休日労働したときの代休付与など ・多様な働き方の選択肢の拡大:短時間正社員制度、テレワークの活用など ・終業および始業の時刻に関する措置:勤務間インターバル制度、深夜業の回数制限など 厚生労働省のガイドラインを参考にしてください。 参考|厚生労働省『労働時間等設定改善法 労働時間等見直しガイドラインについて』 まとめ 労働時間等設定改善法は強制的に委員会設置を義務付ける法律ではありません。 あくまで、企業の自主的な取り組みを促進し、働きやすい職場環境を 実現するための法律です。 多様な人材が長期にわたり活躍できるよう、働きやすい職場環境づくりの 専門チーム「労働時間等設定改善委員会」の設置をご検討ください。

  • 【新法】労働者協同組合法とは?

    2022年10月1日、労働者協同組合の設立、運営、管理について定められた 「労働者協同組合法」という新しい法律が施行されました。 少子高齢化が進む中、人口の減少地域では介護・障害福祉、地域づくりなどの 幅広い分野で担い手が必要とされています。 しかし今の法人格制度では、出資ができない、営利法人である、 財産が個人名義になるなど、多様な働き方を実現しつつも 地域貢献できる組織運営には向いていません。 そこで組合員が出資し、組合の事業を自ら主体となって行えるよう 新しい法人格として労働者協同組合ができました。 2023年5月10日時点では、19都道府県で計39法人が設立され、 それぞれの生活スタイルに応じてNPOや企業組合などの法人格を利用し 任意団体として活動されています。 地域で求められていることを実現するために 児童デイサービスや就労支援などの活動を通じ、 地域との繋がりを増やしている労働者協同組合もあります。 労働者協同組合とは 労働者協同組合とは、雇われて働くのではなく、同じ志を持った人たちが集まり、組合員として出資をし、それぞれの意見を反映しながら事業を行うことを基本原理とする組織です。組織を通して働く場所を生み出し、地域の需要に応じたさまざまな事業を促進し、活力ある地域社会への実現に向けて役立つことを目的としています。 【基本原理】 通常想定されている雇用関係は「使用者」と「労働者」の2つに分けられますが、 労働者協同組合では「使用者」と「労働者」が明確に分けられていません。 労働者協同組合の組合員として地域の課題に取り組み、 持続可能な活力ある地域社会の実現を目指すため働き、貢献します。 (出典)厚生労働省『労働者協同組合法について』 労働者協同組合は法人なのか 労働者協同組合では、出資・経営・労働のすべてを組合員自身で行うため、 事業に自分たちの意見を反映できます。 組合員が主体となり、事業を通して地域の活性化実現に繋げます。 労働者協同組合と株式会社との違い 労働者協同組合と株式会社がどのように違うのか、概要を以下にまとめています。 【労働者協同組合と株式会社の違い】 労働契約はどうなるのか 労働者協同組合の事業に従事する組合員は 労働者協同組合と労働契約を締結する労働者であることから、 労働者保護のための法律(例えば労働基準法や最低賃金法)の適用を受けます。 これにより、週1回の休日の保障や最低賃金以上での賃金額が保障されます。 なお、労働者協同組合の業務執行の職務のみを行う組合員は 労働者としての保護は受けられません。 社会保険等の適用について 労働者協同組合は社会保険(厚生年金・健康保険)、雇用保険、労災保険の 適用事業所になるため、それぞれ手続が必要になります。 労働契約を締結した組合員も、加入要件を満たしているときは加入しなければなりません。 【社会保険等一覧】 労働者協同組合にはルールがある 労働者協同組合を運営していくにあたり、一般企業にはないさまざまなルールがあります。 【主なルール】 ・事業の種類 労働者協同組合の基本原理に沿って行われる事業であれば どんな種類の事業でも原則自由に行えます。 許認可等が必要な事業(介護事業、保育所など)のときは許認可等の取得が必要で、 規制も受けます。 ただし労働者派遣事業は、労働者協同組合にはできません。 他人の指揮命令を受けて当該他人のための労働に従事する事業は、 労働者協同組合の基本原理に沿わないためです。 ・組合員の出資金 出資一口あたりの金額や出資口数は、それぞれの労働者協同組合で決めます。 組合員1人の出資口数は総口数の25/100以下(3名以下の労働者協同組合のときは適用外)となっており、譲渡できないことが法令で定められています。 仮に労働者協同組合が破産したときの責任は、組合員の出資額までです。 ・人数要件 労働者協同組合の事業に従事する組合員の割合などは 法令で以下のように定められており、①②を満たさなければなりません。 ①総組合員の4/5以上は組合の事業に従事しなければならない 組合員は労働者協同組合事業に従事しなければなりませんが、 従事する意思はあるものの、家庭の事情(育児、介護)などにより 従事できないケースもでてきます。 そのため1/5の組合員までであれば、事業に従事しないことが認められています。 労働者協同組合業務を行う理事は、事業に従事している組合員に含まれますが 監事は労働者協同組合への関わり方や定款により異なります。 どちらに含まれるかは窓口へご相談ください。 (窓口) 厚生労働省 雇用環境・均等局 勤労者生活課 労働者協同組合業務室 電話番号:03-3595-3189(直通) ②労働者協同組合の事業に従事する者の3/4以上は組合員でなければならない 労働者協同組合の事業に従事するのは「組合員」ですが 1/4は組合員以外も認められています。 組合員になれるのは、出資金の全額の払い込みが完了したときと法令で定められています。 定款上で出資金の分割払いが認められているときは、従事しながら組合員に なろうとする人や、事業の繁忙期に一時的にアルバイトとして雇用される人などが 想定されます。 ・配当金 組合員への配当は、事業に従事した程度に応じて行います。労働者協同組合を健全に運営するため、一定の積立金などを控除した後の剰余金が配当の対象になります。 ・議決権、選挙権 組合員は、出資額の多い・少ないにかかわらず、平等に1人1票の議決権と選挙権を 持っています。 労働者協同組合と労働契約を締結した組合員が、過半数の議決権を保有している 状態にしておかなければなりません。 ・労働者協同組合への加入、脱退 労働者協同組合への加入・脱退は任意ですが 組合員になれるのは「個人」のみで、団体や法人などの組織は組合員になれません。 また組合員として加入を希望する人を「正当な理由なく」拒否できません。 「仕事の空きがない」「仕事を行うのに必要な資格がない」などのときは 「正当な理由」として拒否できます。 メリット・デメリット 労働者協同組合には、以下のようなメリット・デメリットがあります。 設立の流れなど 労働者協同組合は3人以上の発起人がいれば設立できます。 設立の流れなどは厚生労働省のパンフレットを参考にしてください。 企業組合やNPOから労働者協同組合への変更も可能ですが 組織変更などの手続が必要になります。 【設立の流れ】 (出典)厚生労働省『労働者協同組合法って?』 ※厚生労働省では専門サイト『「はたらく」をつくる。みんなでつくる労働者協同組合法』が開設されており、設立までの流れや事例、Q&Aなどが掲載されています。 まとめ 過疎化や高齢化など、地域によって抱える課題はさまざまです。 労働者協同組合は地域の皆で意見を出し合い、地域の課題解決を進めるために つくられました。 株主や経営者に左右されず、自分たちで意見を出し合い、事業に取り組むことができます。まだまだ新しい制度のため、リスクも含めて設立を検討されることをおすすめします。

  • 【2023年度版】助成金制度のポイント

    前回の【2023年度版】助成金制度ポイント①~③ に続き 今回は申請実績数が多い「両立支援等助成金」の概要について紹介します。 ◆両立支援等助成金 1 概要 働きながら子育てや介護を行う従業員の雇用の継続を図るために 就業環境の整備を行った企業に支給する助成金です。 職業生活と家庭生活の両立支援の取り組みを促進し、 雇用の安定を図ることを目的としています。 ここでは、男性が短期間の育児休業を取得したときに利用できる 「出生時両立支援コース」と 男性・女性問わず長期間の育児休業を取得したときに利用できる 「育児休業等支援コース」について記載しています。 2 出生時両立支援コース(中小企業のみ対象) 男性従業員でも育児休業を取得しやすい環境の整備や業務体制の整備を行い、 男性従業員が実際に育児休業を取得したら支給される助成金です。 助成金には第1種と第2種があり、第2種の受給は第1種を受給していることが 条件になっています。 ※「ポイント」とは%のことをいいます(30ポイント→30%)。 (出典)厚生労働省『2023年度 両立支援等助成金のご案内』 (1)第1種について 第1種を受給するためには、以下の要件を満たさなければなりません。 ①育児・介護休業法に定められている雇用環境整備の措置を複数行っている ②就業規則に、育児休業取得者の業務を代替する従業員の 業務見直しに関する規定を設けている (※従業員が10人以上の場合は就業規則の労働基準監督署への届出が必要です) ③②の規定に基づき業務体制を整備をしている ④子の出生時後8週間以内に男性従業員が育児休業を5日以上連続して取得している (育児休業をした日のうち、4日以上が所定労働日でなければなりません) (2)第1種の支給額と加算について 第1種の支給額は20万円です。また、以下の加算が行われます。 ①代替要員加算 「代替要員加算」として代替要員を1人または2人確保した場合はさらに20万円の加算が、 3人以上を確保した場合は45万円の加算が行われます。 ②育児休業等に関する情報公表加算 2023年度から自社の育児休業の取得状況を 「両立支援のひろば」サイトに公表することで 「育児休業等に関する情報公表加算(2万円)」が加算されます。 この加算は出生時両立支援コースだけではなく 後で説明する育児休業等支援コースも対象です。 「両立支援ひろば」は厚生労働省が運営するサイトで、 企業の仕事と家庭の両立支援に関する取組みを紹介しています。 参考|厚生労働省 仕事と家庭の両立を支援するサイト『両立支援のひろば』 (3)第2種について ①支給要件 第2種が支給されるための条件は次のとおりです。 ア 第1種を受給していること イ 第1種を受給した年度の対象となる男性労働者の育児休業取得率を 3事業年度以内に30%以上上昇させること、 または第1種を申請時において対象となる男性従業員が 4人以下の場合は取得率が70%以上であり、 かつ翌事業年度以降で、2事業年度以上連続で70%以上であること ウ 対象となる男性労働者の育児休業取得者が2名以上いること ②支給額 支給額は以下のアまたはイのいずれかです。 ア 対象となる男性従業員の育児休業取得率を30%上昇させることに 1事業年度しかかからなかった場合は、60万円が支給されます。 30%上昇させることに2事業年度かかったときは40万円に、 3事業年度かかったときは20万円に減額されます。 イ 第1種を申請時に対象となる男性従業員が4人以下で かつ、取得率が70%以上であった場合は 翌年度および翌々年度の取得率も70%以上であれば40万円が支給されます。 翌年度の取得率が70%未満であっても、翌々年度と3事業年度後で 取得率が70%以上であれば20万円が支給されます。 (出典)厚生労働省『2023年度 両立支援等助成金のご案内』 3 育児休業等支援コース(中小企業のみ対象) (1)概要 従業員のスムーズな育児休業取得と職場復帰のため 「育休復帰支援プラン(以下「プラン)」を作成し、 そのプランに沿って取り組みを行っている企業で 育児休業取得者が生じたときに支給される助成金です。 プランの作成に必要な書式やマニュアルは厚生労働省サイトに掲載されています。 参考|厚生労働省『育休復帰支援プラン策定のご案内』 育児休業等支援コースは「育休取得時・職場復帰時」「業務代替支援」「職場復帰後支援」の3つに分かれており、支給額などが異なります。 (2)育休取得時・職場復帰時 育児休業を取得する従業員に対して、育休の取得時および職場復帰時に 以下の措置を講じた場合に助成金が支給されます。 ①支給要件 それぞれの要件は以下になります。 ②支給額 「育休取得時」と「職場復帰時」で助成金の申請が分かれているため 2回申請を行います。 また「職場復帰時」の申請を行うためには「育休取得時」を受給していることが必要です。 昨年度は育休取得時、職場復帰時の支給額がそれぞれ285,000円でしたが、 今年度から以下のとおり増額されています。 (3)業務代替支援 ①概要 育児休業を取得する従業員に代わってその従業員が担当していた業務を引き継ぐ者を、 以下のいずれかにより補充した場合にも助成金が支給されます。 ただし、対象者が原職等に復帰した後においても 雇用保険の対象となる労働条件で6か月以上継続して勤務している必要があります。 ア 新たに従業員を雇用するまたは派遣労働者を受け入れることによって 代替要員を確保した場合には50万円が支給されます。 イ 育児休業を行う者が担当していた業務を他の従業員に引き継がせるにあたり、 その業務を代替する期間について、就業規則等に従い月額1万円以上の手当を 支給した場合には10万円が支給されます。 ウ ア、イともに、育児休業取得者が有期雇用労働者であった場合には さらに10万円が支給されます。 (出典)厚生労働省『2023年度 両立支援等助成金のご案内』 (4)職場復帰後支援 育児休業から復帰後、仕事と育児を両立することが困難な状況にある 従業員を支援するために、 育児・介護休業法で定める「子の看護休暇制度」超える休暇制度の導入や 法律上、導入の義務が課されていない「保育サービス費用補助制度」を導入し、 実際にその制度が活用された場合にも以下のとおり、助成金が支給されます。 (出典)厚生労働省『2023年度 両立支援等助成金のご案内』 まとめ 両立支援等助成金は、長年にわたって存在する助成金です。 名称や要件、受給額などが変更されてきましたが 助成金自体は10年以上前から続いており、認知度が高く 多くの企業が利用しています。 ただし上記以外にも細かな要件があるため、申請手続にミスなどがあると 不支給になることもあります。 助成金を検討するときは、現状の要件や手順を確認したうえで 専門家の社会保険労務士に相談されることをおすすめします。

  • 【2024年4月】障害者雇用率引上げ ポイント②

    障害者の雇用義務人数と比較する「企業の実雇用人数」 「企業の実雇用人数」とは、企業で働く、障害をもつ従業員の数です。 障害者雇用率制度の対象となる常用雇用で働く従業員や、 その従業員のうち障害をもつ従業員(企業の実雇用人数)の算定は 少し複雑です。 次の「常用雇用で働く従業員数と企業の実雇用人数を 算定するために理解すること」で細かく説明します。 常用雇用の従業員数と実雇用人数の算定に必要な理解 「常用雇用で働く従業員」と「常用雇用で働く障害をもつ従業員の数 (企業の実雇用人数)」を算定するためには 制度上の対象者と従業員数の算定方法を理解する必要があります。 1 制度上の対象者を知る 制度上の対象者は、雇用形態に関係なく「常用雇用」の従業員です。 役員は含みません。 「常用雇用」とは、雇用期間の定めのない方や 1年以上雇用される見込みがある、または1年以上雇用されている方です。 パート・アルバイト、兼務役員、外務員、出向労働者、海外勤務労働者、 外国人労働者、派遣労働者(派遣元)、在宅勤務者、休職中の従業員も含まれます。 2 制度上の従業員数の算定方法を知る 1週間の所定労働時間数や障害の度合いによって算定方法が異なります。 具体的には、従業員1人を「1」「0.5」「2」という数で算定します。 【常用雇用で働く従業員数(常用雇用労働者・短時間労働者)】 常用雇用で働く従業員数は、常用雇用労働者と短時間労働者を 合計した数です。 常用雇用労働者と短時間労働者の違いは、1週間の労働時間数です。 1週間の労働時間が短い「短時間労働者」は、1人を「0.5」とみなして算定します。 すべての従業員数なので、障害をもつ従業員も加えてください。 【常用雇用で働く障害をもつ従業員数(企業の実雇用人数)】 常用雇用で働く障害をもつ従業員数は、1週間の労働時間数だけではなく、障害の度合いによって算定方法が異なります。 ポイント1 重度の身体障害者と重度の知的障害者は「2」で算定する 身体障害者と知的障害者で重度に該当するときは、1人を「2」とみなして算定します。 精神障害者には1人を「2」とみなす取扱いはありません。 (重度の身体障害者)身体障害者手帳1級、2級 および 3級相当の障害が2つ以上ある方 (重度の知的障害者)療育手帳区分A、または地域障害者職業センターなどで 重度の知的障害者と判定された方 ポイント2 特例措置の延長、20時間以上30時間未満の精神障害者は「1」で算定する 精神障害者の職場定着を進める観点から、20時間以上30時間未満の 精神障害者を 特例措置として1人を「1」とみなし算定してきました。 措置期限が2022年度末まででしたが、当面の間、雇入れ期間等に関係なく 「1」とみなす特例措置を延長することになりました。 ポイント3 2024年4月以降、1週間の労働時間が特に短い 一部の障害者も算定の対象になる 2024年4月以降、1週間の労働時間が10時間以上20時間未満であっても 重度の身体障害者、重度の知的障害者、精神障害者に該当するときは、 1人を「0.5」とみなし算定できるようになります。 障害者の雇用義務人数と企業の実雇用人数の算定例 常用雇用で働く従業員の勤務時間や障害者の障害種別などをふまえて算定すると 以下のようになります。 【除外率なしA企業の例】 1 障害者の雇用義務人数 4人 算定方法 常用雇用労働者150人+(短時間労働者50人×0.5)=175人 175人×2.3%=4.025人(小数点以下切り捨て) 2 企業の実雇用人数 4.5人 内訳 重度身体障害者「2」+身体障害者「1」+知的障害者「0.5」+精神障害者「1」 3 「1」障害者の雇用義務人数と「2」企業の実雇用人数の比較 障害者の雇用義務人数4人 < 企業の実雇用人数4.5人 →A企業は、障害者の法定雇用率を達成しています。 障害者雇用率が未達成のとき 障害者の法定雇用率で算定した障害者の雇用義務人数と 企業の実雇用人数を比較して、障害者の法定雇用率が未達成の場合は 障害者雇用納付金の徴収やハローワークによる行政指導など以下の対応がなされます。 【未達成のときのデメリット】 ・常用雇用で働く従業員数が101人以上の企業のとき 障害者雇用納付金※を納付しなければならない ・ハローワークによる、法定雇用率達成に向けた行政指導が実施される ・障害者雇入れ計画の適正実施勧告に対し、改善されないとき企業名が公表される ※障害者雇用納付金 障害者の法定雇用率が未達成の企業のうち、常用雇用で働く従業員数が 101人以上の企業は、法定雇用率で雇用するべき障害者数に足りていない 人数1人につき月額50,000円の納付金を納付しなければなりません。 まとめ 障害者の法定雇用率の段階的引き上げにより、対象となる企業規模が拡大します。 すでに対象となっている企業も、障害者の雇用義務人数が増える可能性があります。 今回の記事をもとに、障害者の法定雇用率にともなう正しい算定の仕方を 早い段階で確認し、まずは対象かどうかと雇用義務人数を把握してください。 そして採用計画などの見直しが必要であればハローワークや高齢・障害者・求職者雇用支援機構などの情報を活用し、自社にあった障害者雇用を検討してください。

  • 【2024年4月】障害者雇用率引上げ ポイント①

    障害者雇用促進法は、障害者の職業の安定を図ることを目的とし、 障害者の雇用の安定を実現するための具体的な方策を定めた法律です。 すべての企業が対象となりますが、企業の従業員数に応じて求められる 責任と義務の範囲が異なります。 2024年4月以降、障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられます。 これにより、企業に求められる責任と義務の中でも「※」印がある項目は 対象となる企業規模が拡大します。 【企業が求められる責任と義務】 ・障害者雇用率制度(法定雇用率の対象となる企業)※ ・障害者の差別禁止と合理的配慮の提供義務(すべての企業) ・相談体制の整備(すべての企業) ・障害者職業生活相談員の選任(障害者を5人以上雇用する企業) ・障害者雇用状況のハローワークへの報告(法定雇用率の対象となる企業)※ ・障害者雇用推進者の選任(法定雇用率の対象となる企業)※ ・障害者の解雇の届出(すべての企業) 今回の記事では、障害者の法定雇用率を中心にお伝えします。 障害をもつ方を雇用するためには、企業側の対応や環境整備が必要です。 早めに自社の実際の雇用率を把握し、法定雇用率に達していない場合は 十分な時間をかけて採用計画と準備を進めてください。 障害者の法定雇用率とは 障害者雇用率制度とは、常用雇用する従業員数に応じて 一定割合以上の障害をもつ方を雇用することを義務付けている制度で この割合を法定雇用率といいます。 障害者雇用促進法における「障害者」は 身体的、知的、精神的な障害(発達障害も含む)をもち、 仕事のやり方や働く場に長期的な大きな制限があったり 働くことが非常に困難な方をいいます。 障害者のうち、身体障害者、知的障害者、精神障害者で 以下の手帳の交付や判定を受けている方が障害者雇用率制度の対象です。 (身体障害者)身体障害者手帳1~6級の交付を受けている方 (知的障害者)療育手帳、児童相談所や障害者職業センターなどで 知的障害者と判定された方 (精神障害者)精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方 障害者の法定雇用率の段階的な引き上げ 2023年4月現在、民間企業の障害者の法定雇用率は2.3%で、 43.5人以上の従業員がいる企業は少なくとも1人の障害者を 雇わなければなりません。 しかし2024年4月からは、法定雇用率が2.5%に上がり 40人以上の従業員がいる企業が対象となります。 ※支店や営業所 など事業所が複数あるときでも、企業(事業主)全体を一単位とします。 対象となる企業に該当する場合、障害者の雇用だけでなく 以下の義務も対象になります。 ・障害者雇用状況のハローワークへの報告(毎年6月1日時点) ・障害者雇用推進者の選任(努力義務) 法定雇用率から算出する障害者の雇用義務人数 障害者の法定雇用率の引き上げにより、企業の障害者の雇用が必要になる人数 (以降、障害者の雇用義務人数という)が変更になります。 自社の障害者の雇用義務人数を確認してください。 計算した数に小数点がでるときは、小数点以下を切り捨てしてください。 (例)常用雇用で働く従業員数が130人の企業の場合の障害者の雇用義務人数 2023年4月:法定雇用率2.3% の場合 130人 × 2.3% = 2.99 人(小数点以下切り捨て) 障害者の雇用義務人数:2人 2024年4月:法定雇用率2.5% の場合 130人 × 2.5% = 3.25 人(小数点以下切り捨て) 障害者の雇用義務人数:3人 2026年7月:法定雇用率2.7% の場合 130人 × 2.7% = 3.51 人(小数点以下切り捨て) 障害者の雇用義務人数:3人 障害者の法定雇用率の引き上げにより、すでに雇用義務の対象になっている企業は 障害者の雇用義務人数が増える可能性があります。 除外率に該当する業種であるかの確認 障害者の就業が一般的に難しいと認められる業種については 障害者の雇用義務人数を算出するときに、 従業員数から業種ごとの除外率に応じた数を差し引くことができます。 除外率制度自体は、ノーマライゼーション(障害者のある人もない人も 共に生活する社会)の考え方から2004年に廃止されました。 しかし、企業にかかる負担が大きいことから、 段階的な除外率の縮小・廃止を目指し 経過措置として特定の業種で除外率が設定されています。 (例)常用雇用で働く従業員数が500人の企業の障害者の雇用義務人数 2023年4月:法定雇用率2.3%、除外率0%の場合 500人 × 2.3% = 11.5人(小数点以下切り捨て) 障害者の雇用義務人数:11人 2023年4月:法定雇用率2.3%、除外率20%の場合 (500人-100人)× 2.3% = 9.2人(小数点以下切り捨て) 障害者の雇用義務人数:9人 ※全従業員(500人)から除外率20%の従業員(500人×20%=100人)を除く 2023年4月時点で国が定める業種に該当するかは、以下をご覧ください。 参考|厚生労働省『参考資料』P11 除外率設定業種及び除外率 2025年4月以降も、除外率は段階的に引き下げ、縮小されていく方針です。 現在除外率が10%以下の業種は廃止され、その他の業種についても 除外率の引き下げが予定されています。 参考|厚生労働省『障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について』Point ②

  • 【2023年度版】助成金制度 ポイント③

    ◆人材開発支援助成金 1 概論 人材開発支援助成金とは、企業が従業員の職務に 関連した技能や知識を習得させるため、 職業訓練などを計画に沿って実施したときに 訓練にかかる経費や訓練期間中の賃金の一部が 支給される助成金です。 対象者(正社員、有期契約労働者など)や訓練内容によって 細かく訓練コースが分かれています。 【訓練コース一覧】 ① 人材育成支援コース ② 教育訓練休暇等付与コース ③ 建設労働者認定訓練コース ④ 建設労働者技能実習コース ⑤ 障害者職業能力開発コース ⑥ 人への投資促進コース ⑦ 事業展開等リスキリング支援コース ひとつのコースの中に複数の異なる訓練が 含まれているコースもあります。 どのコースに該当するのか、訓練カリキュラムが該当するのかなど、 選択をするにも迷いやすい助成金です。 そのため助成金の申請を検討するときは 事前に助成金の申請窓口(労働局またはハローワーク) または社会保険労務士へ相談されることをおすすめします。 2 人材育成支援コースへの統合について ① 統合に伴う要件の変更について 2023年4月1日から複数のコースが 「人材育成支援コース」に統合され利用しやすくなりました。 特に、従来は訓練コースによって OFF-JTの訓練時間数要件が異なりましたが、 今後はOFF-JTの訓練時間数要件が10時間以上で統一されたので 活用しやすくなりました。 (出典)厚生労働省『人材開発支援助成金を利用しやすくするため 令和5年4月1日から制度の見直しを行いました』 ② 助成額および助成率について 人材育成支援コースでは、経費助成、賃金助成、OJT実施助成が行われます。 経費助成とは、講習や教材などにかかった費用に対して行われる助成です。 賃金助成、OJT実施助成とは、従業員に業務として講習を受けさせている時間に 支給する賃金や、OJT期間中の賃金に対して行われる助成です。 それぞれの助成額と助成率は以下のとおりです。 なおOJT実施助成については、従来はOJTの実施時間に応じて 助成額が決まっていましたが、 今年度からは 認定実習併用職業訓練の場合は一律して20万円、 有期実習型訓練の場合は一律して10万円となりました。 【助成額および助成率】 ※()内は大企業の助成額・助成率 (出典)厚生労働省『人材開発支援助成金(人材開発支援コース)のご案内』P28 ③ 経費助成の上限について 経費助成には、下記の表のとおり助成額の上限額が定められています。 なお、「人材育成訓練」「認定実習併用職業訓練」「有期実習型訓練」は 人材育成支援コースに含まれるため、 下記表では総合して「人材育成支援コ―ス」という表記になっています。 (出典)厚生労働省『人材開発支援助成金(人材開発支援コース)のご案内』P29 3 賃金要件、資格等手当要件の適用 人材開発支援助成金の一部のコース(訓練)には 「賃金要件、資格等手当要件」が適用され、 助成額・助成率が上がる場合があります(加算部分は別途の申請が必要です)。 加算されるための要件は、以下のいずれかを満たすことです。 ① 賃金要件 毎月決まって支払われる賃金(基本給および諸手当)について 訓練終了日の翌日から起算して1年以内に、5%以上増額していること。 なお賃金が5%以上増加したかどうかは、賃金改定後3か月間の賃金総額と改定前3か月間の賃金総額を比較して判断をします。 ② 資格等手当要件 訓練終了後の翌日から起算して1年以内に 実際に資格等手当を支払い、賃金を3%以上増加させること。 資格等手当(毎月決まって支払われる手当)とは、 就業規則、労働協約または労働契約等で規定した手当です。 なお資格等手当の支払いにより賃金が3%以上増加したかどうかは 資格等手当支払い後3か月間と資格等手当支払い前3か月間の賃金総額を比較して 判断をします。 ③ 要件を満たしたときの支給申請期限 助成額・助成率が上がることによって支給される加算部分については 別途の申請が必要です。 その場合の申請期限は、全ての対象者に対して 要件を満たす賃金または資格等手当を支払い始めて 3か月が経った日の翌日から起算して5か月以内になります。 <助成金制度①-③まとめ> 助成金は細かな要件も多く、スムーズに受給するためには 適正な労務管理も必要になります。 助成金は労働関係、社会保険関係の法令違反がないことが前提になります。 そのため、法令に沿った残業代の支給、始業・終業時刻の管理、 帳票類の整備(出勤簿、賃金台帳など)などができていないと 対象者がいたとしても助成金の申請はできません。 助成金は企業にとって雇用継続や育成費用の軽減などメリットが多い制度です。 対象者がでたときに、申請が行えるよう 日頃から労務管理を適切に行うことをおすすめします。

  • 【2023年度版】助成金制度 ポイント②

    ◆キャリアアップ助成金の変更点 1 概要 正社員以外の従業員(有期契約労働者、パートタイマー、派遣労働者など)の キャリアアップが進むような処遇改善の取り組みを実施した企業に 支給される助成金です。 「選択拡大導入時処遇コース」が2022年9月30日に廃止になっているため 2023年度の対象となる取り組みは6コースです。 キャリアアップ助成金の申請では キャリアアップ計画書の事前提出が必要です。 キャリアアップ計画書とは、 キャリアアップ助成金のコースに沿った処遇改善を実施する前に 助成金の窓口(労働局またはハローワーク)へ 届出をしておかなければならない計画書で、 計画期間は3~5年のあいだで企業で決められます。 (出典)厚生労働省サイト『キャリアップ助成金』 2 正社員化コース キャリアアップ助成金の中で最も活用されているのが正社員化コースです。 正社員化コースの概要と変更点は以下のとおりです。 ① 支給額と加算額に関する変更点 有期契約労働者、無期雇用労働者を正社員へ 転換させたときを対象とするコースです。 支給額は以下の表の「1 支給額」に記載された額です。 さらに一定の要件を満たした場合は 「2 加算額」に記載の額が加算されます。 なお、2022年度までは生産性要件を満たしていれば 支給額が増額されてましたが、 今年度からは生産性要件の廃止に伴い増額はなくなりました。 (出典)厚生労働省『(事業主のみなさまへ)キャリアアップ助成金のご案内(令和5年版)』 ② 措置内容 キャリアアップ助成金(正社員化コース)は 後で紹介する人材開発支援助成金の一部のコースと 併せて申請することができます。 この場合、人材開発支援助成金の支給決定書の写しを キャリアアップ助成金 正社員化コースの支給申請時に 添付することにより、キャリアアップ計画書の提出は不要になります。 3 その他のコースの受給額 正社員化コース以外のコースにおいても生産性要件が廃止されており、 支給額および加算額が変更されています。 概要は以下の表のとおりです。 (出典)厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内(概要)』 4 申請方法の変更点 キャリアアップ助成金は、従来までは書面での申請に限られていましたが 2023年4月から、電子申請(上記「電子申請一覧」を参照)ができるようになりました。 ただし申請できるのは、キャリアアップ計画書の提出を電子申請で行っており、 かつ以下の条件を満たした場合に限られます。 ① 正社員化コース:2023年4月2日以降に正社員へ転換をした場合 ② 正社員化コース以外 :2023年6月2日以降に取り組みを行った場合

  • 【2023年度版】助成金制度 ポイント①

    厚生労働省の助成金は、毎年4月に大きな改廃があります。 2023年度には、生産性要件が廃止されるほか 電子申請に対応した助成金の拡大があります。 比較的よく利用されている助成金について ポイントをまとめました。 ◆生産性要件の廃止 1 生産性要件の廃止について 2023年3月31日に生産性要件が廃止されました。 生産性要件とは、企業における生産性向上の取り組みを 支援するために、対象となる助成金を利用し、要件を満たせば 助成額または助成率がアップされる制度です。 比較的利用されているキャリアアップ助成金の 正社員コースなども対象になっています。 2 賃金要件、資格等手当要件について 生産性要件の廃止により、企業の賃金加算の実施を支援するために 「賃金要件、資格手当等要件」という新しい要件が設けられました。 対象となる助成金は限られていますが、 この要件を満たす賃金アップを行った事業主に対して 助成額の増額または助成率がアップされます。 人材開発支援助成金の記事に詳細を記載しますが 他にも人材確保等支援助成金などがありますので、 助成金をすすめるときには確認をしてください。 ◆「雇用関係助成金ポータルサイト」開設 2023年4月3日に厚生労働省の「雇用関係助成金ポータル」サイトが 開設され、助成金の電子申請の拡大が行われました。 今後は、従来の助成金に加えキャリアアップ助成金などの 他の助成金でも電子申請ができるようになります。 雇用関係助成金ポータルサイトから電子申請を行うには、 行政サービスにアクセスできる認証システム 「GビズID」のアカウントが必要になります。 社会保険労務士が企業の助成金を代行し電子申請するときも、 企業の「GビズID」のアカウントが必要になります。 なお、助成金によって電子申請受付システムが異なりますので 以下の表を参考にしてください。 【電子申請一覧】

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