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  • 従業員50人以上の事業場に求められる、労働安全衛生法上の衛生管理

    事業規模が大きくなると、これまで以上に従業員の健康状態を 維持するための労働環境の管理が必要になります。 必要な管理は「労働安全衛生法」という法律で定められており、 常時使用する従業員が50人以上になると、以下の6つの義務が求められます。 ・衛生委員会の設置 ・衛生管理者の選任 ・産業医の選任、届出 ・ストレスチェックの実施と結果報告 ・定期健康診断実施と結果報告 ・休養室・休養所の設置 (常時50人以上または常時30人以上の女性従業員を使用する事業場) 今回は、上記の義務に対応するために必要な段取りと、その内容を解説します。 常時50人以上の労働者を使用する事業場とは 労働安全衛生法上の「労働者」とは、職業の種類にかかわらず、 事業または事業所に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。 この「労働者」には、パート・アルバイトや日雇い労働者などの 臨時的な働き方をする者も含まれます。 基本的には労働基準法の考え方と同じで、同居の親族のみを使用する 事業や家事使用人は「労働者」に該当しません。 また、原則同じ場所にあるものをひとつの事業場としますが、 以下の場合は事業場の単位に注意が必要です。 【例外1 同じ場所にある場合でも業務内容が大きく異なるとき】 それぞれを別の事業場とする。(営業部門と工場部門、本社と店舗など) 【例外2 場所が異なる場合でも事業規模が著しく小さく、事業に独立性がないとき】 直近上位にあたる事業場と一括してひとつの事業場とする。(出張所、支局など) 衛生委員会の設置(罰則あり) 衛生委員会とは、従業員の健康を守り、衛生面から発生する労働災害を 防止するための委員会です。 常時使用する従業員が50人以上の事業場では 全業種に衛生委員会の設置が求められます。 衛生委員会は事業場ごとに毎月1回以上開催しなければならず、 開催の都度、議事録を作成し、議事の概要を従業員に周知する必要があります。 また、議事録は3年間保存しなければなりません。 毎月の衛生委員会では、熱中症やインフルエンザなどの季節特有の健康問題、 健康診断の実施やハラスメント対策など、従業員の健康管理や職場環境を 向上させるテーマについて話し合います。 衛生委員会は以下のメンバーで構成されます。委員数に定めはありません。 衛生委員会を設置しなければならない事業場が設置を怠った場合、 50万円以下の罰金が科せられます。 なお、常時使用する従業員が50人以上の事業場の場合、業種(建設業、運送業など)や 事業場の規模によっては、安全委員会の設置も必要です。 参考|厚生労働省『安全委員会、衛生委員会について教えてください。』 衛生管理者の選任(罰則あり) 衛生管理者とは、職場で働く人の健康障害や労働災害防止のために 活動を行う、労働安全衛生法で定められた国家資格です。 全業種の従業員50人以上の事業場で、専属の衛生管理者を選任しなければなりません。 選任すべき事由(事業場の常時使用する従業員が50人に達したときなど)が 発生した日から14日以内に、常時使用する従業員数に応じて定められた人数の 衛生管理者を選任し、遅滞なく、管轄の労働基準監督署に報告する必要があります。 参考・ダウンロード|厚生労働省『(様式第3号)総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告』 選任された衛生管理者は、少なくとも毎週1回は作業場などを巡視しなければなりません。設備や作業方法、衛生状態に有害の恐れがある場合は、直ちに必要な措置を取る必要があります。 衛生管理者になるためには、事業場の業種に応じた選任要件が定められています。 なお、衛生管理者の選任義務のある事業場が衛生管理者を選任しなかった場合、 50万円以下の罰金が科せられます。 産業医の選任、届出(罰則あり) 職場での従業員の健康管理や衛生教育を正しく効果的に行うためには 医学の専門知識が不可欠です。 そのため、常時使用する従業員が50人以上の全業種の事業場では、 医師のうちから産業医を選任し、従業員の健康管理などを行わなければなりません。 選任すべき事由(常時使用する従業員が50人に達したときなど)が 発生した日から14日以内に、常時使用する従業員数に応じて定められた人数の 産業医を選任し、遅滞なく、管轄の労働基準監督署に報告する必要があります。 参考・ダウンロード|厚生労働省『(様式第3号)総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告』 選任された産業医は、従業員の健康管理などを行うために、少なくとも毎月1回、 作業場などの巡視が必要です。(産業医が事業者から毎月1回以上、 所定の情報提供を受けており、事業者の同意を得ている場合は少なくとも 2か月に1回の巡視でも可能) 設備や作業方法、衛生状態に有害の恐れがある場合は、直ちに必要な措置を とる必要があります。 なお、産業医の選任義務のある事業場が産業医を選任しなかった場合、 50万円以下の罰金が科せられます。 ストレスチェックの実施と結果報告(罰則あり) ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に従業員が記入し、 質問項目を集計・分析することで、自身のストレスがどのような状態にあるかを 調べるための検査のことです。 正式名称を「心理的な負担の程度を把握するための検査」といいます。 2014年6月に改正労働安全衛生法が公布され、2015年12月に従業員の メンタルヘルス不調の未然防止を目的とした「ストレスチェック制度」が新設されました。 これにより、常時使用する従業員が50人以上の事業場では、1年以内ごとに1回、 医師等によるストレスチェックの実施および面接指導の結果報告を 管轄の労働基準監督署へ行うことが義務付けられました。 (従業員数50人未満の事業場は当分の間、努力義務) 参考・ダウンロード|厚生労働省『心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書』 ストレスチェック制度の実施手順は以下のとおりです。 (出典)厚生労働省『ストレスチェック制度 簡単導入マニュアル』 報告の対象となる事業場(常時使用する従業員が50人以上の事業場)が 複数あったとしても、事業場ごとに報告しなければなりません。 企業単位や複数の事業場を本社でまとめて報告することはできないため 注意してください。 なお、ストレスチェックの未実施に対する罰則はありませんが、 結果報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合は50万円以下の罰金が 課せられることもあります。 参考|大阪労働局『ストレスチェックの実施後の報告書の提出について』 定期健康診断の実施と結果報告(罰則あり) 前提として、事業場の規模にかかわらず、1年以内ごとに1回、 従業員の定期健康診断を実施しなければなりません。 常時使用する従業員が50人以上になったときは、定期健康診断の実施だけでなく、 管轄の労働基準監督署への定期健康診断の結果報告も義務となります。 なお、報告義務の対象となる事業場の「常時使用する50人以上の従業員」とは、 パート・アルバイトや日雇い労働者も含みますが、定期健康診断の受診対象となる 「常時使用する従業員」には、1年以上使用される予定の者かつ週の労働時間が 正社員の4分の3以上であるパート・アルバイトなどの短時間労働者が該当します。 監督署への報告義務の対象となる人数と、実際に定期健康診断を受診する人数は 一致する訳ではないため、注意してください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『定期健康診断結果報告書様式』 なお、定期健康診断の実施・報告義務の対象である事業場が、実施・報告を 怠った場合は、50万円以下の罰金が科せられます。 休養室・休養所の設置 病弱者や生理日の女性などが一時的に使用するためのスペースとして、 常時50人以上または常時30人以上の女性従業員を使用する事業場は 休養室または休養所を男性用・女性用に区別して設置しなければなりません。 なお、長時間の休養などが必要となる場合、速やかに医療機関に搬送または 従業員を帰宅させることが基本となるため、随時利用できる機能が確保されていれば 専用の設備である必要はありません。 また、2021年12月に職場における労働衛生基準が変更となり、休養室を設置する場合の ポイントが新たに追加されました。 休養室または休養所では体調不良の従業員が横になって休むことが想定されており、 利用者のプライバシーと安全が確保されるよう、設置場所の状況などに応じた 以下のような配慮が求められます。 ・入口や通路から直視されないように目隠しを設ける ・関係者以外の出入りを制限する ・緊急時でも安全に利用が可能 など 参考・ダウンロード|厚生労働省『ご存知ですか? 職場における労働衛生基準が変わりました』 なお、休養室または休憩室を設置しなければならない事業場が設置を怠った場合の 罰則はありませんが、法令で定められた義務ではあるため、対象となった場合は 必ず設置をしてください。 従業員50人未満の事業場でも必要な衛生管理業務 常時使用する従業員が50人未満の事業場の場合でも、以下の衛生管理業務を 行う必要があります。 おわりに 従業員の健康と安全の確保は、従業員のためだけではなく生産性の向上にも繋がります。 今回解説した6つの義務の中には罰則がある規定もあるため、「法律を知らなかった」では済まされないこともあります。 労務管理担当者は制度を理解し、事業場の現状把握と、求められる対応の確認を おすすめします。

  • 経済的負担と健康維持を両立する「代替休暇制度」とは?

    2023年4月1日以降、中小企業でも、1か月60時間を超える 法定外労働に対する割増賃金率が50%以上となりました。 長時間の法定外労働を抑制することが目的です。 しかし、臨時的な事情により、やむを得ず1か月60時間を超える 法定外労働が発生する場合もあります。 その解決策として考えられるのが「代替休暇制度」です。 この制度は、従業員に割増賃金の代わりに休暇を付与するもので 企業の経済的負担の軽減と従業員の健康維持の両立を目指します。 本記事では、代替休暇制度の概要と導入の流れ、運用方法を詳しく解説します。 代替休暇制度とは 代替休暇制度は、1か月60時間を超える法定外労働の引き上げ分の 割増賃金率25%(図、赤斜線部分)の割増賃金の支払いを 有給の休暇に代替できる制度です。 通常の賃金100%や1か月60時間超による引き上げとならない割増賃金率25% (図、黄色斜線部分)は、代替休暇の対象にならず賃金を支払います。 企業が代替休暇制度を導入すると、1か月60時間を超える法定外労働が発生する 従業員ごとに「代替休暇を取得する」もしくは「25%を超える割増賃金を受ける」の いずれかを選択することになります。 選択は対象となった従業員の意思によります。 代替休暇の取得を企業が強制することはできません。 導入するメリットとデメリット 代替休暇制度の導入は、以下のメリット・デメリットを参考に検討してください。 【メリット】 ・企業側の経済的負担の軽減 ・従業員の長時間労働による健康リスクの低減 ・従業員がライフスタイルにあわせて自己選択できる ・従業員の心身のリフレッシュになる など 【デメリット】 ・対象者の意向確認と給与計算の手続負担 ・代替休暇の取得状況の管理業務が必要になる ・従業員が代替休暇を取得する機会を十分に確保できない場合がある など 導入の流れ 以下の手順で、代替休暇制度の導入を進めます。 1 就業規則を変更する 休暇は、就業規則に記載が必要な項目です。 新たに代替休暇制度を導入するときは、制度の対象者、取得要件、 取得手続などを記載します。 就業規則に定めることで、従業員の労働契約の内容となります。 2 労使協定を締結する 代替休暇制度を導入するときは、労使協定の締結が要件となっています。 【労使協定で定める事項】 ・代替休暇の時間数の算定方法 ・代替休暇の単位 ・代替休暇を付与することができる期間 ・代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日 参考|愛媛労働局『代替休暇制度を導入するための労使協定を締結する場合のポイント 』 代替休暇の単位に「半日」を含む場合は、所定労働時間の半日の定義も定めます。 半日は原則所定労働時間の1/2ですが、午前・午後という分け方でも構いません。 また、代替休暇は年次有給休暇のように時季変更権はありません。 取得予定日に業務の都合で出勤する必要が生じた場合の取扱いなども 定めておくことをおすすめします。 3 雇用契約書のひな形を変更する 新たに採用する従業員に対して、代替休暇制度の適用の有無を通知するため 雇用契約書のひな形も変更する必要があります。 休暇の取得要件や取得手続については「詳細は就業規則による」とします。 4 代替休暇の意向確認書や代替休暇管理簿を準備する 代替休暇を取得するか、割増賃金を受けるかは従業員の意思によります。 意向確認は口頭でも構いませんが、従業員の意思を明確に受け取り トラブルを防止するという観点からも、あらかじめ「代替休暇に関する意向確認書 (任意書式)」を作成し提出を求めることをおすすめします。 また、代替休暇を付与することができる期間は、労使協定で 「法定外労働が1か月60時間を超えた給与計算期間の末日の翌日から2か月以内」の 範囲内を定めて運用します。 労使協定で1か月を超える期間としたときは、1か月目と2か月目の代替休暇の時間数を 合算して代替休暇を取得することも考えられます。 代替休暇の取得期限、時間数、意向確認日、取得日の管理ができる 「代替休暇管理簿(任意書式)」の作成をおすすめします。 5 勤怠・給与計算システムの設定を変更する 代替休暇制度の導入に伴い、勤怠管理と給与計算システムの設定を 見直す必要があります。休暇の取得管理、給与の割増賃金率や明細項目など 就業規則のルールに基づき設定します。 とくに所定労働時間が8時間未満の企業は、「法定内労働」「法定外労働」 「法定外労働60時間超」が項目ごとに正確に集計されるよう システム設定をしてください。 6 代替休暇制度の運用方法について社内周知する 代替休暇制度の運用方法を全従業員に周知します。 新しい制度をスムーズに運用するためには、運用方法だけでなく 制度を導入することになった背景や目的、想定質問なども伝える必要があります。 Q&A形式にまとめて伝えるなどの工夫をおすすめします。 代替休暇の時間数(日数)の算定方法 代替休暇制度は、まとまった単位の取得で従業員の休息の機会を つくるという観点から、1日、半日、1日または半日を単位とします。 代替休暇の時間数は、➀換算率を求めた後に、➁の式で算定します。 【具体例:1か月の法定外労働が80時間の場合】 ・1日の所定労働時間:8時間 ・法定外労働をしたとき: 25% ・法定外労働が1か月60時間を超えたとき:50% ・時間単位の年次有給休暇制度:あり ・代替休暇の単位:1日または半日 ➀50% - 25% = 換算率 25% ➁(80時間-60時間)× 換算率 25% = 代替休暇の時間数 5時間 代替休暇の時間数は5時間となり、代替休暇を半日(4時間)取得することができます。 また、端数の1時間については、「割増賃金で支払う」もしくは「本人の請求により 時間単位の年次有給休暇等とあわせて1日、半日の単位として代替休暇を取得する」 のいずれかを選択してもらいます。 代替休暇の運用方法 1 給与計算期間の残業時間を確認する 給与計算期間の残業時間を集計します。残業時間のうち、法定外労働が 1か月60時間を超える従業員が対象となるため、労働時間の正確な管理が不可欠です。 事前に設定した勤怠管理システムが正しく反映されているか確認してください。 2 対象者の代替休暇の時間数(日数)を求める 法定外労働が1か月60時間を超える対象者の代替休暇の時間数(日数)を求めます。 具体的な計算方法は先述の「代替休暇の時間数(日数)の算定方法」を参照してください。 3 対象者に代替休暇の意向確認をする 対象者に対して代替休暇を希望するかどうかを確認します。 給与計算もあるため、給与締切日からできる限り早い時期で確認します。 この時点では、意向の有無のみを確認し、取得予定日は後日決定するという 方法でも構いません。 実際の残業時間、代替休暇の時間数(日数)、意向申出期限を伝え、代替休暇に 関する意向確認書(任意書式)の提出をしてもらいます。 4 残業代を計算する 代替休暇を取得する従業員の残業代は、代替休暇の対象にならない 通常の賃金100%と1か月60時間超による引き上げとならない 割増賃金率25%のみ計算します。給与計算前に設定した給与計算システムについて 給与の割増賃金率や明細項目などが正しく反映されているか確認してください。 5 対象者に代替休暇を取得してもらう 代替休暇管理簿を確認し、代替休暇を希望する従業員には確定した代替休暇日数 (時間数)を適切に取得してもらいます。 代替休暇の取得が遅延すると従業員の過労や労働時間の適切な管理が難しくなるため、 速やかに休暇を取得するよう従業員に促します。 代替休暇が取得期間内に取得できなかったとき 従業員が代替休暇を取得するという希望を出していても、取得予定日は 後日決定する方法をとっているときなどは、代替休暇の取得期間内に 取得できない場合もあります。 代替休暇が期間内に取得できなかった場合は、取得できないことが確定した 給与計算期間の給与支払日に、代替休暇として取得する予定だった割増賃金額を 支払わなければなりません。 【具体例:代替休暇が取得期間内に取得できなかったとき】 ・給与:末日締め翌月15日払い ・代替休暇の取得期間:給与計算期間の末日の翌日より2か月以内 ・対象期間が60時間を超えたことによる意向確認:「意向あり」 法定外労働が1か月60時間を超える従業員は、普段から長時間労働になっている ケースが見受けられます。 代替休暇の取得の機会を逃すと、取得日の検討が後回しになりがちです。 代替休暇制度は、従業員に休息の機会を与えることを目的としています。 代替休暇の意向確認時点で、取得予定日も確定して申出してもらうことをおすすめします。 おわりに 月60時間超の法定外労働の代替休暇制度は一見すると難解なように感じますが、 知識を深め、適切な運用と仕組みを確立することで、過重労働の解消と従業員の 働きやすさの向上に寄与します。 この制度は企業と従業員双方の「働き方改革」を推進するツールとなるべきです。 時代や法令の変化に適切に対応し、よりよい労働環境をつくる制度として 導入をご検討ください。

  • 【2023年度版】賞与支払届と社会保険料計算

    賞与とは、毎月の定期的な給与とは別に支払われる特別な賃金のことです。 賞与支払届は、賃金、給与、手当、賞与など名称にかかわらず、 賞与(年3回まで)を支給したときの手続です。 今回の記事では、賞与にかかる手続や社会保険料の計算についてお伝えします。 届出の対象者は 賞与支払届は、賞与を支給した人のうち、社会保険に加入している すべての役員・従業員について届出しなければなりません。 賞与支払月に社会保険料が免除されている育児休業中の従業員や、 社会保険の資格喪失した従業員も届出が必要です。 届出が不要な賞与とは 賞与支払届の届出が不要な賞与もあります。 7月1日以前の1年間で4回以上支給する賞与は 毎月の社会保険料を決める基準となる標準報酬月額の対象になるため 賞与支払届は必要ありません。 ただし、年の途中で、賞与の支給回数を4回以上とすることの賞与規定を 新設した場合は、次の定時決定(7月、8月または9月の随時改定を含む) までは賞与として取り扱うことになっています。 また労働とは関係なく支給される慶弔見舞金(結婚祝い、出産祝いなど)などは 賞与の対象外となるため届出の必要はありません。 賞与支払届の手続 賞与支払届出書の用紙は、日本年金機構に登録されてい る賞与支払予定月の1か月前に企業へ送付されます。 届出用紙の基礎情報は、賞与支払月の前々月の19日までの 情報を元に年金事務所が作成します。 そのため、社会保険に加入している役員・従業員の氏名の記載が 賞与支払届にないときは、追記をしてください。 賞与支払届の枚数が不足するときは、届出様式をダウンロードして作成します。 【賞与を支給したとき】 賞与を支給したときは、以下の届出をします。 賞与支払届に記載されている被保険者のうち支給がない被保険者がいるときは 賞与支払届の該当者欄に斜線を引いて届出をしてください。 届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届 添付書類:原則なし 届出期限:賞与を支払った日から5日以内 届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所 届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)、持参 参考・ダウンロード|日本年金機構『健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届』 【賞与不支給のとき】 賞与支払月に事業所全体のすべての役員・従業員の賞与が不支給のときは 以下の届出をします。 届出様式は、賞与支払届と一緒に送付される書類もしくは以下を ダウンロードして使用してください 。 参考・ダウンロード|日本年金機構『健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与不支給報告書』 賞与支払月が変更になるときの手続 賞与支払月は日本年金機構に登録されている情報のひとつです。 賞与支払月を変更したときは、5日以内に年金事務所へ 健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届の届出が必要です。 届出様式:健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届 添付書類:なし 届出期限:変更の事実が発生してから5日以内 届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所 届出方法:郵送、電子申請、持参 参考・ダウンロード|日本年金機構『健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届』 賞与支払時の社会保険料の計算方法 賞与を支給するときは、社会保険料を控除しなければなりません。 雇用保険料は給与支給時と同じ計算方法ですが、社会保険料は計算方法が異なります。 社会保険料の計算は以下のとおりです。 【計算式(従業員負担分)】 ①標準賞与額 ×(厚生年金保険料率 ÷ 2) ②標準賞与額 ×(健康保険料率(介護保険料率含む)÷ 2) 標準賞与額は、総支給額(社会保険・税金などの控除する前)から 1,000円未満を切り捨てた額です。 従業員の社会保険料に1円未満の端数がでたときは、 50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げになります。 【標準賞与額の例】 賞与の総支給額:235,600円 標準賞与額  :235,000円 【保険料率】 厚生年金保険料:18.3% 健康保険料  :都道府県によって異なります 介護保険料  :毎年変動します 都道府県ごとの保険料率、介護保険料率は、以下サイトの保険料額表よりご確認ください。 参考|協会けんぽ『都道府県ごとの保険料額表』 介護保険料は、介護が必要な高齢者を支える保険制度です。 賞与の介護保険料は、40歳に到達した日の属する月から保険料の徴収が必要となり、 65歳に到達した日の属する月から保険料の徴収が不要です。 「到達した日」とは、誕生日の前日を指します。 (例)8月15日に40歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:8月31日 40歳に到達する日は、誕生日の前日の8月14日であるため、介護保険料を徴収します。 (例)12月17日に65歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:12月20日 65歳に到達する日は、誕生日の前日の12月16日であるため、介護保険料は徴収しません。 1日生まれの従業員は、特に間違いやすいため注意が必要です。 (例)8月1日に40歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:8月31日 40歳に到達する日は、誕生日の前日の7月31日であるため、介護保険料を徴収します。 (例)9月1日に40歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:8月31日 40歳に到達する日は、誕生日の前日の8月31日であるため、介護保険料を徴収します。 (例)12月1日に65歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:12月20日 65歳に到達する日は、誕生日の前日の11月30日であるため、介護保険料は徴収しません。 (例)1月1日に65歳の誕生日を迎える従業員の場合/賞与支給日:12月20日 65歳に到達する日は、誕生日の前日の12月31日であるため、介護保険料は徴収しません。 70歳以上の被保険者は厚生年金保険に加入する資格を失うため 厚生年金保険料の徴収は不要です。 そのほか、賞与の支払月に退職予定(退職日が末日以外のとき)であったり、 産前産後休業・育児休業中のときは社会保険料を徴収しません。 同じ月の支給であっても、以下の例のように給与と賞与の社会保険料の徴収月が 異なるケースもあるため特に慎重に確認してください。 (例)7月15日に産前休業に入る従業員に支払われる給与と賞与の社会保険料/給与:末日締め翌月25日払い、賞与:7月20日支給の場合 産休による社会保険料の免除が始まるのは、産前休業開始となる7月からです。 同じ7月に支払われる給与と賞与であっても、以下のように社会保険料の徴収が異なります。 ・7月25日払い給与 → 6月末締め給与であり、6月分の社会保険料を徴収する ・7月20日払い賞与 → 賞与の社会保険料は徴収なし (産休開始による社会保険料免除の適用) 社会保険料計算時の賞与額の上限 社会保険料がかかる賞与額の上限は、健康保険(介護保険含む)、 厚生年金保険ごとに法令等で定められています。 【健康保険】4月1日から翌年3月31日までの賞与の累計額573万まで 年間(4月1日から翌年3月31日)の賞与額が累計573万円を超えるときは 健康保険 標準賞与額累計申出書を作成し添付してください。 参考・ダウンロード|日本年金機構『健康保険 標準賞与額累計申出書』 年度の途中で転勤・転職などにより、被保険者資格の取得・喪失があった場合の 標準賞与額の累計は、保険者単位(協会けんぽ、健康保険組合など)で行います。 したがって、同一の年度内で複数の被保険者期間がある場合は 同一の保険者である期間に決定された標準賞与額を累計することとなります。 育児休業等による保険料免除期間に支払われた賞与や 資格喪失月に支払われた賞与については保険料の徴収は行われませんが、 決定された標準賞与額も年度の累計額に含まれます。 【厚生年金保険】1回の賞与額150万円まで 同じ月に同じ被保険者に賞与が2回支払われる場合は、2回の賞与の合計額が 150万円に達するまで厚生年金保険料がかかります。 おわりに 6月から8月にかけて、夏季賞与が支給される企業が多くあります。 労務担当者にとっては、年度更新や定時決定、高齢・障害者雇用状況等報告など 1年に1度の手続や報告が密集する期間でもあります。 賞与支払届の提出期限は5日以内と短くなっています。 ミスなく速やかに手続を終了させるため、賞与計算、賞与振込、手続終了までの 計画や対応期限の目安を立て、賞与の支給額が決まり次第、 計画に基づいた対応をお願いします。

  • 高校生等を使用するときは独自のルールがあります

    高校生等を雇用するときにも、法令(労働基準法など)の適用があります。 また同じ高校生でも、18歳未満(以下「未成年者」という)と18歳以上では、 働けない時間帯や就けない業務などが異なります。 制限を受ける基準は「年齢」であり、高校生であるかどうかは関係ありません。 この記事では高校生を雇用するときの注意点や、雇用保険・社会保険の扱いについて 解説します。 未成年者の労働時間 未成年者が働ける労働時間は1日8時間、週40時間までです。 1か月または1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、 36協定に基づく時間外および休日労働、週44時間まで勤務が可能な 特例措置対象事業場(従業員数10名未満)の特例の規定を適用させて 働かせることはできません。 ただし、15歳以上の未成年者については、以下のとおり例外的に働かせることが可能です。 【15歳以上の未成年者に関する労働時間の例外】 未成年者が働けない時間帯 未成年者を22時〜翌日5時までの深夜時間帯に勤務させることは 法令上禁止されています。 ただし交代制(夜間勤務・昼間勤務の交代制など)の勤務は 16歳以上の男性であれば可能です。 (ただし、高校生であっても、現に就労している時点での年齢が15歳の場合は不可) また、労働基準法上の規制だけではなく、都道府県の青少年健全育成条例による 規制もあります。 条例では、保護者の許可なく未成年の者を深夜に呼び出す、連れ出すなども 禁止しているため、業務内容を確認するための呼び出しなどはできません。 未成年者が就けない業務 未成年者は肉体的・精神的にも未熟なため、健康を守るために危険 または有害な業務に就くことが禁止されています。 重量物を取り扱う業務や、運転中の機械などの掃除、検査、修理などの 業務のように、身体に大きな負担がかかる業務や、事故発生の可能性が 高い危険な業務に就かせることはできません。 法改正により未成年者が20歳未満の者から18歳未満の者になりましたが、 健康保持の観点から引き続き20歳未満の者の飲酒や喫煙は禁じられており お酒を提供して接待をする業務や、喫煙可能な場所での勤務をさせることはできません。 最低賃金の適用 年齢にかかわらず、最低賃金以上の賃金の支払いが必要です。 最低賃金法は、都道府県ごとに決められた最低賃金以上の支払いを 労働者にしなければならないと定めています。 「高校生のアルバイトだから」「深夜勤務ができないから」などを 理由に最低賃金を下回る賃金で雇用することはできません。 年次有給休暇の適用 未成年者であっても年次有給休暇は付与されます。 付与される日数も、未成年者であるからといって成人と異なる 取扱いをされるわけではありません。 以下の表のとおり、年次有給休暇が付与されます。 【週5日以上または週30時間以上の勤務のとき】 【週4日以下かつ週30時間未満の勤務のとき】 未成年者を雇用するにあたっての注意点 未成年者を雇用する場合は、以下の点に注意が必要です。 ①について 未成年者が契約を締結するときは、親などの親権者の同意が必要です。 18歳に満たない高校生を雇用する場合には、必ず親権者の同意があることを 確認してください。 なお、同意なしに労働契約を締結した場合、親権者はその契約を 取り消すことができるのはもちろん、同意があったとしても、 その労働契約が未成年者の労働者にとって不利である場合には 親権者はその契約を解除することができます。 ②について 法令により、未成年者を雇用する企業は、年齢を証明する戸籍証明書を 事業場に備え付けなければなりません。 高校生を雇用する場合には必ず年齢を確認し、18歳に到達していない場合には 必ず戸籍証明書を提出してもらってください。 労災保険、雇用保険および社会保険の適用 1 労災保険 未成年者であったとしても、労災保険の適用はあります。 したがって、業務中や通勤中の事故に起因した傷病については 労災保険法による給付が行われます。 2 雇用保険 雇用保険については、未成年者であることをもって雇用保険の適用が なくなることはありません。 そのため、通常の従業員と同じ基準で雇用保険に加入するかどうかが決まります。 ただし、日中に学校に通う学生は雇用保険には加入できないため、 未成年者であるかどうかを問わず、「高校生」は雇用保険に加入できません。 3 社会保険 社会保険についても、雇用保険同様に未成年者であることをもって 健康保険法や厚生年金保険法の適用がなくなることはありません。 ただし、特定適用事業所(週に20時間以上働くアルバイトでも社会保険に 入らなければならない企業)においては、未成年者であるかどうかを問わず、 日中に学校に通う学生は社会保険に加入できません。 高校生等は一般的に親の扶養に入っています。 扶養に入れる要件は原則として、年収130万円未満までとなっており、 それ以上の年収になると親の扶養から外れなければなりません。 一般的には勤務調整を行って収入をコントロールしますが、 最低賃金の上昇や人手不足などに伴い時給が上がり、結果的に年収が 扶養に入れる基準を超えてしまい、労使でトラブルになるというケースもあります。 そのようなことにならないためにも、高校生を雇い入れる前には しっかりと説明し、勤務時間を調整してください。 おわりに 法改正によって、未成年者は20歳未満の者から18歳未満の者へと変わりました。 しかし、雇用保険法のように年齢ではなく高校生であるかどうかが重要な場面もあります。また、高校生といっても18歳以上かどうかで対応が異なる場面も多々あります。 必要な事務手続きも数多くあるため、高校生を雇う場合は社会保険労務士に 相談することをおすすめします。

  • 【2023年度版】高年齢者・障害者雇用状況報告書の提出は、7月18日が期限です。

    一定数以上の従業員を雇用している企業には、法令等で 毎年6月1日時点の高年齢者、障害者の雇用状況の提出が義務付けられています。 報告書の結果は厚生労働省が集計し、高年齢者、障害者の雇用状況を公表しています。 対象となる企業には、5月下旬〜6月初旬に厚生労働省(ハローワーク)より 「高年齢者雇用状況等報告書」と「障害者雇用状況報告書」が郵送されています。 2023年の提出期限は、7月18日(火)です。 今年から高年齢者、障害者雇用状況報告書を電子申請するときは 「GビズID」が必要となります。 また、高年齢者雇用状況等報告書の様式変更もあります。 今回の記事では、各報告書について詳細を交えながら解説していきます。 高年齢者、障害者雇用状況報告書はなぜ必要なのか 毎年報告される情報は、今後の高年齢者、障害者雇用のための施策検討に用いられます。 必要に応じて、ハローワークなどが企業へ助言・指導・調査を行うための 基本情報として使われることもあります。 そのほか、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構へ報告書を提供し、 高年齢者、障害者の雇用の安定と就業機会の確保など 働く高年齢者、障害者の総合的な支援の委託も行っています。 また厚生労働省は、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」や その他の機関へ報告書を提供することがあります。 報告書は、都道府県労働局やハローワークなどで、高年齢者、障害者の雇用の安定と 就業機会の確保や、働く高年齢者、障害者の総合的な支援の委託などにも活用されます。 高年齢者雇用状況等報告書の対象企業と報告内容 提出は、常時雇用で働く従業員(※1)が21人以上の企業が対象です。 厚生労働省(ハローワーク)は従業員数の増減を考慮し、 対象者確認時点で雇用保険に加入している人数が20人以上の企業に 高年齢者雇用状況等報告書の用紙を送付しています。 提出は、事業所(本社、支店など)が複数あっても本社で一括して行います。 雇用している高年齢者が0人のときでも報告が必要です。 【報告内容】 ・定年制の状況 ・継続雇用制度の状況 ・創業支援等措置(※2)の実施有無 ・創業支援等措置(※2)の導入・改定予定 ・年齢別の常用雇用の人数 ・過去1年間の年齢別の離職者状況 ・高年齢者雇用等推進者 など ※1 「高年齢者雇用状況等報告書」の常時雇用とは 正社員、契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態にかかわらず 以下のすべてを満たしている従業員をいいます。 ①1年以上継続して雇用されている者(1年以上雇用が見込まれる者を含む) ②1週間の所定労働時間が20時間以上の者 ※2 創業支援等措置とは、65歳以上の高年齢者について 雇用継続以外で業務委託契約として働く制度や社会貢献事業へ 従事できる制度などを導入し、就業機会を確保することです。 70歳までの就業確保の措置(努力義務)のひとつです。 高年齢者雇用状況等報告書の様式の変更点 2023年の高年齢者雇用状況等報告書の様式が以下2箇所、変更になっています。 (出典)厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告書 記入方法解説動画資料』P5、P6 高年齢者雇用状況等報告書の記入方法について 分かりやすい解説動画が公開されています。ぜひご活用ください。 参考|厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告書 記入方法解説動画』 障害者雇用状況報告書の対象企業と報告内容 提出は、常時雇用で働く従業員(※3)が43.5人以上の企業が対象です。 報告書は、事業所(本社、支店など)が複数あっても本社で一括して提出できますが、 報告書には事業所ごとの状況を記載します。 障害をもつ従業員が0人のときでも報告が必要です。 報告をしない、又は虚偽の報告をしたときは「30万円以下の罰金」になることがあります。 【報告内容】 ・常用雇用労働者の人数(週の所定労働時間が30時間以上) ・短時間労働者の人数(週の所定労働時間が20時間以上30時間未満)(※4) ・障害をもつ従業員の人数(※5) ・障害者の実雇用率 など ※3 「障害者雇用状況報告書」の常時雇用とは、雇用期間の定めのない方や 1年以上雇用される見込みがある、または1年以上雇用されている方です。 パート・アルバイト、兼務役員、外務員、出向労働者、海外勤務労働者、 外国人労働者、派遣労働者(派遣元)、在宅勤務者、休職中の従業員も含まれます。 すべての従業員数なので、障害をもつ従業員も加えてください。 ※4 短時間労働者は、1人を「0.5」とみなして算定します。 ※5 障害をもつ従業員数は、身体的、知的、精神的な障害(発達障害も含む)などの 障害種別や障害の度合い、1週間の労働時間数によって人数の算定方法が異なります。 2023年の障害者雇用状況報告書の様式に変更はありません。 電子申請にGビズIDが必要です 高年齢者、障害者雇用状況報告書は、郵送や窓口持参のほか 電子申請による提出も可能です。 電子申請は今年から「GビズID」が必要になります。GビズIDを利用せずe-Govアカウントを使用して電子申請する場合は電子署名(有料)による提出もできます。 (出典)厚生労働省『令和5年より電子申請の方法が変わります』 電子申請は、提出先であるハローワークへの郵送手続や窓口に出向く手間がなく、入力項目の自動チェック機能もあるため報告書の記入漏れも防止できます。ぜひご活用ください。 参考|厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告の電子申請による提出』 参考|厚生労働省『障害者雇用状況報告の電子申請による提出』 また、電子申請で提出する場合は、提出後に公文書などの発行はありません。 提出完了画面で、申請書控えをダウンロードし、企業で保管してください。 【高年齢者雇用状況等報告書の提出完了画面】 (出典)厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告の電子申請による提出』P14 報告は、助成金の制定に役立てられています 2023年4月現在、民間企業の障害者の法定雇用率は2.3%ですが、 2024年4月からは法定雇用率が2.5%に上がり、40人以上の従業員が いる企業が対象となります。 年齢や障害にかかわらず、能力があれば誰でも働ける職場づくりや 雇用の維持拡大が企業に求められています。 企業の取り組みに応じて助成金が準備されています。 【65歳超雇用推進助成金】 65歳以上への定年の引き上げや高年齢者の雇用管理制度の整備、 高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う企業に向けて 「65歳超継続雇用促進コース」「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」 「高年齢者無期雇用転換コース」の3つのコースがあります。 参考・ダウンロード|厚生労働省『令和5年度65歳超雇用推進助成金のご案内』 【特定求職者雇用開発助成金】 ハローワークなどから高年齢者・障害者を採用したときに対象になります。 参考・ダウンロード|厚生労働省『特定求職者雇⽤開発助成⾦ (特定就職困難者コース)のご案内』 【キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)】 有期雇用契約の障害者を正社員へ転換したときに対象になります。 参考・ダウンロード|厚生労働省『キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内』 助成金には、細かな要件があります。助成金を検討するときは事前にご相談ください。 おわりに 提出期限は7月18日(火)です。 今年から電子申請は、GビズIDや電子署名が必要になるため 自社の提出方法を先に確認するとよいでしょう。 提出期限まで時間があるように感じますが、すべての事業所ごとの高齢者や 障害者の状況を確認し、まとめなければならないため時間が掛かります。 スムーズな報告ができるように準備をすすめてください。

  • 【2023年度版】暑さに強い⾝体をつくる熱中症対策

    熱中症のピークは8月です。 しかし近年では、5月や6月など気温が高くない時期から 熱中症患者が発生しています。 梅雨明けから一気に高温多湿な天候に変化し、多くの人が十分に暑さに 慣れていないことから、熱中症による救急搬送者や死亡者数が急増します。 (出典)厚生労働省 職場における熱中症予防情報『職場でおこる熱中症』 熱中症は野外だけでなく室内でも発症するため、熱中症リスクは すべての従業員が持っています。 この記事では、企業が事前に実施できる従業員の熱中症予防と 労災になったときの手続について解説しています。 熱中症とは 熱中症とは、高温多湿な環境に身体が慣れずに体内の水分や塩分の バランスが崩れ、体内の調整機能が破綻し発症する症状の総称です。 一般的な症状に、めまい、吐き気、意識障害などがあります。 熱中症の重症度は、Ⅰ度からⅢ度に分かれています。 Ⅰ度は軽度の症状とされており、現場での適切な対応があれば 重症化が防げ、症状改善ができる段階です。 症状が改善しないⅡ度以降は医療機関への搬送が必要です。 (出典)厚生労働省『働く人の今すぐ使える熱中症ガイド』P7 暑さに慣れる暑熱順化 気密性の高いビルや製造業の工場や工事現場など 高温多湿で風が弱く、輻射源(熱を発生するもの)が 近くにあるような環境では、体外へ熱が逃げにくくなり発汗も不十分となります。 そのため、体に熱が溜まって体温が上昇し、熱中症が発生しやすくなります。 人間は、多少ですが、暑さに慣れることができます。 身体の機能が暑さに適応することを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」といいます。 暑さに慣れるための期間を設けることで、熱中症の予防に繋がると考えられます。 暑熱馴化には個人差があり数日から2週間程度かかるため 梅雨が明けて本格的に暑くなる今の時期から、暑さに強い⾝体をつくることの 従業員への呼びかけをおすすめします。 暑熱順化のポイントは、汗をかくことです。 適度な運動や入浴などを日常生活にうまく取り入れることで対応ができます。 暑さに慣れた身体になると、早く汗が出るようになり、体温の上昇を ⾷い⽌められるようになります。 (出典)厚生労働省『働く人の今すぐ使える熱中症ガイド』P85 ただし、暑熱順化の効果に持続性はなく、数⽇間でも暑い作業から離れると 暑熱順化の効果は減少します。 長期休暇明けの従業員などは、改めて暑さに慣れることが重要です。 熱中症対策が特に必要な9月頃までは、従業員へ暑熱順化の声掛けをしてください。 職場での熱中症予防対策 熱中症は屋内や屋外に関係なく、暑ければどこでも発症する可能性があるため、 職場での熱中症対策はすべての業種・職種で重要です。 以下、職場での熱中症予防策をまとめましたので、参考にしてください。 1 作業時間の短縮や休憩所の設置 簡易な屋根の設置、通風または冷房設備やミストシャワーなどの設置により WBGT値を下げる方法を検討し、作業場所の近くに冷房を備えた休憩場所や 日陰などの涼しい休憩場所を確保してください。 WBGT値が高いときは、単独作業を控え、WBGT値に応じた作業の中止や こまめな休憩などの工夫を行ってください。 厚生労働省によると、熱中症による死傷者数が多い時間帯は 14時、15時台となっており、その時間帯は屋外の作業をできるだけ避けたり、 休憩時間の工夫などもおすすめします。 【WBGT値(暑さ指数)とは】 熱中症予防を目的として、1954年にアメリカで提案された指標です。 WBGT値(暑さ指数)は人体と外気との熱のやりとりに着目した指標で 人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境 ③気温 の3つを取り入れています。 WBGT値(暑さ指数)が、28℃を超えるときは熱中症にかかりやすくなります。 以下のサイトでは、作業に対応したWBGT値や実測の仕方などが記載されています。 参考|厚生労働省 職場における熱中症予防情報『暑さ指数について』 2 通気性の良い服装の着用 通気性のよい作業着を準備し、冷却機能をもつ服の着用の検討を行ってください。 3 汗で不足しがちな塩分と水分の補給 休憩場所に飲料水や塩飴などを用意します。 大量に発汗すると、体内の塩分が消失するため水分補給のみでは不十分です。 水分と塩分を補給してください。 こまめな休憩とともに、喉が渇いていなくても水分と塩分を定期的に 補給するように促してください。 スポーツ飲料や経口補水液の塩分は、製品によって成分量が異なりますが 「栄養成分表示」を確認するとよいでしょう。 (出典)厚生労働省『働く人の今すぐ使える熱中症ガイド』P39 4 マスク着用の熱中症リスク周知 2023年3月よりマスク着用は個人判断となっていますが 場面に応じてマスク着用を従業員に推奨している企業も多くあります。 個人の判断で着用をしている方もいます。 マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり 気付かないうちに脱水になるなど、体温調整が難しくなります。 そのため、屋外ではマスクをはずすことや、屋内であっても熱中症リスクが 高まることを周知し、意識的に水分補給をするよう促してください。 5 従業員の異変に気付く観察 熱中症は身近な災害です。 普段から従業員同士で声をかけ合い、現場管理者や部署のマネージャーが 異変に気付けるように、今の時期から従業員の健康観察や 安全確保に努めてください。 初期症状が出ていても「仕事を一旦止めて休む」ことを選択せず、 無理をして仕事を続けて重度化するケースがあります。 いつもと違うと感じたら熱中症を疑ってみることも大切です。 (出典)厚生労働省『働く人の今すぐ使える熱中症ガイド』P6 普段から自身や周囲の異変に気付けるように、熱中症「応急手当」カードなども ご活用ください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『熱中症 応急手当カード』 6 熱中症に関する健康状態自己チェックシートの利用 業務中に熱中症の症状が起きたときは、労災を申請することになりますが、 労災の認定要件のひとつに、本人の身体の状況があります。 熱中症は、体調不良や不摂生、睡眠不足などがあると発症リスクが高まります。 発症の原因が本人の体調等による要素が大きい場合、 労災認定されない場合もあるため、従業員は日常的に自身の体調管理に 努める必要があります。 また、持病のある従業員は、熱中症リスクも高まります。 定期健康診断や持病確認などを行い、必要に応じて産業医や主治医に 対応を確認してください。 朝礼時や作業前に健康状態を確認したり、厚生労働省の職場における 健康状態チェックシートなども活用ください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『熱中症に関する健康状態自己チェックシート』 7 高齢の従業員の体調管理 高年齢者の熱中症にも注意が必要です。 高年齢者は、暑さや喉の渇きを感じにくく、体温を下げるための身体反応が 弱くなっていることがあります。 エアコンがなくても平気だった昔と比べ、昨今は異常な暑さです。 高齢の従業員の体調変化を観察し、体調確認や水分補給など積極的な声掛けを してください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『高齢者のための熱中症対策』 熱中症の労災申請 職場で熱中症が発生した場合は、労災保険を申請します。 法令等では、暑熱な場所における業務による熱中症は業務に起因する 疾病のひとつで、労災となる可能性があります。 熱中症の労災認定は、作業環境、作業内容、労働時間、本人の身体の状況などを 総合的に勘案し、業務上疾病として補償対象となるかどうかを 管轄の労働基準監督署が確認調査し判断します。 労働基準監督署に認められると従業員は給付を受けることができます。 申請から給付までの流れは以下のとおりです。 1 職場での熱中症発生 業務中に熱中症の症状が発生したときは、本人もしくは現場にいた従業員から 以下の状況を確認します。 ①症状の確認 ②病院への搬送の必要性 ③従業員への家族へ連絡の必要性 ④熱中症が起きた状況 2 医療機関の受診 労災保険により治療費が支払われます。 そのため医療機関に対し、熱中症が発症した本人もしくは付き添っている従業員 (または家族)から業務中に発生した熱中症であることを伝えてもらう必要があります。 すべての医療機関が労災保険に対応しているわけではありません。 労災保険対応の医療機関なのかを確認し、治療費に関する労災保険の書類を作成します。 労災保険に対応している医療機関かどうかで、書類の様式が異なります。 3 休業中の補償に関する労災保険の書類を作成し、労働基準監督署へ提出する 業務中の熱中症で休業が必要なときは、休業4日目から休業補償が支給されます。 休業中の補償に関する労災保険の書類申請時には、直近3か月の賃金台帳や タイムカードなどの添付が必要です。 また、休業3日目までは、企業が平均賃金の60%以上の休業補償を 支払わなければなりません。 4 業務中に労災が発生したことを労働基準監督署へ報告する 業務中に労災が発生したら、労働基準監督署へ報告する必要があります。 労災による休業が4日以上と4日未満のときで、報告書の様式と報告する タイミングが異なります。 5 提出した労災申請の労働基準監督署の審査結果を待つ 労働基準監督署は、保険給付の決定のため申請書類の審査を行います。 審査期間は申請内容によって異なりますが、2か月から6か月程度です。 6 労災保険の支給・不支給の決定が行われ、給付が行われる 労災保険の認定・不認定の決定が行われたあと、従業員本人に対し 支給(不支給)決定通知が送付されます。 認定されると給付が行われます。 労災の認定要件のひとつに、本人の身体の状況があります。 熱中症は、体調不良や不摂生、睡眠不足などがあると発症リスクが 高まりますが、発症した原因が本人の体調等による部分が大きいときは 労災認定されないケースもあります。 おわりに 企業側が熱中症対策を怠ってはいけないのはもちろんですが、 暑熱順化や体調管理には従業員自身の意識向上も必要です。 暑熱順化のポイントは汗をかくこととお伝えしましたが、 始業前にラジオ体操を行うだけでも汗をかくことができます。 危険性や、簡単にできる自衛方法などを周知して 全社の熱中症リスクを防ぎましょう。

  • 【2023年度版】7月10日までに社会保険の定時決定の届出が必要です!

    定時決定は、毎月の社会保険料の基準となる標準報酬月額を 見直す1年に1回の機会です。 毎年7月1日から7月10日のあいだに、社会保険に加入している 役員・従業員(以下、社会保険被保険者といいます)の 4、5、6月に支給された役員報酬・賃金(以下、賃金といいます)を 届出する定例の手続です。 定時決定の届出には、算定基礎届という書類を使います。 算定基礎届が同封された茶色の封筒が、6月初旬から中旬にかけて 日本年金機構から企業宛に発送されています。 2023年の届出期限は、7月10日(月)です。 提出方法や届出様式に変更はありません。 今回の記事では、毎年一度の算定の基礎知識として 対象者や標準報酬の決定方法を改めてお伝えします。 なぜ、定時決定が必要なのか 社会保険料は、賃金に見合うよう計算されています。 しかし賃金に変動があると、実際の賃金と社会保険料の基準となる 標準報酬月額に大きな差がでてくることがあります。 そのため、1年に1回見直しを行い、賃金にあった 標準報酬月額を決める必要があります。 標準報酬月額は、年金額や傷病手当金などの保険給付の計算にも 使われるため、正しく届出をしなければなりません。 定時決定の対象者 【対象となる人】 ・ 5月31日以前に資格取得した社会保険加入者で、 7月1日現在、在籍中の被保険者および70歳以上被用者 ※1 ・7月1日以降に退職する人 ・産前産後休業・育児休業等の休職者 ・介護休業中の休職者 ・私傷病休職者 ・海外勤務の人 ・一時帰休者 ※2 ・二以上勤務者 ※1 70歳以上被用者とは、社会保険の加入要件に満たす働き方をしている従業員で、 継続雇用して70歳を過ぎた方や新たに雇用した70歳以上75歳未満の方をいいます。 ※2 一時帰休とは、企業の経済的理由や事業の縮小などにより、一時的に雇用が停止される状態です。 【対象とならない人】 ・6月1日以降に入社(資格取得)する人 ・6月30日以前に退職(7月1日以前に資格喪失)する人 ・7月随時改定対象 ・8月、9月随時改定対象者 ※ 随時改定とは、固定的賃金(基本給、諸手当など)が変更になり、 標準報酬月額に2等級以上の差がでたときに行う手続です。 産前産後休業終了時報酬月額変更、育児休業等終了時報酬月額変更を含みます。 ※8月、9月に随時改定をする予定の人は、算定基礎届の届出対象となりますが、 届出時において随時改定が予定されているときは、算定基礎届の届出を省略できます。 参考|日本年金機構『8月、9月の随時改定予定者にかかる算定基礎届の提出について』 標準報酬月額の決定方法 毎年4、5、6月に支給する3か月間の賃金を報酬総額とし、 報酬月額を決定します。 報酬総額に含める賃金は、支払基礎日数が1か月に17日以上ある月の賃金です。 短時間労働者で17日以上の支払基礎日数が1か月もないときは、 支払基礎日数が15、16日の月のみ報酬総額とします。 ただし特例適用事業所(※)の短時間労働者は11日以上です。 支払基礎日数とは、賃金支払が発生する労働日、有給休暇、休業日などを 合計した日数です。 ※特例適用事業所とは、従業員数101名以上の企業です。 週20時間以上から社会保険の加入が必要になります。 【報酬月額算出方法】 各月の給与総額を合計した報酬総額に対し、対象とした月数「3」で 除した額が報酬月額です。 (例)月給制/毎月20日締切/当月25日支払の場合 【標準報酬月額決定方法】 届出された報酬月額は、健康保険・厚生年金保険の保険料額表に沿って 標準報酬月額が確定します。 確定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで適用されます。 その後、標準報酬月額に都道府県ごとの保険料率を掛けることで 毎月の社会保険料が決まります。 定時決定の対象となる賃金とは 報酬総額の対象となる賃金とは、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、 労働の対償として受けるすべてのものを含みます。 また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など 現物で支給されるものも報酬に含まれます。 ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与などは、報酬に含みません。 さまざまな標準報酬月額の算出方法 定時決定には、雇用形態や勤務状況に応じたさまざまな標準報酬月額の 決定方法があります。 多くの企業で発生する可能性のある決定方法をご紹介します。 【4、5、6月の支払対象期間の途中から入社したとき】 4、5月の給与の支払対象となる期間の途中から資格取得したことにより、 1か月分の給与が支給されない場合、1か月分の給与が支給されない月(途中入社月)を 除いた月を対象とし報酬総額を算出します。 (例) 4月1日入社/月給制・毎月20日締切、翌月10日支払の場合 4月分(給与計算期間:2月21日〜3月20日)の給与は入社前のため支払われておらず、 5月分(給与計算期間:3月21日〜4月20日)から給与が発生します。 5月分の給与は、日割計算になり1か月の給与が支給されないため、 4月、5月を除いた6月のみの給与総額で報酬月額を算出し修正平均として使用します。 修正平均とは、4月から6月のあいだに支払われた給与で計算すると 高い標準報酬になったり、反対に低い標準報酬で計算されてしまったり ということが起こってしまうため、それらを調整することをいいます。 この修正平均を使用した場合、算定基礎届の「備考」の欄に修正平均の内容を 必ず記載しなくてはいけません。 【4、5、6月の支払基礎日数がいずれも17日未満の場合】 4、5、6月のいずれも支払基礎日数が17日未満の場合や、 病気等による欠勤、育児休業や介護休業等により給与の支払いが 全くない場合は、従前の標準報酬月額で決定します。 (例)2月26日より産前休業/月給制・毎月20日締切、翌月10日支払の場合 4月分(給与計算期間:2月21日〜3月20日)は産前休業前の勤務分5日分の給与が発生し、 5月分、6月分は休業中のため給与が発生しません。 従前の標準報酬月額で決定をする場合、算定基礎届の「備考」の欄に 修正平均の内容を記載する必要があります。 今回ご紹介したケース以外にも、標準報酬月額の決定方法があります。 必要に応じて、下記を参照してください。 参考|日本年金機構『算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和5年度』 定時決定の届出方法 定時決定の届出は以下のとおりです。 届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 添付書類:なし 届出期限:2023年7月1日(土)~2023年7月10日(月) 届出先 :事務センターまたは管轄の年金事務所 届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)持参 郵送のときは、日本年金機構から送付されてくる茶色の封筒に同封された返信用封筒を使って届出してください。また、電子媒体(CD・DVD)で届出をするときは、電子媒体届出書総括票の添付が必要です。 参考・ダウンロード|健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 まとめ 定時決定は、毎年決まった時期に必ず行う手続です。 年間の業務スケジュールに入れておくことをおすすめします。 届出期間は7月1日から7月10日と短いため、6月支給の賃金が確定したら 手続準備を進めてください。 日本年金機構では、定時決定の流れについての動画も提供しています。 ぜひ参考にしてください。 参考|日本年金機構『令和5年度 算定基礎届事務説明動画』

  • 【2類から5類へ】新型コロナ・労務管理上のポイント

    2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症(以降「新型コロナ」という)が 感染症法上の「5類」となりました。 感染症法上の「2類相当」から「5類」に移行した5月8日以降の 新型コロナの取扱いと、日常生活を過ごすうえでの変更点などについては 前回の記事で確認ください。 前回の記事 『2類相当から5類へ。新型コロナが特別な感染症ではなくなります。』 今回の記事では、新型コロナの感染拡大で臨時的な対応がされていた 傷病手当金や失業保険、労災保険など、5月8日以降の労務管理上で 企業が知っておくべき内容をお伝えします。 新型コロナに従業員が感染したとき 2023年5月8日以降は、新型コロナに感染しても 法律に基づく外出自粛はありません。 ただし、新型コロナ発症2日前から発症後7~10日間は ウイルス排出期間といわれており、他の感染症と同様、 感染の広がりを抑えるため、発熱などの症状がある場合は外出を控え 自宅で療養することが望ましいとされています。 (出典)厚生労働省『新型コロナウイルス 療養に関するQ&A』 学校保健安全法により、子どもには出席停止期間が定められていますが、 大人の場合は5類へ移行後も出勤停止期間を定めるような法律はありません。 そのため、新型コロナに感染したり、発熱などの症状がある従業員が 自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱うことになります。 企業としては、社内の感染対策のためにも、学校保健安全法を参考に 出勤停止期間を検討しておくことをおすすめします。 一方、新型コロナ感染による法律の外出自粛や行動制限が求められなくなるため、 感染したことや発熱などの症状があることを理由に企業の判断で休業させる場合は 休業手当の支払が必要になります。 また、出勤停止期間の早い段階で熱が下がり、症状が快復することもあります。 働ける健康状態であっても、感染防止のため出社を控えてもらうときは 休業手当の支払が必要になります。 新型コロナ感染による傷病手当金申請は「医師の証明」が必要 新型コロナに感染して仕事ができないときは、傷病手当金の支給対象になります。 傷病手当金とは、業務外の理由による病気やケガで仕事ができず、 企業から給与の支払いがないときに、健康保険から生活保障として支給される手当です。 休業期間が4日以上あるとき、4日目以降に傷病手当金の支給を受けることができます。 2023年5月8日まで: 臨時的な取扱いとして、新型コロナにより傷病手当金を申請する場合は 医師の証明は不要とされていました。 また、これまで新型コロナにかかる傷病手当金は、医療機関の受診の有無や 自覚症状の有無にかかわらず、PCR検査の結果「陽性」である方や、 医療機関で受診をしていなくても、濃厚接触者で発熱などの自覚症状があり 仕事を休んでいる方も支給対象となっていました。 2023年5月8日以降: 5類へ移行後(申請期間の初日が5月8日以降)は 新型コロナの検査の結果「陽性」と判定され、 医師により労務不能と証明された場合が対象となります。 家族が感染し濃厚接触者の状態で発熱などの自覚症状があっても、 医師により労務不能と認められない限り、傷病手当金の対象とはなりません。 また企業ルールで「治癒後であっても〇日間は自宅待機を命じる」など、 仕事ができない理由が疾病による労務不能と認められない期間については 傷病手当金の対象とはなりません。 新型コロナに伴う離職理由の特例が終了 2023年5月7日までは、新型コロナの感染拡大防止の観点から離職した場合に 特定受給資格者となる特例や、新型コロナの影響で事業所の休業やシフトが 減少したことなどによって離職した場合に特定理由離職者となる特例がありました。 2023年5月7日をもって、新型コロナに伴う離職理由の特例は終了しました。 (出典)厚生労働省『新型コロナウイルス感染症に伴う離職理由の特例が終了します』 引き続き、業務による新型コロナ感染の場合は労災の対象 これまでと同様、業務によって新型コロナに感染したときは 療養補償給付や休業補償給付など労災保険給付の対象となります。 【対象になる人】 ・感染経路が業務によることが明らかな場合 ・感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務 (複数の感染者が確認された労働環境下での業務や 顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務など)に就き、 それにより感染した可能性が高い場合 ・医療従事者や介護従事者は原則として対象(業務外での感染が明らかな場合を除く) ・症状が持続し(罹患後症状があり)療養等が必要と認められる場合 など 新型コロナに感染し労災請求が認定された事例が 業種や職種ごとに記載されているため、参考にしてください。 参考|厚生労働省『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例』 新型コロナ感染による労災はメリット制の算定対象に メリット制の適用となる企業は注意が必要です。 労災保険制度では、一定の要件に該当する場合は、 労災事故の発生率の高低等に応じて一定の範囲内で 労災保険率を増減させるメリット制が設けられています。 これまで、新型コロナの感染によって労災認定された事案は 労災事故の発生率の算定対象外としていました。 5類へ移行となる5月8日以降に新型コロナの感染が労災認定された事案は 労災事故の発生率の算定対象になるため、メリット制による労災保険料への 影響がありえます。 テレワークをオフィス勤務に戻すときは同意が必要 新型コロナの流行で外出自粛などの行動規制が実施され 企業のテレワーク導入が急速に進みました。 テレワークは 「部署間・社員同士のコミュニュケーションが不足する」「セキュリティが不安」 「仕事とプライベートの切り分けが曖昧になる」などのデメリットもあり、 5類へ移行後、テレワークを実施していた企業がオフィス勤務に戻すなどの 事案の発生も考えられます。 しかし、就業規則や雇用契約書などで、労働条件としてテレワークを実施できる旨が 規定されている場合は、使用者が一方的にテレワークを廃止することはできません。 労使双方のテレワークのメリットとデメリットを洗い出し、 労使話し合いのもと検討し、変更する場合は同意を得てください。 参考|厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けの変更等に伴うテレワークの取扱いについて』 まとめ 企業への新型コロナの影響を緩和するために 国からさまざまな支援策が提供されてきました。 しかし、新型コロナが5類に移行した今、これらの支援策や 一時的な対応は終了しています。 コロナ禍の3年間、多くの企業が創意工夫を凝らし、 新型コロナに負けない経営体質への改革と柔軟な対応策を追求し続けてきました。 オンライン会議やテレワーク導入、ペーパーレス化などデジタル化が行われ、 労働者の働き方や生活様式などの多様化も加速しました。 企業はこれからも、変わりゆく労務環境に対応するために 従業員の健康と安全を確保しながら、生産性向上と法的義務遵守の バランスを維持しなければなりません。 今後も引き続き新型コロナでの体調不良者が発生する可能性があります。 一読いただき、企業の労務管理にお役立てください。

  • 【2類から5類へ】新型コロナが特別な感染症ではなくなります!

    日本で新型コロナウイルス感染症が確認されてから 3年余りが経過しました。 2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症(以降「新型コロナ」という)が 感染症法上の「2類相当」から「5類」に移行され、 5月8日を境に新型コロナは特別な感染症ではなくなりました。 5類への移行に伴い、新型コロナの基本的対処方針や 政府の対策本部が廃止されました。 一足先に2023年3月よりマスクの着用が個人の判断となっていますが、 その他の新型コロナの基本的感染対策(換気、手洗い、3密回避など)や 企業の感染対策(入場時の検温、消毒やパーテーションの設置など)についても 国が一律に基準を求めることはなくなり、個人や企業の自主的な判断に委ねられます。 感染症法上の5類への移行について、2回に分けて解説します。 1回目のこの記事では、5月8日以降の新型コロナの取扱いと、 日常生活を過ごすうえでの変更点などについて記載しています。 5月8日以降の新型コロナの取扱い 日本では、感染症は「感染症法(正式名称:感染症の予防及び 感染症の患者に対する医療に関する法律)」により、 感染症の症状の重さや感染力などに応じて5つの類型に分類されています。 感染症の予防や対策、規制の範囲、医療費の公費負担などが定められています。 これまで新型コロナウイルス感染症は、発生当初から不明な点も多く 重症化リスクや感染力が高い「2類相当」として行動制限や就労制限、 入院勧告などの規制がされてきました。 その後、変異株のひとつであるオミクロン株が主流になって以降、 発生当初と比較して重症化率や死亡率が低下していることを受け 新型コロナの感染症法上の位置付けに見直しが行われました。 その結果、2023年5月8日以降、季節性インフルエンザと同じ分類の 「5類」への移行が決定したということです。 感染症法の5類に移行したことで変更されること 5月8日以降、感染症法上の5類に移行された後の生活上の変更点をお伝えします。 1 行動制限がなくなる ◆2023年5月8日まで: 感染者は、原則7日間の外出自粛等の行動制限や就業制限が求められていました。 ◆2023年5月8日以降: 隔離措置が終了し、行動制限等がなくなります。 ただし他の感染症と同様、感染の広がりを抑えるため、発熱などの症状が ある場合は外出を控え、自宅で療養することが望ましいとされています。 外出を控えることが推奨される期間等については以下のように示されています。 (出典)厚生労働省『新型コロナウイルス 療養に関するQ&A』 季節性インフルエンザと同じく、子どもは法令等により出席停止期間が 定められていますが、大人の場合は5類へ移行後、仕事の出勤停止期間を 定めるような法律はありません。 2 法律に基づく「濃厚接触者」がなくなる ◆2023年5月8日まで: 保健所は、新型コロナ感染者と近距離または長時間接触し、感染の可能性が相対的に高くなっている方を「濃厚接触者」として特定し、5日間の外出自粛を求めていました。 ◆2023年5月8日以降: 法律に基づく「濃厚接触者」がなくなるため、同居している家族が新型コロナに 感染して長時間接触している場合でも「濃厚接触者」として特定されることはありません。外出自粛も求められません。 3 発生者届、陽性者登録、健康観察等がなくなる ◆2023年5月8日まで: 発生届や陽性者登録によって新型コロナの感染者の把握を行い、 健康観察や入院勧告等の措置を行ってきました。 ◆2023年5月8日以降: 発生届や陽性者登録がなくなり、健康観察等がなくなるため 自身で体調管理を行うことになります。 4 幅広い医療機関による対応へ移行 ◆2023年5月8日まで: 感染拡大により一部の医療機関に患者が集中することを防ぎ 確実に受診できるよう、各自治体が発熱患者の診療や検査が 可能な医療機関を指定し公表をしていました。 かかりつけ医を持たない方でも、公表状況を確認することで 地域の医療機関を受診できました。 ◆2023年5月8日以降: 設備整備が間に合っておらず、新型コロナの感染リスクを理由に 診療を行わない医療機関もありましたが、5類へ移行後は、発熱など 新型コロナに感染していることのみを理由とする診療の拒否が 「正当な事由」に該当しなくなります。 新型コロナに対応する医療機関が十分に確保できるように、国の支援が行われます。 5 医療費の自己負担が発生する ◆2023年5月8日まで: 外来・入院でかかる医療費の自己負担分や検査費用は、全額公費負担とされてきました。 2023年5月8日以降: 医療費は通常の疾病と同じく健康保険が適用されて、3割(1割)を自己負担します。 急激な医療費負担の増加を避けるため、9月末まで新型コロナの治療薬は無料、 入院患者の医療費には補助が受けられます。 10月以降の医療費補助は感染状況をもとに検討されます。 6 ワクチン接種は引き続き自己負担なく接種できる 「予防接種法」により、感染病の発生や流行予防のためにワクチン接種対象となる 疾病などが定められています。 これまでと同様、新型コロナの予防接種は日本で初回接種(1回目、2回目)が 完了しているすべての方を対象に、年1回自己負担なしで追加接種を受けられます。 2023年については9月を目途に接種が開始される予定です。 また、高齢者等重症化リスクの高い方(65歳以上の高齢者や、基礎疾患をお持ちの方等)は 年2回自己負担なしで接種が受けられ、2023年については5月8日より追加接種が 始まっています。 参考|厚生労働省『〔追加接種〕令和5年春開始接種についてのお知らせ』 5類へ移行後の企業対応で検討すべきこと 5類へ移行後は、季節性インフルエンザと同じ取扱いになります。 季節性インフルエンザは毎年冬季に流行します。 一方、新型コロナの感染は、特性や変異の影響など不確定要素が多く 予測が困難な状況です。 5類へ移行後も、企業内の感染予防や新型コロナによる欠勤者対応など 今のうちに企業方針を定めておくとよいでしょう。 1 5類へ移行後の感染対策についての企業方針の決定 今まで国が感染対策として一律求めてきたことが、5類へ移行後、 個人や企業の自主的な判断に委ねられます。 今までの感染対策は引き続き有効であるとしつつ、対策の効果、維持経費など 実施の手間やコストを踏まえ、実施の要否を判断することになります。 【企業の感染対策 例】 ・マスクの着用、咳エチケット ・手洗い等の手指衛生 ・出勤時の検温等の体調管理 ・入口での消毒液の設置 ・換気、3密回避 ・アクリル板などパーテーションの設置 ・適度な運動・食事などの生活習慣の提案 など マスクの着用については、着用は個人の判断に委ねるとしつつも マスク着用を従業員に推奨することまでは制限されていません。 また、6月は気温が上昇し熱中症にかかりやすい季節です。 マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなったり、 気づかないうちに脱水になるなど、体温調整が難しくなります。 マスク着用は室内であっても熱中症リスクを高めるため その点も考慮して従業員へマスク着用についてお伝えください。 【マスク着用を推奨する場面 例】 ・訪問先でマスク着用を求められたとき (訪問先が医療機関や高齢者施設 など) ・重症化リスクの高い方と面談するとき (基礎疾患を持つ者、高齢者、妊婦 など) ・通勤時など、混雑した電車やバスに乗車するとき など 2 本人が新型コロナに感染したときの欠勤者対応 新型コロナによる欠勤連絡を受ける度に異なる対応になったり 対応の遅れで業務への支障が出ないよう、以下を参考にして あらかじめ欠勤者対応を決定してください。 季節性インフルエンザと同様の取扱いとして、検討されることをおすすめします。 【新型コロナによる欠勤者対応で決めておきたい項目】 ・出勤停止期間 ・従業員やその家族が新型コロナに感染したときの企業への申告方法 ・有給休暇の当日・事後取得の可否 ・発熱した従業員への新型コロナ検査の命令基準 ・受診命令した時の賃金支払いや受診料の負担 ・休業時の連絡方法 ・業務の引継ぎ方法 など 3 家族が新型コロナに感染したときの対応 本人ではなく同居している家族が新型コロナに感染するケースがあります。 5類へ移行後は「濃厚接触者」に特定されることはなくなりますが 感染の可能性はあります。 対応例については以下のとおりです。 こちらも季節性インフルエンザと同様の取扱いとして検討されることをおすすめします。 【対応例】 ・一定期間、休業をさせる(業務命令の休業になるため休業手当の支払が必要) ・テレワークが対応可能か検討する ・特別休暇を取得させる ・本人の希望があれば有給休暇を取得させる ・小学校就学前の子どもが感染したときは「子の看護休暇」の利用を推奨する など まとめ 新型コロナの感染症法の類型が「5類」になり、ウィズコロナに向けた 取り組みが段階的に進み始めました。 2023年5月8日を境にさまざまな対応が変更されています。 これからも、新型コロナは流行する可能性があります。 従業員から相談を受けることも考えられますので、記事を参考にしてください。 従業員の急な欠勤は企業にとって大きなリスクですが、 まずは企業内の感染予防や感染者が発生したとき、業務への支障が出ないような 事前の対策をご検討ください。 次回の記事では、新型コロナの感染拡大で臨時的な対応がされていた傷病手当金や 失業保険、労災保険など、5月8日以降の労務管理上で企業が知っておくべき内容を お伝えします。

  • 【2023年度版】年度更新の申告が始まります

    2023年6月1日より 労働保険の年度更新申告の受付が開始されます。 年度更新とは 毎年6月1日から7月10日までのあいだに 労働保険料を計算し、納付を行う毎年定例の手続です。 厚生労働省から企業宛てに 年度更新の申告書および納付書が同封された 緑色(青色)の封筒が発送されています。 本年の申告・納付期限は、7月10日(月)です。 今回の記事では、年度更新の基本情報に 2023年度の変更点を盛り込んでお伝えします。 労働保険の年度更新とは 労働保険は、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。 年度更新は、従業員がいるすべての企業が 実施しなければならない手続で、 前年度に従業員に支払った賃金を月ごとに集計し 業種ごとに定められた保険料率を掛けて保険料を計算します。 賃金を集計する期間は 前年度4月1日から3月31日のあいだに働き、 支払いが確定した分の賃金です。 労働保険はすべての従業員に適用しますが 事業の種類や雇用の仕方によって適用方法が異なり、 「一元(一般的な業種)」と「二元(建設業や林業など賃金だけでは 労災保険料が計算しにくい、労災保険料率が複数適用されているなど)」 に分かれます。 2023年度の年度更新手続の変更点 今年の年度更新に関する料率などの変更点をお伝えします。 1 2022年4月と10月、雇用保険料率の引上げにより算定方法が例年と異なります 雇用保険料率が2022年4月、10月の2段階で引き上げられたことに伴い、 2022年度(令和4年度)確定保険料の算定方法は例年と異なります。 具体的には、保険料算定基礎額と保険料額を 労災保険分と雇用保険分ごとに 前期(4月~9月)・後期(10月~3月)に分けて算出します。 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表の様式が変更されています。 雇用保険料率の適用は表を参考にしてください。 【2022年4月1日~2022年9月30日までの雇用保険料率】 【2022年10月1日~2023年3月31日までの雇用保険料率】 2018年4月1日以降、労災保険料率に変更はありません。 参考|厚生労働省『労災保険料率表』 2 年度更新申告書の様式が変更になっています 年度更新申告書の下段に 新たに「㉜期間別確定保険料算定内訳」欄が設けられました。 確定保険料・一般拠出金算定賃金集計表の 「2022年度(令和4年度)確定保険料算定内訳」で算出した額を転記します。 なお、2022年度は雇用保険率が年度途中で変更されているため、 確定保険料算定内訳の「⑨保険料・一般拠出金率」欄には 「32欄参照」と印字されています。 「 ㉜期間別確定保険料算定内訳」欄に適用される雇用保険率が 印字されているため、注意してください。 3 2023年度に対応した年度更新申告書支援ツールが公開 毎年、年度更新の申告書に合わせた 計算支援ツールが厚生労働省から公開されます。 Excelで作成されているため使いやすくなっています。 ご利用は、こちらからダウンロードしてください。 参考・ダウンロード|年度更新申告書支援ツール(継続事業用) 年度更新申告書支援ツール(雇用保険用) 年度更新申告書支援ツール(建設事業用) 年度更新申告書を作成するときのチェックポイント 1 労働保険対象労働者 ・労働保険の対象労働者は、労災保険と雇用保険で異なります。 ・従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計するときに 正しい対象労働者を選定しないと保険料が正しく計算できません。 【労災保険】 ・時間・日数・期間を問わず、労働の対償として 賃金を受けるすべての従業員が対象です。 ・役員や事業主と同居している親族は対象外です。 ・派遣従業員については、派遣元事業場での適用になります。 【雇用保険】 ・正社員、契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態にかかわらず、 すべての雇用保険の被保険者が該当します。 ・役員で雇用保険に加入している兼務役員も含まれます。 ・雇用保険の被保険者とは、1週間の労働時間が20時間以上かつ 31日以上引き続いて雇用されることが見込まれる従業員です。 ・また、雇用保険マルチジョブホルダー制度により 雇用保険に加入している65歳以上の従業員も対象です。 2 労働保険料の計算に含める賃金、含めない賃金 ・従業員の月ごとに支払う賃金には 労働保険料の計算に含める賃金と含めない賃金があります。 ・働いている従業員に支払う賃金、手当、賞与など名称にかかわらず、 労働の対償として支払うすべてのものが対象となります。 【含める賃金】 基本給、各種手当、賞与、通勤費(定期券)、休業手当 など 【含めない賃金】 役員報酬、慶弔見舞金、退職金、解雇予告手当、休業補償費 、実費弁償的な費用 など 3 年度更新書類に同封されている申告書の確認 年度更新書類に同封されている申告書には 企業の労働保険料に関する重要な情報が記載されています。 登録情報を確認してから手続を始めるようにしてください。 電子申請や年度更新申告書支援ツールを使用するときは 登録情報を入力して手続を進めてください。 また、企業側で管理している情報と登録情報が異なるときは 年度更新の封筒に記載されている管轄の 都道府県労働局にお問い合わせください。 ①労働保険番号 ②申告済概算保険料額 ③各種区分 ④保険料率(今年は「32欄参照」と印字されています) ⑤口座振替 有無(口座振替の申込手続が完了しているときは印字されています) ⑥電子申請対象 有無(電子申請義務化の対象となる企業は印字されています) ⑦メリット制 有無(メリット制の適用となる企業は印字されています) ⑧雇用保険率 年度更新を効率よく対応するために 1 登録情報の確認 年度更新は、前年度4月1日から3月31日までの 従業員の月ごとに支払うすべての賃金を集計することから始まります。 給与ソフトで年度更新用の賃金を集計作業ができるものもありますが、 入社日や退職日、雇用保険の加入有無、労働保険の対象となる 賃金設定などに誤りがあると、正しい保険料計算ができません。 毎月の給与計算を確実に行っていれば、急な対応を避けることができます。 2 電子申請による申告書の提出 電子申請には、前年度の情報を取り込めたり、 入力チェック機能や自動計算機能を効率よく使えるというメリットがあります。 提出先である労働局や労働基準監督署の窓口に出向く必要もなく、 申告書記入漏れや記入ミスも防止できます。 参考|厚生労働省『労働保険は電子申請』 3 保険料の口座振替 口座振替に手数料はかかりません。 口座振替による納付で、毎回金融機関の窓口に行く手間や待ち時間が解消されます。 納付漏れも防止でき、延滞金の心配がありません。 納付期限についても、納付書で保険料を納付するよりも 保険料の引き落としに最大2か月のゆとりができます。 参考・ダウンロード|厚生労働省『労働保険料は口座振替が便利です!』 まとめ 年度更新は毎年、必ずしなければいけない手続です。 慌てないように、早めに必要な情報を集めるようにしてください。 申告期限の7月10日(月)は、 労働保険料の計算だけではなく納付期限でもあります。 納付が難しいときは管轄の労働局または労働基準監督署に相談し、 分割などの対策を取るようにしてください。 期限までに納付ができず滞納の状態になると 延滞金などが発生することがありますので、計画的な手続をおすすめします。

  • 労働時間等設定改善委員会とは?

    厚生労働省の人口動態統計によれば、2022年中の出生率は 79.9万人で7年連続減少しており、統計開始以来はじめて80万人を下回りました。 日本の少子化が加速しています。 少子化の進行と人口減少が進む中、多様な人材が長期にわたって 活躍できる環境が求められています。 そのためには長時間労働の改善や、年次有給休暇が取得しやすい 環境整備などについて企業と従業員が深く話し合うこと、 また働きやすい職場環境の実現のため労使が協力し共に取り組む姿勢が必要です。 企業の労使協議の場には「衛生委員会」「労使委員会」などがありますが、 企業内で労働時間や休日、休憩、年次有給休暇など労働環境の改善を 中心に話し合うための専門チームとして、 「労働時間等設定改善委員会」の設置をおすすめします。 労働時間などの改善についての法律 企業が自ら労働時間などの改善に取り組み、働く人たちがスキルや能力を 最大限に発揮でき、健康で充実した生活の実現を目指す法律に 「労働時間等設定改善法(正式名称:労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)」 があります。 労働時間等設定改善法は2006年4月1日に施行された法律で 1992年に制定された「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」が 基盤となって誕生しました。 この法律では、企業における労働時間や休日、休憩、年次有給休暇など (以降「労働時間等」という)の問題を、 企業の自主的な取り組みで改善することを努力義務として定めています。 勤務間インターバル制度の導入や、取引先に対する短納期発注や 発注内容の頻繁な変更の回避などもこの法律がもとになっています。 労働時間等設定改善委員会とは 企業の労働時間等の問題を改善するためには、企業経営の実情や 従業員の抱える事情を考慮に入れた検討が必要です。 企業と従業員が十分に意見を出しあうことができる体制を整えることも 労働時間等設定改善法における企業の努力義務の一部とされています。 その体制のひとつとして、労働時間等設定改善委員会があげられます。 この委員会は、事業場ごとに設置します。 労働時間等設定改善委員会の設置をおすすめする理由は2つです。 ➀労働時間等の問題を労使で熟慮し 解決策を見つけるための専門チームを発足できる ➁一定の要件を満たす労働時間等設定改善委員会の設置で 労働基準法の適用の特例がある 2019年3月31日まで、衛生委員会や安全衛生委員会を 労働時間等設定改善委員会とみなす規定がありましたが、 現在は廃止されています。 労働基準法の適用の特例 一定の要件を満たす労働時間等設定改善委員会を設置した場合、 委員の5分の4以上の多数による決議により 労働基準法の各労使協定の締結に代替することができます。 また、行政官庁への労使協定の届出義務がある制度での届出免除など、 労働基準法の適用の特例があります。 要件を満たさないまま労働基準法の各制度を適用するときは 労使協定の締結および届出義務が発生し、 各種制度の労働基準法違反となる可能性があります。 正しく委員会を設置し決議をするようにしてください。 (※)36協定については届出義務の免除はありません。 委員会の決議により労使協定の代替をしたときは、届出様式が「時間外・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届」になるためご注意ください。 参考・ダウンロード|厚生労働省『時間外労働・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届(様式第9号の7)』 一定の要件を満たす労働時間等設定改善委員会とは 労働基準法の適用の特例を受けるためには 一定の要件を満たした委員会を設置する必要があります。 一定の要件は、次の3つです。 1 委員の半数は従業員側のメンバーで構成する 委員は、事業主側(使用者)と従業員側のメンバーで構成しますが 委員の半数は従業員側のメンバーである必要があります。 また従業員側のメンバーは、事業場の過半数で組織する労働組合、 または、従業員の過半数を代表する者の推薦に基づいて 指名されていることが要件です。 この委員会は、労働時間等に関して企業と従業員の十分な話し合いや 問題の改善を行うことが目的のため、 従業員側のメンバーを選出するポイントとしては、企業で働く従業員が抱える 多様な事情が反映されるよう、性別、年齢、家族構成、育児・介護、自発的な 職業能力開発等の経験や知見に配慮することをおすすめします。 2 委員会の議事録を作成し5年間保存する 委員会開催の都度、議事録を作成します。 いずれかを起算日として5年間(当分の間3年)保存しなければなりません。 ・委員会の開催の日 ・決議にかかる内容の完結の日 3 委員会の運営規程を定める 委員会の運営に必要な事項に関する規程を定める必要があります。 規程の作成や、変更については、委員会の同意を得なければなりません。 【労働時間等設定改善委員会の運営規程 内容例】 ・委員会の目的 ・委員会で調査審議する内容 ・構成員の選出方法、人数 ・構成員の任務、任期 ・委員会の開催頻度 ・委員会の定足数 ・議事録の作成方法 ・その他、委員会の運営に必要なこと など 労働時間等設定改善委員会の役割の整理 労働時間等設定改善委員会では、事業所で働く従業員の勤怠データなどの 情報をもとに労働環境を把握し、解決すべき問題点について 中長期的な措置の計画を立てていきます。 1 現状を把握する 事業場で働く従業員の、労働時間等の実態について適正に把握します。 【把握する内容】 ・時間外・休日労働の時間数 ・始業時刻・終業時刻、終業から始業までの時間 ・年次有給休暇の取得率 ・深夜労働の回数および時間数 ・時間当たりの業務負担の度合 など 特に労働時間等の配慮を必要とする従業員がいるかも把握します。 【特に労働時間等の配慮を必要とする従業員】 ・健康診断の結果や医師等の意見を踏まえた、健康面に気を付けなければならない人 ・育児・介護を行っている人 ・公民権の行使または、公の職務の執行をする人 ・自発的な職業能力開発を図る人 ・地域活動やボランティア活動をする人 など 2 労働時間等の設定の改善にかかる措置の検討 労働時間等の設定の改善にかかる措置を委員会で検討します。 把握した現状の内容をもとに、時間外・休日労働の削減率や年次有給休暇の取得率の目標づくりなど、具体的な数値目標、措置の内容、実施スケジュールなども踏まえて計画を立てて取り組むことが大切です。 【措置 例】 ・業務の特性に応じた柔軟な労働時間の導入:変形労働時間制、フレックスタイム制など ・年次有給休暇を取得しやすい環境の整備:時間単位有給、計画的付与など ・時間外・休日労働の削減:ノー残業デーの導入、休日労働したときの代休付与など ・多様な働き方の選択肢の拡大:短時間正社員制度、テレワークの活用など ・終業および始業の時刻に関する措置:勤務間インターバル制度、深夜業の回数制限など 厚生労働省のガイドラインを参考にしてください。 参考|厚生労働省『労働時間等設定改善法 労働時間等見直しガイドラインについて』 まとめ 労働時間等設定改善法は強制的に委員会設置を義務付ける法律ではありません。 あくまで、企業の自主的な取り組みを促進し、働きやすい職場環境を 実現するための法律です。 多様な人材が長期にわたり活躍できるよう、働きやすい職場環境づくりの 専門チーム「労働時間等設定改善委員会」の設置をご検討ください。

  • 【新法】労働者協同組合法とは?

    2022年10月1日、労働者協同組合の設立、運営、管理について定められた 「労働者協同組合法」という新しい法律が施行されました。 少子高齢化が進む中、人口の減少地域では介護・障害福祉、地域づくりなどの 幅広い分野で担い手が必要とされています。 しかし今の法人格制度では、出資ができない、営利法人である、 財産が個人名義になるなど、多様な働き方を実現しつつも 地域貢献できる組織運営には向いていません。 そこで組合員が出資し、組合の事業を自ら主体となって行えるよう 新しい法人格として労働者協同組合ができました。 2023年5月10日時点では、19都道府県で計39法人が設立され、 それぞれの生活スタイルに応じてNPOや企業組合などの法人格を利用し 任意団体として活動されています。 地域で求められていることを実現するために 児童デイサービスや就労支援などの活動を通じ、 地域との繋がりを増やしている労働者協同組合もあります。 労働者協同組合とは 労働者協同組合とは、雇われて働くのではなく、同じ志を持った人たちが集まり、組合員として出資をし、それぞれの意見を反映しながら事業を行うことを基本原理とする組織です。組織を通して働く場所を生み出し、地域の需要に応じたさまざまな事業を促進し、活力ある地域社会への実現に向けて役立つことを目的としています。 【基本原理】 通常想定されている雇用関係は「使用者」と「労働者」の2つに分けられますが、 労働者協同組合では「使用者」と「労働者」が明確に分けられていません。 労働者協同組合の組合員として地域の課題に取り組み、 持続可能な活力ある地域社会の実現を目指すため働き、貢献します。 (出典)厚生労働省『労働者協同組合法について』 労働者協同組合は法人なのか 労働者協同組合では、出資・経営・労働のすべてを組合員自身で行うため、 事業に自分たちの意見を反映できます。 組合員が主体となり、事業を通して地域の活性化実現に繋げます。 労働者協同組合と株式会社との違い 労働者協同組合と株式会社がどのように違うのか、概要を以下にまとめています。 【労働者協同組合と株式会社の違い】 労働契約はどうなるのか 労働者協同組合の事業に従事する組合員は 労働者協同組合と労働契約を締結する労働者であることから、 労働者保護のための法律(例えば労働基準法や最低賃金法)の適用を受けます。 これにより、週1回の休日の保障や最低賃金以上での賃金額が保障されます。 なお、労働者協同組合の業務執行の職務のみを行う組合員は 労働者としての保護は受けられません。 社会保険等の適用について 労働者協同組合は社会保険(厚生年金・健康保険)、雇用保険、労災保険の 適用事業所になるため、それぞれ手続が必要になります。 労働契約を締結した組合員も、加入要件を満たしているときは加入しなければなりません。 【社会保険等一覧】 労働者協同組合にはルールがある 労働者協同組合を運営していくにあたり、一般企業にはないさまざまなルールがあります。 【主なルール】 ・事業の種類 労働者協同組合の基本原理に沿って行われる事業であれば どんな種類の事業でも原則自由に行えます。 許認可等が必要な事業(介護事業、保育所など)のときは許認可等の取得が必要で、 規制も受けます。 ただし労働者派遣事業は、労働者協同組合にはできません。 他人の指揮命令を受けて当該他人のための労働に従事する事業は、 労働者協同組合の基本原理に沿わないためです。 ・組合員の出資金 出資一口あたりの金額や出資口数は、それぞれの労働者協同組合で決めます。 組合員1人の出資口数は総口数の25/100以下(3名以下の労働者協同組合のときは適用外)となっており、譲渡できないことが法令で定められています。 仮に労働者協同組合が破産したときの責任は、組合員の出資額までです。 ・人数要件 労働者協同組合の事業に従事する組合員の割合などは 法令で以下のように定められており、①②を満たさなければなりません。 ①総組合員の4/5以上は組合の事業に従事しなければならない 組合員は労働者協同組合事業に従事しなければなりませんが、 従事する意思はあるものの、家庭の事情(育児、介護)などにより 従事できないケースもでてきます。 そのため1/5の組合員までであれば、事業に従事しないことが認められています。 労働者協同組合業務を行う理事は、事業に従事している組合員に含まれますが 監事は労働者協同組合への関わり方や定款により異なります。 どちらに含まれるかは窓口へご相談ください。 (窓口) 厚生労働省 雇用環境・均等局 勤労者生活課 労働者協同組合業務室 電話番号:03-3595-3189(直通) ②労働者協同組合の事業に従事する者の3/4以上は組合員でなければならない 労働者協同組合の事業に従事するのは「組合員」ですが 1/4は組合員以外も認められています。 組合員になれるのは、出資金の全額の払い込みが完了したときと法令で定められています。 定款上で出資金の分割払いが認められているときは、従事しながら組合員に なろうとする人や、事業の繁忙期に一時的にアルバイトとして雇用される人などが 想定されます。 ・配当金 組合員への配当は、事業に従事した程度に応じて行います。労働者協同組合を健全に運営するため、一定の積立金などを控除した後の剰余金が配当の対象になります。 ・議決権、選挙権 組合員は、出資額の多い・少ないにかかわらず、平等に1人1票の議決権と選挙権を 持っています。 労働者協同組合と労働契約を締結した組合員が、過半数の議決権を保有している 状態にしておかなければなりません。 ・労働者協同組合への加入、脱退 労働者協同組合への加入・脱退は任意ですが 組合員になれるのは「個人」のみで、団体や法人などの組織は組合員になれません。 また組合員として加入を希望する人を「正当な理由なく」拒否できません。 「仕事の空きがない」「仕事を行うのに必要な資格がない」などのときは 「正当な理由」として拒否できます。 メリット・デメリット 労働者協同組合には、以下のようなメリット・デメリットがあります。 設立の流れなど 労働者協同組合は3人以上の発起人がいれば設立できます。 設立の流れなどは厚生労働省のパンフレットを参考にしてください。 企業組合やNPOから労働者協同組合への変更も可能ですが 組織変更などの手続が必要になります。 【設立の流れ】 (出典)厚生労働省『労働者協同組合法って?』 ※厚生労働省では専門サイト『「はたらく」をつくる。みんなでつくる労働者協同組合法』が開設されており、設立までの流れや事例、Q&Aなどが掲載されています。 まとめ 過疎化や高齢化など、地域によって抱える課題はさまざまです。 労働者協同組合は地域の皆で意見を出し合い、地域の課題解決を進めるために つくられました。 株主や経営者に左右されず、自分たちで意見を出し合い、事業に取り組むことができます。まだまだ新しい制度のため、リスクも含めて設立を検討されることをおすすめします。

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